93 / 115
③
一年生 6月-3
しおりを挟む
次の日。
今日は昨日のように大輝がやってくるということもなく、一人で食事をした。
もちろん余裕をもって食べ終えることもでき、ゆっくり食事できることの素晴らしさを実感できた。
だが、あまりにも余裕ができすぎて暇だ。伊久留も当然のようにいないし。
何してるかな~……。
そんなことを思いつつ、廊下側のドアを眺めていると、誰か人が入ってきた。黒の混じった濃い青の髪をした男。俺が見たことのないやつだ。
流石に俺でも、約3ヶ月一緒に勉強してきたのだ。クラスメイトの顔は覚えている。それに靴に入っているラインの色を見れば、学年もわかるし、そいつは俺と同じ色だ。
だから少なくとも、同じクラスのやつではない同級生ってことはわかった。
そいつは教室の中を見渡す。どうやら人を探しているみたいだな。……ちょっと話を聞いてみるか。俺もどうせ暇だし。
「誰か探しているのか?」
俺は近くによって話しかける。すると、そいつは俺に顔を向けた。
ふむ。こうやって近くで見ると、身長は俺と同じくらいか。それに、顔立ちが整っている……イケメンってやつだな。
俺はもう一度言う。
「人、探しているのか?」
「ああ。安藤(あんどう)真希子(まきこ)って人なんだが」
安藤真希子……ああ、あの日焼けして褐色系の肌で活発なやつか。俺も教室の中を見渡してみる。
「そいつは……いないな」
それに、そいつと仲のいい、よくつるんでいるようなやつもいない。ここじゃ、何の手がかりも得られないだろうな。
「そうか。ありがとう」
俺がそう答えると、そいつは礼を言って教室から出て行こうとする。そんなやつを俺は引き止める。
「待てよ。それなら俺も探すの手伝うぜ?」
「だが……」
そいつは俺の提案に困惑したような顔をする。まぁ、見ず知らずの他人だ。断ろうとするのもわかる。でも……
「さっきの様子からすると、お前相手の顔も知らないんだろ? 遠慮するなよ。お前が探しているって知った以上は、俺も気になるしな。それにちょうど暇してたところだ。暇つぶしに手伝わせてくれよ」
笑って軽い調子で答えると、驚いた表情をした後、柔らかな笑みを浮かべた。
「ありがとう。えっと……」
「島抜巧人だ」
「そうか、俺は峰内透だ。改めてよろしく」
「ああ、よろしくな。峰内」
*****
というわけで、人探しを手伝っていたのだが……
「……いないな」
俺はそう声を漏らす。
ひとまず全教室を巡ってみたが、どこにも安藤真希子の姿はなかった。
とすると、あとあり得るのは学食か。いや、他にも部室。可能性としては低いが、上級生の教室なんてのも考えられるか。どうするか……。
まずは、峰内に聞いてみよう。
「なぁ、これって早い方がいいのか?」
「そうだな。できれば昼休み中には見つけて言いたいことがあるからな。10分は前に見つけたい」
とすると、残りの時間は……10分ないな。そんな短い時間じゃ、全部回るのは無理だし。二人いるから二手にわかれるって言っても、この残り時間じゃ、俺が見つけても峰内の元に連れて行く時間も危うい。峰内のほうも聞いて回る時間のロスが大きい。場所を絞ったほうがいいな。
だとすると、安藤真希子のデータからどこに行きそうか考えてみよう。けど、生憎俺はあいつのことはほとんど知らない。名前と見た目と、クラス内で仲のいい相手くらいだ。部活もしらん。
これも一度峰内に聞いておくか。
「峰内は、安藤真希子のこと、どのくらい知っているんだ?」
「ほとんど知らない。島抜の言ったように顔も分からないくらいだからな。ただ、サッカー部のマネージャーをやっているらしいってことは聞いたが」
よし、部活が分かったぞ。これで部室に行くならサッカー部ってことになったな。……まずサッカー部の部室の場所なんて分からないけど。
(……うん? 待てよ、サッカー部?)
