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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

帰宅

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「ただいまぁー」
「ただいま戻りました」

 帝国ホテルで優雅な時間を過ごした俺たちは屋敷前まで転移、そのまま玄関を開いて帰宅した。

「御館様、おかえりなさいませ」
「ただいま。はい、お土産」
「これは……ありがとうございます」

 帝国ホテルで用意してもらったお菓子を取り出して出迎えてくれた使用人に手渡す。
 よめーずへのお土産はリバークで購入したのだが、家臣や使用人へのお土産を完全に忘れていたのでお願いして準備してもらったものだ。

 いやぁ、さすがこの世界最高のホテルと言われるだけのことはあるね。
 俺のいきなりのお願いにも迅速に対応してくれた。

 リビングへ移動する途中にすれ違ったメイドに箱入りのお菓子を手渡して休憩室に置いておくよう指示を出しておくことも忘れない。
 やれる時にやらないと確実に俺なら忘れてしまうのだから。

「ただいま」

 使用人に扉を開けてもらいリビングへと入ると、そこにはよめーずが勢揃いしていた。
 まぁ基本いつも一緒に居るから何もおかしくはないんだけどね。

 うちの妻たちは仲がいい。
 新しく加わった勇者娘たちもすでに馴染んでいる。
 入る方も受け入れる方も大したものだと思うよね。

「レオ様、おかえりなさい」
「ただいまサーシャ。はい、お土産」
「ありがとうございます」

 サーシャ、リン、イリアーナと順番にお土産を渡していく。
 こういうのは序列通りにやらないといけないらしいので、ちゃんと心掛けている。

「ベラ、どうだった?」
「イリアーナさん、とても楽しかったですわ。ずっと旦那様と一緒に居られるなんて、夢のような時間でした」
「むぅ、ずるい」
「ずるくありませんわよ。それでしたらイリアーナさんも旦那様に新婚旅行をオネダリしてみては?」
「それだ」
「「それだ!」」

 よめーずの声がハモる。
 部屋の隅で護衛していたジェイドとフィリップ親子にお土産を渡してウルトの上で手足をばたつかせて遊んでいるアルスとフィリアを眺めて癒されていた俺を悪寒が襲う。

 これ……全員と旅行しないといけないやつだ。

 いや、それに関してはなんら問題は無い。
 むしろ行きたいくらいだ。

 しかし旅行となると……またマークに頼んでお休みを取らなければならない。

 マークやダニエル、先輩に比べると俺の仕事量は少ない。
 少ないからこそ頼みづらいのだ。

「レオ様、あたし聖都観光がしたい」

 いつの間にかイリアーナが俺のそばに来ていて服の裾を引っ張りながらお願いしてきた。

「イリアちゃん早い!  レオにぃ、兎斗はこの世界あんまり見て回ってないから色々見てみたい!」
「兎斗、アンタも早いわよ……うちは帝国ってところに行ってみたいなぁ」
「ぼ、僕は誰も居ない静かなところが……」

 勇者娘たちも参戦してきた。
 これはもう行くと言わなければ収拾がつかないと思われる。

「ふふ……」

 どうしたものかと考えていると、背筋がスっと冷たくなるのを感じた。
 これは……今俺がピンチだということだ。
 選択を誤れば大変なことになる、そんな気がする。

 考えろ……考えるんだ!

「分かった分かった、旅行の件は考えておく。でも、最初に行くのはサーシャだぞ?」

 これだ!

 今回のベラとの旅行には目的があって、本来はそちらが優先。旅行はついでだった。
 だから仕方の無い部分はあったのだが、本来俺と最初に新婚旅行に行く権利を持つのは正妻であるサーシャなのだ。

 それなのにサーシャを差し置いて、ほかの妻たちと旅行の話をする……これはサーシャが気を悪くしても仕方がない。

 その考えの元発言すると、悪寒はスっと消え去った。
 良かった、正解のようだ。

「私が最初でよろしいのですか?」
「もちろん」

 周りもサーシャが最初なのは当たり前という空気になっている。
 良かった、本当に良かった。

 よめーずに俺が害される心配はこれっぽっちもしていないのだが、こんなふうにたまに胃を締め付けてくるからな……

「近々帝国に行かないといけないし、その時に一緒に行かないか?  多分帝城で一泊することにはなるけど、その後はのんびりしよう。それでいいかい?」
「はい!」

 サーシャはとても嬉しそうに笑ってくれた。
 産後ということもあり、サーシャとは中々2人の時間というものが取れていなかったからな。

 こうして、次の旅行の予定が決まってしまった。

 皇帝には早いうちに礼を言いに行った方がいいだろうし、明日にでもまたマークに予定の調整をお願いしようかな。

 これはしっかりと働かないといけないな……
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