259 / 266
積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
新しい家族
しおりを挟む
ベラとの新婚旅行を終えておよそ2ヶ月、お義父さんたちも無事に領内に連れてくることに成功して開発のお手伝いをしていると、ついにリンが産気づいた。
俺ももう2児の父、3人目ともなれば慣れたもので今はリンの部屋の前をウロウロとしている。
「まだかな……まだかな……」
そうやって廊下の端から端を7往復ほどしていると、マークがジト目で大量の書類を運んできた。
「御館様、御生まれになりましたらすぐにお呼びしますので……」
「バカかよ、子供が産まれるっていうのになんで仕事しないといけないのさ」
父親として最も大切な瞬間と言っても過言では無い今この時になんてことを言うんだろうね。
「しかし御館様、もうすぐ産まれそうだと4日も前から一切書類を読まれておりませんが……」
「それはそれ、これは……」
「レオ様、仕事はするべき」
それはそれ、これはこれとマークを言いくるめようとしていると、背後から声が掛けられた。イリアーナだ。
「イリアーナ、でも今は……」
「あたしの時にもそうするつもり? 仕事しない夫は要らない」
「マーク、すぐにそれをよこせ」
その場に適当な机と椅子を取り出して座る。
マークから受け取った書類に目を通してサラサラとサインをしていく。
「ん。それでいい。レオ様は当主、レオ様が働かないとあたしたちや領民が苦労する」
「ごめんなさい」
「それに、この子も頑張るお父さんが見たいはず」
そう言ってイリアーナは愛おしそうに自分のお腹を撫でる。
新婚旅行から帰ってすぐ、イリアーナの妊娠が発覚した。
あの時のジェイドの喜びようは忘れられない。
「あたしたちはリビングで待ってる。レオ様も頑張って」
「分かったよ」
「イリアーナ様、ありがとうございます」
マークは安心したようにイリアーナに頭を下げていた。
どれだけ俺を働かせたいのか……
廊下の片隅で書類仕事をすること数時間、ついにリンの部屋から元気な産声が聞こえてきた。
「マーク」
「御館様、おめでとうございます」
マークは手早く書類を纏めてから祝いの言葉を述べて去っていった。
俺も直ぐに机と椅子を【無限積載】に押し込み立ち上がり、リンの部屋の扉の前で待機する。
すぐに扉が開き、中へと通された。
「リン」
「レオ、なんとか産まれてくれたわ」
ベッドに寝そべるリンの胸には小さな赤ん坊が乗せられていた。
今は懸命にリンの乳を吸っているようだ。
「御館様、元気な男の子です」
「そうか」
助産婦に告げられ、男の子だと知る。
すぐにリンの隣へ移動して赤ん坊を見ながらリンに声を掛ける。
「ありがとうリン」
「どういたしまして……でいいのかしらね? よくやったでもいいのに」
「どっちでもいいよそんなもの。俺は俺の思ったように言うだけだよ」
はいはいと呆れるリンに微笑みかけて決めていたことを発表する。
「名前なんだけど、レンにしようと思う」
リオにするかレンにするか結構悩んだ。
こっそりとサーシャに相談してみると、どちらも俺とリンの名前から取ったものであるから俺の名前を先に持ってくるようにと言われたのでレンにしたのだ。
響き的にはリオの方が良かったんだけど……
それはリンがもう1人男の子を産んだ時に取っておこう。
「レン……レオとあたしの名前から1文字ずつ取ったのね」
まぁバレるよね。
「安易かもしれないけどね。俺の住んでいた国ではそういう名付けの仕方もあるから」
「そう」
異論は無いようだ。
レン・クリード。クリード侯爵家の次男の誕生である。
「なんか『僕大魔道士』になりますって顔してるよね」
「そうなってくれたら嬉しいけど、今から親バカかしら?」
「仕方ない。可愛いし賢そうだもの」
名付けも終えたのでよめーずたちを呼びに行かせてレンと対面させる。
皆口々に可愛いだの俺よりリンに似ているだの、俺に似ず賢そうだの好き放題言っていた。
「あたしも早く産みたい」
「イリアーナ様より自分の方が先ッスよ。自分も男の子がいいッスね」
「いいなぁ……兎斗も早く……」
「うちも……」
「僕はそもそも……頑張らないと」
よめーずもそうだが、アルスとフィリアも弟との初対面を済ませていた。
まぁまだ1歳にもなっていないので分からないだろうが、2人とも興味津々であった。
『3人目ですね。私も忙しくなります』
「お前は何を目指してるの?」
これ以上はリンとレンの負担になりかねないのでみんなでリビングへと移動すると、レンとの対面に呼ばれなかったウルトがリビングの隅でなにやら呟いていた。
こいつは子育てロボットにでもなりたいのだろうか?
