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兄貴にプレゼントを貰った件②
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「玲香も旅行連れてけば?」
「えぇっ!?」
玲香ちゃんが登校してくるのを見るなり、健があたしにそう言った。
いや、まぁ確かに、あと一人誰を誘おうか悩んではいたけど…。
「…な、何で玲香ちゃんも…?」
それでも正直、全然気が進まない。
っていうかあの女までわざわざ誘わないでほしい。
あたしがそう思いながら問いかけると、健が言った。
「玲香もいたら楽しそうじゃん」
「!」
そう言うと、健は玲香ちゃんを手招きしてこっちに呼ぶ。
だけどあたしが玲香ちゃんの方を見る気さえなくしていると、その間に健が玲香ちゃんに言った。
「ね、玲香ゴールデンウィーク暇?」
「え、何どうしたの?暇だよ」
「じゃあ皆んなで旅行行こうって話してたんだけど、玲香も行こうよ」
「え、ほんとっ!?」
玲香ちゃんは健の誘いに嬉しそうな反応を見せると、「行きたい!」と即答する。
…あーあ…せっかくの兄貴からのプレゼントが…。
あたしはそう思うと、玲香ちゃんに目を遣って言う。
「…玲香ちゃんだったら京都とか行き慣れてるでしょ。何せ家はお金持ちみたいだし」
「そんなことないよー。京都はほとんど行ったことないし。それに、健くんと思い出作りたいし!」
「っ、で、でも行くのは皆んなでなんだからね!っていうかあたしは玲香ちゃんも一緒に行くのは反対なんだけどな、そもそも」
「…そ、そんなこと…」
しかしあたしがそう言って不満気に目を細めると、一方そんなことを言われた玲香ちゃんが突如悲しそうな反応を見せる。
そして、「世奈ちゃん酷い」なんて顔をうつ向かせるから、そんなあたしに健が言った。
「世奈、何でそんなこと言うんだよ。玲香が可哀想だろ」
「…だって楽しい旅行にしたいし」
「楽しい旅行にしたいんだったらそんなこと言うなよ」
確かに健から見れば今の状況ってあたしが悪者なんだけど、でもその間にもあたしの視界にはバッチリ入っている。
そんな健の後ろで、さっきの悲しい顔なんて嘘だったかのような余裕な笑顔を浮かべてあたしを見る玲香ちゃんの顔が。
…こいつ、わざとやってるな。
しかもあたしがそう思っていると、玲香ちゃんが健を抑えるように言った。
「まぁまぁ健くん、あたしは大丈夫だから」
「…ごめん、世奈ってたまにこういうところあって」
「うん。知ってる。…あたしってまだ、世奈ちゃんに嫌われてるみたいね」
そして、「残念だな」と泣きそうな顔をして見せるから。
健がそんな玲香ちゃんの頭に手を遣って、「気にすんなよ」なんてまんまと騙されて…。
しかしその女の顔は完全にしてやったりの顔。あたしだけには見える。
だからあたしはこの状況にいたたまれなくなって、玲香ちゃんに言った。
「っ、わ、わかったよ!玲香ちゃんも一緒に行こ!ってか一緒に行って下さいお願いします!」
「ほんと!?っ、世奈ちゃん大好きっ!」
…………
「ってことがあったの、信じられない!」
「…そうなんだ、」
そして、その日の昼休み。
あたしは今朝の愚痴を聞いてもらいに、早月くんと一緒に他に誰もいない屋上に来ていた。
あと、京都の旅行にも誘っておきたくて。
すると今朝の愚痴を全て言い終わったあたしに、早月くんが言う。
「じゃあその子は相沢さんのことが大好きなんだね」
「…そうみたいだね」
「でもそれ、世奈ちゃんから見たら面白くないんだ?」
「面白くないっていうか…健は昔から玲香ちゃんにああいうやり方で騙されてきてるから、何か見てるとムカついてはくるよね」
「…なるほど、」
早月くんはあたしの言葉にそう相槌を打つと、「要は世奈ちゃんのヤキモチだ」なんて笑う。
いや、ヤキモチ…とかじゃなくて!
あたしはまさかの早月くんの言葉を聞くと、慌てて言った。
「ちがっ…!そんなんじゃなくて、健は昔からあたしと一緒にいるから!ほんっとに小さい頃から!それなのにああやってすぐ周りに良い顔ばっかしたりして…」
「…そういうのをヤキモチって言うんじゃないの?だって相沢さんを取られたみたいで寂しいんでしょ?世奈ちゃんは」
「……だって、」
早月くんがそう言うのを聞くと、あたしは図星をつかれたようでなんとなくうつ向く。
…だって、健を取られた…なんて正直に言うのは何だか幼稚すぎるんだもん。
でも、そんなことを思ってもやっぱりムカつくもんはムカつく。
ってか、何であの男はすぐ玲香ちゃんを誘うかな!?
