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第6章……復讐の勇者編
151話……結婚式
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「レオ様、そろそろ起きてください」
「んぇ?」
誰かに揺すられて目を覚ます。
あれ? さっきまでアンドレイさんと飲んでたような……
「もしかして寝ぼけてます? もぅ、レオ様はお酒は得意では無いからあまり飲ませないようにと言っておいたのに……」
サーシャはベッドの脇で困ったように立っている。
「おはようサーシャ……あたたた……」
朝の挨拶をして身を起こすが頭がズキズキするし体が重い……気持ち悪い……
「二日酔いですね。すぐに癒します」
サーシャに回復魔法をかけてもらうとだんだん楽になってきた。
そういえば1人で寝たのも久しぶりだな……
最近はよめーずが代わる代わる俺と一緒に寝ていた。
全員リンから話を聞いたようで俺が1人だと眠れないことを知っている。
唯一ベラと寝た時だけは眠れなかったが恐らく信頼の差だろう、そのうちなんとかなると思いたい。
ちなみに一緒に寝ているとはいえ手は出していない。
以前は状況が状況というのもあり手を出してしまったが今は平時、さらに形式上婚約しているとはいえ婚前に、しかも正妻となるサーシャの実家では事に及べるわけも無い。
今後俺の住む予定の屋敷は現在建築中、まもなく完成らしい。
「ありがとう、楽になったよ」
「どういたしまして。そろそろ準備し始めないと式に遅れますよ?」
部屋の入り口には使用人が数名待機している、俺の支度の手伝いに来たのだろう。
「私も準備がありますので……」
「ああ、うん、わざわざありがとう」
サーシャにお礼を言って別れて準備に取り掛かる。
とはいえ着替えて軽く髪を整えると終了なので簡単なものだ。
それに比べて女性陣は大変だろうな、それなのに合間を縫って俺を起こしに来てくれたサーシャには頭が下がる。
時間が来たので教会の聖堂へと向かう。
式の前によめーずを一目見ておきたかったがダメらしい。残念で仕方ない。
控室に入り今か今かと時が過ぎるのを待つ。
本来なら家族や友人が訪ねてくるらしいのだが生憎この世界に俺の家族は居ないし友人も……ディムたちくらいしか居ないからな。
流石に王国に居るディムたちを呼ぶことは出来なかったのでスタッフと俺しか居ない無言空間が完成したわけだ。
ウルトと会話する訳にもいかないからな。
「レオ・クリード様、お時間となりましたのでこちらにお願いします」
「はい」
やっとか……
控室に入ってかれこれ経ったぞ……
係員に案内され式場に入る。
最前列、本来なら俺の親族の座る席にはソフィア、アンナ、そしてベラが座っている。
ベラとも結婚式を挙げるつもりでいたのだが一応彼女はあまり目立ってはいけない立場だ。
王国からすれば裏切り者、逃亡者と言われてもおかしくないからね。
なので今回は参列者側での参加となったわけだ。
俺がそれを知ったのは昨日だけどな!
本当に当事者(俺)を置いてきぼりで話が進んでいく。
まぁ結婚式の主役は新婦と言うし全ての準備を任せている立場なので文句は言えないのだが。
ざわりと聖堂内の空気が震えた。
聖堂の扉が開きそこにはサーシャとアンドレイさん、それとリンとリンの父である伯爵が立っていた。
4人は真面目な顔でこちらに歩いてきているが俺は空いた口が塞がらない。
いや物理的には閉じているけど心情的にね?
「レオくん、昨日も言ったがサーシャをよろしく頼むよ」
「お任せ下さい」
短く言葉を交わして優しくサーシャの背を押して俺の隣へと誘う。
「クリード侯爵、お転婆な娘ですがよろしくお願いします」
「ヒメカワ伯爵、こちらこそ」
ヒメカワ伯爵もリンを促して俺の隣に立たせる。
右側にサーシャ、左側にリン、結婚式で両手に花とはこれ如何に。
アンドレイさんとヒメカワ伯爵はそれぞれ頷いて席へと戻る。
「これよりレオ・クリード侯爵の結婚の義を執り行う」
2人が席に着いたことを見届けてから豪奢な祭服を纏った壮年の男性が宣言する。
大司教の1人らしい。
「汝、レオ・クリードはサーシャ・ライノス、並びにリン・ヒメカワを妻とし生涯をかけて愛し続けることを誓うか?」
「誓います」
基本は日本の結婚式と同じようなもんだね。やった事ないけど。
「続けてサーシャ・ライノスはレオ・クリードを夫とし、生涯をかけて支え続けることを誓うか?」
「はい、誓います」
少し文言が違うんだな……
俺には愛し続けるかと聞いてサーシャには支え続けるかと聞く、男性上位の考えがこんなところにも影響してるとかか?
