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鷺ノ宮一煌
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俺の名は鷺ノ宮一煌。
日本有数企業、鷺ノ宮グループの現、代表取締役社長兼CEOの鷺ノ宮皇大郎の息子だ。
鷺ノ宮家と云えば古来より続く名家で、昔は幅を利かせ数多くあった財閥も、今世紀では消えつつある中、財閥と言って差し支えない程の名家である。
そして、その鷺ノ宮家本家本元の長男として生まれたのがこの俺、鷺ノ宮一煌なのだ。
生まれたその瞬間から俺は勝ち組の中でもトップ中のトップ!なのだが、俺のスペックがそんな物で終わる筈もない。
文武両道、容姿端麗、高材疾足、徳高望重、並べればキリが無いが、正に完璧な人間であった。
正直何の苦もなくトップたる道を軽やかにスキップしてきた俺には、試験勉強、受験勉強、就職活動、結婚活動、何てものは一切無かった。
巷ではこれらを苦しんで体を患う人もいるらしいが、俺には全く理解不能だ。
現在は、輝かしい経歴を引っ提げて父の社に入社し、エリート階段をエレベーターで登っている所だ。途中でうちと違わぬ財閥の美しい社長令嬢と同乗して、このまま徒歩で階段を登っている兄弟達や親戚共を置き去りに次期社長、跡取りの座を手にしてみせる。
「坊っちゃま、御車のご準備が整いました」
彼は松田。幼い頃より秘書として俺に尽くしてくれている者だ。
「あぁ、今行く」
株価のグラフが写ったスマホと、これから流行るであろう漫画が写った小型のタブレットの画面を落として鞄に収納すると、高層ビル1階整えられた植木や花々が見える窓辺の待合椅子から立ち上がった。
外に出ると目の前に車が用意されている。
時計を確認すると予定時刻ピッタリだ。
いつも分刻みでの行動を強いられる程引っ張りだこの俺だが、松田のお陰でくるった事は人生で1度もない。
彼のスケジュール管理にはいつも助けられている。
幼少期から共に過ごしているが、彼には特に欠点らしきものは1つもない、強いて言うなら女っ気がない所か。歳は10も離れているのに頑なに家庭を持とうとしない。そろそろ彼には幸せになって貰いたいのだが・・・
「坊っちゃま、例の品はご用意致しております」
「そうか、助かる。いつも世話をかけてすまないな」
「いえ、時計が秒針をうつのは当たり前の事です・・・恐悦至極に存じます」
これから向かう先は俺の人生においても極めて重要なポイントになるだろう。
染谷栞。彼女との婚約を機に、染谷財閥の現当主にして大手企業SOMEYAの代表取締役社長、染谷将典との付き合いが始まった。
普通の人間なら、せっかくの婚約が破談にならないよう義理の父となる社長の顔色を伺い、徹底した守りを固めようとするだろうが、優秀な俺は違う。
これは機として一気に攻めに転じたのだ。
簡単には会えない社長と、スピーディー且つ簡単に会うためなら、義理の息子という武器をフルに使ってもお釣りがくる。
染谷社長と会って何をしていたか?
