こちら、事務所と言う名の何でも屋です。

なーちゃん

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青色の彼は大人しい

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鳥の囀りと、眩しい日差しに目が覚めた。
顔を上げればオレンジの光が目に入って眩しい。

「今、何時だ?」

回らない頭をなんとか回転させて、つくえの上に置いてあった時計を取り、時間を確認する。
時計の針は、十一と五を指していた。

「もう五時か~っ。」

時間を確認すると椅子をギギギッと鳴らせながら毛伸びをする。

「よしっ、仕事するかー。」

椅子から降りると再度毛伸びをし、パソコンや資料が多くある場所へと行く。
資料は基本的に新聞。
事件がある度に集めている。
その他にも事件のことが取り上げられている雑誌などが本棚に綺麗に置いてある。

「今の時代、新聞や資料なんて必要ないかもな~。」

呟きながらも、まだまだ新品の椅子に座る。
キュッと音が鳴ったのは気のせい。
パソコンを起ち上げ、カタカタと音フェチの俺にはたまらない音を部屋に響かせながら黙々と検索していく。

なんとなく、これだろうと思ったページを開く。

「強盗犯、青木 雄、商店街のあらゆる店からあらゆる物を盗み逃走。今も尚捕まっては居らず、盗みも続けている。歳は20歳...20歳!?」

マジカ、俺より歳下じゃねえか、あっ、ちなみに俺は24だ。
まだまだ、若いからな!
おじさんじゃねえからな!

「てか、ここまで情報があるんなら捕まえられると思うんだけどな~。
どれだけ、無能なんだか。」

椅子から立ち上がり、愚痴を溢すとサラリーマンみたいな真っ黒のスーツに着替えルビーのついてるピアスをつけた。

「さて、そろそろ行こうかな~」

今は、7時。
まさか、調べるだけで2時間も使うとは...。
俺でもびっくりだ。


玄関の扉を開けると熱風がバーゲンセールが始まったときの主婦並みの勢いで部屋に入ってくる。
日もくれ初め、昼間よりかはだいぶ涼しくなっていた。

お世辞にも上手いとは言えないセミの合唱を聞きながら、夕日に背を向けて歩き出す。

夕飯の時間帯だ、少しは商店街も静かなんじゃねえのかな。

そう思いながら商店街へとたどり着くと、やはり、予想していたとおり人気は少なかったがチラホラといる感じだ。

「まずは、事情聴取だよなー」

花屋、小物屋、家具屋、服屋、焼き鳥屋などなど、とにかく、今開いてる店からどんどん、事情聴取していった。

聞いたところによると、そいつ、青木 雄は青い髪に、右耳だけピアスをつけていて、だいたい色んな色が混じったTシャツに、ジーンズってらしい。

「ったく、ここまでわかってるくせしてなんで捕まえられねえんだよ~。」

数分前と同じセリフを言いながら、トボトボ商店街を歩いていく。

その時、パッと目についた店から出てきた男に近づいていく。
髪の色は青、Tシャツは違うがジーンズもピアスも身につけている。

「すみませーん、お兄さん」

後ろから男に話しかけると、驚いたのか、少し肩をビクッと震わせてこっちに向く。

「なんですか?」

俺よりも少し背は高く、タレ目で優しい雰囲気の男性、盗みをしているとは思えないが、ズボンのポケットを見ると、膨らんでいた。
それに、リュックも背負っていたから、少し怪しい。

「実はココらへんで最近、強盗が相次いでましてね、その調査を任されまして、少しお話いいですか?」

茶色の目が少し小さくなった気がした。

「すみませんが、急いでいるので。」

そう言い逃れしようとしていた男の腕を掴む。

「まあまあ、すぐに終わりますから、それに貴方はその強盗犯によく似ていましてね...。ほんと、すぐに終わりますのd((..うわっ!」

俺が言い終わる前に男は俺の腕を振りほどいて一目散に走っていった。
まあ、追いかけるんだけどさ...

「足速っ!?」

そう、男は思った以上に足が速い。
まるで、ひき逃げした車みたいだった。
...例えが悪すぎか。
いや、これこそバーゲンセールが始まったときの主婦じゃん!

きっと、追いつくのは無理だろうが付いていくことはできる。
元陸上部の意地舐めんなよ!
大会にはそんなに出てないけど!
ベスト8入れるか微妙な奴だったけど!!

諦めたと思わせて付いていくことくらい無能な俺にも出来る。
走るスピードを緩め近くの路地裏へとまわる。
ここら一体の道くらい、昔、無理矢理にでも覚えさせられたのでなんとなく行ったであろう道を歩く。

路地裏を抜けると古びたアパートがあった。
その二階の部屋に入ろうと鍵を探している男の姿があった。

ふふふっ、甘いな。
腕を掴んだときに鍵は盗んでおいたぞ。
リュックに丸裸の鍵をつけておくなんて、まだまだ、だな。

ドアノブをガチャガチャ動かしたり、リュックを必死に漁る男の姿が実に滑稽だった。

「鍵をお探しで?」

男の近くまで移動すると、鍵を男の前で見せびらかす。

「な、なんで...」

男は唖然としていた。
まさか鍵をこんな奴に盗まれるとは思ってなかったのか?

「貴方がやっていることと、なんら変わりはないですよ?」

「諦めて、リュックの中身でも見せてください?」

もう、俺の中では確信していた、コイツが犯人だと。

「....わかりました。」

潔く諦めた男は俺にリュックを渡した。

小さいポケットには、何もなかった。
チャックを開けると、大量のお菓子、食品、コップや食器も入っていた。

「全て買ったんですか?」

「いいえ。」

あっ、案外、素直。

「盗んだんですね?」

「..はい。」

あっさりと認めてくれて、コッチとしてはとてもありがたい。

「逮捕...してください。」

男は、両手をくっつけて俺の方に向けてきた。

「え?」

「...え?」

間抜けな声が2つ、聞こえた。

「いや、俺警察じゃないよ?」

「え、じゃあ、何なんですか?」

しばらく沈黙が続く。

「何でも屋?」






結果、逮捕されるか、事務員になるか聞いてみたら、直ぐに事務員になる、と返ってきた。
商品は全部お店に返して、1つ1つの店の店長と、一緒に謝ってきた。
まあ、こっぴどく怒られてたけどね。

「そういえば名前は?」

「青木 雄です。」

「雄ね、ヨロシク!」

「よろしくお願いします!」

案外大人しい人でよかった。

綺麗な光が夜空に輝く中、男二人は、まるで初めて話してみたら意気投合しちゃった、中学生のように、話しながら、闇へと消えていった。






「はい、これ。」

「なんですか?これ。」

俺の手の中には、綺麗に輝く、青色があった。

「見ればわかるでしょ!ピアス!」

「え、穴開けてないですよ?」

「じゃあ、開けに行くよ!」

「えぇ!?」

闇に消えていったのは気のせい。
赤と青が慌ただしく、静まり返った街を走り抜けるのは、また、別の別の別のお話...。




「事務員、俺だけなんですね...。」

「あっ、今、馬鹿にしただろ!」

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