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第6章……復讐の勇者編
156話……出発の朝
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四天将や勇者、魔王との戦いよりも長く厳しい戦い全てに勝利して翌朝、黄色く見える太陽を見ながら朝食を食べる。
朝食を終えて着替えれば出発となるため今日は寝坊せずに早起きだ。
そういえば料理長のベリルさんは食材さえあれば和食、というか帝国料理も作れるらしいので色々と仕入れてこようと思う。
基本的に食事にあまりこだわりは無いのだが、あると言われると和食はたまに食べたくなる。
食材は俺が【無限積載】に積んでおけば傷むこともないのでそれなりの量を買っておこう。
「そうだサーシャ、アンドレイさん……お義父さんはまだ家に居るかな?」
「お父様ですか? まだ在宅だと思いますが……」
居るのか、なら出発前に寄ろうかな。
「実はタブレットを預けようかと思ってね。ウルトや俺の能力で監視することは出来るけど音声は聞き取れないから何かあった時に教国側からも連絡取れるようにしておいた方がいいかなって」
ソフィアとアンナを残して勇者討伐に向かった時にも思ったことだ。
今なら【思念共有】で相手の声を聞けるようにも出来るけど俺から繋がないといけないから相手側から発信する手段が無い。
なのでタブレットを預けておけばその問題も解決するというわけである。
「なるほど、それでお父様に……」
「うん、身内であり宰相、預けるのにこれ以上の人はいないよ」
いるとしたら国王様だが、やっぱり俺とは距離を感じるし万が一何かが起こった時にも連絡するのを戸惑うだろう。
その点でもアンドレイさんならまだ気軽に連絡出来るはずだ。
なんならサーシャに対応を任せてもいいしね。
「分かりました。すぐに準備してきますね」
食事を終えたサーシャはメイドを引き連れて自室に戻る。
「ご馳走様でした」
「あたしも準備してくるわね」
リンとベラも食事を終えたようで準備に戻っていく。
ちなみにソフィアとアンナは別で食べている。
俺としては一緒に食べればいいと思うのだが本人らが「立場が違うから」と固辞してくるのだ。
立場もクソも俺からすれば全員家族なんだけどなぁ……
「っと俺も着替えようかな」
「お手伝い致します」
【無限積載】に入れていない服を着る時は毎回こうだ。
自分で着替えられると言うのだがこういうものだからと押し切られる。
しっかりと断ればいいのかもしれないが貴族の生活様式なんて知らないからこういうものだと言われると弱いのだ。
しかも使用人は俺が【無限積載】を使った早着替えをするのを嫌がる。
なんでも仕事が減るからと……
日本で働いていた俺からすれば仕事なんて減ってなんぼだと思うのだが……価値観の違いだろうね。
浄化魔法で綺麗にして【無限積載】に積み込んで終わり、今まではこれで良かったが今では使用人のお仕事のためにされるがままである。
とはいえこの生活になってまだ2日目、早いとこ慣れないとな……
「お待たせしました」
服を着替え髪を整えてもらっていると、サーシャが部屋に入ってきた。
服装自体は相変わらずの修道服のような格好だが結婚してからはデザインが変わっている。
「早いね、何だかいつもとデザイン違うんじゃない?」
サーシャの着ている修道服がなんだか見慣れたものとは違う気がした。
「はい。独身者と既婚者でデザインが変わりますので」
教会の決まり事とかかな?
「そうなんだ。この服もよく似合ってるよ」
「ありがとうございます。レオ様の服装も良くお似合いですよ」
「ありがとう」
まぁ俺が選んだ服じゃないんだけどね。
ファッションセンスとか自信ないから担当のメイドに選んでもらった服装だ。
サーシャは近くの椅子に腰を下ろしてじっと俺の髪が整えられていく姿を眺めている。
そんなに見られると何だか緊張するな……
「そうだ、昨日聞こうかと思ってたんだけど、俺って髪伸ばした方がいいのかな?」
「髪……ですか?」
「うん。貴族って髪長い人が多いだろ? 俺も倣った方がいいのかなって思って」
「確かに髪の長い方は多いですが短い方もいらっしゃいますよ? レオ様のしたい髪型でよろしいかと」
したい髪型ねぇ……
極論坊主頭でもいいのだ。その方が楽だし。
でも貴族となったしまった今さすがに坊主頭はダメだろう……
なら今くらいの長さでいいかな?