そんな事は決まっている。
そこまでして会ったんだ、ご機嫌取りなどする筈がないだろう。
ビジネスだ。
それはもう有意義だった。
ここで婚約が破綻になっても構わないと思っていたのだが、今の所上手くいっている。
これから会う方とのビジネスは、これまでの染谷とのパイプ作りが無ければ実現不可能だった。
比較的小規模な会社だが、彼らの技術は今の鷺ノ宮グループには必要不可欠。
何としてもこの顔合わせは成功させねばならない。
秘策にまだお若い社長の趣味である漫画やアニメーションの中より、現在熱をあげられているキャラクターの『美少女フィギュア数量限定のプレミアモデル、シリアルナンバー01』を用意したし、必ず成功させてみせる。
――この時の為に、今までがあったのだから。
「今日で王手だ」
早々にニヤケ出す口元を引き締めて開けられた高級車の社長席に乗り込もうとしたその瞬間、眩い光に視界が奪われた。
「ん?何だこれは!松田どうなっている?」
咄嗟に左手を眼前にかざし、突然の刺激に反射で閉じられた瞼をほんの少し開けるが、周囲は真っ白で何も見えない。
「ん!?松田!何処だ松田居ないのか!?」
日本有数企業、鷺ノ宮グループの現、代表取締役社長兼CEOの鷺ノ宮皇大郎の息子だ。
鷺ノ宮家と云えば古来より続く名家で、昔は幅を利かせ数多くあった財閥も、今世紀では消えつつある中、財閥と言って差し支えない程の名家である。
そして、その鷺ノ宮家本家本元の長男として生まれたのがこの俺、鷺ノ宮一煌なのだ。
生まれたその瞬間から俺は勝ち組の中でもトップ中のトップ!なのだが、俺のスペックがそんな物で終わる筈もない。
文武両道、容姿端麗、高材疾足、徳高望重、並べればキリが無いが、正に完璧な人間であった。
正直何の苦もなくトップたる道を軽やかにスキップしてきた俺には、試験勉強、受験勉強、就職活動、結婚活動、何てものは一切無かった。
巷ではこれらを苦しんで体を患う人もいるらしいが、俺には全く理解不能だ。
現在は、輝かしい経歴を引っ提げて父の社に入社し、エリート階段をエレベーターで登っている所だ。途中でうちと違わぬ財閥の美しい社長令嬢と同乗して、このまま徒歩で階段を登っている兄弟達や親戚共を置き去りに次期社長、跡取りの座を手にしてみせる。
「坊っちゃま、御車のご準備が整いました」
彼は松田。幼い頃より秘書として俺に尽くしてくれている者だ。
「あぁ、今行く」
株価のグラフが写ったスマホと、これから流行るであろう漫画が写った小型のタブレットの画面を落として鞄に収納すると、高層ビル1階整えられた植木や花々が見える窓辺の待合椅子から立ち上がった。
外に出ると目の前に車が用意されている。
時計を確認すると予定時刻ピッタリだ。
いつも分刻みでの行動を強いられる程引っ張りだこの俺だが、松田のお陰でくるった事は人生で1度もない。
彼のスケジュール管理にはいつも助けられている。
幼少期から共に過ごしているが、彼には特に欠点らしきものは1つもない、強いて言うなら女っ気がない所か。歳は10も離れているのに頑なに家庭を持とうとしない。そろそろ彼には幸せになって貰いたいのだが・・・
「坊っちゃま、例の品はご用意致しております」
「そうか、助かる。いつも世話をかけてすまないな」
「いえ、時計が秒針をうつのは当たり前の事です・・・恐悦至極に存じます」
これから向かう先は俺の人生においても極めて重要なポイントになるだろう。
染谷栞。彼女との婚約を機に、染谷財閥の現当主にして大手企業SOMEYAの代表取締役社長、染谷将典との付き合いが始まった。
普通の人間なら、せっかくの婚約が破談にならないよう義理の父となる社長の顔色を伺い、徹底した守りを固めようとするだろうが、優秀な俺は違う。
これは機として一気に攻めに転じたのだ。
簡単には会えない社長と、スピーディー且つ簡単に会うためなら、義理の息子という武器をフルに使ってもお釣りがくる。
染谷社長と会って何をしていたか?
そんな事は決まっている。
そこまでして会ったんだ、ご機嫌取りなどする筈がないだろう。
ビジネスだ。
それはもう有意義だった。
ここで婚約が破綻になっても構わないと思っていたのだが、今の所上手くいっている。
これから会う方とのビジネスは、これまでの染谷とのパイプ作りが無ければ実現不可能だった。
比較的小規模な会社だが、彼らの技術は今の鷺ノ宮グループには必要不可欠。
何としてもこの顔合わせは成功させねばならない。
秘策にまだお若い社長の趣味である漫画やアニメーションの中より、現在熱をあげられているキャラクターの『美少女フィギュア数量限定のプレミアモデル、シリアルナンバー01』を用意したし、必ず成功させてみせる。
――この時の為に、今までがあったのだから。
「今日で王手だ」
早々にニヤケ出す口元を引き締めて開けられた高級車の社長席に乗り込もうとしたその瞬間、眩い光に視界が奪われた。
「ん?何だこれは!松田どうなっている?」
咄嗟に左手を眼前にかざし、突然の刺激に反射で閉じられた瞼をほんの少し開けるが、周囲は真っ白で何も見えない。
「ん!?松田!何処だ松田居ないのか!?」
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