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第2章
第8話 滞在拠点
しおりを挟むとまぁ、何だかんだでトトこと、傷だらけだったワイバーンと行動を共にする事になった訳だが。
「キー!キー!」
「ダメだ!散々試したろ?中には入れないんだ!トトは外、俺は内!」
俺たちは最初に見つけたこのシェルターを拠点になんとか生活を続けていた。
人間が生活する上で最低限必要な物は、〈衣、食、住〉の3点と言われている。
まずは〈衣〉だが、これはアイテムの効果なのか汚れや破損は数時間程度で元に戻るのを確認したので解決した。
次に〈住〉は運良くも木の根がシェルターの役割りを果たしてくれている。ファーストウルフなら何とか入れなくも無いが、〈迷彩〉の効果で俺の存在は薄くなっている上、トトが木の根元を寝ぐらにしている為そうそう寄り付く事は無い。
最後に〈食〉だが、これが一番厄介だと思っていた。ここに着いてまず考えたのが食の問題だ。唯一の食料だった果実は全て使ってしまっていたからだ。
栄養と水分をいかにして手に入れるか。
俺はシェルターへ向かう道中からずっとこの議題で頭を悩ませ続けていた。
あの果樹を見たのは一度きりでそう沢山生えているものではなさそうだ。周りを見回しても他に食べられそうな物は無い。
トトに乗れば井戸まででもそう時間はかからないとも考えたが、あのじゃじゃ馬をコントロールするには時間がかかるだろう。
「キー!」
「こら、今はお前を相手にしている暇は無いんだ。あっちで遊んでこい!」
「キー!キー!」
「ったく、お前は呑気でいいなぁ。シェルターに入ってゆっくり考えるとするか。」
トトといえば、道中に戯れつかれた際、頭の所に文字が浮かび上がっている事に気付いた。
星印と〈ワイバーン〉。
これは、シュガーの時と同じだ。
何か一定の条件を満たすと仲間にするシステムでもあるのだろうか?
「いや今はそんな事考えている場合じゃないだろ!」
シェルターに潜り込むと、少し土埃が舞っている。鼻を押さえて手でホコリを掻き分けながら状態を確認する。
特に変わった様子は…
足下でキラリと何かが輝いた気がしてしゃがみ込み、少し辺りの土を払うと白く光る物が一つ転がっている。
拾い上げて見ると、
「〈桃林〉?」
木の実のようだが、白く光っている。
何のアイテムだ?白色は初めてだ。
〈桃林〉なんて聞いたことも無いし…
此処では暗くてよく分からない一旦外に出てみるか。
陽の下に出して見ると、やはり木の実のようだ。こんな物前に来た時は落ちていなかったと思うんだが?
「キー!」
「トト!今は忙しいんだ、ん?これが気になるのか?」
トトは木の実を見るなり舌をチョロチョロとさせて確かめる仕草をした。
ジュルリ…。
「こらこら!食べちゃダメだぞ!?」
「キィーーー!」
「ちょっ!うわぁあ!!」
トトに突進された勢いで〈桃林〉は宙を舞い、地面へと落ちた。
「トト!黒板の音は出すなって言ってるだろ!!」
「!!シャーーー!!」
後方に飛び退いてこちらに威嚇するトト。
「ん?一体何があるって」
振り向くと同時に地面が強く発光した!
「な、何だ!?!?」
慌てる俺の襟元をトトが後ろへ引くと、見る見るうちに光源から木が生え出した。
それはあっという間に立派な木となり、甘い香りを周囲に撒き散らしながら、大きな花をいくつも咲かせた。
「ん?この香り何処かで」
「ジュルリ…」
花は萎み、丸く熟した果実が山のように実った。
「あれはあの時の!!」
「キィーーーーー!!」
耳障りな音を立てながら勢いよく気に飛びつくトト。
いけない!このままじゃ全部食べ尽くされる!!
「トト!!待て!ストーップ!!」
全く聞く耳を持たない。
仕方ない!
果実を何個かちぎり取ってはシェルターまで持っていき、蓄える事ができた。
「ふー、よし!これくらいあれば当分保つかな。」
バキン!!!!
さっきまで立派に立っていた木は無惨な姿へと変貌していた。
「トト!」
「キュイ?」
「どうするんだよ、木を倒したらもう実らないんだぞ。」
「キュイ?」
「はぁ~。」
トトの胃袋を満足させるのに1日にあの木一本なんて無理な話だぞ!
ワイバーンは雑食と言っていたが、トトが狩をしてきたのは見た事がない。群れではなく単独で、しかも負傷していたところを見ると何か訳があるのだろうが…
「ベジタリアンってやつか?なんて。」
取り敢えず、俺も腹ごしらえをしないと。
シェルターに戻って1つ果実を食べる。
やっぱり美味いなこれ。
食べ終えると種が1つ残った。
そういえば、この果実種が入ってたな。
前も出てきたが硬くて食べられそうになくて、
「あーーー!」
よく見るとさっきの木の実と同じ形状大きさ。
そうか、さっきのはコイツの種だったんだな!
だが白く光ったり文字も見えない。
取り敢えず下に置いて、じっと観察して見る事にした。
数時間後……
「ん、眩しい……」
疲れが溜まっていたのか、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
見ると予想通り、光る木の実〈桃林〉が出来ていた。
なるほど、種を乾燥させるとアイテムになる訳か!
さっきの果実は桃林という種類で、コイツを地面に投げると木が生える。
「これで、〈食〉問題もめでたく解決かぁ!」
両手を上げて後ろに倒れ込む。
やはり気、体力共に疲れているみたいだ。
一眠りするとするか……
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