【第2章開始】俺とお前は親友のはずだろ!? ~姉の代わりに見合いした子爵令息、親友の聖騎士に溺愛される~

田鹿結月

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第1章

第52話 はじめてだから(R)

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 先にバスタブから上がったエディによって引っ張り上げられ、部屋に行くために身体の水分を拭おうとバスローブに包まれる。
 まだしたい。少しでも離れたくない。レイはエディの肩に手を乗せ、背伸びしてキスを強請る。

「もう、本当に可愛い……清浄魔法使うからね」
「ん、ん……」

 尻に回った手からほんのりと薄く魔力が伝わる。
 使わせたくなかったのに、とはっと今更理性を取り戻した時にはもう遅く、レイの中を綺麗にしたエディはレイに覆い被さるようにキスをして、服を置いてある棚に寄り掛からせるようにしながら腰を押し付けた。
 敏感な身体は簡単に甘く痺れる。レイはエディに縋り、喘ぎながらも話しかけた。

「エディ、まほう……っ」
「このくらいなら倒れたりしないから平気。それに、レイと一緒にいるだけで回復するから」

 エディは自らもバスローブを羽織り、何度もレイの頬にキスを落とした。
 我慢しない時のエディはキス魔だ。この前も今も、ずっとキスばかり。唇じゃなくても、色んなところに唇を当ててリップ音も立てて。

「行こうか。俺の部屋まで待てないから、近い客間でいい……?」
「っ、ぅ、ん」

 自分が普段使っている、レイの自室と化した客間。毎日エディを思い身体を慰めているベッドの上で、ついにエディと。
 レイはエディによってバスローブの乱れも正され、エスコートされ客間に通されると今更緊張のあまり身体を強張らせてしまった。
 そんなレイに気付かず、エディは後ろからレイの身体に手を這わせ首筋にキスをして囁く。

「香油取ってこないといけないから、浮遊魔法使っていい……?」
「ぁ……ある、から」

 毎日使っている、もう半分以上中身の減った香油はアンジーに見つからないように幾つか買ったサイズ違いの張型と一緒に自分の荷物の中に隠している。
 レイの言葉に驚いたエディは、部屋の隅に置いてある旅行用鞄を開いて中を漁り香油を取り出して戻ってきたレイの手からそのボトルを取り上げた。

「誰と、使ったの?」

 香油を使う相手なんて、一緒に暮らしているんだからいるはずないとわかっているはずなのに。
 まさか、1人で使っていることを言わせる気か?
 そう思ったが、どうやらエディは嫉妬しているらしい。レイが、男同士の行為には先に洗浄が必須になることを知っていたのも含め、他の誰かとそういう関係になったのではないかと。
 怒った様子を隠さないエディは、レイの軽い身体をいとも簡単にベッドに押し倒す。ランタンも灯っていない暗い部屋の中で、腕輪の宝石だけが煌めいた。

「誰? 軍部の人達? それとも図書課?」
「ち、ちがう、けど」
「じゃあ誰」
「……ひ、ひとり、で」

 怒ったエディがしてくれないのは嫌だ。もう全ての準備はできているのに。
 レイは羞恥を捨て、エディが手にした香油を取り返して口許を隠す。
 言わせないでほしいのに。レイは、エディを上目遣いで見つめながら白状した。

「……男同士って、慣らして挿れられるようにしとかなきゃできないんだろ?」
「……うん」
「……お前と初めてしたときから、……練習、してたんだけど」

 付き合ってもいないし、告白の返事は断る前提で匂わせていた。けれど甘え続けて、自分だけを見て、もっと溺れるように。
 いつか、この時が来たらいいと考えて。

「幻滅した……?」
「……まさか。ごめん、誰かと使ったんじゃないかって嫉妬した」
「するわけないだろ、お前が」

 いるのに。
 言葉の続きは発せなかった。エディが口許を隠していた香油をまた取り上げ、激しくくちづけをしてきたから。
 何度かしているうちに、慣れてきたキス。顎裏を舐められ、びくびくと身体を震わせながら濃厚なキスに酔う。
 着させられたばかりのバスローブをはだけられ、香油を垂らしたエディの手が素肌を這う。
 触られるだけなら気持ちよくなんてならないはず。そう思いながらキスを続けていると、エディの指は胸を這い、一対の飾りに爪先で触れられた。

「んっ……」

 擽ったい。気持ち良いわけじゃないけれど、少しだけ。
 思わず声が漏れてしまったからか、エディの指は執拗にそこを攻める。捏ね、抓り、掻き。香油で滑りが良く、寒さもありぷくりと膨れたそこは段々とじんじんと痺れを持ち始めた。