どこかで聞いたことがあるような。俺の知り合いにサッカー部のやつがいたような……。
(そうだ! 大輝だ!)
さらりと言っていたものだったし、ほとんど記憶に残ってなかったけど、確かにそう聞いた。よし、大輝ならさっきの教室巡りで3組にいたのを見たし、これで安藤真希子のことを知りつつ、部室の場所もわかるぞ。いい流れだ。
しかし、よく考えるとバイトもしていて部活もしているって、どんだけハードなんだよ。せめて部活止めればいいのに。……まぁ好きだからって言っていたし、本人がいいならいいけどさ。
(さぁ、時間もないしさっさと行動するか)
「峰内ついてきてくれ」
「? わかった」
俺は不思議そうにする峰内に説明もせずに、3組へと向かっていった。
*****
3組の教室にたどり着き、教室の中をみる。
(……まだいるな)
奥の方、窓際に大輝は居た。他に友人であろう人物が3人ほどいる。
俺は峰内に指示を出す。
「よし、あそこにいる黒髪のいかにも普通って感じのやつだ。聞いて来い」
「いや、それじゃ分からないが……」
困ったように苦笑する。さらに峰内は言った。
「まず、何を聞くんだ? 俺は知らされてないぞ。それに島抜の知り合いなんだろ? だったら、そっちがいってこればいいじゃないか。そのほうが俺が言って聞いてくるより、スムーズだろ?」
そうだな。通常はそう思うよな。
だが、俺は行きたくない。何故なら、大輝の周りには人がいるからだ。しかも全員知らないやつらで3人もいる。残念だが俺にはあの中に飛び込む勇気はない。ここは意地でも峰内に行かせてやる。
「大丈夫だ、峰内。お前ならきっと、あてられる。俺はお前を信じているぞ」
「どこから来るんだ、その信頼は……」
「いいから。こうやって言い合ってる暇があったら、さっさと行動しないと。時間が無くなるぞ!」
「はぁ……まぁ別にいいがな。島抜の言うとおりだし」
ため息をつき、渋々ながらも納得した様子の峰内。俺はそんな峰内に付け加える。
「それに、これは一応お前の問題だ。俺は手伝ってるだけだ。だから、可能な限りお前が色々とやるべきだと思っただけだ」
「ふ……わかったよ」
峰内は小さく笑うと、「それで?」と聞いてくる。
「俺はどうすればいいんだ?」
「名前は中岡大輝。サッカー部の部員だ。だから、安藤真希子について知っていることをいくつか聞いてきてくれ。後、ついでに部室の場所も」
「知っていることと言っても、何を聞いてくればいいんだ?」
「そうだな……上級生の人とどれくらい仲がいいかについては最低聞いてきてくれ」
「オッケーだ。じゃあ行ってくる」
そうして教室の中に入っていく。峰内は大輝たちの元に真っ直ぐに向かっていく。そして峰内は大輝に話しかけた。
(おお、本当に一発で当てた)
どうでもいいことだが、少しだけ驚く。適当に言ったことだったんだけどな。
しかし、ここからじゃ何を話しているのかはわからないな。早く戻って来い。
しばらくして、峰内は戻ってきた。
「どうだった?」
「上級生との関係は、そこまで深くないらしい。というのも、マネージャー自体が複数人いるから、1年と言うこともあり彼女はあまり人とかかわらないような雑用を多くやっていたそうだ」
とすると、上級生の教室というのはないか。
「他には?」
「部室の件だが、場所はわかった。けど、あそこは部員の選手が使うロッカーがあるだけで、昼食を取れるスペースはないようだ。それに、マネージャーは利用してないとも言っていた」
じゃあ、部室もなし。残るは、学食だけだ。そうと決まったら、早速向かうか。
「よし、学食を探しに行くか」
「ああ、そうだな」
俺がそう言うと、峰内は頷く。そうして俺たちは歩き出した。
