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序章 獣としての始まり
第九話 執念の戦槌 (前編)
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「%△♀◎、遊ぼー!」
何を言ってるかわからない。しかし、何故か自分を呼んでいるということがわかる。
「よし、なにして遊ぶか?」
「かくれんぼが良い!§●゜∈が鬼ね!1分数えてー!」
「よっしゃ任せろ!」
そうして1分数える。辺りは夕刻ということもあり、古い電灯のパチパチという音が聞こえるほど静かだった。
「もういーかーい?」
「もーいーよ!」
その声を合図に公園内を探す。すべり台の裏、生け垣の後ろ、ベンチの陰…あらゆる場所を探す。
そして、大きな木の裏にゆらゆらとゆれるポニーテールを見つけた。
「♀≦〇∥!見つけ…」
名前を呼ぼうした時に、訳のわからない言葉が出る。
(なんだこれ…)
いくら呼ぼうとしてもハッキリとした言葉にならない。
そうしていると、揺れていたポニーテールが止まり、こちらをゆっくりと見る。
その顔は靄で隠れてしまっていた。
「私の名前忘れちゃったの?…◎∨∩▼のばか!もう知らない!!」
急にそんなことを良い何処かへ歩いて行ってしまう。
「待て!∩≪◯∬!…↓∀√е!!」
その叫びは虚空に消えてしまった。
◇◆◇◆
「…ーフ…ル…ルーフ…」
「ルーフ!!!」
「はっ!?」
目を覚ますと白い天井が見える。隣にはルナがいた。
「…ここは?」
「ギルドの医務室よ。あの戦いの後倒れこんだの覚えてないの?」
「…全然…」
どうやら前回のブルシオスとの戦いの後、意識を失ってしまっていたらしい。後に聞いたことだが、様々な攻撃を受けてしまったことや、違法魔術具の影響が原因だったようだ。
「さっきまで凄くうなされてたのよ?どうしたの?」
「凄く…嫌な夢を見ていた気がする…」
「嫌な夢って…」
ルナがそう言うと、病室の扉が開いた。
「ルーフ!目ぇ覚ましたんか!」
「うん…」
歓喜の声を上げる海斗…その後ろに人影が見えた。
「失礼する。」
そこにはギルド教官であるシアンが立っていた。
「シアンさん!」
「体調はどうだ?クリスタルを取り除いたから少しは良くなったと思うが…」
「はい…多少は良いと思います。」
あの時バトル場で感じた不快感はスッキリ消えていた。
「しっかし…ギルド施設で違法魔術具が使われるなんて…」
海斗が苦虫を噛み潰したような顔をする。
「結局、あの親子どうなったんですか?」
ルーフがそう疑問を投げかける。
「子供はともかく、親はあの後速攻牢屋送りにした。今回使われた違法魔術具の入手ルートは調査中だ。」
「そうですか…」
「それと今全てのブロックの試合を延期している。三日後に持ち物検査等を厳しくして再び開催する予定だ。あと…」
すると、シアンが少し後ろに下がり、ルーフに深々と頭を下げた。
「今回の事件は、我々の確認不足でこのようなことが起きてしまった。謝罪する。」
「シッシアンさん!?」
突然の事態に困惑する。
「いいんですよ!俺以外に怪我した人も居ないし…」
「私もあの場にいながら気付くことが出来なかった…本当にすまなかった。」
「シアンさん…」
シアンの態度を見て、ルーフは今回の事態の影響を思い知った。
◇◆◇◆
その後、ギルド医務班の獣人に許可を取りルーフ達3人は外に出た。
「…なんか疲れちゃったよ…」
「あんなことあったらそりゃそうなるわな。」
「だったら甘いもの食べにいきましょ!私良いお店知ってるわよ!」
ルナがそう提案する。
「ええなそれ!ルーフはどうや?」
「俺も行きたい!行こう!」
そうして3人はルナの行きつけだという甘味処へ向かった。
「…それでさこんとき師匠が…」
「なにそれおっかしい!!」
雑談をしながら向かっていると、
「ひったくりよ!捕まえてぇ!!」
そんな金切り声が会話を遮った。
声のした方を見ると、倒れている猫のマダムと高級そうなバックを持って逃げるマングースが見えた。
「マジか!?」
「追うで!」
「ええ!」
3人はすぐにマングースを追う。
マングースは物凄い速度で逃げている。すると、その前にドーベルマンの少年が現れた!
