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15話 ナオ、菜緒虎という名前を拝命する
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パチン、パチン
かがり火の薪が、音を立ててはぜる。
祭壇には、今年このソウキ領で獲れた野菜や穀物、近隣の山野で狩った動物が供えられている。(リベッチオが採ってきた恵みの樹の実もある)
祭壇の一番前には綺麗なローブを纏ったアルテミスが祓串を振りながら祝詞(恵みを天に感謝する言葉であり神に感謝するものではない)を唱えている。
その後ろに立派な服を着て正座するリュウイチがいて、その後ろにナオたち5人のエルフが並んで座り、さらにその後ろにトロールの悪韋が、胡坐をかいて座っていた。
「原始宗教ってやつか」
悪韋がぼそりと呟くが、ナオたちは足がしびれていてそれどころではない。
一通り自然への感謝の言葉を読み上げたアルテミスは、小さな杯を配り茶褐色の液体を注ぐ。
リュウイチがグイッと飲み干すと、ナオたちが続いて飲み干す。
「ほう…紹興酒っぽいな」
ブツブツと、悪韋の呟きが止まらない。
全員が杯を飲み干すのを確認したアルテミスは、再び祭壇に向かって祓串を振る。
それで儀式は終了した。
「続いてナオの改名を行う。ソウキ様」
「うん」
アルテミスに促されリュウイチは、手元にある羊皮紙に筆で文字を書き込む。
そして、ちらりと悪韋に視線を送る。
悪韋はニッコリ笑って指でOKサインを出す。
「ナオ。貴女のこれまでの貢献と忠誠を鑑み菜緒虎の名を授けます」
リュウイチは、菜緒虎と書かれた羊皮紙をナオ改め菜緒虎に渡す。
「謹んでお受けいたします」
菜緒虎は、羊皮紙を掲げるようにして受け取る。
もっとも、名前は、菜緒虎が自分で決めて悪韋のアドバイスを受けそれらしいワ国の文字をあてたモノなのだが。
「つぎに、菜緒虎、リベッチオ、エル、アール、アルファ、悪韋の6人の我が領への移住を正式に認めます」
リュウイチの言葉に、6人は深く頭を下げる。
「では宴を始めましょう」
リュウイチの言葉で、8人は円を囲むように坐りなおす。
アルテミスがポンポンと手を叩くと、スケルトンが料理を持ってアルテミス以外の所に配膳をしていく。
「乾杯」
リュウイチは恵みの樹の実のジュース、他はエール酒で杯を合わせる。アルテミスはガイコツなので杯を合わせるだけで嗜んではないというか飲めない。
「食事をしながら聞きなさい。アルファの北部の情報とエルとアールのソロモンでの情報から…今年こそ北部からの難民がこのソウキ領に押し寄せてくるでしょう」
アルテミスの言葉に、白髪、蒼眼の痩身の男エルフ、アルファが小さく頷く。
アルファの髪の色はもともと金髪だったが、男…とてつもない恐怖を体験したらしく一晩で白髪になったのだ。
「助けるのですか?」
「忠誠のない労働力はいまは要らない。欲しいのはある程度の戦闘力と指揮官としての資質がある人間だな。菜緒虎とリベッチオでは足りない」
残念そうな口調で、アルテミスは呟く。
「難民に身を落とす人間だから優秀ではない…とは限らない。菜緒虎、リベッチオという当たりを引いたばかりだからね」
リュウイチの高評価に菜緒虎とリベッチオはテレテレと笑う。
「有能ならスカウト。ダメなら…まあそのときはそのときで、敵対するようなら容赦せずで」
ソウキ領の今しばらくの対外指針が決定した。
かがり火の薪が、音を立ててはぜる。
祭壇には、今年このソウキ領で獲れた野菜や穀物、近隣の山野で狩った動物が供えられている。(リベッチオが採ってきた恵みの樹の実もある)
祭壇の一番前には綺麗なローブを纏ったアルテミスが祓串を振りながら祝詞(恵みを天に感謝する言葉であり神に感謝するものではない)を唱えている。
その後ろに立派な服を着て正座するリュウイチがいて、その後ろにナオたち5人のエルフが並んで座り、さらにその後ろにトロールの悪韋が、胡坐をかいて座っていた。
「原始宗教ってやつか」
悪韋がぼそりと呟くが、ナオたちは足がしびれていてそれどころではない。
一通り自然への感謝の言葉を読み上げたアルテミスは、小さな杯を配り茶褐色の液体を注ぐ。
リュウイチがグイッと飲み干すと、ナオたちが続いて飲み干す。
「ほう…紹興酒っぽいな」
ブツブツと、悪韋の呟きが止まらない。
全員が杯を飲み干すのを確認したアルテミスは、再び祭壇に向かって祓串を振る。
それで儀式は終了した。
「続いてナオの改名を行う。ソウキ様」
「うん」
アルテミスに促されリュウイチは、手元にある羊皮紙に筆で文字を書き込む。
そして、ちらりと悪韋に視線を送る。
悪韋はニッコリ笑って指でOKサインを出す。
「ナオ。貴女のこれまでの貢献と忠誠を鑑み菜緒虎の名を授けます」
リュウイチは、菜緒虎と書かれた羊皮紙をナオ改め菜緒虎に渡す。
「謹んでお受けいたします」
菜緒虎は、羊皮紙を掲げるようにして受け取る。
もっとも、名前は、菜緒虎が自分で決めて悪韋のアドバイスを受けそれらしいワ国の文字をあてたモノなのだが。
「つぎに、菜緒虎、リベッチオ、エル、アール、アルファ、悪韋の6人の我が領への移住を正式に認めます」
リュウイチの言葉に、6人は深く頭を下げる。
「では宴を始めましょう」
リュウイチの言葉で、8人は円を囲むように坐りなおす。
アルテミスがポンポンと手を叩くと、スケルトンが料理を持ってアルテミス以外の所に配膳をしていく。
「乾杯」
リュウイチは恵みの樹の実のジュース、他はエール酒で杯を合わせる。アルテミスはガイコツなので杯を合わせるだけで嗜んではないというか飲めない。
「食事をしながら聞きなさい。アルファの北部の情報とエルとアールのソロモンでの情報から…今年こそ北部からの難民がこのソウキ領に押し寄せてくるでしょう」
アルテミスの言葉に、白髪、蒼眼の痩身の男エルフ、アルファが小さく頷く。
アルファの髪の色はもともと金髪だったが、男…とてつもない恐怖を体験したらしく一晩で白髪になったのだ。
「助けるのですか?」
「忠誠のない労働力はいまは要らない。欲しいのはある程度の戦闘力と指揮官としての資質がある人間だな。菜緒虎とリベッチオでは足りない」
残念そうな口調で、アルテミスは呟く。
「難民に身を落とす人間だから優秀ではない…とは限らない。菜緒虎、リベッチオという当たりを引いたばかりだからね」
リュウイチの高評価に菜緒虎とリベッチオはテレテレと笑う。
「有能ならスカウト。ダメなら…まあそのときはそのときで、敵対するようなら容赦せずで」
ソウキ領の今しばらくの対外指針が決定した。
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