★謎の薬と伝えたい気持ち★

羅刹十鬼

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7章 あぁ、もう!武元のせいで!

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広樹「おーい、聞いてんのかー?」
答えが気になるのか、広樹はしつこい。
領真「……君には関係ないよ」
広樹「何でー?そんなに教えたくないのか?」
どうしても聞きたいのか、諦めない様子の広樹。
領真「でも、武元が早くどっかに行って良かったね。僕、何されるか分からなかったから安心したよ」 
領真はあからさまに話をそらした。
広樹「そうだよなぁ、あいつ面倒だもんな……って話をそらすな!」
領真「バレたか」
頭を洗い終わった領真は先に出てることにした。
広樹「え、お前もう終わったの?早くね?今まで喋ってるだけかと思ってたけど……」
領真「僕は君と違うからね。っていうか、比べられるのもちょっと嫌だ」
お風呂場に広樹を残して、脱衣場に入った領真。
それにしても……困ったなぁ。
どうやって女になっちゃったんだ、なんて聞かれて本当のことを話しても信じてくれないだろう。
とにかく、このことは広樹に絶対言わないようにしよう。
着替え終わって、待っていようと思い、近くにあった椅子に座る。
それにしても、広樹には早く自分の気持ちが伝わってほしいな。っていうか、ちょっと言ってるつもりなんだけど……全然気付いてくれない。
と、突然……後ろから恐ろしい気配を感じ取った。
振り返るとそこには、先に体育館に戻ったはずの武元が立っていた。
驚きのあまり、座っていた椅子から立ち上がる。
領真「お前、何やってんだよ。先に出たんじゃなかったのか?」
武元「……バレちゃったか~でござる!領真の着替え姿を見たくて戻ってきたんだけど……間に合わなかったでござる!」
ってことは、今脱衣場に来たばかりなのか。
武元「一旦体育館へは戻ったけど、2人の着替え姿を見たかったから戻ってきたんだけどねー!まぁ……まだ広樹がいるし、いっか」
戻ってこなくて良かったのに……と心の中で思う領真。
領真「あっそ。でも広樹はまだ出てこないと思うよ」
武元「何ででござる?それだったら出てくるまで待ってるでござる!」
武元はそう言うと、近くにあったロッカーの中に入った。
領真「おい、何やってんだ?」
武元「出てくるまでこの中で待ってるでござる。ちょうど、ロッカーの上には穴があいてるからそこから見えるでござる。こっちの姿は見えないで、あっちの姿だけは見える。いいでござるね~」
この武元の言葉に本当に武元は変態なんだなと改めて思った。
領真「やめろよ。可哀想だろ」
武元「何を言ってるでござる。本当は領真も覗くつもりだったんでござろう?」
領真「ち、違う!待ってようと思っただけだし!お前と一緒にするな!」
ムキになって否定する。
武元「何を言ってるでござるか。本当は見たかったんでござるよね?」
領真「違うって言ってんだろ!大体、僕はあんな奴の着替え姿を見るくらいだったら自分のを見たいよ」
実際に広樹の着替えシーンを頭の中で浮かべる。……いや、ないな。っていうか僕はあいつの着替えを見たいわけじゃないし。
武元「……!早く入るでござる!」
何かに気が付いたのか、武元はロッカーを開けて領真を中に入れた。
領真「ちょっ、ちょっと!?」
武元「広樹が出てくるでござる。おとなしくするでござる」
武元がロッカーの中に領真を無理矢理入らせた何秒か後に、広樹が風呂場から出てきた。
武元「静かにするでござるよ。喋ってもすごく小さな声で喋るでござる」
ロッカーの中は結構広かった。
本当は武元とこんなところに入っていたくなかったが、今ここから出れば広樹に怪しまれる。だから、嫌でもここにいるしかなくなった領真。
武元「あぁ~、タオル巻いてるでござるねー」
武元はロッカーにある穴から覗いている。こんなの広樹に見つかったら……考えただけでも怖い。
もしバレたら広樹はどういう反応をするだろうか。
僕も武元をどかして、ロッカーの穴から覗いてみる。
でも広樹はいなかった。
武元「お風呂場に入っちゃったでござる」
領真「ちっ……」
武元「やっぱり見たかったんでござるね。それなら僕に言ってくれれば協力したのに」
何も言わずに武元を睨む。
領真「あぁ、もう。お前のせいで出づらくなったじゃないか」
だが、いっこうに広樹が出てこない。
武元「さては……中で着替えてるでござるね……これじゃあ見れないでござる」
武元が残念そうに言う。
領真「中で着替えてるって?」
武元「そうでござる。あぁ、せっかく裸が見れると思ったのに……」
領真「今のうちに出てもバレないよな?」
武元「出るんでござるか?」
領真「いつまでもお前とこんなところにいたくないからね」
そう言って出ようとする。
だがいいタイミングで広樹が出てきた。
風呂場から出てきた時、もう既に服を着ていた。上にはジャージを着ている。
武元「ドンマイ!これでしばらくは出れなくなったでござるね。なら、僕が出るタイミングを教えてあげるでござるよ」
領真「……どうも」
感謝の気持ちもこもっていない言葉を返す。
広樹「ちぇっ、領真の奴待っててくれなかったのかぁ」
そんな独り言を呟いて、ロッカーの前に歩いてくる広樹。
広樹「もしかしてまだここにいたりして……さがしてみーよっと!」
