よみのくに

あーたん

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『終わりの始まり』

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今日僕はここで死ぬ。

僕はひとりぼっち。
友達なんていない。

そして

「しね。学校来んな。 キモイ。」
もう机や教科書にこんな落書きされることも

「童貞くんの〇〇〇拡散しまーす」
ズボン下ろされて写真撮られることも

死ねばもうこんな嫌な思いしなくていい。

父さん、母さん、ごめんね。

父さんたくさん期待してくれてありがとう。
でもそれがちょっと重荷だった。

母さんの作るご飯好きだったよ。
でも友達がたくさんいて楽しい学校生活のフリをするのも疲れちゃった。

母さんの作ったお弁当も今日で最後。
これが食べ終わった時それはもう僕が死ぬ時。

あー美味しかった。
これが最後の晩餐ってやつか。

僕は今から飛び降りる。
屋上の端に立ちそっと目を閉じた。

………。

飛び降りるってこんな感覚なんだな。
意外と遅い。というか学校の屋上からだよな?
こんなに地面まで長いのか?

あっあれか、即死だったから痛みを感じず
僕は今死んだ?ってこと??

ん?何かに当たった。
地面って冷たくて硬いよね?
なんか暖かくてやわらかいような…?

「間に合ったー!よっ!お疲れ様!」
声が聞こえて目を開けた。

「え?待って待って待ってなんで??赤髪のイケメン??え?なになになに?これ??」

僕は赤髪のイケメンにお姫様だっこされていた。

「大丈夫か?どっか痛かったりしねぇ?」

『えっしないけど、まずあなたは誰?ここはどこ?俺は死んだの?え、何この状況?』

「まず落ち着けって!俺はアキラ。ここは「よみのくに」お前も俺も死んでる。落ちてきたお前をキャッチした。よかったよ俺ちょっとだけ飛べるようにしといて、落ちるとこちゃんと聞いとけばよかったぁ。」

とにこにこしながらアキラはそう言った。
状況の掴めない僕は

『あっ、そういうこと。これ転生か?流行りの。アニメも漫画も小説も読み尽くしたから知ってる。これ転生だ。ほんとにあんだな。うんうん。あ、てか降ろしてもらって大丈夫だよ。うん。』

変に冷静になるように言ったけど
よくわかってない。

アキラは僕を降ろしてくれてこう言った。

「あー。ここ端寄りすぎるなよ落ちるから。えっと、情報によると、、」とメモを取り出し
「お前の名前はルイ?合ってるか?」と次は手鏡を出して見せてくれた。
「お前はルイだし、見た目も変わってねぇだろ?だからお前はお前。転生でもなんでもない。俺も転生系よく見たなぁ~よく覚えてねぇけど。」

僕はルイだし。見た目も僕だった。

『ということはここは天国?地獄?のどっちかってこと?』
目が点になってる僕にアキラは教えてくれた。

「いや違う。さっきも言ったろ?ここは「よみのくに」ちなみにあっちが天国でそっちが地獄だ。まっ俺もよくわかってねぇんだけど詳しいことはカオルさんに聞いて?今から会いに行くから。」

どうやら今からカオルさんって人に会いに行くらしい。
まっすぐ歩いて階段を降りると
目の前にはBARのようなお店があった。
近くには小さい家のようなものがたくさんある。

「ここがカオルさんの店」
アキラはあのBARを指差し教えてくれた。
お店に向かった。

ドアを開けるとそこには
金髪の長い髪を1つ束ねて細身の綺麗な眼鏡をかけてる。おん…

「あら?アキラ意外と早かったわね~?」

お!と!こ!の人ー!?!?!?
こんな綺麗な男の人見たことないよ??

アキラはカウンターに座り
「ルイー?この人がカオルさん!言ってなかったな?男だよ。そんなびっくりすんなって、ここ座って」とにこにこしながら隣のイスをポンポンしてる。
僕はそこに座った。

「あら~?初めましてカオルです♪ルイくんよね?「よみのくに」の「討伐部」へようこそ♪」

カオルさんは語尾に音符がついてるような話し方だ。
ん?討伐部ってなんだ!?

「アキラ~?どこまで伝えてあるのかしら?」
「あ、討伐部についてはまだ。よみのくにはあらかた説明したが。多分理解が追いついてない」

アキラよ、その通りだ。
僕はまだ意味がよくわかってない。

「とりあえず何飲む~?」というカオルさんにアキラは「ここオレンジジュースしかないだろ、コーラとかねぇのかよ。」と突っ込んでいた。

『死んでるのに何か飲めるの?』と疑問になって口に出していた。

「俺たちは死んでるけど、腹も減るし、喉も乾く。眠くもなる。あんまり生きてる頃と変わんねぇな?な?カオルさん?」とアキラは言い、カオルさんはオレンジジュースを出してくれた。
「そうよ~?あんまり深くは考えないで?ここは天国でも地獄でもない「よみのくに」ルイ?あなたは選ばれたの。この「よみのくに」の住人に」

