ドラゴンソード ~殺戮の剣~

小倉千尋

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第十二話

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 寝室に入り裸になって寝た、朝のアラームも気付かず起きたら昼だった、紅葉は俺に付き合ってくれていた。
 
「あなた、ぐっすり寝てたわね」
「あぁ何かスッキリした」
「ハンバーガーとパフェが食いたい」
「食べに行きましょう」
 
 服を着て紅葉と出掛けた。
 
 ハンバーガー屋に入るとチンピラや不良共が逃げて行った、席が空いたのでハンバーガー三つ食べ、カフェに行きパフェを食べた。
 
「満足した、チーズバーガーとポテトが美味かった」
「あなたハンバーガー食べたの初めて?」
「いや、食べた事はあるがこんなに美味く感じたのは初めてだ」
「あなた何か変わったわね」
「もしかしたらクソ真面目な部分がなくなったのかもな」
「そうかも知れないわね、それでいいわ」
 
 通りの向こうから男どもが大勢走って来ていた、知ってる顔もあったので呼び止めた。
 
「おい、お前ら何かあったのか?」
「八神さん、もう一人の八神さんがキレました助けて下さい」
 
 向こうから斬り落とした人間の首をぶら下げ健児がやって来た、怒っているがキレてはいない。
 
「健児どうした?」
「不良どもに絡まれた仕返しです」
 
 俺と健児に挟まれた男どもが逃げ場をなくして焦っている。
 
「健児に絡んだ奴以外は帰れ」
「はい」
 
 チンピラどもはいなくなった、若者だけが残った。
 
「健児殺してもいいぞ」
「はい」
 
 健児が次々と斬り捨てていった、逃げようとした奴は俺が斬った、残った男一人に。
 
「俺達八神一族に絡むとこうなる、広めておけお前は助けてやる」
「はい、わかりましたすいません」
 
 一般人が集まりだした、スマホで写真を撮ろうとしている、全員の携帯を破裂させた。
 
「健児、帰れ」
「はい」
 
 健児が消え、俺達も瞬間移動で帰った。
 
「悪人が減らないな」
「これだけ大きな街ですもの」
「まぁ退屈しなくていいがな」
 
 それにしても健児は怒りっぽい性格だ、俺もそうだが健児は監視しておかないと危なっかしい。
 
「食いすぎた、少し寝る」
「わかったわ」
 
 ソファーに横になりまどろんだ、黒龍に食い殺される夢を見て飛び起きた。
 
「あなた、うなされてたわよ」
「あぁ、黒龍に殺される夢を見た」
 
 その時地響きのような声が部屋に鳴り響いた。
 
『龍王の剣、見つけたぞ』
「黒龍か?  どこにいる?」
『さぁな、明日にはお前を殺し龍王の剣は貰い受ける、覚悟しておけ』
 
 声が消えた。
 
「龍王、何故教えてくれなかった?」
「私も不意打ちでわからなかったわ」
「奴は今どこだ?」
「名古屋近辺よ」
「じゃあやはり明日か」
「そうね、黒龍は飛ぶのが遅いわ、この距離なら宣言通り明日になるわ」
「わかった」
 
 龍王の声が止んだ。
 
「紅葉、この辺りで戦うのは街が危険だ、明日は北の山で戦う」
「そうね、死なないで」
「戦ってみないとわからないが、龍王の鱗が守ってくれるはずだ」
「健児達にも連絡しなきゃ」
「いやいい、どうせ気配で気付くはずだ」
「わかったわ、晩ご飯にしましょう」
「あぁ食って力を付けなきゃな」
 
 晩飯を食い、早めに風呂に入り寝る準備をした、黒龍との戦いが恐ろしく感じる反面楽しみにしている事に気付き苦笑した、どうせ明日だ、勝ったらのんびり暮らそう。
 
 豆乳とデザートをたらふく食べベッドに入った、眠れないかなと思ったが気付いたら朝だった、体調は万全だ気力もある。
 
 朝食を食うと千里眼で黒龍を追った、今回はハッキリと見えた、もう大阪の上空を飛んでいる一時間もかからずここへ来るだろう。
 
「そろそろだ」
「私も行くわ」
 
 止めても付いて来るだろう、わかったと言い山に瞬間移動し上空に浮かび待った、ドス黒い気配が近付いて来る、まだ姿は見えないがまっすぐにこちらに向かってるのがよくわかる。
 
