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1章:オラガ村にやってきた侯爵令嬢
33.エピローグ(※)
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跳ね上がる心臓を深呼吸で鎮め「どうぞ」と応対するエルシャ。
エルシャの許可を得るとケヴィンが部屋に入ってきた。
「部屋はどうだ?足りないものがあれば言ってくれ、すぐには無理だがなるべく都合するつもりだから」
「ありがとうございます。充分以上に立派な部屋でしたので驚いたくらいです」
「そうか…ならよかったが、遠慮はするなよ」
「それでケヴィン様は何か御用ですか?」
「ああ、昨日は邪魔が入ったからな…」
「邪魔…ですか?」
一体何の事だろうかと考えを巡らせる…
何か話があるのだろうか?
「体調が悪いなら今日は止めるか?」
「いえ、大丈夫です…」
思わず反射的に答えたが…止める?一体何を止めるのだろうか…
まあ、話があるというのであればいくらでも…そんな風に思っていた時もありました。
ケヴィンは「そうか」と笑顔で言うと、突然エルシャの体を抱き上げた。
「へ?」と言う間にそのままベッドルームへ直行。
そしてベッドの上に置かれたのである…
「あの…これは一体」
「ああ、昨日はエルシャの事を大事にしてやれなかったからな。
あれで怖がられて今後の夫婦関係が冷めきってしまっては辛いだろ…」
「あれは…むしろ私の方が心苦しく思っております。ケヴィン様には非はございません」
「そういうわけだからやり直しを要求する」
「聞いておりましたか?」
(どうしよう、ケヴィン様と話がかみ合わない…)
この感覚はあのパーティー以来…いや、あの時よりも更に噛み合っていないかもしれない。
これではまるであの男爵令嬢と話をしている時のような…
そんな事が頭をよぎっていると、ケヴィンは見つめていたエルシャの瞳から目を落とすと真剣な口調で呟いた。
「どうやらエルシャはまだ男心が分かっていないようだな」
「!それは…」
図星であった…
確かにそれはエルシャ自身の欠点とも言える物であっただろう。
そして、もしかしたらそれが理解できずに元婚約者との溝を深めてしまったのかもしれなかった。
(もしかしてケヴィン様はその事を見抜いて…)
確かにケヴィンは軽薄な所はあるがそれだけでない。
鍛錬を行い自己を磨き上げる姿は素直に素敵だと思う。
そして、騎士に対しては厳しく接したがあの侍女は寛容にも許しを与えた。
その二者の差が何だったのか…それはエルシャにはわからないが、きっとケヴィンには何か見えていたのかもしれない。
村に行ったときの事を思いだす。
彼の下には常に人が集まってくる…
村人も、子供達も、軽口を言いながらも彼を慕い笑いあっていた。
それはエルシャにはない何か…
子供達と仲睦まじく遊んでいたケヴィンの姿を思い浮かべる…
そこでエルシャはハタと気が付いた。
もしかしたら…
「!つまり…ケヴィン様は早くお子が欲しいと思ってらっしゃるのですね?」
それならばエルシャとしても拒む事は出来ない…
しかし、ケヴィンはそうは思っていなかった。
「いや、子供はエルシャがこの領に慣れてからでも全然構わないぞ?」
「………では何故?」
「ソレはソレ、コレはコレ。夫婦の営みにより夫婦関係を良好にする努力は必要だと思うんだ。
子供を作る為ではなく夫婦が仲良くなるための儀式だと思ってくれてかまわない(キリッ)」
「…何の違いがあるのですか?」
「ナカかソトかの違いかな…?」
「………???」
「ただまあ"ヤレばデキる"という格言もあるから、うっかり子供が出来てしまう可能性は勿論あるが、その時はその時だ。」
「初めて聞く格言です、博識なのですね」
「だろ?」
何故だろうか…エルシャには目の前の男がタダの猿に見えてきたのである。
いやいやそんなはずは無い、仮にも彼はハーケーン皇国まで留学し学園を卒業した向上心のある男性なのだ。
そんな人間が浅はかなはずがあるだろうか?
