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120 デモンガーディアン
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ギルドタウンにやってきていた。
アドバイザーのサニハのところまで走ってきて立ち止まる。俺は矢継ぎ早に質問をした。リリイ、サクヤ、いま助けに行くからな。
【おい、宣戦布告について教えてくれ】
「こんにちは、団長シグレ様、宣戦布告は、ギルドの団長か副団長が申し込むことができます。申し込みたい場合は、私にその旨を告げてください。私が宣戦布告をいたします」
【宣戦布告すると、どうなるんだ?】
「宣戦布告をすると、相手のギルドタウンへの侵入が可能になります。戦争時間は三十分です。防衛側の団長を倒すか、ギルドタウンに出現するオブジェを破壊すると勝利です。また、攻撃側の団長も、倒された場合は敗北となりますのでご注意ください」
【そうか。詳しく聞きたいんだが、例えば俺が宣戦布告した場合、相手のギルドメンバーはこちらのタウンに侵入できるのか?】
「防衛側のギルドメンバーは、攻撃側のギルドタウンに侵入できません」
【どうやると、相手のタウンへ侵入できるんだ?】
「布告後、インベントリに戦争の項目が現れますので、そこから侵入ができます」
【じゃあ、もしも戦争の時に、相手の団長やメンバーがログアウトしていたらどうなるんだ?】
「布告から戦争開始までには、一時間の準備時間が設けられます。その一時間の間、皆様のゲーム機器から警告音が鳴ります。宣戦布告を受けた警告音です。もしもお風呂やお食事中であった場合、職員がそれを告げに来てくれるので、ご安心ください。ただ、眠っていて起きなかった場合は、アンラッキーということです」
【なるほど。あと、戦争に勝つとどうなるんだ?】
「戦争に勝つと、相手のギルドとギルドタウンは消滅します。また、死んでしまったプレイヤーはもうゲームに再挑戦ができなくなります。もちろん現実で処刑されます。また、勝利したギルドのメンバーは、一人につき一つだけ、相手ギルドのプレイヤーの遺品を入手できます」
【分かった】
俺はそう言って、地面にどっかりとあぐらをかいた。すぐ隣にはナユキがいた。俺はロッジから走ってきたのだが、ナユキも這って追いかけてきたようだ。緊張感のないのんびりとした顔をしている。ほんとお前は気楽だな。
今すぐ宣戦布告をするべきである。だけど準備時間が一時間もあるようだ。
他にも問題がある、実際、戦って勝てるだろうか? テイムナイトメアを上手く決めれば、ワンチャンあるかもしれない。だけど相手にはスキルを無効化するスキルがある。
というか普通に考えて、仲間の状態異常を除去する魔法スキルもゲーム内には存在するだろう。テイムナイトメアはチートの神スキルだと思ったのだが、実際は穴だらけだ……。
【インベントリ】
画面を呼び出してギルド項目を開く。もしかしてと思い、メンバーの欄を覗くと、メンバーは俺一人だけだった。くそ、やっぱりか。
今度はフレンド項目を開き、リリイとサクヤの所属しているギルドをチェックする。グリムリーパーになっていた。両目にじわっ熱いもの感じて、手の甲でこする。サクヤを人質に取られているので、これは仕方のないことなんだ。分かっちゃあいる。だけどこんなにも悲しい。俺も、シュヴァリエをやめちまおうかな……。
雨が降ればいいのに。
タウンに雨が降って、俺のぐるぐると渦巻いた黒い感情を洗い清めて欲しかった。
俺はナユキの甲羅に右手を置く。
「くわっ?」
【ナユキ、これから戦争だ】
「く、クワー!」
【俺と一緒に戦ってくれるか?】
「グワウル!」
【分かったって、そう言ったんだよな】
「クワッ!」
「よし!」
俺は立ち上がった。現在時刻は12時5分。サニハに告げる。
【サニハ、団長として命じる。シュヴァリエはグリムリーパーに宣戦布告する!】
「かしこまりました」
――シュヴァリエがグリムリーパーに宣戦布告しました。
そのログはワールドチャットで流れた。
さて、あと一時間何をしようか。ふと、ナージュとその強さを思い出した。
溺れる者は藁をもつかむと言う。
もう二度と会うことは無いと決めたのであるのに、俺はナージュに応援要請をすることにした。スキル欄の説明を読み、その魔法スキルを使う。
【コンタクト、ナージュ・フィストラッタ】
俺の顔の前に、緑色の小さな魔法陣が出現した。
魔法陣からはしばらく雑音が響いた。少しして、ナージュの声が響く。
[もしもし! シグレですか?]
