異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第2章……迷宮都市編

30話……迷宮3階層

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 2階層の安全地帯に入ると数組のパーティが居てそれぞれ休憩していた。
 中にはテントを設置しているパーティもありもしかしてここで泊まり込んで探索をしているのだろうか?

 俺たちも隅の方の空いている場所に腰を下ろして休憩、少し遅めの昼食を摂ることにした。

「このペースなら3階層の攻略も問題なさそうね。今日は3階層の安全地帯まで行ってそこで休みましょう」
「そうですね。しかし1階層には誰も居なかったのにここにら結構な人が居るのですね」
「あ、それ自分も思ったッス。なぜなんスかね?」

 アンナも俺と同じ疑問を持ったようだ。
 それを聞いたリンが答えを教えてくれた。

「1階層の角ウサギは全身需要があるからそれなりの値段で売れるのよ。角にさえ気をつければ新人冒険者でも安全に狩れるからアイアンやカッパーになりたての冒険者がよく狩ってるらしいわよ。1階層だから戻るのもすぐだしね」

 確かに角ウサギなら素手でも何とかなりそうだしな。

「逆に2階層のウルフは売れる素材も少ないし毛皮を剥ぐのにも時間はかかるから効率はガタ落ちになるの。だから駆け出し冒険者は1階層の角ウサギを狩ってレベルアップと資金稼ぎ、ある程度装備を整えてウルフリーダーを倒せる目途が付いたら2階層を駆け抜けてここに来るらしいわよ」
「なるほど、言い方は悪いですが2階層は美味しくない狩場なんですね」

 リンの話を聞いてサーシャは納得したようだ。

「まぁでも2階層で狩りをする人が少ないからさっきみたいにウルフリーダーが出現しても誰も倒さなくて群れが大きくなるってこともあるみたいね」
「そうなった場合どうするんスか?」
「1階層で準備したばかりの駆け抜け冒険者では倒せないでしょうからあたしたちみたいな奥を目指してるパーティか、逆に奥から戻ってくるパーティが倒すまで放置するしか無いでしょうね」

 定期的に間引きしないと変な進化するってことかな。

「まぁそんな頻繁に発生する魔物でもないし放置してもそこまで大きな問題にもならないんじゃないかしら?」

 そんなもんか……まぁ奥に潜る冒険者も頻繁に出入りするだろうし発生しても割と早い段階で討伐されるのかもね。

「よし、しっかり休憩出来たし進みましょう。この先は一気に魔物の種類も増えるから気を付けて」
「了解しました。リン殿魔物の情報はありますか?」

 全員立ち上がり階段に向けて歩き出す。

「聞いてるのはゴブリン、コボルト、ラッシュボアね。ゴブリンとコボルトは群れるから集団に襲われているときにラッシュボアに突撃される事が結構あるみたいだから注意が必要ね」
「それは……厄介ですね……」
「ラッシュボアッスか、正面からなら問題ないッスけど不意打ちだとキツいッスね」

 コボルトは多分二足歩行の犬みたいなやつでしょ?
 ならラッシュボアは?  説明と名前から突撃してくる猪かな?

『私が感知、必要とあらば対応しますのでご安心を』
「そうだね、ウルトが居れば安心だ」
「あまり頼り切りなのはどうかと思うけど……安心安全には変えられないわね」

 そうして俺たちは3階層への階段を下った。


 ~リバーク迷宮第3階層~

 3階層に降りて30分ほど歩いたが未だに魔物とは戦っていない。
 魔物の多い階層とは聞いていたが、それ以上に冒険者の数も多いみたいだ。

「多いわね……情報によると3階層は主にシルバーとゴールドになりたての冒険者の狩場みたいね。群れで現れるから経験値効率も良くてラッシュボアは素材が角ウサギなんかとは比べ物にならないくらいの高値が付くらしいわ」
「へぇ、でもその分競争率が高いんじゃそこまで美味しくないんじゃない?」
「そうね、4階層はかなり人も減るみたいだし、あたしたちはさっさと4階層を目指した方がいいかもね」

 あまりに戦闘が無いからか俺たちの空気は緩んでいた。
 ウルトがいる限り不意打ちを食らう心配がないのも大きい。

「リンさん、4階層には何が出るんですか?」
「えっと……コボルト、ゴブリン、ホブゴブリン、オーク、ラッシュボアだったかしら?  ホブゴブリンとオークが出現する分3階層よりはるかに危険度は上がるわね」