「リン・ヒメカワはレオ・クリードを夫とし、生涯をかけて支え続けることを誓うか?」
「はい、誓います」
「それでは神の前でその契りを」
これが誓のキスの合図らしい。
ちなみに既婚者が左手薬指に指輪を嵌める風潮はあるそうだが式での交換は無いとのこと。
似てるようで似てないような微妙な感じ。
まずはサーシャの顔にかかっているヴェールを捲る。
「サーシャ、これからもよろしくね」
「はい。レオ様、末永く」
互いに囁きあってから触れる程度の口付けを落とす。
続けてリンのヴェールを捲りこちらでも一言二言囁きあってから口付けを落とした。
「神よ、夫婦の契りを交わした新たなる夫婦に祝福を」
大司教がそう言って杖を掲げると背後の神を象った象が白く光り輝いた。
同時に俺の懐のウルトも光り輝く。
聞いてない。
こういうイベントは前もって言っておいて欲しい。
大司教は背後の神像と俺の懐を交互に見ている。
参列者も何が起こっているのか分からないようで声は出さないが落ち着きなく俺たちを見ていることが気配で分かった。
「レオ様……」
「レオ、とりあえず出してみたら?」
新婦2人に促され懐からウルトを取り出す。
眩しいくらいに光っている。何が起こるんだよ……
『神の言葉を伝えます』
ウルトは俺の手から浮き上がり聖堂の神像の前へと移動、そこで話し始めた。
神の言葉を伝える天使ガブリエルか……せめて中の人出てきてくれないかな? トラックの姿じゃその……有難みが……
『レオ・クリード』
「はい」
普段なら何? とか言うところだが流石に……空気は読む男だ。
『まずはご結婚おめでとうございます。私からも祝福を送りましょう』
神像とウルトが強烈に光り輝く。眩しすぎて目を開けていられない程だ。
「ん」
光が収まったので周囲を見回してみる。
するとサーシャとリンの左手薬指に今まで嵌っていなかった指輪が嵌められているのを見つけた。
いや、2人だけではない。
俺の指にも同じ指輪が嵌っている。
もしかしてと思いベラたちの方を見ると3人にも指輪が嵌められており、よめーず全員に同じ指輪が配られたようだ。
『これはお互いの居場所、健康状態が分かるようになる指輪です。お互いを思う気持ちが無くなると消えてしまいますのでご注意を』
GPSとヘルスケアアプリみたいなものかな?
これじゃ浮気は出来ないな。しないけど。
全員が自分の指に嵌った指輪を見ているとさらにウルトは話を続けた。
『魔王の邪な計画を打ち破り討伐を成し遂げた功績、誠に見事です。(マスターなら当然です)
【理外】の称号も得ているようですので実現可能な願いを1つ叶えてさしあげましょう』
「……え?」
願いが叶う? 実現可能な? なら……
それよりウルトの副音声が聞こえた気がする、そっちも気になる……
『その為にも試練に望みなさい。全ての悪魔の力を従えて神の座へと来るのです』
「ん?」
試練? 神の座?
『その時を楽しみに待っております』
その時って……
でもこれは行くしかないか……
「今のは?」
「神の言葉と言っていたが……演出か?」
ザワザワと参列者が騒ぎ出す。
それを聞いて大司教も正気を取り戻したのか静まるよう参列者に語りかけ始めた。
「レオ様、これは……?」
「多分さっき言ってた祝福ってやつだと思う。あとで確認してみよう」
「コホン、それでは結婚の義は終了とする、未来ある若き夫婦に盛大な拍手を!」
大司教が宣言すると最初は疎らに、しかしだんだんと大きな拍手が巻き起こり聖堂を包み込む。
右腕でサーシャ、左腕てリン、それぞれと腕を組んで聖堂内を歩いて外へと出た。
ふぅ……なんか色々あった気がするけどとりあえず無事に結婚式は終了だな!
