親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

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第2章「甘苦い二人暮らし」

公ちゃんを待つ間。

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…………

放課後。
教室で公ちゃんを待っていたら、同じく水野くんを待っているらしい歩美に言われた。

「ねぇ、」
「うん?」
「生物室、行かない?」

歩美はそう言うと、スマホに遣っていた目をあたしに向ける。
…えぇー、生物室?
正直、気が進まない。でも…

「ねぇいいじゃん。どうせ真希も鈴宮くん(公ちゃん)待ってるんでしょ?」
「…」

…まぁ、それを言われちゃ断れないよね。
どうせスマホ弄ってるだけでずっと暇だしね。
あたしはその誘いに頷くと、歩美と一緒に教室を後にした。

……あ、そう言えば、まだ水野くんとのこと歩美に言ってないや。
不意にそう思って、

「…あ、歩美!」
「うん?」
「後で大事な話、あるから聞いて」
「え、気になる!今ききたい!」

後で言おうとしたけれど、歩美にそう言われてあたしはちょっとごもる。
…やっぱ今言ってしまおうか。
そう思うけど、周りに人がいっぱいいるから、今は言わないことにした。

「……こ、ここじゃちょっと」
「うーん、じゃあ後で絶対ね!」

そして、尚も歩美に言わないまま二人で生物室に向かう。
今日はどうやら生物部の活動があるらしく、ようやくそこに到着すると歩美がそこを覗き込んだ。

「みーずーのーくんっ!」

そう言うと、中でハムスターを手に持つ水野くんを発見した。
水野くんは歩美の声に顔を上げるけど、すぐにまたハムスターに目を遣る。
…白衣を着ているから、なんだかその姿が新鮮だ。

「それ、何してるの?」

歩美が水野くんに近づきながらそう問いかけると、水野くんが綿棒を手に持って言った。

「…治療」
「え、治療とかもやるんだ!?水野くんすごーい!」

その水野くんの言葉に歩美がそう言って喜ぶけど、一方の水野くんは治療に集中していてそれ以上は何も言わない。
…大事な瞬間なんだろうな。
あたしはそんな水野くんから視線を外すと、近くにいるヤモリに目を遣った。
…うわ、ちょっと……きもい。
そう思いながらもしばらくヤモリを見ていたら、その近くで歩美が言った。

「…治療、終わった?」
「ん、」
「ねぇねぇ水野くん、ハムスター触らせてー」

歩美がそう言うと、水野くんが何も言わずにハムスターを歩美に持たせる。
その可愛らしい無邪気なハムスターの姿に、歩美の顔も自然とほころぶ。
あたしはそんな二人の様子から視線を外して、またヤモリに目を遣った。
…不気味な模様だな。
そう思っていると…

「触ってみる?」
「!」
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