あたしがそう思っていると、早月くんがまた言った。
「…っつか、何か羨ましいな。世奈ちゃんからそんなに必要とされる相沢さんが」
「まぁ…健はあたしが一番寂しい時にずっと隣にいてくれたからね。いくら冷たくされても信頼はずっとあるの」
「…“一番寂しい時”?」
「!!」
あたしがそう言って思わず口を滑らせると、本当は言うつもりのなかったワードをすかさず早月くんに拾われてしまう。
早月くんの反応に…しまった。と、思った時にはもう遅くて。
気がつけば早月くんがあたしを見つめていた。
「え、何。何なの?一番寂しい時って」
「あ…いや、それは…」
「世奈ちゃん、」
…あまりにも早月くんが「聞きたい」と言わんばかりにあたしを見つめてくるから。
あたしはその視線から不思議と目を逸らせなくなって、だけどそれでも誤魔化そうとする。
そして旅行の話に戻そうとしたら、それを察知したのか早月くんが言った。
「わかった、話せるとこまででいいから!」
「!」
「世奈ちゃんのこと、ちょっとずつでいいから知りたい」
そう言って、「お願い」と。
そんな早月くんにやがてあたしは根負けして、一番寂しかった幼稚園の頃のことを話し出した。
あたしのお母さんは、あたしを生んですぐに死んでしまったこと。
と、それなのにお父さんは仕事が忙しくて、小さい頃は家に帰っても独りぼっちだったから、ほとんど健の家にいたこと。
だから小さい頃は、あたしには健しかいなかった。
…そのあたりの話だけだから、兄貴と出会う前の話だけど。
やっとあたしのことを話したら。
やがて早月くんがゆっくり口を開いて…あたしに不思議そうに問いかけてきた。
「え…でも、世奈ちゃんには“お兄さん”もいたんでしょ?実際、」
「え…」
いや、違う。
その頃はまだ家族になってないんだよ。
だけどそんなことは言えずに、あたしは「あ、そうだったね」と誤魔化すように笑った。
「……?」
「えぇっ!?」
玲香ちゃんが登校してくるのを見るなり、健があたしにそう言った。
いや、まぁ確かに、あと一人誰を誘おうか悩んではいたけど…。
「…な、何で玲香ちゃんも…?」
それでも正直、全然気が進まない。
っていうかあの女までわざわざ誘わないでほしい。
あたしがそう思いながら問いかけると、健が言った。
「玲香もいたら楽しそうじゃん」
「!」
そう言うと、健は玲香ちゃんを手招きしてこっちに呼ぶ。
だけどあたしが玲香ちゃんの方を見る気さえなくしていると、その間に健が玲香ちゃんに言った。
「ね、玲香ゴールデンウィーク暇?」
「え、何どうしたの?暇だよ」
「じゃあ皆んなで旅行行こうって話してたんだけど、玲香も行こうよ」
「え、ほんとっ!?」
玲香ちゃんは健の誘いに嬉しそうな反応を見せると、「行きたい!」と即答する。
…あーあ…せっかくの兄貴からのプレゼントが…。
あたしはそう思うと、玲香ちゃんに目を遣って言う。
「…玲香ちゃんだったら京都とか行き慣れてるでしょ。何せ家はお金持ちみたいだし」
「そんなことないよー。京都はほとんど行ったことないし。それに、健くんと思い出作りたいし!」
「っ、で、でも行くのは皆んなでなんだからね!っていうかあたしは玲香ちゃんも一緒に行くのは反対なんだけどな、そもそも」
「…そ、そんなこと…」
しかしあたしがそう言って不満気に目を細めると、一方そんなことを言われた玲香ちゃんが突如悲しそうな反応を見せる。
そして、「世奈ちゃん酷い」なんて顔をうつ向かせるから、そんなあたしに健が言った。
「世奈、何でそんなこと言うんだよ。玲香が可哀想だろ」
「…だって楽しい旅行にしたいし」
「楽しい旅行にしたいんだったらそんなこと言うなよ」
確かに健から見れば今の状況ってあたしが悪者なんだけど、でもその間にもあたしの視界にはバッチリ入っている。
そんな健の後ろで、さっきの悲しい顔なんて嘘だったかのような余裕な笑顔を浮かべてあたしを見る玲香ちゃんの顔が。
…こいつ、わざとやってるな。
しかもあたしがそう思っていると、玲香ちゃんが健を抑えるように言った。
「まぁまぁ健くん、あたしは大丈夫だから」