「んぇ?」
誰かに揺すられて目を覚ます。
あれ? さっきまでアンドレイさんと飲んでたような……
「もしかして寝ぼけてます? もぅ、レオ様はお酒は得意では無いからあまり飲ませないようにと言っておいたのに……」
サーシャはベッドの脇で困ったように立っている。
「おはようサーシャ……あたたた……」
朝の挨拶をして身を起こすが頭がズキズキするし体が重い……気持ち悪い……
「二日酔いですね。すぐに癒します」
サーシャに回復魔法をかけてもらうとだんだん楽になってきた。
そういえば1人で寝たのも久しぶりだな……
最近はよめーずが代わる代わる俺と一緒に寝ていた。
全員リンから話を聞いたようで俺が1人だと眠れないことを知っている。
唯一ベラと寝た時だけは眠れなかったが恐らく信頼の差だろう、そのうちなんとかなると思いたい。
ちなみに一緒に寝ているとはいえ手は出していない。
以前は状況が状況というのもあり手を出してしまったが今は平時、さらに形式上婚約しているとはいえ婚前に、しかも正妻となるサーシャの実家では事に及べるわけも無い。
今後俺の住む予定の屋敷は現在建築中、まもなく完成らしい。
「ありがとう、楽になったよ」
「どういたしまして。そろそろ準備し始めないと式に遅れますよ?」
部屋の入り口には使用人が数名待機している、俺の支度の手伝いに来たのだろう。
「私も準備がありますので……」
「ああ、うん、わざわざありがとう」
サーシャにお礼を言って別れて準備に取り掛かる。
とはいえ着替えて軽く髪を整えると終了なので簡単なものだ。
それに比べて女性陣は大変だろうな、それなのに合間を縫って俺を起こしに来てくれたサーシャには頭が下がる。
時間が来たので教会の聖堂へと向かう。
式の前によめーずを一目見ておきたかったがダメらしい。残念で仕方ない。
控室に入り今か今かと時が過ぎるのを待つ。
本来なら家族や友人が訪ねてくるらしいのだが生憎この世界に俺の家族は居ないし友人も……ディムたちくらいしか居ないからな。
流石に王国に居るディムたちを呼ぶことは出来なかったのでスタッフと俺しか居ない無言空間が完成したわけだ。
ウルトと会話する訳にもいかないからな。
「レオ・クリード様、お時間となりましたのでこちらにお願いします」
「はい」
やっとか……
控室に入ってかれこれ経ったぞ……
係員に案内され式場に入る。
最前列、本来なら俺の親族の座る席にはソフィア、アンナ、そしてベラが座っている。
ベラとも結婚式を挙げるつもりでいたのだが一応彼女はあまり目立ってはいけない立場だ。
王国からすれば裏切り者、逃亡者と言われてもおかしくないからね。
なので今回は参列者側での参加となったわけだ。
俺がそれを知ったのは昨日だけどな!
本当に当事者(俺)を置いてきぼりで話が進んでいく。
まぁ結婚式の主役は新婦と言うし全ての準備を任せている立場なので文句は言えないのだが。
ざわりと聖堂内の空気が震えた。
聖堂の扉が開きそこにはサーシャとアンドレイさん、それとリンとリンの父である伯爵が立っていた。
4人は真面目な顔でこちらに歩いてきているが俺は空いた口が塞がらない。
いや物理的には閉じているけど心情的にね?
「レオくん、昨日も言ったがサーシャをよろしく頼むよ」
「お任せ下さい」
短く言葉を交わして優しくサーシャの背を押して俺の隣へと誘う。
「クリード侯爵、お転婆な娘ですがよろしくお願いします」
「ヒメカワ伯爵、こちらこそ」
ヒメカワ伯爵もリンを促して俺の隣に立たせる。
右側にサーシャ、左側にリン、結婚式で両手に花とはこれ如何に。
アンドレイさんとヒメカワ伯爵はそれぞれ頷いて席へと戻る。
「これよりレオ・クリード侯爵の結婚の義を執り行う」
2人が席に着いたことを見届けてから豪奢な祭服を纏った壮年の男性が宣言する。
大司教の1人らしい。
「汝、レオ・クリードはサーシャ・ライノス、並びにリン・ヒメカワを妻とし生涯をかけて愛し続けることを誓うか?」
「誓います」
基本は日本の結婚式と同じようなもんだね。やった事ないけど。
「続けてサーシャ・ライノスはレオ・クリードを夫とし、生涯をかけて支え続けることを誓うか?」
「はい、誓います」
少し文言が違うんだな……
俺には愛し続けるかと聞いてサーシャには支え続けるかと聞く、男性上位の考えがこんなところにも影響してるとかか?
