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蜜
二
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しばらくプリントをやっていたが、
「おい」
声をかけられて、手が止まった。
「なに」
不機嫌そうに顔を上げる。
戸川は明らかに呆れた顔をしていた。
「それもしかして途中のプリントからやってないか?」
急にやっていたプリントを取り上げられる。
「あ、何すんだよ」
取り返そうと腕を伸ばすが届かなかった。
「やっぱり。お前途中からやってる。ナンバー1のプリントからやったほうが簡単だぞ」
「そもそも古典の全部が分からない俺はどこからやっても変わんねーよ」
それを聞くと、教えてやったのに、と言いたげな顔をされた。
そこから、問題が間違っているだの、文をよく読めだの、ここは記号で答えろだの多くのダメ出しをくらった。
早く帰りてぇよー
もう今にも泣き出しそうだった。
俺より偉い生徒なんてこの学校に絶対いないだろ!
不満が溜まってくれば、それはいずれ態度や行動に出る。
字が雑になってきていることに気づいた。でもやるだけ偉いだろ。
と、急にチョップが頭にかまされた。
「いってぇー!何すんだよ!」
勢いよく顔を上げれば、目の前には生意気そうに座るそいつがいる。
「ここの問題飛ばしてる。戻って」
思い切り睨みつけてもガン無視だ。
「もしかして分からなくて飛ばした?」
ただ忘れてただけだったけど悔しくて分からなかったから飛ばしたということにした。
「目の前にいるんだからすぐ聞けよ」
睨まれれば自然と目を逸らさざるを得なかった。
こんな細い目で睨まれても怖いだけだろ。
「ちょっと対面で説明すんの難しいから椅子持ってこっち来て。俺の隣」
お前が来ればいいのに。言いたかったが我慢して言われる通りに移動した。
「ここ簡単じゃん、最初の文ちゃんと読んだ?めんどいから飛ばした?まぁいいや」
ぐちぐち言いながら、説明し始める。
「えーっと......あ、貸して」
いいとも言ってないのに勝手にペンを取られる。
「この問題はここの文を読んでから解くんだけど......」
プリントを見ながら説明をしている戸川。
ちゃんと説明してくれているのに俺は、先ほどよりも距離が縮まったことにばかり意識の方がいく。
こんなに近づいたのは初めてかも。いやネクタイ掴んで引き寄せた時が1番近かったか。
横を向くと、一生懸命説明しているあいつが目の前にいるのだ。
自分が見られているとも分からず熱心に説明をしている。
「読む文、こっちの文と間違いやすいんだけど......」
戸川が椅子に座りなおす。
動いたからか、柔軟剤の匂いがしてきた。
にしても横から見ても長いまつげ、高い鼻、すげぇな......
女子から密かに人気があるっていうのは聞いたことあるけど、こりゃあマジかもな。
「うん、まぁこんな感じ。やってみて」
急にペンを渡される。
「えっ、あ......」
「え、じゃねーよ。聞いてなかったのか?」
聞いてなかったけど、そんな正直に言ったらこれ殺されるよな?
ってか俺はなんで戸川のことばっかり気にしてんだ?!
顔見たり、仕草とか見たり、表情とかもよく見てるし、自分がおかしい。
いつまで経っても問題に取り掛からない俺を見て呆れたのか笑い出した。
「何がおかしいんだっ!」
ムキになって怒れば、
「俺の顔ばっか見てて説明聞いてなかったって正直に言えばー?」
と意地悪そうに笑われる。
「なっ!」
気づいてやがったのか!
「おい」
声をかけられて、手が止まった。
「なに」
不機嫌そうに顔を上げる。
戸川は明らかに呆れた顔をしていた。
「それもしかして途中のプリントからやってないか?」
急にやっていたプリントを取り上げられる。
「あ、何すんだよ」
取り返そうと腕を伸ばすが届かなかった。
「やっぱり。お前途中からやってる。ナンバー1のプリントからやったほうが簡単だぞ」
「そもそも古典の全部が分からない俺はどこからやっても変わんねーよ」
それを聞くと、教えてやったのに、と言いたげな顔をされた。
そこから、問題が間違っているだの、文をよく読めだの、ここは記号で答えろだの多くのダメ出しをくらった。
早く帰りてぇよー
もう今にも泣き出しそうだった。
俺より偉い生徒なんてこの学校に絶対いないだろ!
不満が溜まってくれば、それはいずれ態度や行動に出る。
字が雑になってきていることに気づいた。でもやるだけ偉いだろ。
と、急にチョップが頭にかまされた。
「いってぇー!何すんだよ!」
勢いよく顔を上げれば、目の前には生意気そうに座るそいつがいる。
「ここの問題飛ばしてる。戻って」
思い切り睨みつけてもガン無視だ。
「もしかして分からなくて飛ばした?」
ただ忘れてただけだったけど悔しくて分からなかったから飛ばしたということにした。
「目の前にいるんだからすぐ聞けよ」
睨まれれば自然と目を逸らさざるを得なかった。
こんな細い目で睨まれても怖いだけだろ。
「ちょっと対面で説明すんの難しいから椅子持ってこっち来て。俺の隣」
お前が来ればいいのに。言いたかったが我慢して言われる通りに移動した。
「ここ簡単じゃん、最初の文ちゃんと読んだ?めんどいから飛ばした?まぁいいや」
ぐちぐち言いながら、説明し始める。
「えーっと......あ、貸して」
いいとも言ってないのに勝手にペンを取られる。
「この問題はここの文を読んでから解くんだけど......」
プリントを見ながら説明をしている戸川。
ちゃんと説明してくれているのに俺は、先ほどよりも距離が縮まったことにばかり意識の方がいく。
こんなに近づいたのは初めてかも。いやネクタイ掴んで引き寄せた時が1番近かったか。
横を向くと、一生懸命説明しているあいつが目の前にいるのだ。
自分が見られているとも分からず熱心に説明をしている。
「読む文、こっちの文と間違いやすいんだけど......」
戸川が椅子に座りなおす。
動いたからか、柔軟剤の匂いがしてきた。
にしても横から見ても長いまつげ、高い鼻、すげぇな......
女子から密かに人気があるっていうのは聞いたことあるけど、こりゃあマジかもな。
「うん、まぁこんな感じ。やってみて」
急にペンを渡される。
「えっ、あ......」
「え、じゃねーよ。聞いてなかったのか?」
聞いてなかったけど、そんな正直に言ったらこれ殺されるよな?
ってか俺はなんで戸川のことばっかり気にしてんだ?!
顔見たり、仕草とか見たり、表情とかもよく見てるし、自分がおかしい。
いつまで経っても問題に取り掛からない俺を見て呆れたのか笑い出した。
「何がおかしいんだっ!」
ムキになって怒れば、
「俺の顔ばっか見てて説明聞いてなかったって正直に言えばー?」
と意地悪そうに笑われる。
「なっ!」
気づいてやがったのか!
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