それでもなお日の当たる道を行く

たらこ

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 初めて目にした女性器は姉のものだった。
 そこがどのような作りになっているのかまでは分からなかった。夜の暗さに慣れた目にも、その辺りが闇より黒い色に染まっていることしか見えなかった。

 姉はほとんど裸で、ボタンを全て外されたブラウスと乳房の上まで捲り上げられたブラジャー、紺色の靴下だけがかろうじて体に残っているだけだった。

 下半身が裸なのに大きく脚を開き、横たわったままぴくりともしない体。
 大事にしていたはずの長い黒髪は乱れ、土の上でぼさぼさに広がっていた。
 顔は腫れ上がっていた。鼻から口の辺りが黒い血に染まり、目は大きく見開かれていた。どれだけ待っても、その目が瞬きすることはなかった。

 泣き叫ぶ母の声が耳に届いたのは、姉の死体を見つけてからしばらく経ってからだったと思う。
 あのときの母は、もう狂っていたのかもしれない。娘の体に縋るでもなく、娘の裸を隠すでもなく、ただ地面にへたり込み、何度も何度も奇声のようなものをあげて泣き叫び、髪を掻きむしっていた。その隣に立ち尽くし、晃は奇妙な光景をぼんやりと瞳の表面に映していた。
 寒い季節だった。
 コートを車に忘れていた。晃の体は凍え、冷え切っていた。それに後ろの穴は酷い犯され方をした直後で、ズキズキと激しく痛んでいた。

 まだ八歳。

 幼い体を同性である男から犯され、姉をなぶり殺され、あの日から人生が狂い始めた。

 あまりにも早い、子供時代の終わりだった。
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