追放令嬢とフレポジ男:婚約破棄を告げられ追放された侯爵令嬢はあてがわれたド田舎の男と恋に落ちる。

唯乃芽レンゲ

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2章:新婚旅行は幻惑の都で…(後編)

29.フレポジ夫人と戦いの始まり

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ヒイロ、度々夫の話に出て来るその名は概ねエルシャの中ではトラブルメーカー、問題の元凶、特異点として捉えられていた。
一目会ってその人となりを知りたいと思っていた相手ではあるのだが、まさかこの会場中で満場一致で最強の存在に認定されているとは…

興味深そうに自分の身体をチェックする偽ヒイロ
その目には先ほどのフィフティフの様な憎悪や嫌悪感などは微塵も感じられない。

悪意というものを全く感じられないのだ、寒気がするほどに…

はたして本当にアレと戦う事になるのか疑問である。
しかし、ケヴィン達の様子を見ると明らかに戦いから逃れられないという雰囲気に満ちていた。
戦いを知らぬエルシャにできる事は夫を信じる事だけであった。

「ケヴィン様、これを…」

エルシャはレッグホルダーから隠していた短剣を取り出しケヴィンに差し出した。
普段帯剣などしていない夫であるが、流石に素手で戦うわけにもいかないだろう。
幸い、短剣と言えどもケヴィンから貰ったこの短剣はかなりの切れ味を有しているようなのだ。
ケヴィンも素手よりましだと思ったらしく、その短剣に手を伸ばした。

「ああ、ありが………っ!」

美女から渡される物を受け取らないはずもないケヴィンであったが、その短剣を見た瞬間思わず硬直してしまった。
見覚えのあるものだったのだ。
自分で持っていてもしょうがない代物で適材適所の場所へ押し付けたはずだった短剣。
それを曇りなき眼で差し出して来るエルシャ…

非常にマズい…
何がマズいかと言うとこの短剣がケヴィンに扱えなかった場合、必ず後で厳しい教育的指導が待っているからである。
受け取るか迷ったその時、助け船が訪れた…ドロ船であるが。

「そんな、ナマクラ使えないでしょ…こっちを使いなさい」

そう言ってどこから出したかわからない剣を差し出して来るのは怪盗カルディエ…
そしてそのドロ船…もといその剣に藁にも縋る思いで飛びついてしまった愚者ケヴィン。

「い、いやぁーリーチは必要だよな、やっぱり!」

その場から逃げるように剣を構えるケヴィン。

そしてその後ろの二人の女はというと…

(………ニマァ)
(ムッカー!!!)

バチバチと睨み合いを始めてしまっていた。

(ケヴィン様酷い!!後でぜぇーーーったいに抗議しますからね!!!)

頬を膨らませ徹底抗議を誓うエルシャにライムが駆け寄ってきた。

「エルシャ様、ここは戦場になります…下がりましょう」
「わかりました…」

エルシャはそれに従い渋々と壁際へと下がっていった。

ひと悶着終え、改めて『鏡の魔物』と対峙するケヴィンとカルディエ。
それに対するのはケヴィンの友であるというヒイロの姿をした青年。
その姿を見てエルシャはその悪意を感じない姿に思わず呟いた。

「ライムさん…あれは本当に邪悪な存在なのでしょうか?」
「エルシャ様は邪神の僕を見るのは初めてのようですね」
「………???」
「私たちにとっての邪悪はあいつらにとってはそうではないのですよ…」
「それはつまり…」
「ええ、奴らは善意で人を滅ぼします…」

エルシャの背筋に冷たいものが走る。
善悪の定義が違う相手…そんな相手と話が通じるとは思えない。
それはつまり戦いによっての解決をできないエルシャは全くの無力と言われているのと同義であった。

そうこうしている内に事態は動いていた。
動きを見せたのはケヴィン達ではなく、そして偽ヒイロでもなかった。
いつの間にか忍び寄っていたミケーネとラビーニャ…二人が突然駆け出し偽ヒイロへ攻撃を仕掛けたのだ。

