【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade

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《本編》

13. 束の間の"幸せ" ③ 〈新婚の僕達のこと〉

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  僕達の新婚生活は順調そのものだった。
  朝、目覚めれば隣に彰宏さん…はいないけれど、なかなか目が開かなくて微睡んでいると、エプロン姿の彰宏さんが起こしに来てくれる。一緒に朝食を食べて、車で通勤する彰宏さんと一緒に通勤。僕達が夫夫だという事は会社内では周知の事実だから、特に問題はなかった。当然、仕事中は別々だけれど、帰りが一緒になる時は一緒に帰って、帰れない日は彰宏さんが呼んでくれたタクシーで一人帰宅した。後で知ったんだけれども、そのタクシーは僕の為に彰宏さんが専属契約をしてくれたんだとか。運転手さんも口が硬い人を選んだという。僕達の住居が『外』に漏れない様に。
  結婚式の日以来、お義母様には会っていない。正確には、年始の挨拶に僕達から実家に伺った日以外は…だけれど。
  お義母様から僕を守る為に、新居の場所は僕の両親と兄姉にも伏せられていた。といっても、会えない訳じゃないよ? 2ヶ月に一度は外で会って、一緒に食事してる。 彰宏さんが送迎してくれるの。彼は同席しない。彰宏さんも家族なのに…とむくれる僕に、「俺がいるとお義父さん達も気を遣うだろう? たまになんだから甘えておいで」と笑顔で見送ってくれる。それでも『お泊まり』だけはダメだけどね。瑠偉くんと華英ちゃんは「泊まっていけ」って言うけれど、外泊だけは彰宏さんが許さない。

「αとは本来、そういうものだ。番のΩを囲おうとする習性がある。特に新婚の時はな。一人で外に出す事すらいとう。だが、父親の会社とはいえ琳に働く事を許し、家族とはいえ、こうして琳だけを預けてくれる。琳を尊重してくれている証拠だろう。お前達も、もしもΩの番や嫁を選ぶ事があれば分かる」

  お父さんの言葉に、二人は何も言えなかったみたい。
  お父さんが伴侶に選んだのはαのお母さんだけれど、お父さんは元々Ωに偏見は無かったし、僕がΩだと診断されてからはΩについて調べてくれてた事を、僕は知ってるよ。だから、離れも建ててくれたし。
  あ、あの離れだけれど、僕が彰宏さんと喧嘩して「実家に帰ります!」って出て来た時の為に、そのままにしてあるんだって。思わず、笑っちゃった。
  使う事は多分、無いかなぁ。僕、その日のうちに仲直りしたいから、きっと自分から「ごめんなさい」しちゃうと思う。

  彰宏さんは、僕が発情期で1週間の休みを取る時、パートナーの番にも認められている発情期休暇を必ず取って、ずっと一緒に過ごしてくれた。
  発情期の間も僕達は互いに抑制剤を飲む。発情ヒート発情ラットが軽く済むから。
  発情期だから僕は性欲の塊みたいになっちゃうし、彰宏さんも僕のフェロモンを感じて同じ様になっちゃうけれど、完全に理性を飛ばす事はない。だから、彰宏さんは僕の胎内なか挿入はいってくる時には必ず避妊具を装着するし、一日中求め合った夜には、僕も忘れず避妊薬を飲む。経口避妊薬は、胎内なかに精を出されてから24時間以内の服用が有効だから。
  結婚してから1年の間に発情期は3回。発情期以外でも夜の夫夫生活はもちろんあったけれど、毎回、必ず避妊した。発情期以外でのΩの避妊率は低いけれど、可能性はゼロではないから。僕は、もし出来たら出来たで産むつもりだったけれど、彰宏さんのほうは頑なに避妊にこだわっていた気がした。
  
  結婚して1年。
  僕達に子供はいない。
  
  それでも不満はなかった。
  夫との関係は良好、仕事は楽しい。たまにだけれど、実家の家族にも会える。
  穏やかに流れてゆく日常に、不満なんか生まれるわけがない。
 
  けれど……。
  結婚からわずか1年…。
『運命』の日が訪れる……。

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