【ああ、ナージュか?】
[はい! ナージュでございます。嬉しいですぅ。よくぞお通話をかけてきてくれました]
【実は、いま困っているんだ】
[金欠……ですか?]
【違う! うちのギルドメンバーが、別のギルドに誘拐されちまった。取り返さなきゃいけないんだが】
[ふんふん、とりあえず、会って話しましょうか]
【会えるのか? 仕事は?】
[シグレ。貴方が困っているのなら、わたくしは仕事など放棄して駆けつける次第ですよ? あ、ちなみに今日は土曜日なので、お休暇をいただいているのですが]
涙が出るほど嬉しい言葉だった。
俺たちはシュレックの村で会う約束をして、通話を切る。そしてギルドタウンを退出したのだった。
◇◇◇
シュレック村の北出口で落ち合うと、俺は午前中にあったことを語って聞かせた。宣戦布告したことも話した。ナージュは辛抱強く傾聴をしてくれた。そして俺の話が終わる。
ナージュは両手を胸に組んで、うんうんと二回頷いた。
[つまり、そのリリイさんと妹さんを取り返すためには、戦争に勝たないといけない訳ですね?]
【ああ、そうだ】
[ごめんなさい、シグレ。わたくしはギルドに加入することも、そのタウンに入ることもできません。もう宣戦布告もしたみたいですし、わたくしがお手伝いできることはあまりなさそうです]
【そうか……、いや、話を聞いてくれただけでも助かったよ】
[ただ……]
【どうした?】
[シグレ、昨日二人で行った神殿へ、今から行きましょう]
【レベル上げか? 戦争開始まで、あと40分しかないぞ?】
[違います。レベル上げではありませんよ、シグレ]
ナージュが人差し指を立てて笑った。
[奥にいるボスを倒すのです]
【そうか!】
レアドロップ狙いということだろうか? それに、ボスを倒せばイベントのクリア報酬をもらえるかもしれない。戦力増強になるかもしれなかった。
[はい]
ナージュが両手のひらを合わせる。
【だけど、あと40分で倒せるか?】
[わたくしがついております。さあ、ゆるりと行きましょう]
【頼もしいな】
ナユキに背中に張り付くように指示する。そして、俺たちは速足でフィールドを歩き、森の中へと入った。石造りの階段を見つけて下る。青白く発光する床や壁、天井の空間を進み、女神像の右横の大穴から奥へと向かった。グリムリーパーの連中はすでに退出したようで、会わなかった。今頃、自分たちのギルドタウンで戦争の準備をしているのかもしれない。
大穴を行くと、やはりモンスターが沸いた。ナージュは弓矢を放ち、モンスターの目や喉、心臓などの急所を正確に射る。アーマードールに対しても鎧のすきまにやはり正確に射る。ほとんどのモンスターが一撃で死んだ。やべーな、やっぱりナージュは強い。ゴリラ女である。ちなみに彼女は矢筒を持っていなく、弓の弦を引くと魔法の矢が現れるのだった。便利な弓矢である。
[さあ、シグレ、前へと進みましょう]
【わ、分かった】
無理にナユキを地面に下ろすことはせず、背中に張りついたまま魔法スキルを唱えてもらう。だけど俺とナユキの出番はあまり無かった。やがてバグベアーとオークメイジが出るところまで来た。問題はここからある。バグベアーが鬼沸きするゾーンであった。さて、どうやって進もうか。
[ルークデレンテ]
ナージュが唱える。彼女の弓が緑色の光に包まれた。なんだろう、今のスキルは?
そして彼女が前に立ち、弓矢をスパンスパンと撃ちながら歩いていく。矢はモンスターの顔面を串刺しにして、次々に倒した。驚いたことに、俺たちは普通の歩行速度で進むことができていた。鬼神のごときとは彼女のことである。
【ナージュ、お前は、強いな】
[あらぁ、まだ本気を出していませんよ? わたくし]
【マジか】
[はい。シグレ、そろそろ奥の部屋です]
【来たか】
俺たちはその広い空間に出る。四方が青白く発光しているので明るかった。まず目についたのは蜘蛛の糸である。部屋中が蜘蛛の糸で張り巡らされており、不気味な光景であった。そして部屋の中心には、巨大な黒い蜘蛛が一匹いて、ぶら下がっている。こちらに気づくと、「キシャーッ!」と吠えた。
ボス、デモンガーディアン。
[シグレ、やりますよ!]