 迷宮って1階層下ることに少しずつ敵も強くなるイメージがあったけど、実際は1階層毎の難易度はかなり違うっぽいな。

「そういえばこの迷宮の最高到達階層とかって情報あるの?」
「私知ってます!  ここの最高到達階層は8階層で、15年くらい前に竜騎士ジェイド率いる竜翼の絆っていうパーティが到達したそうです!」
「竜騎士?  30年か40年前に就職の儀ってやつで上位職に就いたって話の?」
「そうです!  大体40年前ですね、なので今は50歳くらいですかね?」
「確かまだ現役みたいなこと言ってなかった?」

 冒険者の平均年齢とかわからないけど50超えても続けるのは大変だと思う。

「現役なはずですよ、去年ルブム帝国で魔族を討ち取ったって噂が流れてきましたし」
「魔族?  それって魔王の配下的な?」
「そうです。魔族は数は少ないんですけど1人1人がすごく強いらしいです」

 ふーん、いつか戦う日が来るのかな?
 勇者のサポートがしたいって話だし当然戦うこともあるよな、それまでに強くなっておかないと……

『マスター、後方より生命反応、ゴブリン10と恐らくラッシュボアです』

 俺が決意を固めているとウルトから報告が入った。

「リン、俺戦っていいか?」

 ここまで戦ってないからね、少しは体動かしたい。
 というか俺ってこんな好戦的な性格してたっけな……そんな事ないと思うんだけど、なんだかこの世界に来て血が騒ぐというかなんと言うか……

「魔法のサポートは必要?」
「いらない、危ないと思ったら助けてね」

 昨日購入したばかりの鋼鉄の剣を抜いて構える。
 少し待っているとゴブリンが視界に入ってきた……ラッシュボアは?

「ラッシュボアと思われる反応は少し後方です。今のうちにゴブリンを殲滅することを進言します」
「了解!」

 剣を構えてゴブリンの集団に飛び込む。
 この程度の数ならなんの問題も無い、全ての攻撃を躱して1匹1匹丁寧に首を刎ねてお終いだ。

『回収します』

 すぐにウルトがやって来て魔石の回収を行いみんなの下へ戻って行った。

「クリード!  前に出すぎよ、少し戻りなさい!」
「わかった!」

 確かに離れすぎている、これじゃ援護は望めない。

 ウルトに続いて俺もみんなの方に少し戻る。
 改めてラッシュボアを待ち構えていると、大きな影が近付いてきた。

 全長は2メートルあるかないかくらい、思ったよりでかい。

 こちらを認識したラッシュボアは「ブモー!」と雄叫びを上げながら突っ込んできた。
 この巨体が突っ込んでくるのは少し圧迫感があるな……

 でも走る速度は思ったより遅いしあの巨体じゃ反応速度も早くは無さそうだ。
 そう判断した俺は一気に踏み込んで接近、突進を躱しながら首を刎ねた。
 首を失ったラッシュボアはそのまま数歩進み倒れる。

 思った以上にあっさり終わったな……まぁ乱戦中に突進されるのが脅威ってことらしいし1対1で真正面からやりあえばこんなもんか?

「リン、終わったけどラッシュボアってどの部位回収したらいいの?」
「ラッシュボアは肉も毛皮も売れるからそのまま回収してちょうだい!」
「了解!  ウルト頼む」
『かしこまりました』

 ラッシュボアの死体を積み込む。これでいくらになるんだろう?

「クリードさん、鮮やかな剣筋ッスね!」
「先日のゴブリン戦より明らかに腕が上がっているように見受けられました」

 回収を終えみんなのところに戻ったらソフィアとアンナに褒められた。

「そんなに?  剣が変わったからそう見えたんじゃないの?」
「いいえ、前回より明らかに動きが良くなっていました」
「動きのキレが良くなってるッス、もう自分よりクリードさんの方がはるかに強いッスよ」
「自分じゃよく分からないな……まぁありがとう」

 そこまで褒められると少し照れるな……

「そういうのは安全地帯に入ってからにしましょう、進むわよ!」
「了解ッス!」

 それからボスの扉にたどり着くまでに数回ゴブリン、コボルトとの戦闘は発生したが俺が倒して以降ラッシュボアは現れなかった。
 多分獲物としての優先順位が高いからサーチアンドデストロイが基本なんだろうな。

「じゃあ開けるッス!」

 アンナが扉に手を付いて扉を開こうと力を込めるが扉はビクともしない。

 なんで?
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