女漁りのためにロアヌ山脈を越えるようなアホなどいるわけがない。
エルシャは考え方を変えてみる事にした。
交渉とは譲歩の出し合いである。
一方的に相手に要求するのでは権力や武力による一方的な強迫と変わらない。
ココは一旦自分が譲歩をして…そしてある程度の相手の譲歩も引き出すべきと。
そして、ケヴィンが土下座してヤらせて貰おうとするギリギリの所でエルシャは決断した。
「わかりました…」
「え?」
「ですが条件があります」
不思議な事にケヴィンの事は怖いとは思えても触れられる事が嫌だと思った事は一度もなかった。
そして、あの決闘の時。
反射的にケヴィンを庇い死を覚悟した時…
ケヴィンのその恐ろしさに包まれ、そして守られたのだ。
ただ、昨日の晩のようなやり方では恐ろしいというのも本音である。
「激しいのは…怖いので…」
ケヴィンがこの言葉に「わかった」と答えエルシャを抱き寄せた。
そしてこの後エルシャは後悔する事になるのであった。
………
………
………
体の隅々、髪の先からつま先まで体中のすべてを触れられ、褒められ、キスをされ…
一つ、また一つと承認され支配されていく感覚に歓びを覚えてしまうエルシャ。
体のすべてに愛を囁かれ最後にまた口づけをされた。
今日何度目かわからない口づけ…
少なくとも元婚約者が婚約破棄までの間に行った手の甲へのキスの回数はとうに超えているだろう。
抱きしめられケヴィンのたくましい腕に包まれる…
日々の鍛錬で鍛えられた胸板についつい触れてしまう。
男性の筋肉はもっと硬いものだと想像していたが、意外にやわらかい事に驚くが…
ただ、力強さはありエルシャの細腕では押してもビクともしなかった。
「怖いか?」
エルシャが体を押しているのを離れてほしいのかと勘違いをしたケヴィンが聞いてくる。
「いえ…たくましかったもので…」
その言葉に喜んだケヴィンは少し強めにエルシャを引き寄せた。
「キャッ」と驚きの声をあげるエルシャ。
恐る恐るケヴィンの腰に手を回し緊張しながらも自らも密着していく。
するとエルシャの唇をキスが塞がれ、そのままベッドへ押し付けられてしまった…
どうやら、激しいのは怖いというエルシャの訴えは一瞬で忘れてしまったようだ。
………
……
…
ああ…と思う。
またこの悪夢か…と。
パーティー会場の真ん中で抑えつけられ跪いているエルシャ。
それを囲む聴衆。
エルシャの声は全て声にならず、擁護する声はなく、エルシャへの罵倒のみが何故か聞こえてくる。
あの日からいつも見る夢。
逃げ出したい…投げ出したい…
だが、それをしたら愛すべき民が犠牲になるのだ…
侯爵家の娘、貴族たる自分が背を向けるわけにはいかない…
例えその守っているはずの民からも罵倒されようとも…
この後エルシャはまた全てを失うのだ…
…
…
…いや、それは違う。
何故だかエルシャには自信があった…
そしてその自信は現実となった。
全てを失う前に抱き留められたのだ…
温かい温もりの中でゆっくりと目を覚ますエルシャ。
目を開けるとそこには大きな胸板。
まだ慣れる事はなかったが、しかし昨日とは違い叫び声を上げそうになったりはしない。
ふと顔を上げてみると…夫はまだ夢の中のようだ。
寝顔を見れるのは恥ずかしかったのを思い出した。
昨日の復讐だとケヴィンの顔をマジマジと眺めてみる。
決闘の時の凛々しい顔とは違う無警戒の無邪気な寝顔。
なにやら胸がキュンとするのをごまかすために、ケヴィンのほっぺをツンツンしてしまう。
「んー」
………楽しい。
後ろから斬られても平然と斬り返すような人がこうも自分に無防備を晒すのがとても不思議だ。
会ってからたった二日…
18年かけても作れなかった信頼が、この人にかかればたった二日で作れてしまうのだ。
それがハリボテであってもエルシャには何故だか愛しく思える。
では自分は彼の様に夫を受け入れる事が出来るのかというと…
………練習は必要だろう。
エルシャはキョロキョロと部屋中を見渡す。
勿論そこに誰もいるはずは無いが確認せずにはいられない。
そして、意を決してノー天気な夫の唇に恐る恐ると近づき…
………
チョンと唇と唇を触れさせる。
「………んん」
ケヴィンが唸り声をあげたのでエルシャは高速で後ろを向く。
顔が熱い…胸がドキドキする…
バレたのか?と自分のしでかした過激なイタズラに動揺していると…
「ひゃ!」
突然ケヴィン腕に引き寄せられた。
思わず声をあげてしまうも、それでも起きてこない。
そして、寝ているのにも関わらずその手がエルシャの胸へと伸ばされた。
もしや起きているのか?と疑うがそれ以上動く事はなく…
ホッと胸をなでおろすエルシャ………ん?
何やら寝言を言っているようだ。
耳をすませて聞いてみるが…
「むにゃむにゃ…やっぱアイリーンのおっぱいはでっけぇな…ふへぇふぇ…」
………
………
………
………
………
ベッドから蹴り落しても良いのだろうか?