【分かった、ナユキ、降りろ】
「グワー!」
ナユキが俺の体をつたって床に降りる。俺は指示した。
【ナユキ、プロテクトシールドをくれ!】
「くわっ!」
俺の体が白い球状のシールドに包まれる。効果時間は15秒。俺は走り出した。
「キシャーッ!」
ボスが吠えて、そのお尻を向けて糸を飛ばす。だけどシールドが防いでくれた。糸がシールドにべとべとと張りつく。これでは前が見えない。俺は剣で糸を切ろうとして、やめた。糸が剣に付着すれば攻撃に支障がでるからだ。このままプロテクトシールドが解けるまで待とう。
蜘蛛がこちらへ来る気配がした。と思ったらシールドを攻撃される。ガンガンッと強い衝撃があった。
[シグレ! 一旦下がって]
ナージュが弓矢を放つ。
鼻に命中し、ボスが痛そうに悲鳴を上げた。
「キシュー! キシュー!」
俺は後退しつつ考えていた。インベントリを開くと、戦争開始まであと10分を切っている。あと10分も無いんだが倒せるか? この蜘蛛を? テイムナイトメアを決めれば良いのだろうか? いや待て、蜘蛛を味方につけたらダメージを与えられなくなる。こりゃあ詰んだな。と思ったんだけど閃いた!
【ナージュ、ちょっとここにいて耐えていてくれ!】
[は? どこに行くのですか? シグレ! ちょっと!]
【ナユキ、来い!】
「グワー!」
俺はいま歩いてきたところの通路に戻り、走り回ってバグベアーを沸かせた。オークメイジは要らん。通路を行ったり来たりして、5体のバグベアーを沸かせることに成功する。
【ナユキ! テイムナイトメアだ!】
「グワー!」
ナユキのいる地点から、半径五メートルにピンク色の魔法陣が展開される。激しいグラフィックがぐるぐると変化を見せた。やがて、5体のバグベアーがナユキに寄り添うようにして集まる。よし、戻ろう!
蜘蛛の部屋に戻ると、ナージュが逃げ撃ちしていた。弓矢の攻撃力は高いようで、ボスのHPがもう三分の一も削れている。俺は指をさして叫んだ。
【ナユキ、あの上の糸に向けて水鉄砲だ!】
「グワー!」
ナユキの頭上から三つの水弾が射出されて、デモンガーディアンの糸が切断された。ボスが床に落っこちる。よし! 上手く行った。
「キシシュー!」
ボスが悔しそうに悲鳴を上げていた。
バグベアーたちが蜘蛛をめがけて走り出す。囲みこみ、こん棒を次々に振り下ろした。
「バウ!」
「ガウ!」
「ハウ!」
「フン!」
「フヌ!」
「キシューッ! キシューッ!」
リンチのような光景である。デモンガーディアンは反撃しようとするのだが、こん棒が次々に襲いかかり、ダメージリアクションでのけぞってばかりだ。
ナージュが驚きの顔でこちらを見ていた。
[シグレ、モンスターを味方につけたのですか?]
【ああ! ナージュ、ヘイストを使えるか? モンスターにかけて欲しいんだが】
[わ、分かりました! ヘイスト!]
ナージュが唱えた。クトゥル人である彼女にはスキルクールタイムが無いようで、次から次へとかけていく。バグベアー全員の足元に緑色のサークルが灯った。攻撃速度が一気に回転を速める。ちなみに俺とナユキにもかけてもらった。さあ、ボスを倒してしまおうか。見ると、ボスのHPが半分以下に減っている。
【キシャーオーッー】
ボスがひときわ大きな声を発する。その背中が盛り上がり、びりびりと中から裂けた。なんだろう? 脱皮でもするのだろうか? いや、蜘蛛は脱皮をしない生き物である。だけど、蜘蛛の中から何か出てくる!
「キシャアアァァアアアア!」
デモンガーディアンは死んだのか、悲鳴を上げて力尽きた。動かなくなる。そして蜘蛛の中から出てきたのは巨大な赤い鬼であった。人間の肌の皮が全て剥げたような、気持ちの悪い見た目である。赤い筋肉がむき出しであった。体格は人間の倍ほど。鋭い爪と牙を持ち、頭には角が生えている。赤黒い小さな翼もあった。
ボス、デーモン。
「せっかく蜘蛛の中でよく寝ていたというのに……」
デーモンが喋った。人差し指を俺に向ける。ターゲットされたようだ。
「お前からやろう」
【来てみろ!】
デーモンが床に足をつけ、こちらに悠々と歩いてくる。ちょっ、怖えっての。
【ナユキ! それとナージュ! 援護を頼む!】
「グワーウ!」
[了解です!]
