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婚約破棄はパーティーで その4
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「この前の戦いで彼らと上手く連携できるようになったと思っていました」
ピートは釈然としない様子。
「あのときは、あのとき。俺には時間がないんだ」
お互いの能力の特性を把握するだけの時間がない。
役割分担に連携のための情報を得て作戦を話し合う時間がない。
主導権争いや同士討ちが発生したら目も当てられない。
地元で活動していた彼らには彼らの誇りがあるんだろうけど、瘴気の大陸は現在非常事態だから、彼らの知識がどれだけ当てになるかわからない。
同士討ちに関しては、俺の鎧が盾が全ての攻撃を反射する恐ろしさを理解しているかどうか怪しい。
ついでに、こういうことをピートに説明するだけの時間もない。
だからそれ以上は何も言わずに、俺は屍竜に乗って魔物の列に突撃した。
屍竜の乗り心地は大幅に改善。地を踏み走るよりも飛んだ方がいいと極く短時間で学習したようだ。移動速度も速くなったしな。偉い偉い。
前回と同様、俺の鎧と盾が魔物たちの攻撃を反射し、屍竜がブレスで魔物を殲滅していく。空間の裂け目からの距離は充分と判断し、前回より早めに雷を落とす。
「落雷! 落雷! 落雷! 落雷! 落雷!」
そして剣先からの光のビームで、聖なる山の麓までの道に存在する生きてる魔物、死んだ魔物を全て粉砕する。
「爆発しろ!」
そして魔物の列を消滅させ、聖なる山の麓、魔物の発生源にたどり着くことができた。
俺は剣に土の属性を帯びさせ、石の塊を作り出す。これを遥か上空に作って地上に落とすと天のハンマーになるが、今回はそれをしない。
今からやりたいのは発生源となっている洞窟の穴を塞ぐことだからだ。
可能な限り、強く固く重い石で。
俺は制限時間近くまで石の生成に力を注ぎ、でき上がった石を洞窟の入り口まで転がす。
ズンッという音とともに石の球が入り口を閉ざす。
「さて、どれだけ保つかねぇ」
俺が土の魔法で生成した石は、この大陸の大地に転がっている石や岩とは異なり瘴気を含まないので、入り口塞ぎに採用した。石自体は俺が消えても残るんだが、魔術的な護りの方は、かけたとしても俺が消えると同時に消える。つまり物理的な頑丈さだけで、どれだけ耐えることができるかってのが問題なんだけど……。
「結局、避難は進んでいないのか」
予想通りというか、次に召喚されたのは卒業記念パーティーの会場。
フェンリルは巨大化していたみたいだが、俺が登場すると律儀に騎乗に適したサイズまで小型化していく。
「まあ、浄化の聖女をあまり責めるな。あやつらの相手で精一杯だったでな。
我が創造された時代では考えられないほどに瘴気に対する忌避感が薄れており、勢い浄化の能力を軽んじる風潮があるようだ。力の根源として瘴気を好んだ駄女神のせいでな。嘆かわしい限りである」
フェンリルは俺が不在の三分間の情報を俺の頭へと流し込む。
——全部嘘なのか? そんなはずはない。
私はこの目で聖なる山の洞窟にある女神の祠を見たんだ。
——全てが僕たちの妄想ならば、なぜこのように祠からこの神具へと続く道が
できたりしたのでしょう?
——聖なる山の祠から発する力は瘴気というより聖なる力、聖力と呼ぶべきです。
女神様の御技により発し、女神様のために振るわれる力ですから。
——聖獣様は封じられた女神様の救助に駆け付けるべきですのに、どうして?