「気持ち良い……?」
「い、ん……っ」

 擽ったさが癖になる。これも気持ち良いのかもしれない。レイはエディにされるがまま腰を緩く揺らしてしまいながら受け入れその感覚に無心で喘ぐ。

「っぁ、あ……ん」
「レイ、後ろも触るね……?」
「ま、て、まだ慣らして……っ」
「俺にさせて」

 香油をまたたっぷりとつけた指が、腰を這い尻を揉み双丘の間へと入り込む。なんの躊躇いもなく、すりすりと襞を擦られレイはびくんと腰を跳ねさせた。
 毎日、そこも擦っている内に興奮してしまうようになっていた。興奮している時に触るとこうして止まれなくなってしまう。
 エディの下で大人しく横になっていただけなのに、膝が次第に広がる。襞をぬるぬるとした感触で、エディの熱い指が擦るたび自らも腰を揺らしてしまいながら期待に足を広げて求めてしまう。

「は、っぁ……」
「……レイがこんなに、気持ち良いのが好きだなんて知らなかったな」

 レイ自身だって知らなかった。こんなに自分が快楽に弱いなんて想像したことすらない。
 気持ち良い。もっと。早く、中まで。
 レイは、甘く強請る。

「ゆび、挿れねえの……?」
「じゃあ挿れるけど、何処がいいか教えて?」

 エディは身体を起こし、レイの足を持ち上げた。羞恥で理性が戻ってくる前にと自身の身体を間に挟ませると指を再度襞へと這わせ、何度か指の腹を擦り付けた末につぷりとゆっくり埋め込まれてゆく。
 自分の男にしては細く華奢な指とは違う、太い騎士の指。自分の意思とは関係なく挿入り込み、浅く抜き差しを繰り返されるそれに、レイは悶える。

「っは、ぁ……」
「これでも気持ち良い……?」
「ん、ん……っ」

 甘ったるい声が鼻から漏れる。
 自分がした時は、こんなに気持ち良くならなかった。指でしても物足りなくて、張型を使って漸く気持ち良いところに当てられて。
 それなのに、エディの指は抜き差ししているだけでも。

「え、でぃ、えでぃ、そこ……っ」
「ここがいいの?」
「はらの、方……っん、ぁ、あ」
「コリコリしてる。これ?」
「うぁ、っん……!」

 自分のものとは思えない甲高い声が思わず漏れる。ぐりぐりと無遠慮に触られることで断続的に快感が脳を走り、痺れが襲う。
 びくびくと腰を揺らし、たったそれだけで軽く達してしまった。息を詰まらせ、背を反らして欲を吐き出す。そんな様子を見下ろしていたエディは、レイが呼吸を整えようとしているのを見ながらまたも指を動かし始めた。

「あっぁ、ぁ、あ、だめ、だめ……っ」
「なにが駄目? 気持ちいいのは嫌?」
「よすぎるから、だめ……っ」
「可愛い。そんなんじゃやめないよ」

 前立腺を何度も何度も指先で抉るように触れられ、レイは喉の奥から甘い嬌声を絶えず零してしまう。
 これで終わってしまいそうな気がして、レイはぶんぶんと首を振り、身体をくねらせ自分の横をぽんと手で叩いて示した。

「えでぃ、ここ、横ねて……」
「横?」
「ん、ここ、ここ……」

 いつものように喋ることができない。単語ばかりを口にしながら自身の中から指を抜かせたエディを何とか自分の横に寝かせることに成功したレイは、身体を密着させ足を絡め、ぎゅうと抱きついた。
 息を整えるまで、このまま。腕ごと抱きつき止めながら、エディの開かれた逞しい胸元に唇を何度も触れさせた。顔には届かないけど、エディにキスしたいから何処でもいい。

「はじめてだから、ゆっくりがいい。嫌か……?」
「……嫌じゃ、ないよ」
「指増やして解してくんないと、エディのこれ大きいからはいんない……」
「っ」

 エディの昂りは大きく太く、指一本で前立腺を刺激されているだけじゃ絶対に挿入なんてできない。
 だから、ゆっくりでいいから解して、ちゃんとしたい。今日はもうすると覚悟を決めたんだから。
 レイはエディの腕に手をやり、自分の背中に回させ強請る。

「俺が自分でするのと、エディがすんのどっちがいい……?」
「し、……します」
「ん……ぁ、ぁ……」

 つぷりと指がまた差し込まれ、二本目も挿入される。解し、拡げるように優しく内壁を撫でられ、レイはエディの胸の中で甘く啼いた。
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