「分かった。今くらいの長さにしておくよ」
「私としましてはもう少し短い方が好きですね」
「おおぅ……」
ドキッとした。不意打ちだ。
「俺もサーシャの長くて綺麗な髪はとても似合ってると思うよ」
「ありがとうございます」
日本に居た頃はこんな綺麗な女性を妻にするなんて夢にも思わなかったな。
こっちに来る前は仕事ばかりで恋人もいなかったというのに……
人生分からないものだな。
サーシャと軽く雑談しているうちに俺の準備も完了、リビングに移動して他のよめーずの準備ができるのを待つ。
リビングに入ると軽装鎧を身に付けたソフィアとアンナ、結婚してもこの2人の装いは変わらない。
いや、アンナが全身鎧から軽装鎧に変わったのは変化だな。
相変わらず大きな盾は背負っているけどね。
この2人が鎧を脱ぐのは寝る時くらいだ。
「お待たせー」
俺たちに続いて入ってきたのはリンだ。
以前冒険していた時より少し華やかなドレスローブを着ている。
魔法使いっぽくもありオシャレでもある。
身長も高くスタイルのいいリンによく似合っている。
「初めて見るローブだね。よく似合ってるよ」
「あら、そんな事も言えるようになったの? 成長したわね」
なんだかしみじみと返された……
確かにそんなに女性を褒めるタイプでは無いけどさ……
「お待たせしました!」
最後に少し慌てたようにベラもリビングに入ってきた。
こちらもサーシャと似たような感じの服だがデザインが少し違う。
教国式と王国式とかなのかな?
「別に待ってないよ。ベラもいつもと少し違うね。王国でも独身者と既婚者でデザイン変わるの?」
「それなら良かったです。はい、デザインは変わりますね。結婚すると少し落ち着いたデザインの物になります」
色々あるんだなぁ……
まぁとりあえずそろそろ行ってこようかな。
「サーシャには話したけど、ちょっとライノス家に行ってくるよ。連絡手段はあった方がいいでしょ?」
よめーずにタブレットを見せてライノス家に預ける旨を伝える。
ベラとイリアーナ以外の3人は頷いているが、2人はちんぷんかんぷんな顔をしている。
戻ったら説明するよ。
「行ってらっしゃいませ」
「多分すぐ戻るから」
使用人たちに見送られサーシャと2人でライノス家へと転移した。
朝食を終えて着替えれば出発となるため今日は寝坊せずに早起きだ。
そういえば料理長のベリルさんは食材さえあれば和食、というか帝国料理も作れるらしいので色々と仕入れてこようと思う。
基本的に食事にあまりこだわりは無いのだが、あると言われると和食はたまに食べたくなる。
食材は俺が【無限積載】に積んでおけば傷むこともないのでそれなりの量を買っておこう。
「そうだサーシャ、アンドレイさん……お義父さんはまだ家に居るかな?」
「お父様ですか? まだ在宅だと思いますが……」
居るのか、なら出発前に寄ろうかな。
「実はタブレットを預けようかと思ってね。ウルトや俺の能力で監視することは出来るけど音声は聞き取れないから何かあった時に教国側からも連絡取れるようにしておいた方がいいかなって」
ソフィアとアンナを残して勇者討伐に向かった時にも思ったことだ。
今なら【思念共有】で相手の声を聞けるようにも出来るけど俺から繋がないといけないから相手側から発信する手段が無い。
なのでタブレットを預けておけばその問題も解決するというわけである。
「なるほど、それでお父様に……」
「うん、身内であり宰相、預けるのにこれ以上の人はいないよ」
いるとしたら国王様だが、やっぱり俺とは距離を感じるし万が一何かが起こった時にも連絡するのを戸惑うだろう。
その点でもアンドレイさんならまだ気軽に連絡出来るはずだ。
なんならサーシャに対応を任せてもいいしね。
「分かりました。すぐに準備してきますね」
食事を終えたサーシャはメイドを引き連れて自室に戻る。
「ご馳走様でした」
「あたしも準備してくるわね」
リンとベラも食事を終えたようで準備に戻っていく。
ちなみにソフィアとアンナは別で食べている。
俺としては一緒に食べればいいと思うのだが本人らが「立場が違うから」と固辞してくるのだ。
立場もクソも俺からすれば全員家族なんだけどなぁ……
「っと俺も着替えようかな」
「お手伝い致します」
【無限積載】に入れていない服を着る時は毎回こうだ。
自分で着替えられると言うのだがこういうものだからと押し切られる。
しっかりと断ればいいのかもしれないが貴族の生活様式なんて知らないからこういうものだと言われると弱いのだ。
しかも使用人は俺が【無限積載】を使った早着替えをするのを嫌がる。
なんでも仕事が減るからと……
日本で働いていた俺からすれば仕事なんて減ってなんぼだと思うのだが……価値観の違いだろうね。
浄化魔法で綺麗にして【無限積載】に積み込んで終わり、今まではこれで良かったが今では使用人のお仕事のためにされるがままである。
とはいえこの生活になってまだ2日目、早いとこ慣れないとな……
「お待たせしました」
服を着替え髪を整えてもらっていると、サーシャが部屋に入ってきた。
服装自体は相変わらずの修道服のような格好だが結婚してからはデザインが変わっている。
「早いね、何だかいつもとデザイン違うんじゃない?」
サーシャの着ている修道服がなんだか見慣れたものとは違う気がした。
「はい。独身者と既婚者でデザインが変わりますので」
教会の決まり事とかかな?
