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第23話 探偵 豪華客船に乗る 後編
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執事の後について回廊を進むと、先ほどの煌びやかな客室エリアとは打って変わり、重厚で静まり返ったエリアへと入った。 通されたのは、窓のない広い個室だった。 部屋の中央には、革張りのソファと、壁一面を覆うほどの巨大なモニターだけが鎮座している。
「主は、こちらにおります」
使用人が一礼して部屋を出ていくと、カチリと鍵が掛かる音がした。
「ちょっと、なんか雰囲気怖くないですか?」
葵が僕の袖を掴む。
「まるで取調室ね。もしくは、悪の組織の司令室か」
凛が腕組みをしてモニターを睨みつける。
その時。 ザザッ……ザザザッ……。 不快なノイズと共に、モニターに電源が入った。
画面には、デジタル処理された人影(シルエット)が映し出されていた。顔も、年齢も、性別すら判別できない。ただ、そこに「誰か」がいることだけがわかる。
『ようこそ、探偵諸君。そして優秀な刑事殿』
スピーカーから流れてきたのは、機械で加工された無機質な声だった。
「あなたが招待主か? 姿を見せたらどうだ」
僕が問いかけると、影はクククと低く笑った。
『今はまだ、その時ではない。……君たちを呼んだのは、他でもない。ある「謎」を解明してもらうためだ』
「謎?」
『単刀直入に言おう』 影は一呼吸置き、告げた。
『この船に乗っている乗客の中に私の最愛の妻を殺した犯人がいる』
室内の空気が凍りついた。
「殺人犯……ですって?」
葵が息を呑む。
『そうだ。警察は事故として処理した。だが私は知っている。あれは巧妙に仕組まれた殺人だ。犯人はのうのうと生き延び、今、この優雅なクルーズを楽しんでいる』
影の声に、押し殺したような憎悪が滲む。
『君たちへの依頼はただ一つ。この船に乗っている1000人の乗客とスタッフの中から、真犯人を特定し、私の元へ連れてくることだ』
「警察に行けばいいじゃない。なんで私たちなの?」 凛が鋭く尋ねる。
『警察は無能だ。それに、法で裁くつもりはない。私が直接、裁きを下す』
不穏な言葉に、僕たちは顔を見合わせた。これはただの調査ではない。復讐の代行だ。
『報酬は、君たちの口座に既に振り込んだ額の倍。そして、この船での全ての権限を与える』
モニターの端に、デジタル時計が表示された。
『期限は、この船が目的地に到着するまでの「一週間」。』
『それまでに犯人を見つけ出せなければ、依頼は失敗とみなす』
「失敗したら?」
僕が尋ねると、影は冷徹に言い放った。
『その時はこの船ごと、犯人を海の藻屑にするだけだ』
ザンッ。 通信が切れた。真っ暗になったモニターに、呆然とする僕たちの顔が映り込んでいる。
「おいおい!俺らも死んじゃうの!?」
僕は冷や汗が滝のように流れてきた。
逃げ場のない海の上。 1000人の容疑者。 姿なき依頼人。 そして、紛れ込んでいる殺人犯。
僕たちの命を懸けた、一週間の推理ゲームが幕を開けた。
「主は、こちらにおります」
使用人が一礼して部屋を出ていくと、カチリと鍵が掛かる音がした。
「ちょっと、なんか雰囲気怖くないですか?」
葵が僕の袖を掴む。
「まるで取調室ね。もしくは、悪の組織の司令室か」
凛が腕組みをしてモニターを睨みつける。
その時。 ザザッ……ザザザッ……。 不快なノイズと共に、モニターに電源が入った。
画面には、デジタル処理された人影(シルエット)が映し出されていた。顔も、年齢も、性別すら判別できない。ただ、そこに「誰か」がいることだけがわかる。
『ようこそ、探偵諸君。そして優秀な刑事殿』
スピーカーから流れてきたのは、機械で加工された無機質な声だった。
「あなたが招待主か? 姿を見せたらどうだ」
僕が問いかけると、影はクククと低く笑った。
『今はまだ、その時ではない。……君たちを呼んだのは、他でもない。ある「謎」を解明してもらうためだ』
「謎?」
『単刀直入に言おう』 影は一呼吸置き、告げた。
『この船に乗っている乗客の中に私の最愛の妻を殺した犯人がいる』
室内の空気が凍りついた。
「殺人犯……ですって?」
葵が息を呑む。
『そうだ。警察は事故として処理した。だが私は知っている。あれは巧妙に仕組まれた殺人だ。犯人はのうのうと生き延び、今、この優雅なクルーズを楽しんでいる』
影の声に、押し殺したような憎悪が滲む。
『君たちへの依頼はただ一つ。この船に乗っている1000人の乗客とスタッフの中から、真犯人を特定し、私の元へ連れてくることだ』
「警察に行けばいいじゃない。なんで私たちなの?」 凛が鋭く尋ねる。
『警察は無能だ。それに、法で裁くつもりはない。私が直接、裁きを下す』
不穏な言葉に、僕たちは顔を見合わせた。これはただの調査ではない。復讐の代行だ。
『報酬は、君たちの口座に既に振り込んだ額の倍。そして、この船での全ての権限を与える』
モニターの端に、デジタル時計が表示された。
『期限は、この船が目的地に到着するまでの「一週間」。』
『それまでに犯人を見つけ出せなければ、依頼は失敗とみなす』
「失敗したら?」
僕が尋ねると、影は冷徹に言い放った。
『その時はこの船ごと、犯人を海の藻屑にするだけだ』
ザンッ。 通信が切れた。真っ暗になったモニターに、呆然とする僕たちの顔が映り込んでいる。
「おいおい!俺らも死んじゃうの!?」
僕は冷や汗が滝のように流れてきた。
逃げ場のない海の上。 1000人の容疑者。 姿なき依頼人。 そして、紛れ込んでいる殺人犯。
僕たちの命を懸けた、一週間の推理ゲームが幕を開けた。
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