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第2章……迷宮都市編

54話……朝のパーティ会議

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 翌朝、何とか起こされる前に起きることができた俺は朝の身支度を整える。

 朝練する程の時間は無いので部屋でストレッチと軽い筋トレをしていると扉を叩かれたので自分に浄化をかけて扉を開いた。

「クリード様、おはようございます」
「おはようサーシャ。朝食行こうか」

 並んで食堂まで移動してみんな揃って朝食を食べる。

「この後少し時間いいかな?  ちょっと話しておきたいことがあるんだ」
「お話ですか?  分かりました、食事を終えたら私たちの部屋でお聞きしますね」

 伝達事項はきちんと伝えた、それからは全員の朝食が済むまで雑談して時間を過ごす。

 部屋に戻り女性4人はベッドに、俺は備え付けの椅子に腰掛けて話を始める。

「話っていうのは昨日ディムたちから飲みに誘われてね、そこで頼み事をされたんだ」
「頼み事ですか?  どのような?」

 サーシャ、ソフィア、アンナは皆目見当もつかないといった表情でこちらを見ている。
 リンだけは何も言わずに俺を見つめている。

「実は……ケイトをうちのパーティメンバーに加えて欲しいって言われたんだ」
「ケイトさんをッスか?」
「何故そのようなお話に?」

 俺は昨日ディムたちから聞いた説明を繰り返す。
 話を聞いているうちに3人は納得したような表情を浮かべるようになっていった。

「なるほど……お話は分かりました。それでディムさんたちの話が纏まった場合ケイトさんを受け入れるかどうかというお話ですね?」
「そうなる。みんな賛成か反対か教えて欲しい」

 みんなの顔を見渡すと、まずはリンが口を開いた。

「実施リーダーはもうクリードだからクリードが決断すればいいと思うわ。個人的には賛成よ」
「え?  マジで俺がリーダーなの?」
「当然よ。しばらくしたらミスリルランクに上がるんだからパーティで1番ランクが高いのはクリードになるのよ」

 それはそうだけど……

「私はクリード様のリーダー就任、ケイトさんを迎え入れるお話どちらも賛成ですよ」

 続いて口を開いたのはサーシャだ。
 サーシャまで俺がリーダーでもいいと言うなんて……

「クリード様のリーダーはとりあえず置いておくとして、ケイトさんが加入してくれれば戦力は大幅アップ間違いなしですし、数日ですが関わった感じケイトさんに悪意はありませんので」

 聖女ってそういうのもわかるもんなのかな?

「私は構いません。ケイト殿が加われば聖女様の安全性も向上しますので問題ありません」
「自分も賛成ッスね。ケイトさんなら嫌な感じもしないし個人的には結構好きッスから」

 良かった、全員賛成のようだ。
 これであちらのパーティの話し合い次第だがこちらの受け入れ態勢は整ったな。

「それで、クリード様はどうなんですか?」
「ん?  どうって?」
「私たちの意見は述べましたがクリード様の意見は聞いていませんよ」

 あぁ、確かに言ってないな。

「俺としては反対する理由は無いと思ってる。強さ的にも性格的にも問題は無いとと思ってるよ」

 つまり賛成。
 満場一致で良かった。

「あとはケイトさんの気持ち次第ですね。いくら私たちが受け入れるつもりでもケイトさんが嫌がればどうにもなりませんし」
「ディムたちが言うには大丈夫だと思うってさ。ディムたちと一緒に高みに登りたい気持ちと俺たちと冒険したい気持ちがせめぎ合ってるらしい。それにハンスとミナは冒険者を引退する方向で考えてるみたいだしな」

 あたかもディムたちから聞いたように言っているがケイトの気持ちは俺が昨日直接聞いたものだ。

「なるほど……ハンスさんとミナさんが引退する以上あのパーティで高みを目指すことは不可能、ならこちらに傾く可能性が高いということですね」
「そういうこと。だからケイトは加入する前提で考えていいと思う。これで俺の話は終わりだけどみんなはなにかある?」

 俺がそう聞くとサーシャがすっと手を上げた。

「ある程度は足並みを揃えるためにもそろそろ勇者パーティの情報が欲しいです」
「なるほど……ならどうする?  聞き込み?」
「そういった情報はギルドが早いかと……ミスリルランク昇格時期、国からの報酬の時期を確認するついでに聞いてみようかと思います」
「そうか、なら俺も一緒に行った方がいいな」

 今日は迷宮に行く時間は無いかもな……

「お願いします。10時くらいには出発しようと思いますがクリード様のご都合は?」
「大丈夫、ならそうしよう」

 とはいえ既に9時半を回っている。

「他は?」
「特に無いわね」
「よしなら……って忘れてた、俺からもう1つあった」

 解散と言おうとして思い出した。

「今ウルト単独で迷宮に潜って魔物狩りをしてもらってるんだけど、経験値ってみんなにも行ってるのかな?」

 俺がそう聞くと全員がステータスを開いて確認する。

「レベルやスキルに変化はないわね」
「私もありません」

 リンとサーシャが答えソフィアとアンナも頷いて肯定を示す。

「なら俺だけに来てるのか……どういう仕組みなんだろ?」
「普通ならクリードに経験値が届いてるのも不思議なんだけど……一般的には経験値分配をしていても離れすぎているとその効果は適用されないわ」

 ならウルトとみんなの距離が離れすぎてるってことかな?

「それってどれくらい離れたらダメとかってわかるのか?」
「明確にはわからないけど……ウルトが倒した魔物の経験値はあたしたちにも分配されている、けどこの前のグレートウルフの経験値は来てないと思うの。だから数百メートル離れたら届かないんじゃないかしら?」
「なるほど……なのに今ウルトが倒した魔物の経験値が俺に来てるのはおかしいよね」
「えぇ、もしかしたら最初に言ってた魔力同期って言うのが関係してるかもしれないけど詳しいことは分からないわね」
「そっか……」

 まぁパワーレベリングがみんなに適用されないことはわかった。
 それならやる意味は少し薄くなるな……

 それでも俺は強くなれるはずだから続けない意味もないか。

「そろそろ時間ですね。ギルドに行きましょうか」
「もう?  わかった」

 一応失礼の無い格好であるかだけ確認して全員で宿を出る。
 あ、剣くらいは見えるように持っておいた方がいいか……

【無限積載】から剣を取り出し腰に提げておこう。

 ギルドに入る前に全員の冒険者証を見えるように装備、これで初めて来た時みたいに絡まれることはないだろう。

「すみません、自分はゴールドランク冒険者のクリードと申します。ギルドマスターに面会お願いしたいのですがよろしいでしょうか」

 丁寧な対応を心がけながら受付嬢に声をかける。

「ギルドマスターですか?  失礼ですがご要件は?」
「先日のオーバーフローの件ですかね」

 そう伝えると訝しげにこちらを見ていた受付嬢の顔がハッとしたものとなった。

「かしこまりました。すぐに取り次ぎますので少々お待ちください」

 立ち上がり俺に一礼して受付嬢は奥へと早足で移動して行った。

 さて……アポ無しで来ちゃったけど大丈夫かな?
 忙しいようなら時間をずらしてまた来ればいいか。
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