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第2章……迷宮都市編
55話……指名依頼
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すぐに面会申請の許可が降り、ギルドマスターの執務室へと案内された。
「おぅ! ちょうど渡すものがあったんだ、そっちは何の用だ?」
俺たちが入室するとギルドマスターは片手を上げ気さくに挨拶してきた。
「渡すもの?」
「あぁ、ギルドからの報酬金だな。ランクに関しては本部の許可が必要だからすまんがもう数日待って欲しい」
そう言ってギルドマスターは机の引き出しから小さな皮袋を取り出した。
「ギルドから大金2枚、領主様から大金貨2枚だ。ギルドからの分は金貨10枚に両替しておいた」
「領主?」
「あぁ、ここいら一帯を治める伯爵様だよ。街と領民を守ってくれたことに対する恩賞だな」
「ふーん……」
くれると言うなら貰っておこう。
まぁ考えようによっては県民を守った人に県知事がお礼をするようなものだよね?
これとは別に国からも支払われるって考えたら怖いけど……
俺は差し出された皮袋を受け取り書類にサインする。
「ふーんてお前……」
苦笑いしながらギルドマスターは書類を片付けて話を続ける。
「それで? そっちの用事はなんだ?」
「ランク昇格と国からの報酬がいつ頃になるのかと勇者パーティの情報が欲しい」
「ふむ……ランク昇格に関してはさっきも言った通りもう数日待って欲しい。国からの報酬も恐らく1週間以内にはというところだと思う。それと勇者パーティか……こっちにはなんの情報も入ってないな」
「なにもか?」
「あぁ、王都からここは少し離れているから情報の遅れがあるだけかもしれないがまだ何も聞いてないな」
「そうか……分かった、ありがとう」
「話はそれだけか?」
「そうだよ」
「なら今度はこっちの話だ。お前たちに依頼を頼みたい」
「依頼?」
なんだろ。直接言ってくるくらいだから難易度高い依頼でもさせるつもりかな?
装備が完成するまではあんまり強いのとは戦いたくないんだけどな……
「ハイオークを10匹分頼みたい。報酬は金貨1枚、それとハイオーク1匹あたり大銀貨1枚と大銅貨1枚で買い取る。どうだ?」
リンと顔を見合せ頷き合う。
「受けるよ。ハイオークはどこに持って行けばいい?」
「助かる……出張所でもここでも職員に声をかけてくれたら案内するから狩れたら声をかけてくれ。ちなみに期間の定めはないが極力早く――」
「いやだからどこに出せばいいか聞いてるんだけど?」
依頼の説明の続きを話そうとするギルドマスターを遮り話を進める。
ハイオーク10匹とかストック余裕であるから受けた瞬間達成なのよ。
「は?」
「だからどこで出せばいい? 達成したから案内してよ」
ギルドマスターも職員だろ?
ギルドマスターは慌てて書類を準備してこちらに差し出してきた。
見てみると依頼の受注表のようなので目を通してからサインする。
書類を受け取ったギルドマスターは部屋に居る職員に俺たちを解体所に案内するように指示を出した。
「慌ただしくてすまない、そいつについて行ってくれ」
「分かった、じゃあなんかあったら大鷲亭に泊まってるからそこに伝えて」
「大鷲亭だな、了解した」
ギルドマスターに別れを告げ職員と一緒に部屋を出た。
そのまま解体所へ移動、言われた通りにハイオークを並べて依頼達成だ。
解体所の職員に確認のサインを貰って受付へ、そこで報酬を受け取る。
分配は宿に戻ってからでいいか。
全員で宿に戻るとなにやら食堂から話し声が聞こえてきた。
この宿では昼食は出していないのにこの時間帯に食堂に客が居るなんて珍しい。
興味本位で覗いてみると、中に居たのはケイトたちだった。
「クリード、せっかくだからケイトの分の報酬渡してきたら? あたしがディムに受け入れる旨伝えるからさ」
「そうだね、じゃあディムの方はお願い」
俺たちも食堂に足を踏み入れてケイトたちの下へ向かう。
「あ、クリードさん」
「お疲れ様、ちょっとケイトに渡すものと伝えることあるから5分ほどケイト借りてもいい?」
「え? あぁ、構わないが……」
ディムから許可も出たのでちょいちょいと手招きしてケイトを離れた位置に呼び寄せた。
「どうしたの?」
「まずこれ、さっきギルドに行って貰ってきたグレートウルフの討伐報酬の3割ね。ギルドと領主から大金貨2枚ずつだったから大金貨と金貨1枚ずつがケイトの取り分ね」
硬貨を取り出してケイトに手渡すとケイトは大金貨と金貨を見つめて動かなくなってしまった。
「どした?」
「いや……大金貨なんて初めて触ったからさ……」
「そうなの? 結構稼いでそうなのに」
数少ない5階層到達パーティなんだから稼いでるでしょ?