「ミケーネ、援護!」
「はいにゃ、『魔法の矢(マジックアロー)』!!」

ミケーネが放ったいくつもの魔力の矢が偽ヒイロを襲う。
偽ヒイロはそれをいとも簡単に避けて見せるが、それを見越していたかのようにラビーニャが凄まじい跳躍により距離を詰めた。
どうやらミケーネは魔法、ラビーニャは格闘を得意とするらしい。
距離を詰めたラビーニャの拳が偽ヒイロへと振りぬかれた。

目にもとまらぬ拳の雨にまわし蹴り…
しかしその全てを避けると今度は偽ヒイロがラビーニャに対して反撃を仕掛けて来た。
しかもそれはまるでラビーニャの攻撃をそっくりそのまま返すように…
そしてそれは明らかに偽ヒイロの方が勝っていた。
偽ヒイロの拳がラビーニャのガードを誘い、そのガードに構わずまわし蹴りを入れる…
ラビーニャの身体はガードをものともせずにその強力なまわし蹴りで吹き飛び、ミケーネをも巻き込んで二人一緒に会場の壁に叩きつけられてしまった。

「くぅっ!」「ぐにゃぁっ!」
「ラビーニャさん!ミケーネさん!」

咄嗟に駆け寄るエルシャ。
そこには悲痛な顔の二人が横たわっていた。
腕をだらんとさせるラビーニャと、そのラビーニャを壁の激突から庇うためにクッションになったミケーネ。
すぐさま回復魔法による治療を始めた。

「エメルさん…回復魔法が使えるのですか?」

腕の治療をしてもらうラビーニャが驚いた顔で質問した。

「ええ、応急処置程度のものですが…」
「…そうでしょうか、その割には痛みが殆ど消えてるような?」
「思ったより傷が浅かったようですね…良かった」

絶対に折れたと思っていた腕をグーパーさせるラビーニャ。
続いて治療を受けるミケーネも腰が砕けたかもしれないと思っていたのに痛みがみるみる消えて驚いてしまう。

((本当に…一体何者なんだこの人???))

二人の中でエメルという人物に対する謎が深まるばかりであった。
ともあれ、二人のミッションは一応は達成された。
ラビーニャもミケーネも、あのヒイロに対して一矢報いる事が出来るなどとは思ってはいない。
しかし、それでも自分達が攻撃を仕掛けた理由…
それはケヴィンや他の騎士達にあの偽ヒイロがどの程度ヒイロという人物をコピーしているのかを見せるため…
いわば情報収集のための攻撃だったのだ。

エルシャもミケーネの治療をしている間にチラリと中央に目を向けた。
この分だと夫の戦闘は避けられないのだろう。
ただただ生きて欲しいと願うのだが…

(………???)

ゾクリとするような感覚…
それは偽ヒイロによるものであった…
エルシャの方に目を向け、笑ったのだ。

それは二人を吹き飛ばした事による勝利から来るものではない。
明らかにエルシャに向けられた不気味な笑み…
臆してはならぬと睨み返すが偽ヒイロはエルシャに興味を持ったらしく、体をそちらに向け近づこうとした。

………その時である。

「ハァッ!!!」

会場の人間全てが偽ヒイロの行動に注意が向いたその瞬間、ケヴィンが一瞬で間合いを詰め剣を振るったのだ。
これに反応できるはずがない…普通の人間であれば。

だが、偽ヒイロはまるでそれが来ることを予知していたかのように、「クリエイト・ソード」と呟き、地面から一本の剣を引き抜き、ケヴィンの渾身の不意打ちは偽ヒイロが片手で持った剣でいとも簡単に受け止められた。
ケヴィンが一瞬、ギリッと苦虫を食い潰したような顔を見せるが予想をしていなかったわけでもない。
すぐに切り替え次のアクションを起こした。

ペッ!

不意に偽ヒイロの顔めがけて唾を吐きかける。
予想もしていなかったそのケヴィンの行動に思わずその唾を避ける偽ヒイロ。
体勢が一瞬崩れた所に二の太刀、三の太刀を浴びせていく。

キンッ!キンッ!キンッ!

