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25話 菜緒虎、宿をとる
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菜緒虎は、二階の商業ギルドでこの街での商取り引の申請をするためにギルドカードを水晶に翳す。
<<商人の条件の満たしました。>>
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
ステータス画面に表示される菜緒虎の商人のレベルが一気に上がる。
更新されたギルドカードの情報が、ステータス画面に反映されているようだ。
菜緒虎が一階に戻ってくると、途端に6人の冒険者から取り囲まれる。
菜緒虎はそっと受付に視線を送るが、特に慌てている様子は見られない。
「宜しければ」
6人の冒険者はそれぞれに透明や黒に白、黄色のカードを差し出す。
カードにはパーティ情報とリーダーの簡単な個人情報、当面の仕事予定が記載されている。いわゆる臨時パーティのお誘いカードである。
それ自体は珍しくないが、ほぼ駆け出しの黒クラスに一度に複数のパーティから一斉のお誘いというのは珍しい光景だ。
狙いは菜緒虎の持つ青の商業ギルドメンバーの資格である。
なにしろただの冒険者では、クエスト等で得た素材は冒険者ギルドにしか卸せない決まりがあり、その際の手数料が買い取り額の1割と割高なのだ。
これが商業ギルドメンバーなら、赤までなら商業ギルドに卸すことが出来る。
その際の手数料は買い取り額の5分。
菜緒虎のもつ青以上なら、鍛冶師ギルドに直接卸すことが出来て手数料も0になる。
駆け出し冒険者にしてみれば垂涎の資格持ちなのである。
ちなみに、こういう優良な冒険者はそれなりに珍しが居ない訳ではない。
例えば、小さいころから親の手伝いをしていた商家の次男が長男が実家を継いだときに、暖簾分けの形で商業ギルドの資格を取って冒険者になるパターンだ。
旅先で新たな販路を開拓したり、素材を売り捌いて運転資金を溜めたり職人に顔を売ったり、パーティメンバーを最初の顧客にしたりとメリットがあるからだ。
「検討させていただきます」
菜緒虎は恭しくカードを受け取る。お誘いを受ける受けないを別にしてカードを受け取るのがマナーだ。
そして受付の反対側にある仕事依頼の板の前まで行き、掲示されている仕事にざっと目を通す。
もし臨時パーティの誘いを受けるなら、パーティの指定する時間までに受付に誘いを受ける臨時パーティのお誘いカードと自分の臨時パーティのお誘いカードを提出すればいい。
「新鮮でなくてもいいから、美味しいサラダを出してくれる酒場兼宿屋とかある?」
受付のお嬢さんに尋ねると受付のお嬢さんはカウンターに置いていたカードに何やら書き込み投げてよこす。
「このカードを提示すれば、料金は五分の割引きが受けられます。あとごめんなさい。最近の干ばつの影響で食事は野菜、穀物は期待できません。お酒は期待できますが」
「ありがとう」
宿の名前と場所が記されたカードを受け取ると菜緒虎は教えられた宿へ向かう。
宿の名前は「一角兎の右足亭」。ギルドの北側にある白い壁の2階建てで1階は酒場というテンプレなものだった。
「食事は1日に朝か夜の1回で一人部屋なら大銀貨1枚。6人部屋なら銀貨5枚。ただし食事は固い黒パンが1つとお代わり自由の味の薄いスープ。それ以外は有料ね」
赤毛で鼻の頭に雀斑が目立つ人間の受付嬢がぶちゃける。
「一人部屋2泊で」
菜緒虎がギルドカードと紹介カードを提示すると、受付嬢はニッコリ笑ってカードを受け取って水晶にかざし、背後の壁にかかっている鍵と共に返却する。
「2階の202号。外出するとき鍵は返却して。貴重品は部屋にあるギルドカードを鍵にした宝箱に入れるか、自己責任で」
「ありがとう。世話になります」
菜緒虎は鍵とギルドカードを受け取り2階へと向かう。
202号は2階の一番奥にあった。
ぎいぃ
部屋は四畳半ほどで、ベットとクローゼット。小さなテーブルに椅子と兼用の宝箱のある部屋だった。