「そうなんだ。この服もよく似合ってるよ」
「ありがとうございます。レオ様の服装も良くお似合いですよ」
「ありがとう」
まぁ俺が選んだ服じゃないんだけどね。
ファッションセンスとか自信ないから担当のメイドに選んでもらった服装だ。
サーシャは近くの椅子に腰を下ろしてじっと俺の髪が整えられていく姿を眺めている。
そんなに見られると何だか緊張するな……
「そうだ、昨日聞こうかと思ってたんだけど、俺って髪伸ばした方がいいのかな?」
「髪……ですか?」
「うん。貴族って髪長い人が多いだろ? 俺も倣った方がいいのかなって思って」
「確かに髪の長い方は多いですが短い方もいらっしゃいますよ? レオ様のしたい髪型でよろしいかと」
したい髪型ねぇ……
極論坊主頭でもいいのだ。その方が楽だし。
でも貴族となったしまった今さすがに坊主頭はダメだろう……
なら今くらいの長さでいいかな?
「分かった。今くらいの長さにしておくよ」
「私としましてはもう少し短い方が好きですね」
「おおぅ……」
ドキッとした。不意打ちだ。
「俺もサーシャの長くて綺麗な髪はとても似合ってると思うよ」
「ありがとうございます」
日本に居た頃はこんな綺麗な女性を妻にするなんて夢にも思わなかったな。
こっちに来る前は仕事ばかりで恋人もいなかったというのに……
人生分からないものだな。
サーシャと軽く雑談しているうちに俺の準備も完了、リビングに移動して他のよめーずの準備ができるのを待つ。
リビングに入ると軽装鎧を身に付けたソフィアとアンナ、結婚してもこの2人の装いは変わらない。
いや、アンナが全身鎧から軽装鎧に変わったのは変化だな。
相変わらず大きな盾は背負っているけどね。
この2人が鎧を脱ぐのは寝る時くらいだ。
「お待たせー」
俺たちに続いて入ってきたのはリンだ。
以前冒険していた時より少し華やかなドレスローブを着ている。
魔法使いっぽくもありオシャレでもある。
身長も高くスタイルのいいリンによく似合っている。
「初めて見るローブだね。よく似合ってるよ」
「あら、そんな事も言えるようになったの? 成長したわね」
なんだかしみじみと返された……
確かにそんなに女性を褒めるタイプでは無いけどさ……
「お待たせしました!」
最後に少し慌てたようにベラもリビングに入ってきた。
こちらもサーシャと似たような感じの服だがデザインが少し違う。
教国式と王国式とかなのかな?
「別に待ってないよ。ベラもいつもと少し違うね。王国でも独身者と既婚者でデザイン変わるの?」
「それなら良かったです。はい、デザインは変わりますね。結婚すると少し落ち着いたデザインの物になります」
色々あるんだなぁ……
まぁとりあえずそろそろ行ってこようかな。
「サーシャには話したけど、ちょっとライノス家に行ってくるよ。連絡手段はあった方がいいでしょ?」
よめーずにタブレットを見せてライノス家に預ける旨を伝える。
ベラとイリアーナ以外の3人は頷いているが、2人はちんぷんかんぷんな顔をしている。
戻ったら説明するよ。
「行ってらっしゃいませ」
「多分すぐ戻るから」
使用人たちに見送られサーシャと2人でライノス家へと転移した。
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