~ オラガ村にやってきた侯爵令嬢(完) ~
エルシャの許可を得るとケヴィンが部屋に入ってきた。
「部屋はどうだ?足りないものがあれば言ってくれ、すぐには無理だがなるべく都合するつもりだから」
「ありがとうございます。充分以上に立派な部屋でしたので驚いたくらいです」
「そうか…ならよかったが、遠慮はするなよ」
「それでケヴィン様は何か御用ですか?」
「ああ、昨日は邪魔が入ったからな…」
「邪魔…ですか?」
一体何の事だろうかと考えを巡らせる…
何か話があるのだろうか?
「体調が悪いなら今日は止めるか?」
「いえ、大丈夫です…」
思わず反射的に答えたが…止める?一体何を止めるのだろうか…
まあ、話があるというのであればいくらでも…そんな風に思っていた時もありました。
ケヴィンは「そうか」と笑顔で言うと、突然エルシャの体を抱き上げた。
「へ?」と言う間にそのままベッドルームへ直行。
そしてベッドの上に置かれたのである…
「あの…これは一体」
「ああ、昨日はエルシャの事を大事にしてやれなかったからな。
あれで怖がられて今後の夫婦関係が冷めきってしまっては辛いだろ…」
「あれは…むしろ私の方が心苦しく思っております。ケヴィン様には非はございません」
「そういうわけだからやり直しを要求する」
「聞いておりましたか?」
(どうしよう、ケヴィン様と話がかみ合わない…)
この感覚はあのパーティー以来…いや、あの時よりも更に噛み合っていないかもしれない。
これではまるであの男爵令嬢と話をしている時のような…
そんな事が頭をよぎっていると、ケヴィンは見つめていたエルシャの瞳から目を落とすと真剣な口調で呟いた。
「どうやらエルシャはまだ男心が分かっていないようだな」
「!それは…」
図星であった…
確かにそれはエルシャ自身の欠点とも言える物であっただろう。
そして、もしかしたらそれが理解できずに元婚約者との溝を深めてしまったのかもしれなかった。
(もしかしてケヴィン様はその事を見抜いて…)
確かにケヴィンは軽薄な所はあるがそれだけでない。
鍛錬を行い自己を磨き上げる姿は素直に素敵だと思う。
そして、騎士に対しては厳しく接したがあの侍女は寛容にも許しを与えた。
その二者の差が何だったのか…それはエルシャにはわからないが、きっとケヴィンには何か見えていたのかもしれない。
村に行ったときの事を思いだす。
彼の下には常に人が集まってくる…
村人も、子供達も、軽口を言いながらも彼を慕い笑いあっていた。
それはエルシャにはない何か…
子供達と仲睦まじく遊んでいたケヴィンの姿を思い浮かべる…
そこでエルシャはハタと気が付いた。
もしかしたら…
「!つまり…ケヴィン様は早くお子が欲しいと思ってらっしゃるのですね?」
それならばエルシャとしても拒む事は出来ない…
しかし、ケヴィンはそうは思っていなかった。
「いや、子供はエルシャがこの領に慣れてからでも全然構わないぞ?」
「………では何故?」
「ソレはソレ、コレはコレ。夫婦の営みにより夫婦関係を良好にする努力は必要だと思うんだ。
子供を作る為ではなく夫婦が仲良くなるための儀式だと思ってくれてかまわない(キリッ)」
「…何の違いがあるのですか?」
「ナカかソトかの違いかな…?」
「………???」
「ただまあ"ヤレばデキる"という格言もあるから、うっかり子供が出来てしまう可能性は勿論あるが、その時はその時だ。」
「初めて聞く格言です、博識なのですね」
「だろ?」
何故だろうか…エルシャには目の前の男がタダの猿に見えてきたのである。
いやいやそんなはずは無い、仮にも彼はハーケーン皇国まで留学し学園を卒業した向上心のある男性なのだ。
そんな人間が浅はかなはずがあるだろうか?