「…ごめん、世奈ってたまにこういうところあって」
「うん。知ってる。…あたしってまだ、世奈ちゃんに嫌われてるみたいね」
そして、「残念だな」と泣きそうな顔をして見せるから。
健がそんな玲香ちゃんの頭に手を遣って、「気にすんなよ」なんてまんまと騙されて…。
しかしその女の顔は完全にしてやったりの顔。あたしだけには見える。
だからあたしはこの状況にいたたまれなくなって、玲香ちゃんに言った。
「っ、わ、わかったよ!玲香ちゃんも一緒に行こ!ってか一緒に行って下さいお願いします!」
「ほんと!?っ、世奈ちゃん大好きっ!」
…………
「ってことがあったの、信じられない!」
「…そうなんだ、」
そして、その日の昼休み。
あたしは今朝の愚痴を聞いてもらいに、早月くんと一緒に他に誰もいない屋上に来ていた。
あと、京都の旅行にも誘っておきたくて。
すると今朝の愚痴を全て言い終わったあたしに、早月くんが言う。
「じゃあその子は相沢さんのことが大好きなんだね」
「…そうみたいだね」
「でもそれ、世奈ちゃんから見たら面白くないんだ?」
「面白くないっていうか…健は昔から玲香ちゃんにああいうやり方で騙されてきてるから、何か見てるとムカついてはくるよね」
「…なるほど、」
早月くんはあたしの言葉にそう相槌を打つと、「要は世奈ちゃんのヤキモチだ」なんて笑う。
いや、ヤキモチ…とかじゃなくて!
あたしはまさかの早月くんの言葉を聞くと、慌てて言った。
「ちがっ…!そんなんじゃなくて、健は昔からあたしと一緒にいるから!ほんっとに小さい頃から!それなのにああやってすぐ周りに良い顔ばっかしたりして…」
「…そういうのをヤキモチって言うんじゃないの?だって相沢さんを取られたみたいで寂しいんでしょ?世奈ちゃんは」
「……だって、」
早月くんがそう言うのを聞くと、あたしは図星をつかれたようでなんとなくうつ向く。
…だって、健を取られた…なんて正直に言うのは何だか幼稚すぎるんだもん。
でも、そんなことを思ってもやっぱりムカつくもんはムカつく。
ってか、何であの男はすぐ玲香ちゃんを誘うかな!?
あたしがそう思っていると、早月くんがまた言った。
「…っつか、何か羨ましいな。世奈ちゃんからそんなに必要とされる相沢さんが」
「まぁ…健はあたしが一番寂しい時にずっと隣にいてくれたからね。いくら冷たくされても信頼はずっとあるの」
「…“一番寂しい時”?」
「!!」
あたしがそう言って思わず口を滑らせると、本当は言うつもりのなかったワードをすかさず早月くんに拾われてしまう。
早月くんの反応に…しまった。と、思った時にはもう遅くて。
気がつけば早月くんがあたしを見つめていた。
「え、何。何なの?一番寂しい時って」
「あ…いや、それは…」
「世奈ちゃん、」
…あまりにも早月くんが「聞きたい」と言わんばかりにあたしを見つめてくるから。
あたしはその視線から不思議と目を逸らせなくなって、だけどそれでも誤魔化そうとする。
そして旅行の話に戻そうとしたら、それを察知したのか早月くんが言った。
「わかった、話せるとこまででいいから!」
「!」
「世奈ちゃんのこと、ちょっとずつでいいから知りたい」
そう言って、「お願い」と。
そんな早月くんにやがてあたしは根負けして、一番寂しかった幼稚園の頃のことを話し出した。
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だから小さい頃は、あたしには健しかいなかった。
…そのあたりの話だけだから、兄貴と出会う前の話だけど。
やっとあたしのことを話したら。
やがて早月くんがゆっくり口を開いて…あたしに不思議そうに問いかけてきた。
「え…でも、世奈ちゃんには“お兄さん”もいたんでしょ?実際、」
「え…」
いや、違う。
その頃はまだ家族になってないんだよ。
だけどそんなことは言えずに、あたしは「あ、そうだったね」と誤魔化すように笑った。
「……?」
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