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41話 白鷺城の落成
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大陸歴3184年神居月(10月)
ソウキ領の本拠地にトロールの悪韋がいたという異世界の城が完成した。
悪韋のもつ岩石創成のスキルと、スケルトンという不眠不休の労働力の成果である。
3重の曲輪が存在し内側の曲輪には天守が4基。
ほかに櫓や御殿があるのが確認できる。
最も大きい大天守は5重6階。
これに3重3階の小天守が2基と3重4階の小天守が1基ありその各天守の間を2重の渡櫓が繋いでいる。
真っ白な漆喰の壁に大天守の白っぽい瓦。スケールは若干小さいが、見る人が見れば日本の姫路城であることをが解る。
「チートスキル様様だな」
悪韋が腕を組んでうんうんと頷く。
なにしろこの城。内装以外のすべてが悪韋がもつ岩石創成のスキルによる石や土で出来ているのだ。
「クレの砦や港を作るときに出た土砂が材料ですね?」
「どちらかというと、この城を作るための土砂採取のついでにクレの砦や港を作っただな」
「そんな身もふたもない」
悪韋の言葉に菜緒虎は苦笑いする。
「よう久しぶり」
短い銀髪の若干のつり目の紅眼、笹穂状の耳に肌は日に焼けたような褐色のエルフ女性が声をかけてくる。
「やあリベッチオ。西はどうだい?」
ソウキ領の東にある湾岸にクレが出来たあと、ソウキ領の西にある、アタラカ山脈の麓にある森の近くにも砦が出来た。
魏府王国内でソロモンに卸していた食料の輸送ルートがバレて、盗賊が大挙して押し掛けてくるようになったからだ。
ちなみに外見は、砦というよりアタラカ山脈と魔の荒野側にある山を壁にしての巨大な門だという。
「盗賊がチョロチョロして鬱陶しいね。纏めて潰してスケルトンかゾンビに再生して森を巡回させてるけど」
「へぇ。で、ゾンビ系で面白い進化をしたのはいるの?」
「派手に共食いして2、3体ほど屍食鬼になってるかな。そっちには面白いの居るの?」
「最近ならゴーストがバンシーになったぐらいかな。天城は嫌がったからゴーストのまんまだけど」
「そうそう。菜緒虎のところの悪夢の骸骨なんだけどさ、ラージ以上のスネークで合成がいけたよ。あれカッコイイなあ」
菜緒虎とリベッチオの会話に、悪韋は眉間を揉みながら深いため息をつく。
「おかしい。エルフと言えば性格は秩序-善の申し子のはずなのに、どうみても混沌-悪の会話じゃないか」
悪韋の言葉に菜緒虎とリベッチオは笑いだす。
エルフが秩序を重んじるのは間違いない。
だから所属する組織の上司であるアルテミスの指示に従い行動するのだ。問題はない。
善と悪に関してはエルフであってもそれぞれで、リベッチオと菜緒虎は中立であると言った。
ちなみに秩序は法を順守し混沌は守らない。善は他人を尊重し悪は自分を優先する。
異世界から来た悪韋からすれば特に善悪の定義に疑問を持ったが菜緒虎曰く次のように分類される。
秩序-善 例-天使
秩序-悪 例-悪魔
混沌-善 例-義賊
例-大悪党 例-大悪党
悪魔は例-大悪党に思われがちだが、上位者には基本逆らわないのだ。
「リュウイチさまアルテミスさま。菜緒虎、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさま。リベッチオ、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさま。悪韋、推参いたしました」
この城で悪韋が入室できる唯一の大広間で三人は上座に座る黒髪黒瞳の利発そうな少年と側に控えるローブ姿の骸骨に向かって頭を垂れる。
位置は菜緒虎が真ん中で悪韋が右リベッチオが左だ。
「リュウイチさまアルテミスさまアルファ、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさまエル、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさまアール、推参いたしました」
続いて白髪の男エルフのアルファ、赤い短髪の女エルフのエル、桃色短髪の女エルフのアールもまた頭を下げる。
位置は真ん中がアルファで右がエル左がアール。
ただっ広い大広間にこの八人というは異常な光景だが、ここソウキ領で領民はこの八人だけなのだ。
「この八人が一堂に会するのは久しぶりだね。嬉しいよ」
リュウイチの言葉に、七人は深く頭を下げる。
「さて、城の完成のお祝いの宴の前に悪韋」
「はっ」
悪韋がパンと手を叩くと金色の子供サイズのスケルトンが木箱を持って入ってくる。
菜緒虎にはその頭蓋骨に見覚えがあった。
「そのスケルトンはスケルトンじゃないね・・・もしかしてゴーレム?」
リュウイチが目を輝かせて尋ねると、悪韋は小さく頷く。
どうやら、かなり豊富な量の金山を発見したようだ。
スケルトンゴーレムは木箱の蓋を開けると中の紙を取り出す。
「私の国では、白漆喰で塗られた城壁の美しさから全身が白い大形の鳥の名を取って白鷺城と呼ばれております」
漢字で白鷺城と書かれた紙をリュウイチに差し出す。
「700年近く不落の城だったと聞いた。いいね。あやかろう。いいよねアルテミス?」
リュウイチの問いにアルテミスは静かに頭を下げる。
もっとも悪韋が仰々しく紙に書いてる時点で事前に決まっていたことは推測できた。
「悪韋隊の創設を許可する」
リュウイチは僅かに笑う。
「はっ。あり難き幸せです。これからも励みます」
「うん。期待しているよ。さて」
リュウイチが片手をあげるとアルテミスはポンポンと手を叩く。
