目が覚めたら黒髪黒目至上主義の世界に転生していたみたいです

抹茶もち

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どうやら僕は転生してしまったらしい

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それからしばらくなんだか楽しくなっちゃった僕はサムをひたすらよしよししていた。サムはちょっと恥ずかしそうにしながらも、僕が楽しそうにしているからかそのまま好きなようにさせてくれたからね。

そのまま満足するまでサムをよしよし撫でていた僕だけど、しばらく寝込んでいた後に色々お話ししたからか喉が渇いちゃった。

「ねぇさむ、さっそくお願いしてもいい?僕、のど渇いちゃったから何か飲みたいんだけど……」

キッチンの場所が分からないから取りについてきて、って続ける前に突然膝をついて目線を合わせていてくれたサムがバッて立ち上がって。

「かしこまりました!気付かず申し訳ございません。只今準備いたしますので少々お待ちくださいね」

おめめキラッキラにさせたサムが一息でそう言って、サッとスマートに胸に手を当て綺麗なお辞儀をしたと思ったら、また高速早歩きであっという間にお部屋を出て行ってしまった。

「ありゃ、行っちゃったぁ」

取りに行かせちゃって申し訳ないなぁって思いながらも、サムが凄く嬉しそうだったからまぁいっかぁって思い直して起こしていた体をぽふりとベッドに再度沈めた。

うつぶせになって枕をギュって抱きしめながら足をパタパタしてサムが帰ってくるのを待っていると、コンコン、とノックの音が響いた。

サムが帰ってきたのかも!飲み物持ってたらドア開けられないよね?

んしょんしょって大きいベッドから頑張って降りて、ドアにとてとてっと小走りで向かった。

「サム……、じゃ、ないっ!」

ガチャってドアを開けて顔を外にひょっこりさせると、そこには僕が思っていた人は居なくて。

「……もう起きていいのか?」

眉をギュって寄せて僕を見下ろす水色の美少年が居ました。

「あの、えっと……、僕、もう大丈夫、です」

思っていた人物じゃなかったから驚いて何故か片言になってしまった。そんな僕を見た美少年さんに「敬語……?まだ寝ていた方がいいのではないか?」と眉を顰めながら言われてしまった。

ただびっくりしちゃっただけだしと首をふるふる振ると、また更に眉を顰めてしまう美少年さん。

しかしこの美少年さん、父様に似ている気がする。っていうかむしろそのままちっちゃくしたみたいな感じ。さっき僕は次男だって教えてもらったし、もしかしてこの美少年さんって。

「……にぃ様?」

もしかしてってコテリと首を傾げ見上げると、一瞬驚いたような表情をした後、また眉を顰めてしまった。うーん、違った?にぃ様じゃなかったのかな?
分からなくて眉がしょんぼり下がる。

「おい……、弟の様子がおかしい。どうしたんだ、コレは」

にぃ様の後ろにひっそりと控えていた人をチラリと振り返りそう言う美少年さん。
でも美少年さん、僕のこと弟って言ってたよね!やっぱり僕のにぃ様だった!でも僕、ノアっていうお名前あるのに。呼んでくれないのかなぁ?
後ろの人を見ていたにぃ様の服の裾をクイって引っ張る。

「にぃ様、僕、ノアだよ。コレじゃないよ」
「は……?お前が俺なんかに名前を呼ばれたくないと言ったではないか」

……なんてこった!僕のせいだった!

衝撃にお口をポカンと開けて固まってしまった僕。そんな僕を訝し気に見るにぃ様。困ったようにオロオロしているにぃ様の後ろの人。どうにもこうにもならない変な空気を破ったのは廊下からやってきたサムの一声だった。

「セオドア様?どうしてこちらに……ってノア様!寝ていなきゃダメではないですか。飲み物を持ってきましたのでベッドに戻りましょう?」

慌てたようにサムにそう言われてしまった。

「さむ、僕せおどあにぃ様と一緒が良い。だめ?」

しょもんと眉を下げながらセオドアにぃ様の裾を絶対に離さないぞって意思を込めてギュって握る。驚いたように目をまん丸にしたサムだけど、すぐにニッコリ笑顔に戻ってセオドアにぃ様に問いかけた。

「セオドア様、ノア様はこう言っておられますがお時間はありますでしょうか?もしよろしければセオドア様のお茶もご用意いたしますので」
「あ、あぁ。時間はあるが……。コレは本当にどうしたんだ?」
「……詳しくは中に入られてからご説明させて頂きますので、どうぞ中へ」

セオドアにぃ様、また僕の事コレって言った。僕が名前を呼ぶなって言ったらしいけど……。覚えてなくてもそんな酷い事言うなんて駄目な事だからちゃんとごめんなさいしないとだよね。セオドアにぃ様、許してくれるかなぁ。いつかノアって呼んでもらえるといいなぁ。

悶々とそんな風に考えているうちに僕はベッドに逆戻りさせられていた。
セオドアにぃ様はサムが用意してくれたベッド横の椅子に座ってサムがお茶を入れている様をじっと見ている。

セオドアにぃ様にはあとで僕に出そうと思って用意してきていたという紅茶を出し、僕にはレモン水を入れてくれたサム。出来る男って感じで格好いい……!

「……さて、いい加減コレは一体どうしたのか説明してくれ」
「そうですね。…実はノア様には今までの記憶が無いようなのです」

サムがサラリとそう言うと、セオドアにぃ様が驚きに目をまん丸に見開いた。

「……は?記憶が、ない?」
「えぇ、記憶がありません」

おぉー、セオドアにぃ様の眉間のシワが無くなった!なんてちょっとずれたことを考えていたのは2人には内緒なのです。


 
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