兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

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京都旅行がハズカシカッタ件

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旅行最終日。
帰りの新幹線の中で、今度はあたしが隣に座る健にベッタリ引っ付く。

「ね、健、こっち向いて。あーんしてあげるっ」
「や、恥ずかしいからヤメテ」
「何から食べる?卵焼きにする?」
「いや聞けよ、」

そんなあたし達の前に座っているのは、旅行でちょっと疲れた様子の早月くんと玲香ちゃん。
帰りも四人で向かい合わせに座っていて、あたしはここぞとばかりに健に引っ付いていて、玲香ちゃんにそれを見せ付けている。
今まで散々ヤキモチ妬かされて、その上健とあたしを引き離そうとした罰ってことで。

「ね、ここでチューして?」
「えっ!こ…ここで!?今!?」
「そ、今。ねーえー、お願いっ」
「…っ」

あたしは健に上目遣いでそう言うと、首を傾げて健を見つめる。
…さ、玲香ちゃん、この光景を見てたくさん妬いて苦しむがいいわ。

しかし、そう思うものの、そんなあたしの望みは何故かさっきからなかなか叶わず。
その代わりに、意外にも冷静な様子の玲香ちゃんの隣で、早月くんが突然手に持っていた割り箸をパキッ、と折った。

「あら、早月くんどうしたの?」
「…や。……ちょっとね」
「余分に貰ったお箸出そうか?」
「うん、お願い」

何だか…早月くんを妬かせてしまったみたいだ。
健はそんな様子の早月くんを目にすると、やがてあたしに言った。

「…ちょ、世奈さすがに引っ付きすぎ」
「!」

そう言うと、あたしの肩を掴んで自身から引き離す。
…酷い。
そんな健の行動に、今度は玲香ちゃんが不敵な笑みを浮かべた。
「フラれてやんの」と。

「~っ……いいよもう、そんな冷たいこと言うんだったらあたし浮気するから」
「は?何でそうなるっ、」
「そりゃあなるでしょ!彼女の可愛い要望もマトモに聞き入れてくれないし!」
「いやそれはお前が場所をわきまえないからだろ!」
「女心をわかってよ!」
「知るか!」

…しかし、ついさっきの仲の良さも何処へやら。
あたしの些細な一言がキッカケで、また喧嘩に発展してしまう。
しかも健のそんな「知るか」の一言に軽く衝撃を受けたあたしは、思わず「バカ!」と一言そいつにそう言って、その後はマトモに口を聞かなかった…。

…………

それから数時間後、ようやく地元の駅に到着して、四人でホームに降りた。
あたしは健と早速喧嘩をしてしまったためにそいつには引っ付かず、今は隣にたまたま玲香ちゃんがいる。
その後ろを健と早月くんが歩いていて、玲香ちゃんはそんな二人に目を遣ったあと、何気なくあたしに話しかけてきた。

「…健くんから離れるとか言っておいて早速約束破ったのね、世奈ちゃん。ま、予想は出来てたけど」
「あたしがそんな約束いつまでも守れるわけないでしょ?ってことで健はもうあたしの彼女だから、玲香ちゃんは潔く諦めてよね」
「…」

あたしはそう言うと、勝ち誇るような笑みを玲香ちゃんに浮かべて、彼女よりも先を急ぐ。
……だけど。

「それは出来ない」
「!」

玲香ちゃんはあたしの言葉にそう言うと、ビックリするあたしの隣に再び並んで言った。

「あたし、昔から諦めだけは悪いの」
「…は」
「健くんはあたしの大事な初恋の人だから、ずーっと純粋に好きでいたい」
「!!」

そう言って、「隙さえあれば遠慮なく奪うから」と、わざとらしい笑顔をあたしに向ける玲香ちゃん。
そんな玲香ちゃんの言葉に、あたしはふいに旅行中に目撃した健と玲香ちゃんのキスシーンが頭に浮かんで…。
いや、そんなの絶対許さないから!
あたしは玲香ちゃんのその言葉に、一言「ダメ!」と言い放った。