「そんなことないよ、僕たちは魔物狩りよりミスリル採掘優先してたからね、言うほどの稼ぎは無いよ。金貨すらなかなか触る機会無いんだからさ」
ケイトは手の硬貨をまじまじと見つめる。
「ほ、本当にこんなに貰ってもいいの?」
「いいよ。3割でいいって言うけど5割でもいいんだぞ?」
「いやいや……多すぎるよ、3割でも貰いすぎだからね? それと伝えることって?」
ようやく納得したのかケイトは硬貨を【アイテムボックス】に収納して話を続けた。
「グレートウルフの素材なんだけどね、工房に売却したんだ。これその3割ね。それからケイトの装備も格安でグレートウルフの素材使って強化して貰えるよう頼んであるから」
金貨1枚と大銀貨5枚を取り出して手渡そうとするがケイトは手を出さない。
あれ? さっきのと一緒に渡した方がよかったかな?
「そんなに……? 本当に僕何もしてないんだよ? わかってる?」
「なんで怒るのさ?」
「むしろなんで気にしないのさ!?」
なんか怒らせるようなこと言ったかね?
俺としてはおかしな評価はしてないつもりなんだけど……
「明らかに貰いすぎだからね!?」
「まさか少ないじゃなくて多すぎるって怒られるとは思わなかった」
少なかったら怒るけど多い分には黙って受け取るもんじゃないの?
「はぁ……クリードくんはそういう人なんだね……分かった、受け取るよ」
「最初からそうすればいいのに」
「だからっ!……はぁ……もういいよ」
疲れたようなため息を吐きながら俺からお金を受け取るケイト。
なんかごめんね?
「それと工房はどこかな?」
「えっと……宿を出て……」
工房の場所を説明するとケイトはの知っている工房だったそうですぐに分かったようだ。
「あそこの工房だね。分かったよ、なるべく早く顔出すようにするよ」
「新しく打つなら素材が要るみたいだけど、ミスリルあげようか?」
「きみはまた……」
呆れたような目で見てくるがもうこれだけ大金渡してるんだから今更ミスリルの1キロや2キロ誤差でしょ?
俺がミスリルを取り出すと何かを諦めたように笑いながらケイトは受け取ってくれた。
何を諦めたんだろう?
「何から何までお世話になりっぱなしだね」
「そんなことないと思うよ? 俺もケイトには世話になってると思ってるからお互い様」
「はいはい……要件はこれだけかな? ならちょっと大切な話してるから……」
「これだけだよ。じゃあまたね」
ケイトと別れてサーシャたちのところに戻る。
リンを見ると頷いていたのでちゃんとディムたちに伝えてくれたのだろう。
俺たちはケイトたちの邪魔にならないように食堂を出て部屋に戻る。
「じゃあさっきの依頼の分配ね」
「ほい」
受け取った報酬をそのまま机の上に出す。
ついでに両替しやすいように自分の財布代わりの皮袋も取り出しておく。
普段ならウルトが一瞬で計算してくれるので早いのだが今日もウルトは迷宮に居るのでスマホを取り出して電卓機能を使って計算する。
暗算でも出来るけど楽したいもの。
チャチャッと計算して分配していると、みんな興味深そうにスマホを眺めていることに気が付いた。
実はみんなスマホはもう見慣れている。
俺がちょくちょく風景などの写真を撮っているのを見つけたアンナがそれは何かと聞いてきたので簡単な説明をしてアンナを撮ってやるとものすごく喜んだのだ。
ほかのみんなもそれを見て興味を持ったようで写真に写ろうとしたり俺からスマホを借りて写真を撮って遊んだりもしているからね。
そんなスマホにこんな機能がある事を知って感心しているようだった。
「おぅ! ちょうど渡すものがあったんだ、そっちは何の用だ?」
俺たちが入室するとギルドマスターは片手を上げ気さくに挨拶してきた。
「渡すもの?」
「あぁ、ギルドからの報酬金だな。ランクに関しては本部の許可が必要だからすまんがもう数日待って欲しい」
そう言ってギルドマスターは机の引き出しから小さな皮袋を取り出した。
「ギルドから大金2枚、領主様から大金貨2枚だ。ギルドからの分は金貨10枚に両替しておいた」
「領主?」
「あぁ、ここいら一帯を治める伯爵様だよ。街と領民を守ってくれたことに対する恩賞だな」
「ふーん……」
くれると言うなら貰っておこう。
まぁ考えようによっては県民を守った人に県知事がお礼をするようなものだよね?
