君と紡ぐ未来 2nd 〜愛しい貴方と永遠を。この運命は『罪』ですか?〜

Kanade

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7. 見えてきた『夢』の実現

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〈 ママ視点 〉

「なあ、つむ」
「なあに、きず」
「おれ達も兄ちゃんだよなぁ?」
「うん。ぼく達もお兄ちゃんだよ」
「でもさ、なんでの後ばかり付いてくんだ?」
「う~ん、なんでだろうね~」
「「……………」」

という会話が聞こえてきて、俺は思わず吹き出しそうになった。洗濯物を畳み終えて改めて子供達を見れば、きずなつむぐは並んでソファーに座り、彼らの視線の先には、リビングの一角の畳コーナーに座り本を広げている芽來めぐると、芽來を挟むよう右に陽咲ひなたが座り、左にはずり這い体勢の柚來ゆらがいて…。芽來が妹と弟に読み聞かせ…している訳ではなく、本が好きで無言で読書している芽來の傍に陽咲と柚來が侍っているだけである。
  2人は芽來が大好きで、芽來の後を陽咲が追って歩き、柚來はずり這いで追いかける。それがここ最近の我が家でよく見る光景。陽咲と柚來はとにかく芽來が大好きだが、だからといって絆と紡に懐いていないということでもない。絆と紡が呼び掛ければ喜ぶし、よく笑う。5人で一緒に遊ぶ姿は、親から見れば「うちの子達、マジ天使」だし、眼福ものだ。とても仲良しなうちの子達だけれど、陽咲や柚來が自主的に後を追うのは芽來にぃに。絆にぃにと紡にぃにはちょっと…いや、かなり羨ましいらしい。
  ……………。
  ごめん。ママ、その気持ち理解してやれないかも…。
  だってママ、だもん。
  
  おれはそっとソファーの後ろに回ると、後ろから絆と紡を二人まとめて抱きしめた。

「「わぁっ…!!」」
「お母さん!」
「ママ!」

  揃って声を上げる絆と紡。
  うん、今日も息ピッタリだ。

「君達はそんなこと言ってるの?」
「「だってぇ~…」」
「芽來も陽咲も柚來も、ちゃんと君達のこと、大好きだからね。芽來、おいで」
「………。ん…」

  絆と紡に念押しのように言ってから俺が芽來を呼ぶと、通常運転で頷いた芽來は読んでいた本を片付け、

「ひな、ママよんでる」

そう陽咲に声を掛けてから、柚來を抱っこした。

「「「おお~~~…」」」

  俺達3人は感嘆の声を上げる。これもいつものこと。いつ見ても「凄い」と思ってしまう。
  何が?…って、柚來を軽々抱き上げた芽來に、だよ!
  芽來は現在7歳、小学2年生だ。柚來は3歳。歩けなくても順調にすくすく育ち、体重は14kg。対して芽來は30kg。自分の体重の半分近くある柚來を、それはもう軽々と抱き上げ、しかも抱っこしたまましっかりした足取りで歩く…。驚くだろ、普通。ちなみに絆と紡は4年生だけれど、細身の2人は陽咲と柚來を抱き上げる事は出来ても、歩くのは無理。「重い~!」と言ってすぐにギブアップだ。が、絆にとっては、それがちょっと悔しいらしい。兄としてのプライドか、元来の負けず嫌いか、はたまた同じαの弟に対する闘争本能なのか…。
  きっと全部なんだろうな~。
  俺がそんな事を思っているうちに傍に来ていた芽來が、抱っこしていた柚來を絆の膝に乗せた。

「ん…」
「わっ…!」

  慌てて柚來を支える絆。何が楽しかったのか、柚來が「きゃあ!」と声を上げた。陽咲は自力で紡の膝に上がり、芽來は少し空いていた絆と紡の間にぐいぐいと7歳平均より少し大きな体をねじ込むようにして座った。
  ……………。
  なんだ、これ…。可愛すぎ…。
  スマホを持って並んでソファーに座る子供達の前に回り、写真を撮った俺だった。
  待ち受けにして、後で大和パパに見せよう。
  と、いうことで!

「絆、紡、芽來。君達、準備は済んでる? パパがお仕事から帰って来たら、すぐ出るよ?」
(絆と紡)「「…あ……」」
(芽來)「………」

  いや、3人顔を見合わせるとこも可愛いけどね…。
  取り敢えず、準備しようかね。
  俺は先に陽咲を紡の膝から下ろしソファーに直に座らせ、絆の腕の中から柚來を抱き上げた。
  3人はソファーから下り、芽來を真ん中に手を繋いで、荷物を取りに2階に上がっていく。その後ろ姿を見送りながら俺は…。
  可愛いが過ぎるな、ウチの子達…。
  うん。親バカな自覚はある……。


  小学校が昨日から夏休みに入った事もあり、今日から1ヶ月ほど、俺達は一ヶ瀬邸にお世話になる事にした。
というのも実は、我が家の横では現在、絶賛カフェを建築中。そんな訳で、工事中の騒音対策と作業車の出入りによる子供達の安全対策としての避難…? 敷地内に車の出入りが多いと危ないから外で遊ばせられないし、騒音で勉強やお昼寝が出来ないかも…だし…。

  去年の秋から本格的にカフェ開業に向けて動き始めた俺と大和。建築士との打ち合わせやら、開業に必要な資格やら許可やら、子育てをしながら少しずつ準備を進め、着工したのは実は今年の4月。小さなカフェにこだわりをいっぱい詰めて、完成は9月。1、2ヶ月の準備期間を経て、11月に開店予定だ。先駆けて、8月いっぱいで大和は勤めているレストランを辞める事になっている。

  初めて大和が『カフェ開業計画』という夢を話してくれたのは約7年前。3回目の妊娠は予期せぬ二組目の双子で、柚來に障害が見つかって、俺は仕事を辞めるしかなくなって…と、いろんな事情が重なって一度は遠ざかった夢。大和と2人、悩んで話し合って、にも助けてもらいながら、漸く見えて来た夢の実現に、今から心が躍るーーー。

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