 遠くから二つの人影が飛んで来た、健児と桜花だった。
 
「優斗さん、この気配は?」
「例の黒龍だ、お前達は危ないから下がっていろ」
「自分の身は自分で守ります」
 
 頑固な奴だ、止めても無駄だろう、背後からも複数人誰かがやって来た、暗殺部隊だ。
 
「優斗さん、長老の千里眼で黒龍を捉えました、助太刀します」
「死ぬ事になるぞ」
「構いません」
「頑固な奴らばかりだな」
 
 俺は全員に強力なバリアを張ってやった、これで一撃で殺られる事は防げるだろう。
 
 健児と桜花が刀を出した。
 
「優斗さん、来たみたいです」
「あぁ見えてる、でかいな」
 
 黒龍が近付いて来て止まった。
 
「約束通り来てやったぞ、素直に剣を渡せば全員見逃してやる」
「嫌だね、どうしてお前はこの剣を狙っているんだ?」
「我の脅威になるからだ、我の体に取り込めば我の力になる」
「だったら尚更渡せないな」
「ふん、いくら龍人でも半分は人間のお前らが三十人集まろうが、我が敵ではない」
 
 暗殺部隊が飛び掛かった、黒龍は尻尾を振り暗殺部隊の半分を叩き落とした。
 
「赤子の手を捻るより簡単だ、次はこちらから行くぞ」
 
 黒龍が炎を吐いたがバリアのおかげで誰も脱落しなかった。
「馬鹿な、我の炎が効かないだと」
「俺がバリアを張ったからな」
 
 俺も炎を出した、黒龍の尻尾に炎が付いたが簡単に消されてしまった、その隙きを突いて全員で襲いかかった、みんなの刀は鱗一枚剥がすのがやっとのようだ、俺は力任せに尻尾を斬った、硬かったが切断出来た。
 
「グォオオ」
 
 尻尾でバランスを取っていたのか、黒龍が揺れだした、また全員で斬りかかる。
 
 黒龍が腕を振り、鋭利な爪で何人かに攻撃した、また数人が落ちて行ったが死んではいないはずだ、残った紅葉と健児と桜花、暗殺部隊の数名で攻撃を続けたが、全員の刀がボロボロになっていく。
 
 黒龍が攻撃の体制になった、俺はすかさず黒龍の両腕を凍らせた、動かなくなった両腕をドラゴンソードで粉々に砕いた。
 
「グワァア、貴様ただの龍人じゃないな」
「甘く見るな、龍王に選ばれた龍人だ」
 
 俺は黒龍の顔に飛び掛かった、鱗で覆われてないのは目と鼻と口と首元だ、ドラゴンソードで両目を刺した。
 
「ギャアアア」
 
 効いた様だ、狂ったように暴れている、一旦離れ黒龍の首にドラゴンソードを突き刺した、剣が効いた刺したまま尻尾まで走った、黒龍の体を真っ二つに裂いた、黒龍が山に落ちた。
 
「あなた、やったわね」
「いや、まだだ」
 
 俺は急降下し黒龍の首をハネた。
 
「貴様、覚えておけよ我は何度でも蘇る」
 
 その言葉を最後に黒龍が息絶えた。
 
 先に落ちて行った連中も皆無事なようだ、被害がなくて良かった。
 
 佐助が話し出した。
 
「復活しないように封印しましょう」
「どうやるんだ?」
「長老が封印の術を使えます」
「わかった」
 
 俺はじいさんを呼んだ。
 
「お前らが倒したのか?」
「長老、ほとんど優斗さんが殺りました」
「暗殺部隊でも歯が立たなかったのか?」
「はい、すいません」
「謝らずとも良い」
「じいさん、封印の術を教えてくれ、俺がやりたい」
「その前に首から下の胴体を焼き尽くしなさい」
 
 俺は炎で胴体を燃やし塵にし、じいさんから封印の術を教わった、封印すると黒龍の頭はミイラのように干からびた。
 
「上出来だ、このままここに置いておくのは危険だ蔵で保管しておこう、佐助達運びなさい」
「はい」
「優斗よくやった、まさか黒龍を一人でやっつけるとは、流石龍王に認められただけの事はある」
「結構しんどかったがな」
「まぁ良い、死人が出なかったのが不幸中の幸いだ、今後はゆっくり暮らしなさい」
「わかった、黒龍が我は何度でも蘇ると言ってたが、どういう事だ?」
「神や化物の類は時間をかけ何度でも蘇るものじゃ、何百年も先の話だ安心しなさい」
「わかった」
「健児と桜花もよく手伝ってくれた、礼を言うぞ」
「いえ、役に立てませんでした」
「それでも諦めず最後までよくやった」
「ありがとうございます」
「佐助、帰るぞ」
「はい」
 
 暗殺部隊が黒龍の頭を持ち上げ、じいさんと共に帰って行った。
 
「健児と桜花、手伝ってくれてありがとう」
「気にしないで下さい」
「これで俺達の脅威はなくなった、またゆっくりしてくれ、今度飯でも食おう」
「はい、失礼します」
 
 二人が消えた、俺も紅葉とマンションに戻った。
 
「これで本当にゆっくり出来るわね」
「そうだな、これからはお前とのんびり暮らして行けるな」
 
 これで暴れまわる事も少なくなるだろう、平和になったこの街で紅葉と暮らして行こうと思った。
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