今まで自分がこなしていた仕事を全て遠隔操作朝立丸に押し付けているウルトは常に子供たちから離れようとはしない。
最近では俺の【トラック召喚】と朝立丸を魔改造して俺が【トラック召喚】を使うとウルトではなく朝立丸が召喚されるようになっている。
やりたい放題である。
「さて……レンも産まれたし、少し仕事をこなしたらサーシャとの新婚旅行の計画も立てないとな」
産まれる前に行く案もあったのだが、ベラとの新婚旅行で5日も休みを取ったので色々と立て込んでいたのだ。
それも落ち着いてきたのでそろそろ行こうかと思っているとリンが臨月となり何時産まれてもおかしくない状態となった。
だからサーシャとの新婚旅行はリンの出産後にと話していたのだ。
「レオ様、焦らずともいいのですよ?」
「まぁ俺も行きたいし……皇帝陛下にもお礼を言いに行かないといけないしね。数日後には出発出来るように調整してみよう」
調整するのは俺じゃなくてマークだけどね。
そんなこんなで、ようやくサーシャとの新婚旅行に出発する目途が立った。
予定としてはとりあえず聖都へ行き、代替わりした国王とアンドレイさんにアルスを見せて一泊、それから帝国へって感じかな?
ベラとの旅行が4泊5日予定だったので、6泊7日で行きたいと思う。
正妻と側室の差別化である。
正妻であるサーシャより先にベラと新婚旅行に行ってしまったのでその配慮も必要だ。
妻が多いのは幸せだが、それを維持するための苦労もその分多い。
こんな俺の妻になってくれたよめーずのためにもっと頑張らないといけないなと改めて思った1日だった。
俺ももう2児の父、3人目ともなれば慣れたもので今はリンの部屋の前をウロウロとしている。
「まだかな……まだかな……」
そうやって廊下の端から端を7往復ほどしていると、マークがジト目で大量の書類を運んできた。
「御館様、御生まれになりましたらすぐにお呼びしますので……」
「バカかよ、子供が産まれるっていうのになんで仕事しないといけないのさ」
父親として最も大切な瞬間と言っても過言では無い今この時になんてことを言うんだろうね。
「しかし御館様、もうすぐ産まれそうだと4日も前から一切書類を読まれておりませんが……」
「それはそれ、これは……」
「レオ様、仕事はするべき」
それはそれ、これはこれとマークを言いくるめようとしていると、背後から声が掛けられた。イリアーナだ。
「イリアーナ、でも今は……」
「あたしの時にもそうするつもり? 仕事しない夫は要らない」
「マーク、すぐにそれをよこせ」
その場に適当な机と椅子を取り出して座る。
マークから受け取った書類に目を通してサラサラとサインをしていく。
「ん。それでいい。レオ様は当主、レオ様が働かないとあたしたちや領民が苦労する」
「ごめんなさい」
「それに、この子も頑張るお父さんが見たいはず」
そう言ってイリアーナは愛おしそうに自分のお腹を撫でる。
新婚旅行から帰ってすぐ、イリアーナの妊娠が発覚した。
あの時のジェイドの喜びようは忘れられない。
「あたしたちはリビングで待ってる。レオ様も頑張って」
「分かったよ」
「イリアーナ様、ありがとうございます」
マークは安心したようにイリアーナに頭を下げていた。
どれだけ俺を働かせたいのか……
廊下の片隅で書類仕事をすること数時間、ついにリンの部屋から元気な産声が聞こえてきた。
「マーク」
「御館様、おめでとうございます」
マークは手早く書類を纏めてから祝いの言葉を述べて去っていった。
俺も直ぐに机と椅子を【無限積載】に押し込み立ち上がり、リンの部屋の扉の前で待機する。
すぐに扉が開き、中へと通された。
「リン」
「レオ、なんとか産まれてくれたわ」
ベッドに寝そべるリンの胸には小さな赤ん坊が乗せられていた。
今は懸命にリンの乳を吸っているようだ。
「御館様、元気な男の子です」
「そうか」
助産婦に告げられ、男の子だと知る。