「リン・ヒメカワはレオ・クリードを夫とし、生涯をかけて支え続けることを誓うか?」
「はい、誓います」
「それでは神の前でその契りを」
これが誓のキスの合図らしい。
ちなみに既婚者が左手薬指に指輪を嵌める風潮はあるそうだが式での交換は無いとのこと。
似てるようで似てないような微妙な感じ。
まずはサーシャの顔にかかっているヴェールを捲る。
「サーシャ、これからもよろしくね」
「はい。レオ様、末永く」
互いに囁きあってから触れる程度の口付けを落とす。
続けてリンのヴェールを捲りこちらでも一言二言囁きあってから口付けを落とした。
「神よ、夫婦の契りを交わした新たなる夫婦に祝福を」
大司教がそう言って杖を掲げると背後の神を象った象が白く光り輝いた。
同時に俺の懐のウルトも光り輝く。
聞いてない。
こういうイベントは前もって言っておいて欲しい。
大司教は背後の神像と俺の懐を交互に見ている。
参列者も何が起こっているのか分からないようで声は出さないが落ち着きなく俺たちを見ていることが気配で分かった。
「レオ様……」
「レオ、とりあえず出してみたら?」
新婦2人に促され懐からウルトを取り出す。
眩しいくらいに光っている。何が起こるんだよ……
『神の言葉を伝えます』
ウルトは俺の手から浮き上がり聖堂の神像の前へと移動、そこで話し始めた。
神の言葉を伝える天使ガブリエルか……せめて中の人出てきてくれないかな? トラックの姿じゃその……有難みが……
『レオ・クリード』
「はい」
普段なら何? とか言うところだが流石に……空気は読む男だ。
『まずはご結婚おめでとうございます。私からも祝福を送りましょう』
神像とウルトが強烈に光り輝く。眩しすぎて目を開けていられない程だ。
「ん」
光が収まったので周囲を見回してみる。
するとサーシャとリンの左手薬指に今まで嵌っていなかった指輪が嵌められているのを見つけた。
いや、2人だけではない。
俺の指にも同じ指輪が嵌っている。
もしかしてと思いベラたちの方を見ると3人にも指輪が嵌められており、よめーず全員に同じ指輪が配られたようだ。
『これはお互いの居場所、健康状態が分かるようになる指輪です。お互いを思う気持ちが無くなると消えてしまいますのでご注意を』
GPSとヘルスケアアプリみたいなものかな?
これじゃ浮気は出来ないな。しないけど。
全員が自分の指に嵌った指輪を見ているとさらにウルトは話を続けた。
『魔王の邪な計画を打ち破り討伐を成し遂げた功績、誠に見事です。(マスターなら当然です)
【理外】の称号も得ているようですので実現可能な願いを1つ叶えてさしあげましょう』
「……え?」
願いが叶う? 実現可能な? なら……
それよりウルトの副音声が聞こえた気がする、そっちも気になる……
『その為にも試練に望みなさい。全ての悪魔の力を従えて神の座へと来るのです』
「ん?」
試練? 神の座?
『その時を楽しみに待っております』
その時って……
でもこれは行くしかないか……
「今のは?」
「神の言葉と言っていたが……演出か?」
ザワザワと参列者が騒ぎ出す。
それを聞いて大司教も正気を取り戻したのか静まるよう参列者に語りかけ始めた。
「レオ様、これは……?」
「多分さっき言ってた祝福ってやつだと思う。あとで確認してみよう」
「コホン、それでは結婚の義は終了とする、未来ある若き夫婦に盛大な拍手を!」
大司教が宣言すると最初は疎らに、しかしだんだんと大きな拍手が巻き起こり聖堂を包み込む。
右腕でサーシャ、左腕てリン、それぞれと腕を組んで聖堂内を歩いて外へと出た。
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