「ふぅ」
武器を宝箱に仕舞うと菜緒虎は「ステータス画面」とつぶやいた。
<<商人の条件の満たしました。>>
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
商人のレベルが上がりました。
ステータス画面に表示される菜緒虎の商人のレベルが一気に上がる。
更新されたギルドカードの情報が、ステータス画面に反映されているようだ。
菜緒虎が一階に戻ってくると、途端に6人の冒険者から取り囲まれる。
菜緒虎はそっと受付に視線を送るが、特に慌てている様子は見られない。
「宜しければ」
6人の冒険者はそれぞれに透明や黒に白、黄色のカードを差し出す。
カードにはパーティ情報とリーダーの簡単な個人情報、当面の仕事予定が記載されている。いわゆる臨時パーティのお誘いカードである。
それ自体は珍しくないが、ほぼ駆け出しの黒クラスに一度に複数のパーティから一斉のお誘いというのは珍しい光景だ。
狙いは菜緒虎の持つ青の商業ギルドメンバーの資格である。
なにしろただの冒険者では、クエスト等で得た素材は冒険者ギルドにしか卸せない決まりがあり、その際の手数料が買い取り額の1割と割高なのだ。
これが商業ギルドメンバーなら、赤までなら商業ギルドに卸すことが出来る。
その際の手数料は買い取り額の5分。
菜緒虎のもつ青以上なら、鍛冶師ギルドに直接卸すことが出来て手数料も0になる。
駆け出し冒険者にしてみれば垂涎の資格持ちなのである。
ちなみに、こういう優良な冒険者はそれなりに珍しが居ない訳ではない。
例えば、小さいころから親の手伝いをしていた商家の次男が長男が実家を継いだときに、暖簾分けの形で商業ギルドの資格を取って冒険者になるパターンだ。
旅先で新たな販路を開拓したり、素材を売り捌いて運転資金を溜めたり職人に顔を売ったり、パーティメンバーを最初の顧客にしたりとメリットがあるからだ。
「検討させていただきます」
菜緒虎は恭しくカードを受け取る。お誘いを受ける受けないを別にしてカードを受け取るのがマナーだ。
そして受付の反対側にある仕事依頼の板の前まで行き、掲示されている仕事にざっと目を通す。
もし臨時パーティの誘いを受けるなら、パーティの指定する時間までに受付に誘いを受ける臨時パーティのお誘いカードと自分の臨時パーティのお誘いカードを提出すればいい。
「新鮮でなくてもいいから、美味しいサラダを出してくれる酒場兼宿屋とかある?」
受付のお嬢さんに尋ねると受付のお嬢さんはカウンターに置いていたカードに何やら書き込み投げてよこす。
「このカードを提示すれば、料金は五分の割引きが受けられます。あとごめんなさい。最近の干ばつの影響で食事は野菜、穀物は期待できません。お酒は期待できますが」
「ありがとう」
宿の名前と場所が記されたカードを受け取ると菜緒虎は教えられた宿へ向かう。
宿の名前は「一角兎の右足亭」。ギルドの北側にある白い壁の2階建てで1階は酒場というテンプレなものだった。
「食事は1日に朝か夜の1回で一人部屋なら大銀貨1枚。6人部屋なら銀貨5枚。ただし食事は固い黒パンが1つとお代わり自由の味の薄いスープ。それ以外は有料ね」
赤毛で鼻の頭に雀斑が目立つ人間の受付嬢がぶちゃける。
「一人部屋2泊で」
菜緒虎がギルドカードと紹介カードを提示すると、受付嬢はニッコリ笑ってカードを受け取って水晶にかざし、背後の壁にかかっている鍵と共に返却する。
「2階の202号。外出するとき鍵は返却して。貴重品は部屋にあるギルドカードを鍵にした宝箱に入れるか、自己責任で」
「ありがとう。世話になります」
菜緒虎は鍵とギルドカードを受け取り2階へと向かう。
202号は2階の一番奥にあった。
ぎいぃ
部屋は四畳半ほどで、ベットとクローゼット。小さなテーブルに椅子と兼用の宝箱のある部屋だった。
「ふぅ」
武器を宝箱に仕舞うと菜緒虎は「ステータス画面」とつぶやいた。
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