俺とデーモンが肉薄する。ロングソードと相手の拳が交差して火花を散らした。ガンッ、ガンッ、ガンッ、押されそうになる体勢を必死にその場に押しとどめる。早く倒さないと、だけど焦るな。
「グワウル!」
[それ! それ!]
ナユキが水圧弾を飛ばした。デーモンにぶつかって爆発し、大ダメージを与える。ノックバック効果により、ボスが地面に倒れた。ナイスだ、ナユキ! そしてナージュの放った弓矢の二本が背中に突き刺さっている。
「ぬおあっ!」
ボスが悲鳴を上げて、また立ち上がろうとした。そこへバグベアー五体が集まってきて、掛け声とともにデーモンにこん棒を振りかぶった。
「オウ!」
「ホウ!」
「アウ!」
「バウ!」
「マウ!」
「このぉぉぉぉう!」
ボスのHPがゴリゴリと削れていく。デーモンはたまらずに怒りの声を上げていた。俺はナユキをちらりと見て叫んだ。
【ナユキ! 雨流落水だ!】
「クワー!」
ナユキの頭上から大水が発射される。水がロングソードに巻きついた。それをデーモンに振り下ろす。
ザブーンッ。
「グアアァァァァアアアアア!」
[シグレ! もうちょっとです!]
【分かってる! ナージュ、バグベアーにヒールをかけれるか?】
「ヒール!」
ナージュが何度も唱える。バグベアーたちのHPが回復した。さあさあ、デーモンよ。お前の本気を見せてみろ。殺してやる、殺してやるぞ!
「くらえ、フレイムランス!」
デーモンが唱えた。ってフレイムランスかよ! 五つの火の槍が出現し、俺に飛来する。まるで槍のミサイルのようだ。っておい、死ぬのか俺。
[シグレ避けて!]
「クワー!」
瞬間、俺は白い球状のシールドに包まれた。ナユキがプロテクトシールドをかけてくれていた。火の槍はシールドとぶつかって地面に落ち、燃え盛った。
ボウッ。
【ナユキ、ナイスだ!】
「くわっ!」
亀が右手を上げる。本当にこいつはカワイイやつだ!
デーモンのHPはあと1センチほどである。バグベアーたちの容赦のない袋叩きに合い、あっという間にゼロになった。デーモンが叫ぶ。
「ふざけるなぁぁぁあああああ!」
――称号“魔を討伐せし者”を入手しました。
俺はインベントリを出し、自分とナユキのドロップ品を調べた。俺はリテナのみである。だけどナユキのアイテム欄には一冊のスキル書があった。
スキル書、ビーストフュージョン。
何だか周りが騒がしい。画面から顔を上げると、テイムナイトメアの効果が切れたバグベアーの5体を、ナージュが仕留めているところだった。そう言えばそうだった。三分で効果が切れるのである。忘れていた。
【ナージュ、ありがとう】
[いえいえ]
彼女がそばに寄った。
[シグレ、何か手に入れましたか?]
【ああ、スキル書だ】
俺はナユキのアイテム欄からスキル書を出して、亀にくわえさせた。
【ナユキ、覚えろ】
「ぐわっ、わっ、わっ、わぁー!」
喜んだような鳴き声を上げて、ナユキがスキルを習得する。
インベントリの時刻を見ると、戦争開始まであと5分しかない。これでは女神像のところに戻って、イベントのクリア報酬をもらう時間が無かった。だけど仕方ないことである。俺は急いでナユキのスキル欄を開き、ビーストフュージョンの説明を読んだ。
……よし!
顔を上げる。ナージュを向いて腰を折った。
【ナージュ、本当にありがとう、助かった】
[戦争、間に合いますか?]
【あと3分だ】
[行くのですか?]
【ああ】
[ご武運をお祈りしています]
【ありがとう】
また顔を落として称号の欄をチェックする。称号の魔を討伐せし者は、手に入れるとSTRとINTが3上昇する効果だった。さらに装備すると、攻撃時にダメージが3%増加する。俺はさっそく装備した。
そしてついに、宣戦布告から一時間が経過する。
俺のHPバーの上に赤い旗が表示された。なるほど、戦争中のプレイヤーには旗が立つようだ。
俺はインベントリに一日限定で設立された戦争項目をタップした。
【ナージュ、行ってくるわ】
[はい! いってらっしゃいませ!]