…そして、そんなあたし達の後ろで。
しばらくはお互いに黙って歩いていたけれど、ふいに早月くんが口を開いて健に言った。

「…あのさ、」
「ん?」
「大事にしてあげてよ、世奈ちゃんのこと。まぁ、僕に言われなくても大事にするだろうけど、相沢さんなら」
「…お前本気で世奈のこと諦めるの?」
「うん。僕は幸せに出来ないからね、世奈ちゃんのこと。お兄さんに会って、世奈ちゃんの家庭のこと知ったらつくづくそう思ったよ」
「…そっか」

早月くんはそう言うと、「しばらくは辛いけど」と笑う。
だけど前を歩くあたしの様子を見たあと、また何気なく健に言った。
今度は、声のトーンを少し落として。

「…あ、それと、もう一つ」
「なに」
「手、出して」
「手?」

そう言うと、健に向かって右手を差し出して、それを待つ早月くん。
そんな早月くんの言葉に?を浮かべながらも健が素直に手を差し出したら、何を思っているのか、早月くんが何故か健の手を握り出す。

「…何?俺そういう趣味ねぇんだけど。男と手つなぐとか」
「や、僕だってないよ。ただ…」
「?」

早月くんはそう言って、珍しく少し言いにくそうに健から目を逸らす。
…なに、何だよ。
だけど少ししてまた健の方を見ると、言った。

「…“コレ”で、触ったこと許してほしい…ってか、相沢さんが触ったことにしてほしい。間接的に」
「触った?何を、」

そんな早月くんのよくわからない言葉に、首を傾げる健。
しかし早月くんはそんな健の耳元に口を寄せると、小さな声ではっきりと言った。

「…世奈ちゃんのオッパイ」
「っ…!?」

その思わぬ一言に、健がビックリして早月くんを見る。
そして瞬時にその手を離し、「はぁ!?」と大きな声を出すから、前を歩くあたしたちが、そんな健の声に反応して…

「どうしたの?健くん」
「っ…や、何でもない!気にすんな、早月のせい!完全に早月のせいだから!」
「そう…?」

何とか誤魔化したけれど、あたし達がまた前を向き直した直後、健が小さな声で早月くんに言う。

「おまっ…何で今それを俺に言うんだよ!」
「だってキミ、世奈ちゃんの彼氏だし」
「そりゃそうだけどさ、そういうことは黙っときゃわからねぇだろ!っつかすげー腹立つ!何どさくさに紛れて触ってんの!」
「…や、それは本っ当にごめん、マジで。世奈ちゃんにも謝りたいんだけどさ、下手にあの時のこと言うと恥ずかしがりそうだし」

だから、とりあえずキミに報告しておくよ、と。
一応、反省はしているらしい早月くん。
しかしそんな早月くんの言葉にもちろん納得がいかず、健は早月くんから無言で顔を背けた。
…だけど、そんな健にまた早月くんが言う。

「…あ、それと、これは相沢さんから世奈ちゃんに伝えておいてほしいんだけど」
「今度は何だよっ」
「多分世奈ちゃん、ブラのサイズがちょっとキツイんじゃないかな。
ほら、世奈ちゃんて服の上から見た感じ、胸はあんまり大きく見えないけど、夕べ浴衣はだけさせて見て触った感じだと、なんとなくそう思ったんだよね」
「!!」

早月くんはそこまで言うと、健の方を見て「伝えておいてね」とわざとらしい笑みを浮かべる。
……仕返しだ、完全に。
新幹線の中であれだけ見せつけられたから。

「っ、つかソレまだ何も見てない俺が言ったらオカシイだろ!」

そんな早月くんの言葉に、健は顔を赤くしてそう言った。

「~っ、」

てか、聞こえてるんですケド。
そして一方、そんな二人の会話を実は耳にしていたあたしは、思わず顔を真っ赤にさせて俯いたのだった…。





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