広樹は脱衣場を見渡す。ロッカーの目の前に立っているので、バレないかと不安になった。
武元「ぜ~ったいに!音を出すなでござるよ!」
領真「わ、分かってる」
めっちゃくちゃ小さな声で会話する僕と武元。
広樹「いるわけないな……うん。早く戻ろっと」
広樹はそう呟いて出口に向かう。
しかし……広樹に見つかるかもしれないという不安がなくなって気がゆるんだせいか、僕はロッカーに手をぶつけてしまった。
武元「なっ!?なななななにをやっているでござるかあああっ!」
領真「ご、ごめん……!」
武元「これは……大失態ですぞ!」
何度も謝るが、広樹にも聞こえていたらしく、ロッカーの前にもう一度戻ってきていた。
広樹「……誰かいんのか?」
武元が僕の背中を押してくる。それに耐えながら、広樹がどこかに行くことを願った。
武元「領真が音をならしてしまったんだから、領真が責任を持つべきでござる!」
領真「ふざけんな!元はといえばこんなことに巻き込んだお前の……」
その瞬間、僕はロッカーの外に放り出された。武元の力に耐えるのも限界だったようだ。
暗いロッカーの中にいたせいか、明るい脱衣場に出て自然と目が細まった。
広樹は急にロッカーの中から出てきた僕の存在に驚きを隠せないでいる。
みんな、ロッカーから出てきた僕が広樹を巻き込んでどのようになったか分かるだろうか。
いつも広樹に押し倒されていた僕がついに今日、広樹と立場が逆転したのだ。
嬉しいが……いや、こんな状況でも僕は嬉しいといえるの……?
広樹「……どうしたんだよ」
なんて答えたらいいか分からず、下を見る。だが、あることに気付く。
え、ジャージの下……何も着てないのぉっ!?下着も着ないでそのまま、ジャージを着てる!?今まで気付かなかった。まぁ、ロッカーの中にいたから分かるはずもない。
領真「え…あ、いや!別に何でもない……!」
それにしても、最近こんなに近寄っていなかったからあまり分からなかったが、亜伊に傷つけられた頬はまだ治っていないようだ。
広樹「この前の仕返しか?」
領真「な、何のことだよ」
広樹「いっつも、こうなる時って俺が上だったからたまには上になってみたいって思ったんだな?」
まぁ…確かにそうだけど……ってそんなわけあるかぁー!
領真「っていうか武元っ!お前……」
振り返って武元の姿を確認しようとしたが、なぜか消えていた。
領真「あれ?武元は!?」
忽然と消えた武元。もしかして逃げた!?
広樹「武元ってもうとっくに体育館に戻ったんだろ?いるわけねーじゃん」
領真「……お前さぁ、僕が領子の時と僕が本当の僕の時とで、ずいぶん接し方が違うよな」
広樹「何だよ、突然」
領真「領子の時は優しかったのに……それって酷くないか?」
相変わらず、僕は広樹に床ドンしているような格好になっている。
誰かがもしここに来れば、恐ろしいことになるだろう。
それを分かっているのに……僕は広樹から離れられない。
広樹「当たり前だろ。中身が同じでも外見は男と女なんだからさあ。俺、女子には優しく接するよー」
領真「お前は本当に女子が好きなんだな」
広樹「もっちろんっ!」
なんか……広樹が僕の気持ちに気付いたとしても、ふーんそうなんだって感じで終わりそうだな。
呆れて広樹から離れた。
広樹「っていうか領子ちゃんと同じように接してほしいの?なにそれ、ヤキモチ?」
領真「なわけないッ!だって領子は領子でも中身は僕なんだよ?」
広樹「でも、最近優しく接してもらえなくなったからまた優しく接してほしいと?」
違うって言い返したいけど……言い返せない……
広樹「最近お前、ムキになってるよな。この前は冷静にそんなことあるわけない。僕にはこの僕がいるからとか言ってたのに、最近はムキになって否定する」
領真「だから何だ」
広樹「ムキになって否定すると、はいそうですって肯定してるようなもんと同じだよ」
いつもより優しい広樹の声に僕は驚いた。
広樹「それと、領真って俺のこと広樹って呼んでくれないよなぁ……」
領真「そりゃあ言いたくないからね」
吐き捨てるように僕は言った。
広樹「もしかして俺のこと嫌いなの?」
…………。
いつもの明るい笑顔で僕に問いかける彼の目は笑っていなかった。
広樹は本当に僕の気持ちに気付いていないのか……気付いているだけで何も思わないだけなのか。それとも、気付いててこんなことを言っているのだろうか。
でももし、気付いているのなら意地悪だ。
領真「なぁ、気付いてるなら教えてくれよ。どう思う?」
広樹「は?なんのこと?」
果たして彼は本当に知らないのか。
いや、でも……ここまできて気付かない馬鹿はいないだろ。
広樹「ってか話そらすなよ!俺のこと嫌いなのーー?」
領真「何で分からないの?」
広樹「え……」
僕はさっきの床ドンをした体勢に戻った。広樹に自分の気持ちを伝えるために。
広樹「何で分からないのって?どういうこと?俺のこと嫌いってこと?」
領真「違うよ」
広樹のジャージをめくる。チャックは元々あいていたので、あける手間がはぶけた。
広樹「な、何やってんだよ……!離せって!」
領真「ねぇ、考えてみて?もし僕が君のこと嫌いならこんなことしてないでしょ?」
広樹「ってことは、俺のこと……」
領真「そうだよ」
そう言ってジャージを思いっきりめくろうとしたが……
脱衣場の入り口が開かれ、邪魔者が来てしまった。


そこに立っていたのは、龍二と武元だった。
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