彼女は俺を鼓舞するような笑顔をくれた。
俺はナユキに声をかけた。
【行くぞ、ナユキ】
「くわっ」
ナユキが右手を上げる。
俺はグリムリーパーのギルドタウンへの、侵入のボタンを押した。
アドバイザーのサニハのところまで走ってきて立ち止まる。俺は矢継ぎ早に質問をした。リリイ、サクヤ、いま助けに行くからな。
【おい、宣戦布告について教えてくれ】
「こんにちは、団長シグレ様、宣戦布告は、ギルドの団長か副団長が申し込むことができます。申し込みたい場合は、私にその旨を告げてください。私が宣戦布告をいたします」
【宣戦布告すると、どうなるんだ?】
「宣戦布告をすると、相手のギルドタウンへの侵入が可能になります。戦争時間は三十分です。防衛側の団長を倒すか、ギルドタウンに出現するオブジェを破壊すると勝利です。また、攻撃側の団長も、倒された場合は敗北となりますのでご注意ください」
【そうか。詳しく聞きたいんだが、例えば俺が宣戦布告した場合、相手のギルドメンバーはこちらのタウンに侵入できるのか?】
「防衛側のギルドメンバーは、攻撃側のギルドタウンに侵入できません」
【どうやると、相手のタウンへ侵入できるんだ?】
「布告後、インベントリに戦争の項目が現れますので、そこから侵入ができます」
【じゃあ、もしも戦争の時に、相手の団長やメンバーがログアウトしていたらどうなるんだ?】
「布告から戦争開始までには、一時間の準備時間が設けられます。その一時間の間、皆様のゲーム機器から警告音が鳴ります。宣戦布告を受けた警告音です。もしもお風呂やお食事中であった場合、職員がそれを告げに来てくれるので、ご安心ください。ただ、眠っていて起きなかった場合は、アンラッキーということです」
【なるほど。あと、戦争に勝つとどうなるんだ?】
「戦争に勝つと、相手のギルドとギルドタウンは消滅します。また、死んでしまったプレイヤーはもうゲームに再挑戦ができなくなります。もちろん現実で処刑されます。また、勝利したギルドのメンバーは、一人につき一つだけ、相手ギルドのプレイヤーの遺品を入手できます」
【分かった】
俺はそう言って、地面にどっかりとあぐらをかいた。すぐ隣にはナユキがいた。俺はロッジから走ってきたのだが、ナユキも這って追いかけてきたようだ。緊張感のないのんびりとした顔をしている。ほんとお前は気楽だな。
今すぐ宣戦布告をするべきである。だけど準備時間が一時間もあるようだ。
他にも問題がある、実際、戦って勝てるだろうか? テイムナイトメアを上手く決めれば、ワンチャンあるかもしれない。だけど相手にはスキルを無効化するスキルがある。
というか普通に考えて、仲間の状態異常を除去する魔法スキルもゲーム内には存在するだろう。テイムナイトメアはチートの神スキルだと思ったのだが、実際は穴だらけだ……。
【インベントリ】
画面を呼び出してギルド項目を開く。もしかしてと思い、メンバーの欄を覗くと、メンバーは俺一人だけだった。くそ、やっぱりか。
今度はフレンド項目を開き、リリイとサクヤの所属しているギルドをチェックする。グリムリーパーになっていた。両目にじわっ熱いもの感じて、手の甲でこする。サクヤを人質に取られているので、これは仕方のないことなんだ。分かっちゃあいる。だけどこんなにも悲しい。俺も、シュヴァリエをやめちまおうかな……。
雨が降ればいいのに。
タウンに雨が降って、俺のぐるぐると渦巻いた黒い感情を洗い清めて欲しかった。
俺はナユキの甲羅に右手を置く。
「くわっ?」
【ナユキ、これから戦争だ】
「く、クワー!」
【俺と一緒に戦ってくれるか?】
「グワウル!」
【分かったって、そう言ったんだよな】
「クワッ!」
「よし!」
俺は立ち上がった。現在時刻は12時5分。サニハに告げる。
【サニハ、団長として命じる。シュヴァリエはグリムリーパーに宣戦布告する!】
「かしこまりました」
――シュヴァリエがグリムリーパーに宣戦布告しました。
そのログはワールドチャットで流れた。
さて、あと一時間何をしようか。ふと、ナージュとその強さを思い出した。
溺れる者は藁をもつかむと言う。
もう二度と会うことは無いと決めたのであるのに、俺はナージュに応援要請をすることにした。スキル欄の説明を読み、その魔法スキルを使う。
【コンタクト、ナージュ・フィストラッタ】
俺の顔の前に、緑色の小さな魔法陣が出現した。
魔法陣からはしばらく雑音が響いた。少しして、ナージュの声が響く。
[もしもし! シグレですか?]