エルシャの目ではとても追いきれない程の鋭い剣戟。
しかし、最初は意表をついて優位に進めていたケヴィンが段々と押されるようになっていき次第に後退する程になっていった。

一歩、また一歩と前へと攻勢を強める偽ヒイロに顔を歪めるケヴィン。
会場中の騎士達もたまらず飛び出そうとするが…その瞬間ケヴィンの表情が変わった。

ニヤリ

そして女の声が響いた。

「ケヴィン、飛んで!!」
「おう!」

その声を信じ、偽ヒイロに目もくれずにその場から飛び退くケヴィン。

「『びっくり箱』オープン!!」

すると偽ヒイロの足下に魔法陣が浮かび上がり…
次の瞬間。

ドゴォーーーーーーン!!!!!

偽ヒイロの足下から上方へと爆発が起こったのだ。
突然の爆発に耳を抑えながらオロオロとするエルシャ。

「え、え???何が起こったのですか?」
「カルディエが仕掛けた設置型のトラップですね、ケヴィン様が上手く誘い込んだようです」

なにか打ち合わせをしたようには見えなかったのにこの連携。
少々モヤモヤする事はあるのだが、しかしここまで奇麗に相手を罠に誘い込む手際は見事という他なかった。

ケヴィンにしても最初からあのいけ好かない相棒に不意打ち以外で敵うとは思っていなかった。
だからこそカルディエの動きに合わせ釣り役に徹する事にしたのだが…

「やれたかしら?」
「ヒイロならあれだけでは倒せないはずだ。注意しろ」

もうもうと煙が上がるのを見たカルディエの呟きを即座に否定する。
煙の中を警戒し、動きを見せればすぐにでも反応できるよう剣を構える。
そして動きは煙が晴れる前に訪れた。

中から人影が動く。
その方向からケヴィンもすぐに反応した。

「カルディエ、来るぞ!」

偽ヒイロはカルディエの方へと姿を見せたのだ。
ケヴィンも援護の為にすぐにそちらへと駆け寄るのだが…

「違う!ケヴィン!!!」
「何…しまっ!!」

カルディエの前に現れた黒髪の青年であったが、その姿はすぐに霧の様に掻き消えてしまった。
幻術の類だったのだろう。
まんまとひっかかったケヴィンはその注意が煙の中心からそれてしまった。
その隙をついて今度はケヴィンの方へと黒髪の青年の姿が現れた。

そして、まんまと懐に潜り込まれ偽ヒイロの剣がケヴィンを襲う。

ガキンッ!!!!

なんとかそれを剣で弾くのだが、その力強い一撃に剣が跳ね上げられ懐が完全に無防備になってしまった。
そこに、今度は偽ヒイロの蹴りが突き刺さった…

常人なら体が粉々になってしまうのではないかと思わせるその蹴りで、ケヴィンは吹き飛び壁に叩きつけられた。

「ケヴィン様!!」

思わずエルシャがケヴィンへと駆け寄りすぐさま治療を施す。
偽ヒイロは追撃で魔法を打ちこむつもりだったのか、ケヴィンに向かって手を掲げていたのだが、

「ケヴィン殿を守れ!」

その命令と共に会場にいた騎士達が偽ヒイロの追撃を遮るかのように壁になり防御結界を張った。

偽ヒイロも一瞬考える素振りをみせ、どうやら追撃を止めたようだ。
代わりに選んだのは違う魔法であった。

『クリエイト・ゴーレム』

その魔法と共に地面から石の人形たちが想像された。
高度な技術なはずのゴーレムをいとも簡単に…それも複数体作り上げるその力。
現れたゴーレムの群れを見てエルシャは思わずケヴィンにぼやいてしまった。

「でたらめですね…」
「だろ?あんなのと二十年近く相棒やってる俺をもっと褒めて欲しいんだよ…」

痛みを堪えながらため息をつくケヴィン。
自分の相棒の人外っぷりを再確認するのであった。
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