M嬢のM嬢によるM嬢のためのS執事の育て方

采女

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ちゃんと緊縛

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 えらく色々やりまくったけれど、実はまだ土曜日の夜だった。
 金曜の夜から断続的にずっとエッチなことをしていたが、休みはまだ一日残っている。
 「姫はどうしたい?」と訊ねると、姫も「んー、……」と考えた。

 姫は、僕の家にいる時間としては珍しく、ちゃんと下着も服も着ている。
 まあ、服は僕のYシャツなので、ちゃんとしているとは言い難いかもしれないが、よくよく考えると裸でいる時間の方が圧倒的に長い。縛ったり、叩いたり、玩具や道具を使ったりと、SMにはなにかと服が邪魔なんだろうな、と思う。
 でも、着衣緊縛なんてのもあったなぁ、とぼんやり思う。

「……縛ってもらおう、かな……」
 まださっきの答えを考えていた姫が口を開いた。
 ちょうど着衣緊縛なんてものを思い出したところだったから、僕はぷっと吹いた。
「え、あ、そういうのじゃなくて夕飯とかだった?」
 僕の反応を見て慌てて顔を染める姫がかわいい。
「たしかに晩ごはんは考えないとだけど、昼が遅かったからまだいいかな。……うん、そうだね。乳首は休ませたいし、縛るのはいいかも。じゃあさ、縛る練習をしてもいいかな?」
「練習?」
「そう。今はネクタイとビニールテープばっかりでしょ? ちゃんと紐でも縛れたらいいかなって」
 想像したのだろう、また頬が染まっている。これだけエッチでハードなことをさんざんしているというのにちっとも慣れる気配がない。
「縛り方を見ながらになっちゃうけど……縛ってもいいかな?」

 着衣緊縛も考えたけれど、位置がわかりにくいし、ブラジャーが邪魔なので、結局また全裸だ。胸に絆創膏だけを纏っていて、ちょっとそういう羞恥プレイみたいだなと思う。
 最初にバイブとローターを買ったときに、一緒に買ってあった赤いロープを持ってくる。麻縄は素人に扱えるものではないというので、初心者用のやわらかい緊縛用ロープだ。

 同梱されていた縛り方を見ながら「菱縄縛り」に挑戦する。
 以前、少し練習はしてみたので、構造はわかる。ただ、人にするのはもちろん初めてだ。
 まずは首にロープをかけ、身体の前で結び目をつくっていく。股をくぐらせて、首のロープに通すとそれだけでちょっとエロい。
 後ろから前へロープを回し、前のロープに引っ掛けるように通してまた後ろへ引くと、彼女の柔らかい肌にロープが食い込んでいく。
 少しずつ締まっていく身体に、彼女の表情も恍惚としてきた。

 とりあえず完成させた後、僕は少し観察して、すぐに解いていった。
「もう、終わっちゃうの……?」
と言う彼女に、「少し待ってね」と言って股のロープを外すところまで戻すと、二つ結び目を増やした。それを、今度は割れ目をしっかり開いてからピッタリと通す。
 「んっ、」と反応する彼女を、もう一度縛り上げていく。さっきより、少しきつめに。
 完成すると、増やした結び目の一つは彼女の豆に、もう一つは割れ目の中央に、それぞれピッタリ当っていた。計算どおりだ。

 菱縄縛りでは腕が自由なので、今度はその上から「後ろ手縛り」をやってみる。
 名前は後ろ手縛りだが、手だけでなく胸の上下と腕も一緒に縛る縛り方だ。
 すでにロープの食い込んだ胸をさらに縛られて、彼女は「はぁっ、」と熱い息をする。

 これで、上半身はがっちりと拘束された状態だ。

「どうですか? 痛くありませんか?」
「んっ、気持ち、い……です……」
 股の縄をクイッと引っ張ってみると、
「ああっ、や、食い込んじゃ、ん……!」と腰を揺らす。
 少し引っ張ったまま、股のロープを指でなぞると、もうぐっしょりと濡れていた。
「次にするときは、ここの結び目をもうちょっと大きくしましょうかね。結び目がしっかり当たるほうが気持ちいいでしょう?」
 言いながら、僕のほうが興奮していた。
 股縄は、ビニールテープではできなかったことだ。
 彼女が快感に身を捩るたびに、割れ目にぐっとロープが食い込む。その刺激に、また彼女が声を上げ、熱い息を吐く。

(ああ……ゾクゾクする……)

 僕は彼女の耳元で、「ねえ、叩いてもいい?」と低く囁いた。
「あ……いや……今、叩かれたら……」
「嫌なの? 本当に?」
 言いながら、彼女を机の前まで歩かせる。上半身を机に倒すと、一層食い込む縄に「あああっ!」と喘いだ。
 僕は、軽く彼女の背中を押さえたまま、右手で姫の尻を撫でた。
「姫が嫌なことはしないよ。ちゃんと嫌って言って?」
「いやじゃ、ない、です……お尻、叩いて、ください……」

 パシン!
(ああ……ゾクゾクする……)
 パシン!
 パシン!
 パシン!

「んっ、は、ああっ! ソウ、さ……何回、たた、く、の……?」
 姫が喘ぎながら訊ねる。
「ああ、何回叩くか決めていなかったね……姫がかわいすぎて、決めておかないと何度でも叩いちゃいそうだよ……?」
 パシン!
「ああっ! やっ、はあっ、そ、んな……」
 パシン!
「んんっ! じゃ、あ、じゅ……」
「うん、そうだね。これまでの最高が十五回だから、二十回にしようか」
「え……あああ!」
「いーち」
「にーい」
「さーん」…………

 途中からカウントしたので、結局二十六回。姫は、動かせない上半身を机に預けて、はあはあと大きく息をしてる。
 少しやり過ぎた気もするのに、僕はまだ叩きたいくらいだった。
 ――たぶん今、姫より僕のほうが気持ちいい。

「少し冷やそうね」
 氷水にタオルを浸けて、軽く絞って彼女の尻に当てると、「んっ、」と小さく声が聞こえた。
 本当は、冷やすべきは僕の頭な気がする。快感に、なにかが焼き切れてしまいそうだった。

 もう大丈夫だという彼女を起こして、ソファに座らせ、腕の緊縛を解いた。
 あちこちにうっすらと痕がある。
 思わず指でなぞると、
「んっ、あっ、そんなに名残惜しい、ですか?」
と言われた。
「ふふ、『もっと縛っていたい』って顔してますよ」
 そんなことはないと口を開こうとしたが、妙にストンと落ちて、声は出てこなかった。
 かわりに、大きな溜息をついた。
「はああああ。俺、そんなサドかなぁ……」
「私のマゾ度よりヤバイんじゃないですか?」
「それってかなりだと思うんだけど?」
「ふふふ、私ついていけるかしら?」
(……ああ、なんて無防備な……僕は本当にヤバイのに……)
「じゃあ……」
「?」
「このまま、晩ごはんでも食べに行きましょうか」
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