「あの洞窟の中に入って祠を破壊すればいいのか。
今は入り口を石で塞いでいるだけなんですよ」
「させるかぁあーっ!」
俺の言葉を聞いて怒りをみなぎらせた男が、ヤバそうな魔道具に魔力を込める。
半端な力じゃない。
あれを起動させたらいけない。
剣先から光のビームを出して魔道具を破壊。
屋内ではあるし出力は絞っていたんだが、男の腹には大きな穴があいた。
「そんな……。人を殺すためにカプセルを割ったのではないのに……」
男の死体を見ながら浄化の聖女が言う。
ああ、これは厄介なパターンかも。
ピートは釈然としない様子。
「あのときは、あのとき。俺には時間がないんだ」
お互いの能力の特性を把握するだけの時間がない。
役割分担に連携のための情報を得て作戦を話し合う時間がない。
主導権争いや同士討ちが発生したら目も当てられない。
地元で活動していた彼らには彼らの誇りがあるんだろうけど、瘴気の大陸は現在非常事態だから、彼らの知識がどれだけ当てになるかわからない。
同士討ちに関しては、俺の鎧が盾が全ての攻撃を反射する恐ろしさを理解しているかどうか怪しい。
ついでに、こういうことをピートに説明するだけの時間もない。
だからそれ以上は何も言わずに、俺は屍竜に乗って魔物の列に突撃した。
屍竜の乗り心地は大幅に改善。地を踏み走るよりも飛んだ方がいいと極く短時間で学習したようだ。移動速度も速くなったしな。偉い偉い。
前回と同様、俺の鎧と盾が魔物たちの攻撃を反射し、屍竜がブレスで魔物を殲滅していく。空間の裂け目からの距離は充分と判断し、前回より早めに雷を落とす。
「落雷! 落雷! 落雷! 落雷! 落雷!」
そして剣先からの光のビームで、聖なる山の麓までの道に存在する生きてる魔物、死んだ魔物を全て粉砕する。
「爆発しろ!」
そして魔物の列を消滅させ、聖なる山の麓、魔物の発生源にたどり着くことができた。
俺は剣に土の属性を帯びさせ、石の塊を作り出す。これを遥か上空に作って地上に落とすと天のハンマーになるが、今回はそれをしない。
今からやりたいのは発生源となっている洞窟の穴を塞ぐことだからだ。
可能な限り、強く固く重い石で。
俺は制限時間近くまで石の生成に力を注ぎ、でき上がった石を洞窟の入り口まで転がす。
ズンッという音とともに石の球が入り口を閉ざす。
「さて、どれだけ保つかねぇ」
俺が土の魔法で生成した石は、この大陸の大地に転がっている石や岩とは異なり瘴気を含まないので、入り口塞ぎに採用した。石自体は俺が消えても残るんだが、魔術的な護りの方は、かけたとしても俺が消えると同時に消える。つまり物理的な頑丈さだけで、どれだけ耐えることができるかってのが問題なんだけど……。
「結局、避難は進んでいないのか」
予想通りというか、次に召喚されたのは卒業記念パーティーの会場。
フェンリルは巨大化していたみたいだが、俺が登場すると律儀に騎乗に適したサイズまで小型化していく。
「まあ、浄化の聖女をあまり責めるな。あやつらの相手で精一杯だったでな。
我が創造された時代では考えられないほどに瘴気に対する忌避感が薄れており、勢い浄化の能力を軽んじる風潮があるようだ。力の根源として瘴気を好んだ駄女神のせいでな。嘆かわしい限りである」
フェンリルは俺が不在の三分間の情報を俺の頭へと流し込む。
——全部嘘なのか? そんなはずはない。
私はこの目で聖なる山の洞窟にある女神の祠を見たんだ。
——全てが僕たちの妄想ならば、なぜこのように祠からこの神具へと続く道が
できたりしたのでしょう?
——聖なる山の祠から発する力は瘴気というより聖なる力、聖力と呼ぶべきです。
女神様の御技により発し、女神様のために振るわれる力ですから。
——聖獣様は封じられた女神様の救助に駆け付けるべきですのに、どうして?
「あの洞窟の中に入って祠を破壊すればいいのか。
今は入り口を石で塞いでいるだけなんですよ」
「させるかぁあーっ!」
俺の言葉を聞いて怒りをみなぎらせた男が、ヤバそうな魔道具に魔力を込める。
半端な力じゃない。
あれを起動させたらいけない。
剣先から光のビームを出して魔道具を破壊。
屋内ではあるし出力は絞っていたんだが、男の腹には大きな穴があいた。
「そんな……。人を殺すためにカプセルを割ったのではないのに……」
男の死体を見ながら浄化の聖女が言う。
ああ、これは厄介なパターンかも。
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