【ああ、ナージュか?】
[はい! ナージュでございます。嬉しいですぅ。よくぞお通話をかけてきてくれました]
【実は、いま困っているんだ】
[金欠……ですか?]
【違う! うちのギルドメンバーが、別のギルドに誘拐されちまった。取り返さなきゃいけないんだが】
[ふんふん、とりあえず、会って話しましょうか]
【会えるのか? 仕事は?】
[シグレ。貴方が困っているのなら、わたくしは仕事など放棄して駆けつける次第ですよ? あ、ちなみに今日は土曜日なので、お休暇をいただいているのですが]
涙が出るほど嬉しい言葉だった。
俺たちはシュレックの村で会う約束をして、通話を切る。そしてギルドタウンを退出したのだった。
◇◇◇
シュレック村の北出口で落ち合うと、俺は午前中にあったことを語って聞かせた。宣戦布告したことも話した。ナージュは辛抱強く傾聴をしてくれた。そして俺の話が終わる。
ナージュは両手を胸に組んで、うんうんと二回頷いた。
[つまり、そのリリイさんと妹さんを取り返すためには、戦争に勝たないといけない訳ですね?]
【ああ、そうだ】
[ごめんなさい、シグレ。わたくしはギルドに加入することも、そのタウンに入ることもできません。もう宣戦布告もしたみたいですし、わたくしがお手伝いできることはあまりなさそうです]
【そうか……、いや、話を聞いてくれただけでも助かったよ】
[ただ……]
【どうした?】
[シグレ、昨日二人で行った神殿へ、今から行きましょう]
【レベル上げか? 戦争開始まで、あと40分しかないぞ?】
[違います。レベル上げではありませんよ、シグレ]
ナージュが人差し指を立てて笑った。
[奥にいるボスを倒すのです]
【そうか!】
レアドロップ狙いということだろうか? それに、ボスを倒せばイベントのクリア報酬をもらえるかもしれない。戦力増強になるかもしれなかった。
[はい]
ナージュが両手のひらを合わせる。
【だけど、あと40分で倒せるか?】
[わたくしがついております。さあ、ゆるりと行きましょう]
【頼もしいな】
ナユキに背中に張り付くように指示する。そして、俺たちは速足でフィールドを歩き、森の中へと入った。石造りの階段を見つけて下る。青白く発光する床や壁、天井の空間を進み、女神像の右横の大穴から奥へと向かった。グリムリーパーの連中はすでに退出したようで、会わなかった。今頃、自分たちのギルドタウンで戦争の準備をしているのかもしれない。
大穴を行くと、やはりモンスターが沸いた。ナージュは弓矢を放ち、モンスターの目や喉、心臓などの急所を正確に射る。アーマードールに対しても鎧のすきまにやはり正確に射る。ほとんどのモンスターが一撃で死んだ。やべーな、やっぱりナージュは強い。ゴリラ女である。ちなみに彼女は矢筒を持っていなく、弓の弦を引くと魔法の矢が現れるのだった。便利な弓矢である。
[さあ、シグレ、前へと進みましょう]
【わ、分かった】
無理にナユキを地面に下ろすことはせず、背中に張りついたまま魔法スキルを唱えてもらう。だけど俺とナユキの出番はあまり無かった。やがてバグベアーとオークメイジが出るところまで来た。問題はここからある。バグベアーが鬼沸きするゾーンであった。さて、どうやって進もうか。
[ルークデレンテ]
ナージュが唱える。彼女の弓が緑色の光に包まれた。なんだろう、今のスキルは?
そして彼女が前に立ち、弓矢をスパンスパンと撃ちながら歩いていく。矢はモンスターの顔面を串刺しにして、次々に倒した。驚いたことに、俺たちは普通の歩行速度で進むことができていた。鬼神のごときとは彼女のことである。
【ナージュ、お前は、強いな】
[あらぁ、まだ本気を出していませんよ? わたくし]
【マジか】
[はい。シグレ、そろそろ奥の部屋です]
【来たか】
俺たちはその広い空間に出る。四方が青白く発光しているので明るかった。まず目についたのは蜘蛛の糸である。部屋中が蜘蛛の糸で張り巡らされており、不気味な光景であった。そして部屋の中心には、巨大な黒い蜘蛛が一匹いて、ぶら下がっている。こちらに気づくと、「キシャーッ!」と吠えた。
ボス、デモンガーディアン。
[シグレ、やりますよ!]