すっと部屋の後ろの引き戸が開きご馳走を持って何体ものスケルトンが入って来た。
宴の始まりだった。
ソウキ領の本拠地にトロールの悪韋がいたという異世界の城が完成した。
悪韋のもつ岩石創成のスキルと、スケルトンという不眠不休の労働力の成果である。
3重の曲輪が存在し内側の曲輪には天守が4基。
ほかに櫓や御殿があるのが確認できる。
最も大きい大天守は5重6階。
これに3重3階の小天守が2基と3重4階の小天守が1基ありその各天守の間を2重の渡櫓が繋いでいる。
真っ白な漆喰の壁に大天守の白っぽい瓦。スケールは若干小さいが、見る人が見れば日本の姫路城であることをが解る。
「チートスキル様様だな」
悪韋が腕を組んでうんうんと頷く。
なにしろこの城。内装以外のすべてが悪韋がもつ岩石創成のスキルによる石や土で出来ているのだ。
「クレの砦や港を作るときに出た土砂が材料ですね?」
「どちらかというと、この城を作るための土砂採取のついでにクレの砦や港を作っただな」
「そんな身もふたもない」
悪韋の言葉に菜緒虎は苦笑いする。
「よう久しぶり」
短い銀髪の若干のつり目の紅眼、笹穂状の耳に肌は日に焼けたような褐色のエルフ女性が声をかけてくる。
「やあリベッチオ。西はどうだい?」
ソウキ領の東にある湾岸にクレが出来たあと、ソウキ領の西にある、アタラカ山脈の麓にある森の近くにも砦が出来た。
魏府王国内でソロモンに卸していた食料の輸送ルートがバレて、盗賊が大挙して押し掛けてくるようになったからだ。
ちなみに外見は、砦というよりアタラカ山脈と魔の荒野側にある山を壁にしての巨大な門だという。
「盗賊がチョロチョロして鬱陶しいね。纏めて潰してスケルトンかゾンビに再生して森を巡回させてるけど」
「へぇ。で、ゾンビ系で面白い進化をしたのはいるの?」
「派手に共食いして2、3体ほど屍食鬼になってるかな。そっちには面白いの居るの?」
「最近ならゴーストがバンシーになったぐらいかな。天城は嫌がったからゴーストのまんまだけど」
「そうそう。菜緒虎のところの悪夢の骸骨なんだけどさ、ラージ以上のスネークで合成がいけたよ。あれカッコイイなあ」
菜緒虎とリベッチオの会話に、悪韋は眉間を揉みながら深いため息をつく。
「おかしい。エルフと言えば性格は秩序-善の申し子のはずなのに、どうみても混沌-悪の会話じゃないか」
悪韋の言葉に菜緒虎とリベッチオは笑いだす。
エルフが秩序を重んじるのは間違いない。
だから所属する組織の上司であるアルテミスの指示に従い行動するのだ。問題はない。
善と悪に関してはエルフであってもそれぞれで、リベッチオと菜緒虎は中立であると言った。
ちなみに秩序は法を順守し混沌は守らない。善は他人を尊重し悪は自分を優先する。
異世界から来た悪韋からすれば特に善悪の定義に疑問を持ったが菜緒虎曰く次のように分類される。
秩序-善 例-天使
秩序-悪 例-悪魔
混沌-善 例-義賊
例-大悪党 例-大悪党
悪魔は例-大悪党に思われがちだが、上位者には基本逆らわないのだ。
「リュウイチさまアルテミスさま。菜緒虎、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさま。リベッチオ、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさま。悪韋、推参いたしました」
この城で悪韋が入室できる唯一の大広間で三人は上座に座る黒髪黒瞳の利発そうな少年と側に控えるローブ姿の骸骨に向かって頭を垂れる。
位置は菜緒虎が真ん中で悪韋が右リベッチオが左だ。
「リュウイチさまアルテミスさまアルファ、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさまエル、推参いたしました」
「リュウイチさまアルテミスさまアール、推参いたしました」
続いて白髪の男エルフのアルファ、赤い短髪の女エルフのエル、桃色短髪の女エルフのアールもまた頭を下げる。
位置は真ん中がアルファで右がエル左がアール。
ただっ広い大広間にこの八人というは異常な光景だが、ここソウキ領で領民はこの八人だけなのだ。
「この八人が一堂に会するのは久しぶりだね。嬉しいよ」
リュウイチの言葉に、七人は深く頭を下げる。
「さて、城の完成のお祝いの宴の前に悪韋」
「はっ」
悪韋がパンと手を叩くと金色の子供サイズのスケルトンが木箱を持って入ってくる。
菜緒虎にはその頭蓋骨に見覚えがあった。
「そのスケルトンはスケルトンじゃないね・・・もしかしてゴーレム?」
リュウイチが目を輝かせて尋ねると、悪韋は小さく頷く。
どうやら、かなり豊富な量の金山を発見したようだ。
スケルトンゴーレムは木箱の蓋を開けると中の紙を取り出す。
「私の国では、白漆喰で塗られた城壁の美しさから全身が白い大形の鳥の名を取って白鷺城と呼ばれております」
漢字で白鷺城と書かれた紙をリュウイチに差し出す。
「700年近く不落の城だったと聞いた。いいね。あやかろう。いいよねアルテミス?」
リュウイチの問いにアルテミスは静かに頭を下げる。
もっとも悪韋が仰々しく紙に書いてる時点で事前に決まっていたことは推測できた。
「悪韋隊の創設を許可する」
リュウイチは僅かに笑う。
「はっ。あり難き幸せです。これからも励みます」
「うん。期待しているよ。さて」
リュウイチが片手をあげるとアルテミスはポンポンと手を叩く。
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宴の始まりだった。
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