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8-1. KIZUNAー絆ー②
しおりを挟む「明日からは、紡と別々の部屋で寝ような」
お父さんが言った。
「なんで? どうして?」
そう返したおれに、お父さんは、
「お前が『α』だからだ」
と言った。
世界には第二性というのがあって、それは第一性である『男』と『女』とは別のものだっていうのは、4年生になってから保健の時間に、学校で習った。
でも、第二性って何?
まだくわしくは習っていない。
『α』、『β』、『Ω』って?
「これから、お前達の心と体は少しずつ大人になる準備を始めるんだ」
「大人になるじゅんび?」
「絆、少し前に病院で『α』だと言われただろう?」
「言われた。つむは『Ω』だった」
「そうだ。紡は『Ω』だ」
「ねえお父さん、学校で第二性のこと習ったよ? 男と女の性別とは違うものだって。おれ、よく解んなかった。つむも解らないって言ってた。クラスの子も解らないって言う子が多かった」
先生は「大切なことです。これから少しずつ学んでいきましょう」って言ってたけど…。
「お前達にはまだ難しい話だと思う。先生の言う通り、知識としてはこれから少しずつ学んでいけばいい。だが、αとΩには『本能』という、時と場合によっては困難…困ったものがあるんだ」
「? ほんのう?」
「自分ではどうにもならない感情…。αの本能は時として厄介で、Ωを傷付けてしまう事もある」
「………。Ωを…傷付ける…?」
おれはαで、つむはΩ…。
αのおれがΩのつむを…傷付ける…?
「やっ…やだ! そんなの…!」
叫んだおれを、お父さんが抱きしめてくれた。
「落ち着け、絆。大丈夫。解ってる。お前が紡を誰よりも大切に思っている事は。
父さんと母さんはそうならない為にお前達の部屋を別々にしたいと思う。風呂も別々にしたい。それだけを聞き分けてくれないか。それ以外は何も変わらない。お前達は兄弟なのだから、一緒に遊ぶのも手を繋ぐのもこれまで通りで構わない」
「…うん……」
大丈夫。おれ、つむを傷付けたくないから…。
でも…。
「今日だけはつむと一緒に寝てもいい…?」
ってきいたら、お父さんはおれの頭をなでながら、
「いいよ」
って言ってくれたー。
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