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語り部にはなれないけれど
しおりを挟む2024年、ノーベル平和賞を被団協──日本原水爆被害者団体協議会──が受賞する。二度と核兵器が使われない世の中を目指し、1956年に被爆者の全国組織として長崎で結成されたこの組織の活動が評価されたことは大変意義深い。
しかしながら、未だに核は廃絶の道を進まず、世界に広がる事を止めてはいない。それどころか、再びその牙をむく機会を虎視眈々とうかがっている状況にすら見える。
人が日常生活を送る街に、非道の兵器が投下されて80年。生き証人も1人、また1人とこの世を去ってゆく。
原子爆弾による死者は、1945年末で約21万人。被爆による現在までの死者、約55万人。
そして、現在まで生存している被爆者数は、2025年に10万人を下回った。
世に広く知られた話もあれば、誰にも語られることもなく時に流されていった話もある。全ての人に語り部を担え、平和の礎となれと、強いることはできない。地獄の光景を、辛い日々を思い出したくない人もいるのだから。
この物語が、ほんの僅かな力にしかならないことは百も承知である。それでも私は書きたいと思った。これからの世界が、少しでも核兵器廃絶の道を選択する事を願うが故に。そして、私に命をつないでくれた人たちの記憶を世界の片隅に残したいが故に。
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