今日は昨日のように大輝がやってくるということもなく、一人で食事をした。
もちろん余裕をもって食べ終えることもでき、ゆっくり食事できることの素晴らしさを実感できた。
だが、あまりにも余裕ができすぎて暇だ。伊久留も当然のようにいないし。
何してるかな~……。
そんなことを思いつつ、廊下側のドアを眺めていると、誰か人が入ってきた。黒の混じった濃い青の髪をした男。俺が見たことのないやつだ。
流石に俺でも、約3ヶ月一緒に勉強してきたのだ。クラスメイトの顔は覚えている。それに靴に入っているラインの色を見れば、学年もわかるし、そいつは俺と同じ色だ。
だから少なくとも、同じクラスのやつではない同級生ってことはわかった。
そいつは教室の中を見渡す。どうやら人を探しているみたいだな。……ちょっと話を聞いてみるか。俺もどうせ暇だし。
「誰か探しているのか?」
俺は近くによって話しかける。すると、そいつは俺に顔を向けた。
ふむ。こうやって近くで見ると、身長は俺と同じくらいか。それに、顔立ちが整っている……イケメンってやつだな。
俺はもう一度言う。
「人、探しているのか?」
「ああ。安藤(あんどう)真希子(まきこ)って人なんだが」
安藤真希子……ああ、あの日焼けして褐色系の肌で活発なやつか。俺も教室の中を見渡してみる。
「そいつは……いないな」
それに、そいつと仲のいい、よくつるんでいるようなやつもいない。ここじゃ、何の手がかりも得られないだろうな。
「そうか。ありがとう」
俺がそう答えると、そいつは礼を言って教室から出て行こうとする。そんなやつを俺は引き止める。
「待てよ。それなら俺も探すの手伝うぜ?」
「だが……」
そいつは俺の提案に困惑したような顔をする。まぁ、見ず知らずの他人だ。断ろうとするのもわかる。でも……
「さっきの様子からすると、お前相手の顔も知らないんだろ? 遠慮するなよ。お前が探しているって知った以上は、俺も気になるしな。それにちょうど暇してたところだ。暇つぶしに手伝わせてくれよ」
笑って軽い調子で答えると、驚いた表情をした後、柔らかな笑みを浮かべた。
「ありがとう。えっと……」
「島抜巧人だ」
「そうか、俺は峰内透だ。改めてよろしく」
「ああ、よろしくな。峰内」
*****
というわけで、人探しを手伝っていたのだが……
「……いないな」
俺はそう声を漏らす。
ひとまず全教室を巡ってみたが、どこにも安藤真希子の姿はなかった。
とすると、あとあり得るのは学食か。いや、他にも部室。可能性としては低いが、上級生の教室なんてのも考えられるか。どうするか……。
まずは、峰内に聞いてみよう。
「なぁ、これって早い方がいいのか?」
「そうだな。できれば昼休み中には見つけて言いたいことがあるからな。10分は前に見つけたい」
とすると、残りの時間は……10分ないな。そんな短い時間じゃ、全部回るのは無理だし。二人いるから二手にわかれるって言っても、この残り時間じゃ、俺が見つけても峰内の元に連れて行く時間も危うい。峰内のほうも聞いて回る時間のロスが大きい。場所を絞ったほうがいいな。
だとすると、安藤真希子のデータからどこに行きそうか考えてみよう。けど、生憎俺はあいつのことはほとんど知らない。名前と見た目と、クラス内で仲のいい相手くらいだ。部活もしらん。
これも一度峰内に聞いておくか。
「峰内は、安藤真希子のこと、どのくらい知っているんだ?」
「ほとんど知らない。島抜の言ったように顔も分からないくらいだからな。ただ、サッカー部のマネージャーをやっているらしいってことは聞いたが」
よし、部活が分かったぞ。これで部室に行くならサッカー部ってことになったな。……まずサッカー部の部室の場所なんて分からないけど。
(……うん? 待てよ、サッカー部?)