すぐにリンの隣へ移動して赤ん坊を見ながらリンに声を掛ける。
「ありがとうリン」
「どういたしまして……でいいのかしらね? よくやったでもいいのに」
「どっちでもいいよそんなもの。俺は俺の思ったように言うだけだよ」
はいはいと呆れるリンに微笑みかけて決めていたことを発表する。
「名前なんだけど、レンにしようと思う」
リオにするかレンにするか結構悩んだ。
こっそりとサーシャに相談してみると、どちらも俺とリンの名前から取ったものであるから俺の名前を先に持ってくるようにと言われたのでレンにしたのだ。
響き的にはリオの方が良かったんだけど……
それはリンがもう1人男の子を産んだ時に取っておこう。
「レン……レオとあたしの名前から1文字ずつ取ったのね」
まぁバレるよね。
「安易かもしれないけどね。俺の住んでいた国ではそういう名付けの仕方もあるから」
「そう」
異論は無いようだ。
レン・クリード。クリード侯爵家の次男の誕生である。
「なんか『僕大魔道士』になりますって顔してるよね」
「そうなってくれたら嬉しいけど、今から親バカかしら?」
「仕方ない。可愛いし賢そうだもの」
名付けも終えたのでよめーずたちを呼びに行かせてレンと対面させる。
皆口々に可愛いだの俺よりリンに似ているだの、俺に似ず賢そうだの好き放題言っていた。
「あたしも早く産みたい」
「イリアーナ様より自分の方が先ッスよ。自分も男の子がいいッスね」
「いいなぁ……兎斗も早く……」
「うちも……」
「僕はそもそも……頑張らないと」
よめーずもそうだが、アルスとフィリアも弟との初対面を済ませていた。
まぁまだ1歳にもなっていないので分からないだろうが、2人とも興味津々であった。
『3人目ですね。私も忙しくなります』
「お前は何を目指してるの?」
これ以上はリンとレンの負担になりかねないのでみんなでリビングへと移動すると、レンとの対面に呼ばれなかったウルトがリビングの隅でなにやら呟いていた。
こいつは子育てロボットにでもなりたいのだろうか?
今まで自分がこなしていた仕事を全て遠隔操作朝立丸に押し付けているウルトは常に子供たちから離れようとはしない。
最近では俺の【トラック召喚】と朝立丸を魔改造して俺が【トラック召喚】を使うとウルトではなく朝立丸が召喚されるようになっている。
やりたい放題である。
「さて……レンも産まれたし、少し仕事をこなしたらサーシャとの新婚旅行の計画も立てないとな」
産まれる前に行く案もあったのだが、ベラとの新婚旅行で5日も休みを取ったので色々と立て込んでいたのだ。
それも落ち着いてきたのでそろそろ行こうかと思っているとリンが臨月となり何時産まれてもおかしくない状態となった。
だからサーシャとの新婚旅行はリンの出産後にと話していたのだ。
「レオ様、焦らずともいいのですよ?」
「まぁ俺も行きたいし……皇帝陛下にもお礼を言いに行かないといけないしね。数日後には出発出来るように調整してみよう」
調整するのは俺じゃなくてマークだけどね。
そんなこんなで、ようやくサーシャとの新婚旅行に出発する目途が立った。
予定としてはとりあえず聖都へ行き、代替わりした国王とアンドレイさんにアルスを見せて一泊、それから帝国へって感じかな?
ベラとの旅行が4泊5日予定だったので、6泊7日で行きたいと思う。
正妻と側室の差別化である。
正妻であるサーシャより先にベラと新婚旅行に行ってしまったのでその配慮も必要だ。
妻が多いのは幸せだが、それを維持するための苦労もその分多い。
こんな俺の妻になってくれたよめーずのためにもっと頑張らないといけないなと改めて思った1日だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
699
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる