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第6章……復讐の勇者編

141話……勇者クリード

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「副業【勇者】?」

 まぁサーシャ救出、勇者殺害のついでに魔王も倒そうかと思ってる感じだから副業はむしろ正解なのか?

 勇者たちの遺体を集めて炎の魔法を使い荼毘に付す。
 成仏しなさいよ。

『マスター、お疲れ様でした』
「ウルトもお疲れ様、ありがとな」

 ウルトの近くには数人?  数体?  の魔族が転がっている。
 増援に来た魔族をウルトが片付けてくれたのだろう。

「サーシャは起きてる?」
『はい、中でお待ちです』

 マジか、時間かけすぎたかな……
 あんまり見られたくなかったんだけど、まぁ仕方ない。

「クリード様!」

 ウルトに乗り込むとどこかの聖女に回復魔法を掛けていたサーシャがこちらに掛けてきた。

「大丈夫だった?  何もされてない?」
「はい、ほとんど眠らされていたようで……ご迷惑をおかけしました!」

 頭を下げようとするサーシャを手で制して止めさせる。

「それはサーシャのせいじゃないよ。だから気にしないで」
「でも私のせいで……」

 下を向いてだんだんと声が小さくなっていく。
 ケイトのことかな?  リンから聞かされたのかな?

「それは違うよ。アレはサーシャのせいなんかじゃなくてアイツらのせいであり守れなかった俺のせいだ」

 俺がもっと強ければ失うことも攫われることも無かったはず。

「でも……」
「そういうのは後にしよう。まずは、この2人を起こしてやる事やってしまおう」

 勇者の代わりに魔王討伐やらないとね。

「はい……わかりました」

 サーシャが治療に戻ると入れ替わりにリンがこちらにやって来る。

「お疲れ様。終わったわね」
「お疲れ、一旦ね。この後もあるけど」
「そうね……あたしたちで勝てるかしら?」
「それは大丈夫さ」

 リンは不安そうな顔をしているので安心させるため力強く答えておく。

 さっきの戦いで大量に職業とスキルを得た、なんせ副業勇者だし。

 それになにより俺が強化されたことでその分ウルトも強化されているはず……
 勇者の力を得た俺の力を使えるウルトなら魔王くらい何とかなるだろ。

「……そうね、クリードが居ればどうにかなりそうね」
「いやまぁ……俺よりウルトがね」
「ウルトもだけど、勇者たちを1人であっさり倒したクリードが居ればって安心できるのよ」
「いや……弱かったよ?  予想より遥かに弱かったよ?」

 正直レベル上げも迷宮攻略も必要なかったと思う。
【精神攻撃】や【腐食攻撃】は役に立ったけど戦いに必要だったかと言われると必要無かったし……
 耐性系もそもそも攻撃受けてないから不要だったしね。

 どうしてこの程度の強さで魔王に勝てると判断して魔王領に踏み込んだのかさっぱり分からない……

「それでクリード、どんなスキルを手に入れられたの?」
「戦闘中だったからあんまり覚えてないな……副業に勇者が追加されたのは覚えてるけど」

 さすがに副業勇者はパワーワード過ぎた。

「確認してみましょう」

 先程とは打って変わって何故かリンがノリノリだ。

「そうだね。ステータスオープン」


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル100  称号【超越者】
 職業……(本業)トラック運転手(副業)剣鬼、忍者、賢者、聖騎士、勇者
 年齢……21
 生命力……SS  魔力……SS  筋力………SS  素早さ……SS  耐久力……SS  魔攻……SS  魔防……SS

 スキル

(身体能力系)
【身体強化(極)】【タイタン】【ヘルメス】【アイギス】【瞬間加速・停止】【絶倫(強)】【生命力強化(大)】【俊敏】【回復力強化(大)】【限界突破】

(魔法系)
【魔法適正(聖属性を除く全て)】【魔力吸収(極)】【トリプルマジック】【魔法威力上昇(極)】【合成魔法】【魔力極大ブースト】【精霊召喚】【忍術】

(感覚系)
【気配察知(極)】【直感強化(特)】【知覚強化(特)】【魔力視】【弱点看破(極)】【見切り(極)】【魔力感知(上)】【五感強化】【闇視】【傲慢なる者の瞳】【思考共有】

(耐性)
【痛覚鈍化】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】【状態異常耐性(強)】【毒無効】

(攻撃)
【剣術(神)】【斧術(特)】【槍術(上)】
【魔力撃(極)】【精神攻撃】【状態異常攻撃】【腐食攻撃】【毒攻撃】【投擲】【闘気剣】

(防御)

【盾術(特)】【闘気盾】【衝撃緩和(上)】【攻撃反射(上)】【不動】【騎士の矜恃】【挑発(上)】

(特殊)
【トラック召喚】【トラック完全支配】【無限積載】【魔剣召喚】【暗器召喚】【聖盾召喚】【聖剣召喚】

【天駆(上)】【隠密(上)】【自己再生】【糸生成】【テイム(極)】【捕食】【水中呼吸】【アイテムボックス】【ブースト】

 ◇◆

「なんじゃこりゃ……」
「これは……予想外ね……」

 ツッコミどころがありすぎてどこからツッコめばいいのやら……

「レベル100?」

 99でカンストじゃ無かったの?  それに称号とか付いてるし……
【超越者】ってもしかしてレベル99を超えたからってこと?

 リンと2人でワイワイとステータスを見ているとサーシャが興味を惹かれたのかこちらの様子を見に来た。

「サーシャちゃん、コレ見てみて」
「クリード様のステータスですか?」

 リンに促され覗き込む。

「……え?」

 上から下へと視線が移動していたがある一点で視線の動きが止まった。

「なんですかこのレベルと職業……」

 そこだよね、まずそこだよね。

「どうしてこんなレベルと職業が?  それに称号【超越者】とは?」
「分からない。なんか勇者たち全員斬ったらこうなったとしか……」

 サーシャは変な顔をしてそのまま視線を下に滑らせていく。

「……信じられません」
「よね、いくらなんでもこれは無いわよね」
「俺もそう思います」

 ごもっとも。

「それで……クリード様は魔王と戦うのですよね?」

 話の流れを変えるためか一度咳払いをしてからサーシャが尋ねてきた。

「あぁ、今なら負ける気もしないしね。ウルトも居るし……それで頼みがあるんだけど」
「はい。【聖浄化結界】はお任せ下さい。必要とあらば【聖女の祈り】の使用も覚悟は出来ております」
「いや……」

【聖浄化結界】は頼みたいけど【聖女の祈り】に関しては使わない覚悟をして欲しい。

「【聖女の祈り】はまぁ必要ないと思う。【聖浄化結界】を3人で使ってもらうことは出来るかな?」
「3人で……なるほど」

 納得の表情でサーシャは頷いた。

「確かに1人より3人でなら効果は大きくなるかもしれません……考えたこともありませんでした」
「勇者が問題無く魔王を倒せるのなら考える必要も無いかもね。聖女が【聖女の祈り】を使って亡くなるのは名誉なんだろ?」
「はい。聖女はその為に存在していると教えられてきました」

 死ぬために……か。

「そんなことは俺が許さない。だからあの2人にも協力をお願いしよう」
「そうですね」

 俺たちは未だにヒソヒソしている2人の聖女に近付いていく。
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