これとは別に国からも支払われるって考えたら怖いけど……
俺は差し出された皮袋を受け取り書類にサインする。
「ふーんてお前……」
苦笑いしながらギルドマスターは書類を片付けて話を続ける。
「それで? そっちの用事はなんだ?」
「ランク昇格と国からの報酬がいつ頃になるのかと勇者パーティの情報が欲しい」
「ふむ……ランク昇格に関してはさっきも言った通りもう数日待って欲しい。国からの報酬も恐らく1週間以内にはというところだと思う。それと勇者パーティか……こっちにはなんの情報も入ってないな」
「なにもか?」
「あぁ、王都からここは少し離れているから情報の遅れがあるだけかもしれないがまだ何も聞いてないな」
「そうか……分かった、ありがとう」
「話はそれだけか?」
「そうだよ」
「なら今度はこっちの話だ。お前たちに依頼を頼みたい」
「依頼?」
なんだろ。直接言ってくるくらいだから難易度高い依頼でもさせるつもりかな?
装備が完成するまではあんまり強いのとは戦いたくないんだけどな……
「ハイオークを10匹分頼みたい。報酬は金貨1枚、それとハイオーク1匹あたり大銀貨1枚と大銅貨1枚で買い取る。どうだ?」
リンと顔を見合せ頷き合う。
「受けるよ。ハイオークはどこに持って行けばいい?」
「助かる……出張所でもここでも職員に声をかけてくれたら案内するから狩れたら声をかけてくれ。ちなみに期間の定めはないが極力早く――」
「いやだからどこに出せばいいか聞いてるんだけど?」
依頼の説明の続きを話そうとするギルドマスターを遮り話を進める。
ハイオーク10匹とかストック余裕であるから受けた瞬間達成なのよ。
「は?」
「だからどこで出せばいい? 達成したから案内してよ」
ギルドマスターも職員だろ?
ギルドマスターは慌てて書類を準備してこちらに差し出してきた。
見てみると依頼の受注表のようなので目を通してからサインする。
書類を受け取ったギルドマスターは部屋に居る職員に俺たちを解体所に案内するように指示を出した。
「慌ただしくてすまない、そいつについて行ってくれ」
「分かった、じゃあなんかあったら大鷲亭に泊まってるからそこに伝えて」
「大鷲亭だな、了解した」
ギルドマスターに別れを告げ職員と一緒に部屋を出た。
そのまま解体所へ移動、言われた通りにハイオークを並べて依頼達成だ。
解体所の職員に確認のサインを貰って受付へ、そこで報酬を受け取る。
分配は宿に戻ってからでいいか。
全員で宿に戻るとなにやら食堂から話し声が聞こえてきた。
この宿では昼食は出していないのにこの時間帯に食堂に客が居るなんて珍しい。
興味本位で覗いてみると、中に居たのはケイトたちだった。
「クリード、せっかくだからケイトの分の報酬渡してきたら? あたしがディムに受け入れる旨伝えるからさ」
「そうだね、じゃあディムの方はお願い」
俺たちも食堂に足を踏み入れてケイトたちの下へ向かう。
「あ、クリードさん」
「お疲れ様、ちょっとケイトに渡すものと伝えることあるから5分ほどケイト借りてもいい?」
「え? あぁ、構わないが……」
ディムから許可も出たのでちょいちょいと手招きしてケイトを離れた位置に呼び寄せた。
「どうしたの?」
「まずこれ、さっきギルドに行って貰ってきたグレートウルフの討伐報酬の3割ね。ギルドと領主から大金貨2枚ずつだったから大金貨と金貨1枚ずつがケイトの取り分ね」
硬貨を取り出してケイトに手渡すとケイトは大金貨と金貨を見つめて動かなくなってしまった。
「どした?」
「いや……大金貨なんて初めて触ったからさ……」
「そうなの? 結構稼いでそうなのに」
数少ない5階層到達パーティなんだから稼いでるでしょ?
