ソウキ王朝偽典・菜緒虎伝

那田野狐

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32話 海戦!化けクジラVSオクトパスVS菜緒虎

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菜緒虎は、化けクジラモンスターホエールがそれなりの距離に接近するまで矢を放つ。
ステータス画面がピロンピロンと弓術のレベルアップを告げる。
レベルの上がり方が、経験を積んでいるのではなく、経験していたことを思い出していると言った方がいい早さだ。

レベルが上がり方が落ちたのを確認した菜緒虎は、長弓を構えやじりが丸い矢を番える。
この丸いやじり。最近、ソウキ軍での同僚になった異世界から来たという悪韋が開発した照明弾という兵器である。
空に向かって打ち上げると、高レベルの光魔法に匹敵するまばゆい光が発生し10分ほど辺りを照らすのだ。

弦を振り絞る。

ジャ

弓が反動で回転し矢が空高く飛翔する。
風よエア、レベル2」
風魔法を付与することで、矢に驚異的な飛距離を与える。
矢は、ぐんぐんと高度をあげて行った

カッ

夜の闇が明るく照らされ、黒い壁が立体的な陰影をもって目の前に姿を現す。

「なんだ?」
菜緒虎は、噂に聞く化けクジラモンスターホエールと、迫ってくる化けクジラモンスターホエールの外観に違和感を感じ目を細める。
そして距離が詰まることで、違和感と感知したふたつの巨大な生物の存在の正体に気付く。
化けクジラモンスターホエールが、その大きな口に巨大な蛸の足を咥えていた。
考えるまでもなく、菜緒虎たちは、化けクジラモンスターホエールとオクトパスの食事現場にかち合ったのだ。

「菜緒虎さま。逃げられそうですよ?」
天城は気の抜けた声で進言する。

「ここで逃げたとしても、化けクジラモンスターホエールが勝てば程なく追い駆けられるような気がするのだが」
「オクトパスが勝てば、オクトパスの腹は満たされるでしょうね…」
「ここは、オクトパスが勝てる程度には支援すべきだな」
菜緒虎は矢筒を背負い再び照明弾を番え、呪文で矢に風魔法を付与し弦を振り絞る。

ジャ

弓が反動で回転し矢が空高く飛翔する。

カッ

ふたつめの光源が夜の闇をさらに後退させる。
立て続けに三本。風魔法が付与された矢が化けクジラモンスターホエール目掛けて飛んで行く。

弾かれる・弾かれる・刺さる。

弾かれた矢は、カーンと爽やかな音が鳴っていそうなぐらい軽く跳ね返される。

「固いな…なら柔らかい所を狙うだけだが」
菜緒虎は、小型帆船カッターの帆に風魔法を当てて速度を上げながら化けクジラモンスターホエールの左側面に向かうよう舵を切る。

「そこ」
風魔法を付与した矢を放つ。
弾かれる。
四本、五本…立て続けに矢が放たれるが掠り傷を与える程度。

「決める」
今まで放った矢で距離感や波の影響を掴んだ菜緒虎は狙いすませ、違わず化けクジラモンスターホエールの目を貫く。

ゾブ

化けクジラモンスターホエールが逃げるように海中に沈む。
大波が小型帆船カッターを揺らす。

「逃げた?いや」
少し離れた海面が盛り上がり化けクジラモンスターホエールが跳ねる。

バシャ

凄まじい勢いで水柱が上がり波が小型帆船カッターを襲う。

「スケルトンオブナイトメア、天城、指輪に戻れ。風よわが盾となれエアシールドレベル2」
スケルトンオブナイトメア、天城が瞬時に姿を消し、菜緒虎に向かってくる波飛沫が小型帆船カッターの前で左右に流れる。

やがて、波に圧されるように小型帆船カッターが押し流される。
押し寄せる波を動力にして、小型帆船カッターが流されているのだ。

「上手くいったから良かったものの」
菜緒虎は長弓を構え直し、気配察知Lv.5を発動させる。
するとこの場から急速に遠ざかる大きな気配と弱々しく動かなくなった気配を感じる。

化けクジラモンスターホエールは逃げたか。お互い命拾いしたな」
菜緒虎は安堵の息を吐き、小型帆船カッターの横でぷかぷかと漂うオクトパスを何の気なしにボコンと叩く。

『オクトパスの捕獲が可能です。捕獲しますか?』
「はい…って、はぁ?」
不意に聞こえてきた声に、思わずはいと答えてしまう。

『オクトパスの捕獲に成功しました。オクトパスはステータスウインドウで確認できます』
そう言われて小型帆船カッターの横でぷかぷかと漂っていたオクトパスが消えていることに気付く。
菜緒虎は「ステータス画面オープン」とつぶやき、画面にしっかりと表示されているオクトパスのステータスを表示させる。

名前 オクトパス 
種族 オクトパス
総合レベル 9
職  戦士
種  オクトパス
HP 1/88
MP 1/10
スキル
連続攻撃Lv.8(最大8回)
気配察知Lv.3
隠匿Lv.5(気配を絶つ)
魔法Lv.1

種2
オクトパスLv.9

職2
戦士Lv.9

称号
菜緒虎さまの下僕

謎の称号に菜緒虎は額を抑えるのであった。
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