『美味しい…。』
「だろ??ここのオレンジジュースは格別なんだよ」とアキラは言った。

今まで飲んだことのないよ。こんなに美味しいオレンジジュース。僕は落ち着いてきたような気がする。

「さぁ!さて説明するわね♪」とカオルさんは始め、アキラはなにか書き始めた。
「ここはさっきも言った通り、「よみのくに」さらにルイは「討伐部」に選ばれたの♪私が部長のカオル♪で部員のアキラ♪最近送り出したばっかで人がいなくてほんと助かったわ♪」

『 送り出した?天国とか地獄に送り出したってこと?』

「違うわよ?ここで討伐をするとポイントが溜まる。そのポイントが一定まで溜まると「生まれ変われる」でこの前送り出したってわけよ♪」

『生まれ変われるか。で何を討伐するの?』

「地獄に行く道「ヘルロード」ここから成仏されなかった「デスペナ」が「よみのくに」出てきて荒らしが始まるの。この「デスペナ」を討伐してポイントを貯めようってことね♪デスペナのランクによってポイントは変わるわよ♪」

「ちなみにここのお店と家たちの周りは結界が張られてるから安全よ?安心してね♪」

なんとなく理解はできてきた。
アキラが「出来たぞ~」と紙を見せてくれた。



「囲まれてはいるがヘルロードから何らかでデスペナは出てくる」とアキラは言った。

『ん?ということはアキラもポイント溜まっているのか?』と僕は言った。
「俺はさっきも言ったんだが、少し飛べるようにしてもらったから今は0だ。この地図の通りヘブンロード、ヘルロード、そしてエンマ様に裁きをうける者たちの列は囲まれてる。ルイが落ちてきたのはその上だったから下から飛んだんだよ。てっきり下に来るもんだと思ってたから、囲いの上とは思わなかったなぁ。あ、少し前に飛べるようにしてもらったんだ。だからルイのせいではないから気にすんな。」
「で俺たちがさっき歩いてきたのは囲いの上ってこと。」と続けた。

「この子生き返りより飛ぶの選んだのよ~?」とカオルさんは言い、「俺が残んなかったら誰が討伐すんのー?」とアキラは言った。

「で、どう?討伐部?やってみない?」とカオルさんは言った。

僕はずっと虐められてきた。
だから死を選んだ。生まれ変わるなんて急に言われても実感湧かないし、討伐も少し怖い。
でもアキラもカオルさん悪い人な感じはしない。
居心地がいい。やってみようかな。討伐部。
生きてたころも部活も入ってなかったし。

『やってみる。』と言うと
「あら♪まぁ拒否権はないんだけどね♪」とカオルさんは続けた。

「カオルさん?あれの準備は?」とアキラが言い
「出来てるわよ♪」とカオルさん。
『 あれって??』
「1回外出るわよ♪」
と言われ僕たちは外に出た。

「討伐するには武器が必要よ。で武器に変わるのがこの「ソウルロット」これを触るとその人の適正の武器に姿を変えるの。」

そしてカオルさんは眼鏡を外し首元にかけ
ソウルロットに語りかけた。

「「導け」SOUL to SOUL」

この人美人だしイケメンでもあるのか。
と思っていると
ソウルロットが光り出した。

ソウルロットを渡され握ってみる。
また光が強くなり眩しくてなにも見えない。
光が消えていった。

そこには細く鋭い長い剣があった。
『 えっ?これは太刀??モ〇ハンみたいだな』と思わず言ってしまうと

「えっ??お前モ〇ハンやるのか??俺もだ!」とアキラ。
「あら?中々いないのよ?知ってる人♪」
『世界的有名ゲームですけど…。』
「選ばれた人の中で知ってる人が少なかったのよ♪」とカオルさんは言った。

「ほら?俺の剣見ろよー!」とアキラ。
そういえば状況把握で頭いっぱいで
アキラに背負われていたその武器をよく見てなかった。

『大剣?』
「そう俺大剣使いなんだよ!」
嬉しそうなアキラ。
『かっこいいね。僕もモ〇ハン好きでよくやってたよ。僕はずっと太刀だったんだ。で良く…』

……。あれ?思い出せない。誰とモ〇ハンしてたんだっけ?あれ??

不思議そうにこっちをみるアキラ。
そしてカオルさんは言った。

「「よみのくに」はある程度記憶に制限がかかるみたいで思い出せないこと多いみたいなのよ?」

「ルイ?苗字は?」『思い出せない。』
「今日食べた朝ごはんは?」『 思い出せない。』
「そういうことよ。」とカオルさんは言った。

太刀を握りしめ、凄く大切な記憶だったはずなのにと少し悲しくなった。

「大丈夫。そのうち慣れるさ。今日はもう疲れたろ?一旦休もうぜ。えーっとルイの部屋は…」とアキラは言い

「ゆっくりするのよ~♪」とカオルさん。

アキラの部屋の隣の部屋に連れて行ってもらった。
部屋といっても1個1個が小さな家だから一人暮らしみたいなものだな。マ〇クラみたい。と思いながらベッドに横になった。

大切な楽しかったであろう記憶がないのに
虐められた悲しい記憶は残ってるのは最悪だなと考えていたら瞼が重くなった。

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