「そんなことないよ、僕たちは魔物狩りよりミスリル採掘優先してたからね、言うほどの稼ぎは無いよ。金貨すらなかなか触る機会無いんだからさ」
ケイトは手の硬貨をまじまじと見つめる。
「ほ、本当にこんなに貰ってもいいの?」
「いいよ。3割でいいって言うけど5割でもいいんだぞ?」
「いやいや……多すぎるよ、3割でも貰いすぎだからね? それと伝えることって?」
ようやく納得したのかケイトは硬貨を【アイテムボックス】に収納して話を続けた。
「グレートウルフの素材なんだけどね、工房に売却したんだ。これその3割ね。それからケイトの装備も格安でグレートウルフの素材使って強化して貰えるよう頼んであるから」
金貨1枚と大銀貨5枚を取り出して手渡そうとするがケイトは手を出さない。
あれ? さっきのと一緒に渡した方がよかったかな?
「そんなに……? 本当に僕何もしてないんだよ? わかってる?」
「なんで怒るのさ?」
「むしろなんで気にしないのさ!?」
なんか怒らせるようなこと言ったかね?
俺としてはおかしな評価はしてないつもりなんだけど……
「明らかに貰いすぎだからね!?」
「まさか少ないじゃなくて多すぎるって怒られるとは思わなかった」
少なかったら怒るけど多い分には黙って受け取るもんじゃないの?
「はぁ……クリードくんはそういう人なんだね……分かった、受け取るよ」
「最初からそうすればいいのに」
「だからっ!……はぁ……もういいよ」
疲れたようなため息を吐きながら俺からお金を受け取るケイト。
なんかごめんね?
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工房の場所を説明するとケイトはの知っている工房だったそうですぐに分かったようだ。
「あそこの工房だね。分かったよ、なるべく早く顔出すようにするよ」
「新しく打つなら素材が要るみたいだけど、ミスリルあげようか?」
「きみはまた……」
呆れたような目で見てくるがもうこれだけ大金渡してるんだから今更ミスリルの1キロや2キロ誤差でしょ?
俺がミスリルを取り出すと何かを諦めたように笑いながらケイトは受け取ってくれた。
何を諦めたんだろう?
「何から何までお世話になりっぱなしだね」
「そんなことないと思うよ? 俺もケイトには世話になってると思ってるからお互い様」
「はいはい……要件はこれだけかな? ならちょっと大切な話してるから……」
「これだけだよ。じゃあまたね」
ケイトと別れてサーシャたちのところに戻る。
リンを見ると頷いていたのでちゃんとディムたちに伝えてくれたのだろう。
俺たちはケイトたちの邪魔にならないように食堂を出て部屋に戻る。
「じゃあさっきの依頼の分配ね」
「ほい」
受け取った報酬をそのまま机の上に出す。
ついでに両替しやすいように自分の財布代わりの皮袋も取り出しておく。
普段ならウルトが一瞬で計算してくれるので早いのだが今日もウルトは迷宮に居るのでスマホを取り出して電卓機能を使って計算する。
暗算でも出来るけど楽したいもの。
チャチャッと計算して分配していると、みんな興味深そうにスマホを眺めていることに気が付いた。
実はみんなスマホはもう見慣れている。
俺がちょくちょく風景などの写真を撮っているのを見つけたアンナがそれは何かと聞いてきたので簡単な説明をしてアンナを撮ってやるとものすごく喜んだのだ。
ほかのみんなもそれを見て興味を持ったようで写真に写ろうとしたり俺からスマホを借りて写真を撮って遊んだりもしているからね。
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