【分かった、ナユキ、降りろ】
「グワー!」
ナユキが俺の体をつたって床に降りる。俺は指示した。
【ナユキ、プロテクトシールドをくれ!】
「くわっ!」
俺の体が白い球状のシールドに包まれる。効果時間は15秒。俺は走り出した。
「キシャーッ!」
ボスが吠えて、そのお尻を向けて糸を飛ばす。だけどシールドが防いでくれた。糸がシールドにべとべとと張りつく。これでは前が見えない。俺は剣で糸を切ろうとして、やめた。糸が剣に付着すれば攻撃に支障がでるからだ。このままプロテクトシールドが解けるまで待とう。
蜘蛛がこちらへ来る気配がした。と思ったらシールドを攻撃される。ガンガンッと強い衝撃があった。
[シグレ! 一旦下がって]
ナージュが弓矢を放つ。
鼻に命中し、ボスが痛そうに悲鳴を上げた。
「キシュー! キシュー!」
俺は後退しつつ考えていた。インベントリを開くと、戦争開始まであと10分を切っている。あと10分も無いんだが倒せるか? この蜘蛛を? テイムナイトメアを決めれば良いのだろうか? いや待て、蜘蛛を味方につけたらダメージを与えられなくなる。こりゃあ詰んだな。と思ったんだけど閃いた!
【ナージュ、ちょっとここにいて耐えていてくれ!】
[は? どこに行くのですか? シグレ! ちょっと!]
【ナユキ、来い!】
「グワー!」
俺はいま歩いてきたところの通路に戻り、走り回ってバグベアーを沸かせた。オークメイジは要らん。通路を行ったり来たりして、5体のバグベアーを沸かせることに成功する。
【ナユキ! テイムナイトメアだ!】
「グワー!」
ナユキのいる地点から、半径五メートルにピンク色の魔法陣が展開される。激しいグラフィックがぐるぐると変化を見せた。やがて、5体のバグベアーがナユキに寄り添うようにして集まる。よし、戻ろう!
蜘蛛の部屋に戻ると、ナージュが逃げ撃ちしていた。弓矢の攻撃力は高いようで、ボスのHPがもう三分の一も削れている。俺は指をさして叫んだ。
【ナユキ、あの上の糸に向けて水鉄砲だ!】
「グワー!」
ナユキの頭上から三つの水弾が射出されて、デモンガーディアンの糸が切断された。ボスが床に落っこちる。よし! 上手く行った。
「キシシュー!」
ボスが悔しそうに悲鳴を上げていた。
バグベアーたちが蜘蛛をめがけて走り出す。囲みこみ、こん棒を次々に振り下ろした。
「バウ!」
「ガウ!」
「ハウ!」
「フン!」
「フヌ!」
「キシューッ! キシューッ!」
リンチのような光景である。デモンガーディアンは反撃しようとするのだが、こん棒が次々に襲いかかり、ダメージリアクションでのけぞってばかりだ。
ナージュが驚きの顔でこちらを見ていた。
[シグレ、モンスターを味方につけたのですか?]
【ああ! ナージュ、ヘイストを使えるか? モンスターにかけて欲しいんだが】
[わ、分かりました! ヘイスト!]
ナージュが唱えた。クトゥル人である彼女にはスキルクールタイムが無いようで、次から次へとかけていく。バグベアー全員の足元に緑色のサークルが灯った。攻撃速度が一気に回転を速める。ちなみに俺とナユキにもかけてもらった。さあ、ボスを倒してしまおうか。見ると、ボスのHPが半分以下に減っている。
【キシャーオーッー】
ボスがひときわ大きな声を発する。その背中が盛り上がり、びりびりと中から裂けた。なんだろう? 脱皮でもするのだろうか? いや、蜘蛛は脱皮をしない生き物である。だけど、蜘蛛の中から何か出てくる!
「キシャアアァァアアアア!」
デモンガーディアンは死んだのか、悲鳴を上げて力尽きた。動かなくなる。そして蜘蛛の中から出てきたのは巨大な赤い鬼であった。人間の肌の皮が全て剥げたような、気持ちの悪い見た目である。赤い筋肉がむき出しであった。体格は人間の倍ほど。鋭い爪と牙を持ち、頭には角が生えている。赤黒い小さな翼もあった。
ボス、デーモン。
「せっかく蜘蛛の中でよく寝ていたというのに……」
デーモンが喋った。人差し指を俺に向ける。ターゲットされたようだ。
「お前からやろう」
【来てみろ!】
デーモンが床に足をつけ、こちらに悠々と歩いてくる。ちょっ、怖えっての。
【ナユキ! それとナージュ! 援護を頼む!】
「グワーウ!」
[了解です!]