どこかで聞いたことがあるような。俺の知り合いにサッカー部のやつがいたような……。
(そうだ! 大輝だ!)
さらりと言っていたものだったし、ほとんど記憶に残ってなかったけど、確かにそう聞いた。よし、大輝ならさっきの教室巡りで3組にいたのを見たし、これで安藤真希子のことを知りつつ、部室の場所もわかるぞ。いい流れだ。
しかし、よく考えるとバイトもしていて部活もしているって、どんだけハードなんだよ。せめて部活止めればいいのに。……まぁ好きだからって言っていたし、本人がいいならいいけどさ。
(さぁ、時間もないしさっさと行動するか)
「峰内ついてきてくれ」
「? わかった」
俺は不思議そうにする峰内に説明もせずに、3組へと向かっていった。
*****
3組の教室にたどり着き、教室の中をみる。
(……まだいるな)
奥の方、窓際に大輝は居た。他に友人であろう人物が3人ほどいる。
俺は峰内に指示を出す。
「よし、あそこにいる黒髪のいかにも普通って感じのやつだ。聞いて来い」
「いや、それじゃ分からないが……」
困ったように苦笑する。さらに峰内は言った。
「まず、何を聞くんだ? 俺は知らされてないぞ。それに島抜の知り合いなんだろ? だったら、そっちがいってこればいいじゃないか。そのほうが俺が言って聞いてくるより、スムーズだろ?」
そうだな。通常はそう思うよな。
だが、俺は行きたくない。何故なら、大輝の周りには人がいるからだ。しかも全員知らないやつらで3人もいる。残念だが俺にはあの中に飛び込む勇気はない。ここは意地でも峰内に行かせてやる。
「大丈夫だ、峰内。お前ならきっと、あてられる。俺はお前を信じているぞ」
「どこから来るんだ、その信頼は……」
「いいから。こうやって言い合ってる暇があったら、さっさと行動しないと。時間が無くなるぞ!」
「はぁ……まぁ別にいいがな。島抜の言うとおりだし」
ため息をつき、渋々ながらも納得した様子の峰内。俺はそんな峰内に付け加える。
「それに、これは一応お前の問題だ。俺は手伝ってるだけだ。だから、可能な限りお前が色々とやるべきだと思っただけだ」
「ふ……わかったよ」
峰内は小さく笑うと、「それで?」と聞いてくる。
「俺はどうすればいいんだ?」
「名前は中岡大輝。サッカー部の部員だ。だから、安藤真希子について知っていることをいくつか聞いてきてくれ。後、ついでに部室の場所も」
「知っていることと言っても、何を聞いてくればいいんだ?」
「そうだな……上級生の人とどれくらい仲がいいかについては最低聞いてきてくれ」
「オッケーだ。じゃあ行ってくる」
そうして教室の中に入っていく。峰内は大輝たちの元に真っ直ぐに向かっていく。そして峰内は大輝に話しかけた。
(おお、本当に一発で当てた)
どうでもいいことだが、少しだけ驚く。適当に言ったことだったんだけどな。
しかし、ここからじゃ何を話しているのかはわからないな。早く戻って来い。
しばらくして、峰内は戻ってきた。
「どうだった?」
「上級生との関係は、そこまで深くないらしい。というのも、マネージャー自体が複数人いるから、1年と言うこともあり彼女はあまり人とかかわらないような雑用を多くやっていたそうだ」
とすると、上級生の教室というのはないか。
「他には?」
「部室の件だが、場所はわかった。けど、あそこは部員の選手が使うロッカーがあるだけで、昼食を取れるスペースはないようだ。それに、マネージャーは利用してないとも言っていた」
じゃあ、部室もなし。残るは、学食だけだ。そうと決まったら、早速向かうか。
「よし、学食を探しに行くか」
「ああ、そうだな」
俺がそう言うと、峰内は頷く。そうして俺たちは歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる