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第3章……迷宮攻略編
61話……決闘
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冒険者ギルドに到着してカルロスは受付に話を通しに行ってしまった。
「クリード様?」
黙って受付嬢と会話しているカルロスを見ていると後ろから声を掛けられた。
「やぁサーシャ、偶然だね?」
「偶然もなにも……クリード様とケイトさんはなぜギルドに?」
まぁそうだよね。ギルド行くって言ってたもんね。
サーシャの言う通りなんで俺がギルドに来たのかって話だよね。
「実は……」
ここに至るまでの経緯を話すとサーシャたちは難しそうな顔をする。
やっぱりまずいよねぇ……
「話は分かったけど、クリードはカルロスに勝てると思う?」
「剣だけなら無理だと思うよ。最悪ウルトでドン! かなぁって」
「ウルトでドンって……」
リンは呆れたような顔をするがルールに違反はしてないと思う。
「まぁ最初は剣、勝てなさそうなら魔法も使ってみるよ。ウルトでドンは最終手段」
絶対に負けたくないからどんな手でも使う所存だ。
「はぁ……まぁ分かったわ。応援してあげるから頑張りなさい」
なんとか納得を得て話しているとカルロスがこちらにやって来た。
「ケイト、パーティメンバーにお別れは済ませたかい? 準備が出来たなら行こうじゃないか」
余裕綽々な顔してるけどその顔がいつまでも続くと思うなよ!
ギルドの職員に案内されて奥へ、訓練所と言うからただただ広くて頑丈な場所かと思って来てみれば立派な闘技場のようなステージが設置されていてびっくりした。
「なんだいその顔は? もしかしてこの場所のことを知らなかったのかい?」
なんでこんな常識も知らないんだ? みたいな顔で言われるが知らないものは知らない。
知ったかぶりしても得は無いのでリンに顔を向けて教えてもらう。
聞くはいっときの恥知らぬは一生の恥だ。
「ここは冒険者同士の模擬戦や決闘を行う場所よ。ここ以外での私闘は禁止されているわね」
なるほど、それは大事だね。
「それで武器はどうするの? 真剣でやるの?」
「もちろんさ、その為に医療班の手配もしたからね。腕や足を斬り落とされても治してもらえるから安心したまえよ? あぁ、手加減はするけど死んでくれるなよ?」
「はいはい、吠え面かかせてやるから精々覚悟しとけ」
「減らず口を……」
カルロスは忌々しそうに吐き捨ててステージに上がっていく。
「なんでクリードそんな好戦的なのよ……」
「珍しいッスね」
そんなことを言われるが理由は……うん、まぁなんとなくは分かってるけどこれは気付いたらダメなやつだから蓋をする。
「俺の仲間に手を出そうとした、それが理由かな?」
もちろんこの理由に嘘は無い。
「そう、まぁリーダーとしては間違ってないわ。勝ってきなさい!」
「私も医療班の方と一緒に治療しますので思い切りやっちゃってください!」
「はは、頼もしいね。行ってくるよ」
サーシャも治療に回ってくれるなら心強い、全力で頑張ろう。
俺もステージに上がってカルロスとは反対側へ移動、およそ10メートルの距離をとって向かい合う。
「それでは決闘を行います。両者名乗りと要求を」
ここまで案内してくれた職員が立会人なのだろう、俺たちの間にたって進行を務めている。
「剣士の誇り副リーダーカルロス。僕が勝ったらケイトを貰う」
「自由の翼リーダークリード。俺が勝ったら二度と俺の仲間に手を出すな」
ザワザワと周りがうるさい。
いつの間に集まったのか結構な数のギャラリーがステージの周りに集まっていた。
どうやら賭けも始まっている様子、リンが大きな袋を取りだして俺に賭けると宣言している。
これは負けたら殺されるかもしれない……
「それでは両者構えて!」
「まずは逃げなかったことを褒めてあげるよ。その蛮勇を称えて先手は譲ってあげよう。それに今なら鎧を着るまで待ってあげても構わないよ?」
そう言ってゆっくり腰から剣を抜いてカルロスは構える。
「え? マジ? ありがとう。でも負けた言い訳に使うなよ? あとお前如き相手にするのに鎧とか要らないから」
俺も剣を抜いて構える。
お言葉に甘えて先手は貰おうか。
挑発するようにこのように言ったが正直今鎧持ってないんだよね。
この作業着は下手な鎧よりはるかに防御力あるから侮ってくれたら助かるな。
「始め!!」
「【剛腕】【魔力撃】【瞬間加速】!」
立会人から合図が出たので3つのスキルを発動。
カルロスはさすがと言うべきか構えに隙がないので隙がないなら正面から全力で叩き潰せばいいじゃないと言う考えだ。
【瞬間加速】の効果で一歩目から最高速度に乗り【剛腕】と【魔力撃】の効果で最大限まで引き上げた攻撃力に任せて一撃見舞う。
「ぐっ!」
一瞬面食らったようだったがそれでも防御は間に合う。
俺はその防御ごと叩き斬るつもりで剣を振り下ろしたがそうはならずしっかりと受け止められた。
カウンターを放つ余裕を与えないようにそこから連撃。
上下左右あらゆる角度から攻撃するが全て防がれてしまった。
「舐めるな!【剛腕剛撃】!」
呼吸の合間、僅かな隙を付かれて反撃してくるがこれはしっかり防ぐ。
防ぐが思いのほか力が強く後方に数メートル弾かれてしまった。
「【疾風加速】!」
距離が空いて好機と見たのかカルロスは新たにスキルを使用して迫ってくる。
しまったな、攻守入れ替わっちゃった。
「【集中】【知覚強化】【直感強化】【剛腕】!」
新たに4つのスキルを発動して待ち受ける。
「4つだと!?」
カルロスは驚愕に目を見開くが止まることはない。
高速の連撃を放ってくるのを強化された感覚と直感でしっかり認識、全ての攻撃を受け、躱し、弾く。
上手く受け流すことが出来ればカウンターをたたき込めるのだろうがまだ俺にその技術は無い。
何度か防いだところでカルロスは引いた。
おそらくスキルの効果時間が切れたのだろう。
「まさか……4つ同時にスキルを使うなんてね……そんな戦い方で身体は持つのかい? 短期決戦狙いなんだろうけどそうはさせない――」
なんか喋りだしたが聞いてやる義理はない。
左手に魔力を集中、雷属性へと変換して喋っているカルロスに向け放つ。
「なっ!」
予想してなかったのか慌てて迎撃しようとするが属性は雷。
剣で防ぐことには成功したようだが電撃は剣伝うんですよね。
「ぐあっ! 卑怯な!」
なんか騒いでるけどルールは守ってるからね?
一瞬怯んだ隙を見逃す訳もなく【瞬間加速】を使って接近、【魔力撃】を発動して攻撃を仕掛ける。
この時ふと思った、さっきの【魔力撃】で使ったのは変換してない無属性の魔力。
なら属性に変換した魔力を使えばどうなるの? と。
相手は痺れて思うように動けないこの状況、試すなら今しかないよね。
【魔力撃】を使用、流す魔力は風属性。
「【風神剣】!」
思いついた技名を叫び叩きつける。
カルロスはなんとか体を動かして剣で受け止めるが剣と剣がぶつかった瞬間に俺の剣からカルロスに向けて物凄い突風が襲いかかった。
「うぉぉおお!」
カルロスはそのまま弾き飛ばされて数メートル転がっていく。
好機!
吹き飛ばされたカルロスを追いかけて追撃、まだ防御しようとしているのでそれなら防御させてあげようと思う。
「【雷神剣】!」
今度は風ではなく雷の魔力を流し込んで【魔力撃】を発動、受け止めた剣を伝ってカルロスの肉体に電撃を流し込んでやった。
「あはばばばば!」
声にならない悲鳴を上げて倒れ伏しピクピクしている。
思ったより電撃強いな……
これだけの電撃で俺にお釣り返ってこないのが不思議でたまらない。
まぁそんなこと考えても仕方ないので倒れ伏すカルロスの首筋にそっと刃を添えて立会人の方を見る。
「勝負あり! 勝者クリード!」
立会人の宣言に観客がワッと盛り上がる。
そんな中リンの「よっしゃぁぁああ!」という歓喜の叫びがよく聞こえた。
よし、勝ち!
「クリード様?」
黙って受付嬢と会話しているカルロスを見ていると後ろから声を掛けられた。
「やぁサーシャ、偶然だね?」
「偶然もなにも……クリード様とケイトさんはなぜギルドに?」
まぁそうだよね。ギルド行くって言ってたもんね。
サーシャの言う通りなんで俺がギルドに来たのかって話だよね。
「実は……」
ここに至るまでの経緯を話すとサーシャたちは難しそうな顔をする。
やっぱりまずいよねぇ……
「話は分かったけど、クリードはカルロスに勝てると思う?」
「剣だけなら無理だと思うよ。最悪ウルトでドン! かなぁって」
「ウルトでドンって……」
リンは呆れたような顔をするがルールに違反はしてないと思う。
「まぁ最初は剣、勝てなさそうなら魔法も使ってみるよ。ウルトでドンは最終手段」
絶対に負けたくないからどんな手でも使う所存だ。
「はぁ……まぁ分かったわ。応援してあげるから頑張りなさい」
なんとか納得を得て話しているとカルロスがこちらにやって来た。
「ケイト、パーティメンバーにお別れは済ませたかい? 準備が出来たなら行こうじゃないか」
余裕綽々な顔してるけどその顔がいつまでも続くと思うなよ!
ギルドの職員に案内されて奥へ、訓練所と言うからただただ広くて頑丈な場所かと思って来てみれば立派な闘技場のようなステージが設置されていてびっくりした。
「なんだいその顔は? もしかしてこの場所のことを知らなかったのかい?」
なんでこんな常識も知らないんだ? みたいな顔で言われるが知らないものは知らない。
知ったかぶりしても得は無いのでリンに顔を向けて教えてもらう。
聞くはいっときの恥知らぬは一生の恥だ。
「ここは冒険者同士の模擬戦や決闘を行う場所よ。ここ以外での私闘は禁止されているわね」
なるほど、それは大事だね。
「それで武器はどうするの? 真剣でやるの?」
「もちろんさ、その為に医療班の手配もしたからね。腕や足を斬り落とされても治してもらえるから安心したまえよ? あぁ、手加減はするけど死んでくれるなよ?」
「はいはい、吠え面かかせてやるから精々覚悟しとけ」
「減らず口を……」
カルロスは忌々しそうに吐き捨ててステージに上がっていく。
「なんでクリードそんな好戦的なのよ……」
「珍しいッスね」
そんなことを言われるが理由は……うん、まぁなんとなくは分かってるけどこれは気付いたらダメなやつだから蓋をする。
「俺の仲間に手を出そうとした、それが理由かな?」
もちろんこの理由に嘘は無い。
「そう、まぁリーダーとしては間違ってないわ。勝ってきなさい!」
「私も医療班の方と一緒に治療しますので思い切りやっちゃってください!」
「はは、頼もしいね。行ってくるよ」
サーシャも治療に回ってくれるなら心強い、全力で頑張ろう。
俺もステージに上がってカルロスとは反対側へ移動、およそ10メートルの距離をとって向かい合う。
「それでは決闘を行います。両者名乗りと要求を」
ここまで案内してくれた職員が立会人なのだろう、俺たちの間にたって進行を務めている。
「剣士の誇り副リーダーカルロス。僕が勝ったらケイトを貰う」
「自由の翼リーダークリード。俺が勝ったら二度と俺の仲間に手を出すな」
ザワザワと周りがうるさい。
いつの間に集まったのか結構な数のギャラリーがステージの周りに集まっていた。
どうやら賭けも始まっている様子、リンが大きな袋を取りだして俺に賭けると宣言している。
これは負けたら殺されるかもしれない……
「それでは両者構えて!」
「まずは逃げなかったことを褒めてあげるよ。その蛮勇を称えて先手は譲ってあげよう。それに今なら鎧を着るまで待ってあげても構わないよ?」
そう言ってゆっくり腰から剣を抜いてカルロスは構える。
「え? マジ? ありがとう。でも負けた言い訳に使うなよ? あとお前如き相手にするのに鎧とか要らないから」
俺も剣を抜いて構える。
お言葉に甘えて先手は貰おうか。
挑発するようにこのように言ったが正直今鎧持ってないんだよね。
この作業着は下手な鎧よりはるかに防御力あるから侮ってくれたら助かるな。
「始め!!」
「【剛腕】【魔力撃】【瞬間加速】!」
立会人から合図が出たので3つのスキルを発動。
カルロスはさすがと言うべきか構えに隙がないので隙がないなら正面から全力で叩き潰せばいいじゃないと言う考えだ。
【瞬間加速】の効果で一歩目から最高速度に乗り【剛腕】と【魔力撃】の効果で最大限まで引き上げた攻撃力に任せて一撃見舞う。
「ぐっ!」
一瞬面食らったようだったがそれでも防御は間に合う。
俺はその防御ごと叩き斬るつもりで剣を振り下ろしたがそうはならずしっかりと受け止められた。
カウンターを放つ余裕を与えないようにそこから連撃。
上下左右あらゆる角度から攻撃するが全て防がれてしまった。
「舐めるな!【剛腕剛撃】!」
呼吸の合間、僅かな隙を付かれて反撃してくるがこれはしっかり防ぐ。
防ぐが思いのほか力が強く後方に数メートル弾かれてしまった。
「【疾風加速】!」
距離が空いて好機と見たのかカルロスは新たにスキルを使用して迫ってくる。
しまったな、攻守入れ替わっちゃった。
「【集中】【知覚強化】【直感強化】【剛腕】!」
新たに4つのスキルを発動して待ち受ける。
「4つだと!?」
カルロスは驚愕に目を見開くが止まることはない。
高速の連撃を放ってくるのを強化された感覚と直感でしっかり認識、全ての攻撃を受け、躱し、弾く。
上手く受け流すことが出来ればカウンターをたたき込めるのだろうがまだ俺にその技術は無い。
何度か防いだところでカルロスは引いた。
おそらくスキルの効果時間が切れたのだろう。
「まさか……4つ同時にスキルを使うなんてね……そんな戦い方で身体は持つのかい? 短期決戦狙いなんだろうけどそうはさせない――」
なんか喋りだしたが聞いてやる義理はない。
左手に魔力を集中、雷属性へと変換して喋っているカルロスに向け放つ。
「なっ!」
予想してなかったのか慌てて迎撃しようとするが属性は雷。
剣で防ぐことには成功したようだが電撃は剣伝うんですよね。
「ぐあっ! 卑怯な!」
なんか騒いでるけどルールは守ってるからね?
一瞬怯んだ隙を見逃す訳もなく【瞬間加速】を使って接近、【魔力撃】を発動して攻撃を仕掛ける。
この時ふと思った、さっきの【魔力撃】で使ったのは変換してない無属性の魔力。
なら属性に変換した魔力を使えばどうなるの? と。
相手は痺れて思うように動けないこの状況、試すなら今しかないよね。
【魔力撃】を使用、流す魔力は風属性。
「【風神剣】!」
思いついた技名を叫び叩きつける。
カルロスはなんとか体を動かして剣で受け止めるが剣と剣がぶつかった瞬間に俺の剣からカルロスに向けて物凄い突風が襲いかかった。
「うぉぉおお!」
カルロスはそのまま弾き飛ばされて数メートル転がっていく。
好機!
吹き飛ばされたカルロスを追いかけて追撃、まだ防御しようとしているのでそれなら防御させてあげようと思う。
「【雷神剣】!」
今度は風ではなく雷の魔力を流し込んで【魔力撃】を発動、受け止めた剣を伝ってカルロスの肉体に電撃を流し込んでやった。
「あはばばばば!」
声にならない悲鳴を上げて倒れ伏しピクピクしている。
思ったより電撃強いな……
これだけの電撃で俺にお釣り返ってこないのが不思議でたまらない。
まぁそんなこと考えても仕方ないので倒れ伏すカルロスの首筋にそっと刃を添えて立会人の方を見る。
「勝負あり! 勝者クリード!」
立会人の宣言に観客がワッと盛り上がる。
そんな中リンの「よっしゃぁぁああ!」という歓喜の叫びがよく聞こえた。
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