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78話 建業城の戦い終結
しおりを挟む「攻撃開始!」
建業城の城壁目掛けて簡易投石機から石が放たれる。
投石機の石は放物線を描いて飛んでいき城壁を崩す。
「衝車!」
公蓋の命令のもと、大きな丸太を抱えた生きた鉄像が城壁門に突撃する。
全身が鉄なので、防御にあまり手間をかけなくていいのは大きい。
かんかんと矢の当たる音、熱湯だか熱油だかが湯気を上げて降りそそぐが、どれも効果はない。
どごん
何度目かの丸太の突撃が決まったところで門が半壊する。
鬨の声が、同時に城壁内から怒号と黒煙があがる。
張僚が内部の不満勢力を煽って反旗を翻させたのだ。
「コンダラゴーレム。城壁門排除だ」
環寧の掛け声とともにコンダラゴーレムが城壁門に向かって歩き出す。
そして、目に見える手伝いは城壁門の破壊以上のことはしないというのが取り決めだ。
コンダラゴーレムが歪んだ城門壁に手をかけ、引き剥がす。
「突撃!」
僧操の命令のもと、騎兵が城壁内へとなだれ込み、それに歩兵が続く。
一時間もすると、城壁内の黒煙の柱が一本三本と増えていく。
戦いの趨勢は決していた。
「孫蚊、討ち取ったり!」
城壁内を大声で走る者が出始めるころ、菜緒虎がワ国鎧の意思を持つ鎧を引き連れて環寧たちの元に帰還する。
「お勤めご苦労さまです」
環寧と公蓋が菜緒虎に向かって深々と頭を下げる。
「げぼ、仲間が増えた。意思を持つ鎧という魔物だからそのつもりで」
「飛虎音と申す今後ともよろしく」
飛虎音は深々と頭を下げる。
「「はっ」」
環寧も公蓋も動じることなく、再び菜緒虎に向かって深々と頭を下げた。
「此度の助力、感謝する」
そういって僧操は深く頭を下げる。
それに倣い他の僧操の部下も頭を下げた。
「こちらこそ、ありがとうございます。またお会いしましょう」
菜緒虎と環寧が応じるように頭を下げる。
そして菜緒虎たちは船に乗り込む。
また、帰国に合わせ、新たに猫耳人顔の猫人の少年を仲間に加えていた。
彼の名は張寅13歳。張僚の次男。名目はソウキ国への留学。
彼が菜緒虎に会ったときの第一声が、「コンダラゴーレムが手に入るまで国には戻らぬ覚悟です」だったという。
大陸歴3187年。魏府国の東呉州の元州牧である孫蚊が起こした反乱は、首魁である孫蚊が討たれたことで終結した。
孫蚊に恭順した東呉州の会景郡の太守劉鉦、南晩州公止郡の太守厳舜と武領郡の太守歩執は僧操配下の火候、張僚が率いる軍によって鎮圧。
三人は処刑された。
そして後任の太守として任命されたのは、僧操の対抗派閥で猿人の猿紹配下の役人だった。
この人事に僧操派閥の人間は大いに憤ったが、僧操は、この人事が王家による自分を討伐するための餌撒きであることに気付いていた。
いまは生き残るため地力を貯める。
魏府国崩壊の芽が芽吹いた瞬間でもある。
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