兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

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お見舞いが危なすぎる件③

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コイツ、マジで言ってんの…?

世奈へのラインの文字を打っていたら、ふいに早月にカフェに誘われた。
ヒトの気も知らないで、「ちょっとくらい平気でしょ」と。
…俺個人の意見としては別に寄ってもいい、寧ろ大歓迎だけれど、世奈のことを思うとそういうわけにいかない。

……いや、けどなぁ…。
早月がもしかしたら世奈から離れる良いチャンスなのかもしれないし。
俺は一瞬悪魔になって、その誘いに頷いた。

「ん、いいよ。ちょうど喉も渇いたし」
「だよね。さすが、同志だ」

早月の言葉を聞いて、俺は早速カフェ『Green』に入ろうとする。
しかし次の瞬間、早月が何故かそんな俺を引き留めるように言った。

「ちょちょちょ、どこ行ってんの」
「え、だからちょっと寄るんだろ?」
「そうだけど、僕が寄りたいのはあっち」
「…!」

そう言って、早月が指を差したのは。
カフェの真向かいにある、コンビニだった。
…いや、紛らわし!
俺がその事実に少しびっくりしていると、コンビニに足を運ばせながら早月が言った。

「世奈ちゃんのお見舞いに行くのにカフェに寄り道したいなんて言うわけないでしょ。そもそも、お見舞いだから手ぶらで行くわけにもいかないし」
「…、」
「ってか僕、男と二人でカフェに入る趣味とかないからね。しかもこんないかにもオシャレなところ」

ほら、早く行くよ。
早月はそう言うと、いつまでも立ち止まったままの俺を急かす。
…まぁ確かによくよく考えてみればそうだけどさ。
それにしたって、カフェの真ん前であんなこと言われたら、誰だってカフェに入るだろ。
そんなことを思いながら、仕方なく俺はそいつについて行く。
…なんかさっきから納得いかないんだよな。

そう思いながら早月に続いてコンビニに入ろうとした瞬間、俺のスマホに世奈から電話がかかってきて、俺は早月に言った。

「…あ、わり、先行ってて」
「え、何で」
「ちょっと電話してくる」
「あ、OK」

そう言って、早月を見送った直後。
ようやく電話に出ると、その向こうで世奈の少し慌てたような声が聞こえてきた。

「…ハイ」
「ね、ほんとにお見舞いに来ようとしてる!?」
「!」

その電話に出た瞬間、俺はちょっとびっくりしてしまう。
というのも、予想していたよりも明らかに世奈の声が元気で。
俺はそんな世奈の声を聞くと、言った。

「…そうだけど。っつか何か声が意外と元気じゃね?お前」
「!…そ、そんなことより、お見舞いになんか来ないでお願い!」
「来ないでって…俺らもう行く気満々だけど。特に早月が」
「!」
「勇斗くん18時まで仕事なんだろ。だったら少しくらい平気じゃん」

俺はそう言うと、世奈の返事を待つ。
だけど世奈は、そんな俺にまた慌てて言った。

「そうだったんだけど、やっぱりあたしのことが心配だからってさっき帰ってきたの!」
「!」
「だから今来られると本当にマズイのお願い!早月くんには健から上手く言ってなんとか帰らせて!」

世奈はそう言うと、「お見舞いは気持ちだけ有り難く受け取っておくから!」と真剣な口調で俺にそう言う。
…上手くって…けど、そうは言ってもなぁ。
早月に何て言えば帰ってくれるんだよ。
………っつか、そんなことよりも。

「…お前さ、なんか…」
「…うん?」

あまりにも、必死すぎない?
俺は世奈の言葉を聞いて、思わず感じたことをそのまま口にしようと口を開く。
まぁ、今までの経験上、世奈がそうやって慌てまくるのは仕方ないのかもしれない。
けど、実際にそうやって態度に表されると…。

本当は、早月のことが好きなの?
思わずそう聞きかけて、だけど答えを聞く勇気はなくて、その言葉を無理矢理に心の奥底に仕舞い込んだ。

「……や、やっぱり、何でもない」
「え、何?気になる」
「ま、まぁ…早月のことは俺に任せろ。今日はこのまま帰らせるから」
「ん、お願い」

俺はそう言うと、やがて電話を切った。

「…はー、」

世奈…俺の考えすぎであってほしいな。
そう思っていると…

「相沢さーん!」
「!」

その時。
コンビニで買い物を済ませたらしい早月が、再び俺のところに戻ってきた。
俺はそいつが持っている袋に目を遣ると、何気なく問いかける。

「…何買ってきたの?」
「えっと、プリンとヨーグルトと冷えピタと、あとレトルトの美味しそうなおかゆ。…それくらいかな」

早月はそう言うと、「じゃあ行こ」と再びコンビニから離れようとする。
そんな早月を、俺は慌てて引き留めると、そいつに言った。

「あ、ちょっと待って!」
「?…なに、」
「…さっき、世奈から電話あってさ」
「え、今の電話世奈ちゃんだったんだ!?」

で、世奈ちゃん何て?
早月はそう言うと、首を傾げて俺を見る。

「…、」

俺は、その問いに少し黙り込んだあと…やがてそいつに言った。

「…待ってるって」
「!」
「世奈、だいぶ酷いみたいだからさ、早く行ってやろ。お前が来ることも楽しみにしてる」
「ほんと!?」
「うん、」

俺はそう言うと、自分が悪魔になってしまっていることを承知で、早月を再び世奈のマンションまで案内する。
…世奈、ごめん。
俺、やっぱ世奈が期待しても良い奴にはなれない。
なんとなくだけど、世奈の早月への気持ちがわかってきて、それが今すぐにでも潰れて無くなってしまえばいいって、そう思ってる。

そしてマンションまで歩き続けて、数分後。
ようやくその目の前まで到着して、俺は早月に言った。

「…ここが世奈のマンション」
「へー、ここが…」
「世奈が住んでるのは、6階だから。6012号室」
「うん。……え。相沢さんも行くんでしょ?」

確かにお見舞いには二人でいくつもりだったけど、今はそんなことをするつもりはない。
俺は早月の言葉に首を横に振ると、言った。

「…いや、俺やっぱやめとく」
「え、何で」
「昔から、世奈が風邪引いたら…その度にうつってたから、俺」
「…」

だから、やっぱ行かない。
俺はそう言うと、「じゃあな」とそいつから離れようとする。
…当たり前だ。
わざと勇斗くんと早月を会わせようとしてんのに、仲介も出来る俺が一緒に行ってどうすんだよ。
俺が軽く手を振ると、早月も早月で素直に言った。

「…そっか。じゃあここは僕に任せた方がいいね。ってかこの方が好都合だったし」
「ん、」
「じゃあ、また明日」
「…」

早月は俺にそう言うと、何も知らずに早速マンションの中へと入って行く。
俺はその姿を静かに見送ると、やがてそっとその場を後にした…。









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