【R18. 1/29完結】元同期の天才魔術師に″処女は抱かない″と言われたので処女を捨てたらキレられました。

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元同期の天才魔術師を我慢させたら、地獄の絶頂我慢からの仲直りらぶらぶえっちする話。

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討伐魔術隊にいるくせに、他人に情が持てるなんて変だと思った。
みんな、理由があってここにいる。
親に捨てられて、売られて、行く当てがなくて、
志願してこんなとこに来た物好きなんて、一人もいない。

私たちは魔獣の核を破壊するだけの装置。
魔力がなければ、核を破壊できないから。
安全な場所で魔獣が弱るのを待っていればいい。

——でも、それじゃ生きられないことを知った。

魔力がある人間は魔獣にとって極上の餌だ。
もしも魔術師より命を優先すべき存在がいたなら?
例えば腑抜け貴族護衛任務。
魔獣が現れその場の人間で太刀打ちできない強さであれば、魔術師は真っ先に囮として切り捨てられるだろう。
自分たちを守る兵士が逃げたら?
演唱中動けない程度の私たちなら、なす術なく魔獣に食い殺される。

どうしようもなくこの世界は理不尽で、
恵まれた環境も、
愛してくれる親も、
魔術師としての才能も、
生まれたときから決められていて、どんなに足掻いても手に入らない。
なら、全部諦めてしまえばいいと思っていた。




ねえ、先輩だってそうでしょ。



みんな理由があってここにいる。
心を腐らせながら生きている。
情がなくても仲間ごっこはできるし、
利害があるから仲間でいられる。


……なのに、


先輩だからなんて理由で、
私はあなたを馬鹿にしたのに。
なのに助けてくれるなんて、
そんなのおかしい。


…おかしいよ。






——————




「腕いいじゃん!
 なによ面倒だとか言っといてちゃんと修練してたんじゃん!はー、最初っからそう言ってくれたら良かったのに、まあなんというか、お年頃だねー」
「子供扱いしないでください」
「子供じゃん酒も飲めないくせに」
「それなら、子供と言い合いしてる先輩はどうなんですか」
「あ!子供って認めた!やーいやーい」

ベル先輩と話しをするようになって知ったことは、この人の精神年齢は悪ガキで止まっているんじゃないかと言うくらいクソだったこと。
先輩の仕事について行って一緒に依頼をこなすことも何度かして、必死に動きながら魔術を発現する私を見て初めはものすごく驚いていた。『動きながらできんの!?』と言われ、練習したので…と素直に言ったのに『才能ある子は違うねー』と何故か才能を褒められた。いや、努力したって言ってんじゃん。
自分の努力を話すのは恥ずかしいけど、努力を認められないのはそれはそれでつまらない。
でも、先輩の動きを間近で見て、安全圏を常に念頭におきながら魔獣と実戦する日々は確かに私の経験になった。

演唱に集中して魔獣の攻撃を受けることも減ったし、
服を汚す頻度も減ったと思う。

任務後には先輩が飯に連れ出してくれて、ガヤガヤ賑わう酒臭い飯屋で嘘みたいにでかいオムライスを出されて食えるわけないだろと怒ったりした。
先輩は、″先輩だから″とよく口にする。
″先輩だからお金だすよ″、″先輩だから力になるよ″と。
わたしは後輩として何も出来ないのに、そう言うとお返しするのはベル先輩相手じゃなくて、いつかわたしに後輩ができたときにその気持ちを与えてくれたらそれでいいと言う。
先輩の話は理にかなっているようで、なんかどこか変なかんじがする。でも、変なんだけど、心の冷たいとこにじんと熱をくれる気がした。


先輩と行動を一緒にして5日目、
明日は週末。久しぶりに依頼なんて考えなくていい手放しの休日を過ごせる。

休み前にしっかり疲れをとりたくて大風呂にいくと、珍しくベル先輩もそこにいた。
その背中を見て、ぎょっと目を剥く。
まさかこの人、ずっとそれに気づかずに風呂に入ってたのか…。

「ん?アイニス?どうかした?」
「……いえ、その…」

どうしよう、言うべきだろうか。
いや言うってったって、どう言うのが正解?
あなたの背中、人間の噛み跡だらけで悲惨なことになってますよ?
いやいやいや、流石にちょっと、成人もしていない私にはハードルが高いというかなんというか。
正直そんな背中だけで目に毒なんですけど。


…ぁ、だから他にこの大風呂、人がいないのか…。
あいつら先輩が来た瞬間に逃げやがったな。



「…先輩って、付き合ってる人いたんですね」
「……へへー、意外だった?まー私も色々経験してるわけですよ。大人ですから。」

にやにやと笑いながらピースサインをする先輩。
いやそうじゃない。汲み取って欲しいのはそこじゃない。
なんでわたしがあなたに恋人いるか言い当てれたのかを考えてほしいんです。
しかし先輩は気持ちよさそうに腕を伸ばして、あろうことか話しを続けた。

「ずっと好きだった人とね、最近やっと恋人になったの。後で迎えに来るらしくてさ、アイニスと仲良くなれたこととか色々話したいなって思ってて」
「はあ、そうですか」

この先輩がそんな真っ当な恋愛をしていたとは驚きだ。
アイニスはまだ、先日先輩が不在の間に″教育″と評して自分たちに地獄を見せにきた男のことを忘れていない。
その男が先輩の遠征帰りを、家族や恋人が待つ場所で待っていたことも。
(身近にあんな厄介男いて、よくまともな人と付き合えたな。…いやこの背中を見るにまともではないか。)

ん?″最近やっと恋人になった″?
じゃあついこないだまでは独り身だったってこと?
アイニスの中で、嫌な予感の点と最近起こったことの現状記録の点が線で結ばれる感覚がした。
この人がハイド魔術長と仲が良いことは有名だ。
二人の付き合いは長いらしく、ハイド魔術長は魔術師からも若い貴族女性からも人気だそうだからそれなりに苦労はしてきたんだろう。
それでも友達みたいに二人で酒を飲みに行くほど仲が良いのは、単に周りの声なんて気にもならないくらいお互いを信頼しているからだと思っていた。
でも、あんな美形男を連れてる女にまともな男が真っ当な恋愛を持ち掛けれるとは思わない。


「あの…先輩のお付き合いしている方って…」
「ん?アイニスも知ってると思うよ。ハイドっていって、王宮魔術師の魔術長やってるから」



あぁ、だからあの人、遠征帰りをあの立ち位置で待っていたのか。
遠征帰りからしばらく先輩は帰ってこなかったし、
あのタイミングで私たちを″教育″しにきたのも、間違いなく腹いせと釘刺しが目的だよね?
それで、えーと、そのクソ魔術長様が先輩の彼氏で?このマーキングしてる獣みたいなひっどい背中つくった犯人で?
日も落ちてる夜なのにこれからわざわざ迎えにくると。


「……先輩」
「ん?なに?」
「無事に、帰ってきてくださいね」
「え、なに?私死地にでも送られるの?」


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