俺とデーモンが肉薄する。ロングソードと相手の拳が交差して火花を散らした。ガンッ、ガンッ、ガンッ、押されそうになる体勢を必死にその場に押しとどめる。早く倒さないと、だけど焦るな。
「グワウル!」
[それ! それ!]
ナユキが水圧弾を飛ばした。デーモンにぶつかって爆発し、大ダメージを与える。ノックバック効果により、ボスが地面に倒れた。ナイスだ、ナユキ! そしてナージュの放った弓矢の二本が背中に突き刺さっている。
「ぬおあっ!」
ボスが悲鳴を上げて、また立ち上がろうとした。そこへバグベアー五体が集まってきて、掛け声とともにデーモンにこん棒を振りかぶった。
「オウ!」
「ホウ!」
「アウ!」
「バウ!」
「マウ!」
「このぉぉぉぉう!」
ボスのHPがゴリゴリと削れていく。デーモンはたまらずに怒りの声を上げていた。俺はナユキをちらりと見て叫んだ。
【ナユキ! 雨流落水だ!】
「クワー!」
ナユキの頭上から大水が発射される。水がロングソードに巻きついた。それをデーモンに振り下ろす。
ザブーンッ。
「グアアァァァァアアアアア!」
[シグレ! もうちょっとです!]
【分かってる! ナージュ、バグベアーにヒールをかけれるか?】
「ヒール!」
ナージュが何度も唱える。バグベアーたちのHPが回復した。さあさあ、デーモンよ。お前の本気を見せてみろ。殺してやる、殺してやるぞ!
「くらえ、フレイムランス!」
デーモンが唱えた。ってフレイムランスかよ! 五つの火の槍が出現し、俺に飛来する。まるで槍のミサイルのようだ。っておい、死ぬのか俺。
[シグレ避けて!]
「クワー!」
瞬間、俺は白い球状のシールドに包まれた。ナユキがプロテクトシールドをかけてくれていた。火の槍はシールドとぶつかって地面に落ち、燃え盛った。
ボウッ。
【ナユキ、ナイスだ!】
「くわっ!」
亀が右手を上げる。本当にこいつはカワイイやつだ!
デーモンのHPはあと1センチほどである。バグベアーたちの容赦のない袋叩きに合い、あっという間にゼロになった。デーモンが叫ぶ。
「ふざけるなぁぁぁあああああ!」
――称号“魔を討伐せし者”を入手しました。
俺はインベントリを出し、自分とナユキのドロップ品を調べた。俺はリテナのみである。だけどナユキのアイテム欄には一冊のスキル書があった。
スキル書、ビーストフュージョン。
何だか周りが騒がしい。画面から顔を上げると、テイムナイトメアの効果が切れたバグベアーの5体を、ナージュが仕留めているところだった。そう言えばそうだった。三分で効果が切れるのである。忘れていた。
【ナージュ、ありがとう】
[いえいえ]
彼女がそばに寄った。
[シグレ、何か手に入れましたか?]
【ああ、スキル書だ】
俺はナユキのアイテム欄からスキル書を出して、亀にくわえさせた。
【ナユキ、覚えろ】
「ぐわっ、わっ、わっ、わぁー!」
喜んだような鳴き声を上げて、ナユキがスキルを習得する。
インベントリの時刻を見ると、戦争開始まであと5分しかない。これでは女神像のところに戻って、イベントのクリア報酬をもらう時間が無かった。だけど仕方ないことである。俺は急いでナユキのスキル欄を開き、ビーストフュージョンの説明を読んだ。
……よし!
顔を上げる。ナージュを向いて腰を折った。
【ナージュ、本当にありがとう、助かった】
[戦争、間に合いますか?]
【あと3分だ】
[行くのですか?]
【ああ】
[ご武運をお祈りしています]
【ありがとう】
また顔を落として称号の欄をチェックする。称号の魔を討伐せし者は、手に入れるとSTRとINTが3上昇する効果だった。さらに装備すると、攻撃時にダメージが3%増加する。俺はさっそく装備した。
そしてついに、宣戦布告から一時間が経過する。
俺のHPバーの上に赤い旗が表示された。なるほど、戦争中のプレイヤーには旗が立つようだ。
俺はインベントリに一日限定で設立された戦争項目をタップした。
【ナージュ、行ってくるわ】
[はい! いってらっしゃいませ!]
彼女は俺を鼓舞するような笑顔をくれた。
俺はナユキに声をかけた。
【行くぞ、ナユキ】
「くわっ」
ナユキが右手を上げる。
俺はグリムリーパーのギルドタウンへの、侵入のボタンを押した。
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