異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

文字の大きさ
200 / 266
積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

盗賊再び

しおりを挟む
 半日ほど未開地を探索、大量のゴブリンを轢き殺しながら地図を作成する。

 不思議なことにこの未開地ではゴブリンしか魔物は存在しない。ゴブリンパラダイスなのだろうか?

 まぁゴブリンに関しては特に障害になるわけでもないので見つけたら撥ねるくらいでいい。
 問題は地理の方であった。

「平地……少ない……」
「森が多いわね」

 そう、未開地の大半が森なのである。
 開墾しやすそうな平地があまり無いのだ。

「こんなとこ貰ってどうしたらいいの」
「ある程度はあたしの魔法で何とか出来ると思うけど……これは……」

 俺も手伝いたいところではあるが、まだ魔力はB。
 いくつかレベルは上がったがステータスに変化は無い。
 これでは焼け石に水もいいところ、もっとレベル上げないと……

 いや待て、そもそもこの土地が俺の領地になると決まった訳では……

「レオ様、残念ながら……」
「なんでよ」

 嫌がらせか?
 国王に剣を突きつけて王太子をビビらせた俺に対する意趣返しか?
 ……むしろこれで済んで僥倖なのかもしれない。

「侯爵位に相応しい土地の広さというのもありますけど、一番はゴルベフ辺境伯に対する牽制ですね」
「ゴルベフ辺境伯?  牽制?」

 なんでよ?

「実は、お兄様がゴルベフ辺境伯家と例の盗賊団、ノーフェイスとの繋がりの決定的証拠を発見しました。ですが、ゴルベフ辺境伯家程の家を簡単に改易させることは出来ません。転封するにしても、代わりの貴族が居ません。レオ様が辺境伯領を代わりに治めると言うのなら話は変わりますが……」
「絶対に嫌だ。それならここで畑耕して暮らす」
「そうですよね。お父様もお兄様もレオ様の性格上間違いなく拒否するだろうと言っていました」

 アンドレイさんとアレクセイには俺が小市民だということはバレているようだ。

「ですが……レオ様が畑を耕して生活することは有り得ないかと」
「ですよね。知ってる」

 自由気ままな冒険者がいいです。貴族位って返還出来ないかな?
 無理か、よめーずの元の立場考えたら冒険者の嫁とか有り得ないもんな。

 冒険者に戻ります!  ならよめーず解散です!  とかなったら1人で教国相手に戦争起こすわ。

 そんな話をサーシャとリンと3人でしていると、ソフィアは神妙そうに、アンナはニヤニヤしながら聞いているようだった。

 アンナはあれだ、俺が困ってるのが楽しいんだろうな……

 そんなこんなで領地予定地の地図作りと探索は一旦終了、帝国へと向かうことにする。
 今日一番の成果は未開地には水源が豊富なことが分かったことだ。

 ゴルベフ辺境伯領都を迂回して国境砦へ、教国側を問題なく通過して帝国側で降りてきたミュラー伯爵に皇帝直筆の通行許可証を見せびらかして通過、帝都へと向かう。

 途中日が暮れてきたのでウルトで一泊。
 どこか近くの街で宿をとることも考えたのだが、このメンバーでどこの宿に泊まればいいのか分からなかったし、よめーずとしても宿よりウルトの方が安心出来るということだった。

 夕食はみんなでワイワイとバーベキュー、いい感じにお腹も膨れたところでリンが魔法で作成したお風呂に入る。

 最初によめーずが全員で入り、俺は警備。
 よめーずが全員上がったのでのんびり1人で入っていると、アンナが飛び込んできた。

「どした?」
「緊急事態ッス!  ウルトさんが自分たちに近付いてくる気配を察知したッス!」
「マジか」

 結構街道からは離れてるんだけどなぁ……
 いや、離れてるからこそか?