女漁りのためにロアヌ山脈を越えるようなアホなどいるわけがない。
エルシャは考え方を変えてみる事にした。
交渉とは譲歩の出し合いである。
一方的に相手に要求するのでは権力や武力による一方的な強迫と変わらない。
ココは一旦自分が譲歩をして…そしてある程度の相手の譲歩も引き出すべきと。
そして、ケヴィンが土下座してヤらせて貰おうとするギリギリの所でエルシャは決断した。
「わかりました…」
「え?」
「ですが条件があります」
不思議な事にケヴィンの事は怖いとは思えても触れられる事が嫌だと思った事は一度もなかった。
そして、あの決闘の時。
反射的にケヴィンを庇い死を覚悟した時…
ケヴィンのその恐ろしさに包まれ、そして守られたのだ。
ただ、昨日の晩のようなやり方では恐ろしいというのも本音である。
「激しいのは…怖いので…」
ケヴィンがこの言葉に「わかった」と答えエルシャを抱き寄せた。
そしてこの後エルシャは後悔する事になるのであった。
………
………
………
体の隅々、髪の先からつま先まで体中のすべてを触れられ、褒められ、キスをされ…
一つ、また一つと承認され支配されていく感覚に歓びを覚えてしまうエルシャ。
体のすべてに愛を囁かれ最後にまた口づけをされた。
今日何度目かわからない口づけ…
少なくとも元婚約者が婚約破棄までの間に行った手の甲へのキスの回数はとうに超えているだろう。
抱きしめられケヴィンのたくましい腕に包まれる…
日々の鍛錬で鍛えられた胸板についつい触れてしまう。
男性の筋肉はもっと硬いものだと想像していたが、意外にやわらかい事に驚くが…
ただ、力強さはありエルシャの細腕では押してもビクともしなかった。
「怖いか?」
エルシャが体を押しているのを離れてほしいのかと勘違いをしたケヴィンが聞いてくる。
「いえ…たくましかったもので…」
その言葉に喜んだケヴィンは少し強めにエルシャを引き寄せた。
「キャッ」と驚きの声をあげるエルシャ。
恐る恐るケヴィンの腰に手を回し緊張しながらも自らも密着していく。
するとエルシャの唇をキスが塞がれ、そのままベッドへ押し付けられてしまった…
どうやら、激しいのは怖いというエルシャの訴えは一瞬で忘れてしまったようだ。
………
……
…
ああ…と思う。
またこの悪夢か…と。
パーティー会場の真ん中で抑えつけられ跪いているエルシャ。
それを囲む聴衆。
エルシャの声は全て声にならず、擁護する声はなく、エルシャへの罵倒のみが何故か聞こえてくる。
あの日からいつも見る夢。
逃げ出したい…投げ出したい…
だが、それをしたら愛すべき民が犠牲になるのだ…
侯爵家の娘、貴族たる自分が背を向けるわけにはいかない…
例えその守っているはずの民からも罵倒されようとも…
この後エルシャはまた全てを失うのだ…
…
…
…いや、それは違う。
何故だかエルシャには自信があった…
そしてその自信は現実となった。
全てを失う前に抱き留められたのだ…
温かい温もりの中でゆっくりと目を覚ますエルシャ。
目を開けるとそこには大きな胸板。
まだ慣れる事はなかったが、しかし昨日とは違い叫び声を上げそうになったりはしない。
ふと顔を上げてみると…夫はまだ夢の中のようだ。
寝顔を見れるのは恥ずかしかったのを思い出した。
昨日の復讐だとケヴィンの顔をマジマジと眺めてみる。
決闘の時の凛々しい顔とは違う無警戒の無邪気な寝顔。
なにやら胸がキュンとするのをごまかすために、ケヴィンのほっぺをツンツンしてしまう。
「んー」
………楽しい。
後ろから斬られても平然と斬り返すような人がこうも自分に無防備を晒すのがとても不思議だ。
会ってからたった二日…
18年かけても作れなかった信頼が、この人にかかればたった二日で作れてしまうのだ。
それがハリボテであってもエルシャには何故だか愛しく思える。
では自分は彼の様に夫を受け入れる事が出来るのかというと…
………練習は必要だろう。
エルシャはキョロキョロと部屋中を見渡す。
勿論そこに誰もいるはずは無いが確認せずにはいられない。
そして、意を決してノー天気な夫の唇に恐る恐ると近づき…
………
チョンと唇と唇を触れさせる。
「………んん」
ケヴィンが唸り声をあげたのでエルシャは高速で後ろを向く。
顔が熱い…胸がドキドキする…
バレたのか?と自分のしでかした過激なイタズラに動揺していると…
「ひゃ!」
突然ケヴィン腕に引き寄せられた。
思わず声をあげてしまうも、それでも起きてこない。
そして、寝ているのにも関わらずその手がエルシャの胸へと伸ばされた。
もしや起きているのか?と疑うがそれ以上動く事はなく…
ホッと胸をなでおろすエルシャ………ん?
何やら寝言を言っているようだ。
耳をすませて聞いてみるが…
「むにゃむにゃ…やっぱアイリーンのおっぱいはでっけぇな…ふへぇふぇ…」
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