 報告を聞いて立ち上がった俺の動きに合わせてアンナの視線が下へと降りていく。

 タオル……届かない!  手で隠すのも間抜けだしどうすれば?
 もう見慣れてるだろうし隠さないのも一つの手か!?

「だから緊急招集ッス。第一種警戒態勢ッス!」

 第一種?  第二種とかもあるの?
 それより……

「あの、アンナさん?  そういうのは顔みて言って貰えませんかね?」

 アンナの視線は俺の下半身に釘付けだ。

「おっきくならないんスか?」
「ならないよ……」

 今はね。

 湯船から出て火属性魔法と風属性魔法を発動、手早く体を乾かして【無限積載】内に積んである服と明けの明星を装備する。

「残念ッス」
「なにが?」

 準備を終えたのでよめーずと合流。すぐにリンが風呂場を土に還す。

「レオ様」
「旦那様」

 俺が姿を見せると3聖女……今は1聖女と2治癒士か。
 3人が駆け寄ってくる。

 リンはウルトの上で、ソフィアとアンナは3人を守るように警戒している。

「サーシャ、ベラ、イリアーナの3人はウルトの中で待ってて。戦闘になるようなら4人で相手をする」
「お気を付けて」

 3人がウルトに乗り込むのを見届けてから俺も【気配察知】を発動。すぐにこちらに近付いてくる20人ほどの集団を補足した。

「北東、距離200、数20」
「了解」

 手短に方向、距離、人数をリンたちに告げる。
 4人でそちらを警戒していると、すぐに集団が視界に入ってきた。

 明かりも消さずに接近とは……

「こんなところで何してるのかなぁ?  いけないなぁ、こんな場所じゃこわーい盗賊のお兄さんに襲われちゃうぜぇ?」
「ここに来たのが俺たちみたいな優しいお兄さんで良かったねぇ?  馬車の積荷と女置いていけば命だけは助けてやるぜ?」

 ギャハハと品の無い笑い声を響かせながら近寄ってくる汚い男たち。

 気配を探るが、強者の気配なし。ただの雑魚だ。

「おやおやどうしたの?  立派な鎧着てるのにビビって声も出ないの?」
「ほら、さっさとその鎧も脱げよ、痛い目見たくないだろ?」

 ボロボロの剣を見せつけながらさらに接近してくる。
 そろそろ臭いそうだ。

『マスター、報告が』
「なに?」

 そろそろ警告でもしようかと思っていると、ウルトからなにやら報告があるらしい。

『あの先頭の男ですが、【絶倫(極)】を所持しています』

【絶倫(極)】?  そうか、俺今【絶倫(強)】しか持ってないんだったな。

「レオ!  他の連中はあたしの魔法で吹き飛ばすからすぐに斬って!」
「後ろには絶対通さないッスからはやく行ってくださいッス!」
「ここはお任せを。レオ殿は速やかにあの者の首を刎ねてください!」

 ええ……

 ウルトの報告を聞いた途端、3人のやる気メーターが振り切ったようだ。

 いや、まぁ……うん。リンとアンナは分かるんだけどソフィアまで?

「早く!」
「あ、はい」

 急かされたので警告も無しに【天翔閃】をぶっぱなして一撃で戦闘を終わらせた。
 食い詰めた農民とかなら考慮するけど、ただの盗賊みたいだしこれでいいだろ。

 《【絶倫(極)】を獲得》

 何だか久しぶりの脳内アナウンス、無事習得出来たようだ。

「レオ、スキルは?」
「奪えたよ」
「「「よし!」」」

 3人の声が重なる。
 なんだろう、取り返しのつかないことをしてしまったような気がしてならない。

「じゃあコイツら燃やしちゃうから、それが終わったら少し移動しましょう」

 ウルトから降りたリンは土魔法で穴を掘り、盗賊たちの死体を放り込んで灰にした。

 それからウルトに乗り込んで数キロほど移動。
 その間ずっと獲物を見つめる肉食獣のような目で見つめられて大変に居心地が悪かった。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...