「くそ!どけぇ!!」
マングースがナイフを突きだす。
「危ない!!」
ルーフが叫ぶ。
「んあ?」
ドーベルマンが気付いた時にはもうナイフは目の前にあった。
ガン!!
しかし、ナイフが刺さる音の代わりに硬いものでそれを防ぐ音が響いた。
「…ったく、危ねぇぞ…」
「は?」
マングースは何が起きたか分かっていない。ドーベルマンの手には長い戦槌が握られていた。
「そいつ引ったくりだ!」
「なに?」
ルーフがドーベルマンに伝える。
「くそ!」
マングースが進路を変え逃げる。しかし、
「待てよ!」
ドーベルマンが走り出し、すぐに追い付いてしまう。
「はやっ…」
そこからは反応する間もなかった。
「眠ってろ…」
片手で振られた戦槌がマングースの腹を捉える。
「ぐぎゃっ!!」
マングースは文字通り吹っ飛び、壁に激突し気絶した。
「すごい…」
最終的に海斗が逮捕し、ムラサキテンソウで本部に送った。
「何とか捕まえられたな…あのヒトにお礼参り言わんと。」
それを聞きルーフが辺りを見回す。たが、
「あれ?あのヒトは?」
その時既にドーベルマンの姿はなくなっていた。
「…いない…何処に行ったんだ?」
「わからん…しかし凄いパワーやったな…」
「そうね。あんな長い戦槌を片手で振るなんてね…」
犯人を捕まえた功労者は、跡も残さず去ってしまった。
◇◆◇◆
それから3日後…延期されていたギルドトーナメントが再開した。
「3回戦か…」
「これと次勝てばトーナメント優勝や!頑張れよ!」
「あぁ!」
「これより第1ブロック3回戦を始める!ルーフ選手とブラン選手はバトル場に集合しろ!」
ついに呼び掛けがかかる。
「よし!行ってこい!!」
「うん!」
ルーフはバトル場に向かい相手を待つ。
すると、現れたのは予想外の人物だった。
「あっ!昨日のドーベルマン!!」
思わず声が出る。
「お前は…あん時のか…」
ドーベルマンも気付く。
「君も参加者だったんだ…」
「そう言うお前もな…まさか戦うと思わなかったぞ。」
そうして2人は握手をする。
「負けないよ!」
「そっくり返すぜその言葉…」
お互い啖呵を切り、規定の距離離れる。
「準備は良いな?」
「はい!」
「あぁ…」
「それでは第1ブロック3回戦…始め!!」
1、2回戦と同様距離を詰めようとスタートを切った
はずだった。
ガァァァン!!
「なっ!」
ルーフよりも早く、ブランは動き出していた。
腕にはオレンジ色のオーラを纏っていた。とてつもない力で、戦槌を押し込んでくる。
(こいつ…俺と同じタイプか!!)
「ぐおぉぉ!!」
「ぬぅっ!?」
ルーフもハドウを纏い何とか押し返す。
「ほう。俺の初撃を防ぐか…」
ブランは不敵な笑みを浮かべる。
「…凄い力だな…」
「俺の強化魔術は研究に研究を重ねた物だ…まだ行くぞ!!」
ブランは魔力を練り上げる。なんとそれは戦槌に纏わりついた。
(武器にまで纏えるのか!!)
「ふうっ!!」
閃光のような早さで戦槌が襲いかかってくる。
「くっ!」
咄嗟に横に飛ぶ。
ドォォォン!!
「ぐおっ!」
直撃は避けたが、衝撃波がルーフを襲う。
「いくぞ!《フォルス・ブロウ!!》」
すぐに魔力を纏った戦槌が振り下ろされる。
(受け…いや、ダメだ!!)
一瞬受けの体勢をとるが、本能的にそれが出来ないことを悟り、再び避ける。
地面を打ち抜いた戦槌は地面にクレーターを作っていた。
「マジかよ!!」
(近距離はまずい!)
バックステップで距離を取りながら、手にハドウを溜める。
「今度はこっちの番だ!《ハドウガン》!!」
ハドウの砲丸を、ブロウの身体目掛けて全力投球する。
しかし、
「甘いわぁ!!」
ボォォォン!!
「嘘だろ!?」
なんと戦槌でそれを打ち上げたのだ。明後日の方向に飛んだ球体は、フィールド外で爆発を起こす。
「《スライス・ブロウ》!!」
お返しと言わんばかりにオレンジ色のオーラが刃となり飛んでくる。
「くっ…《ハドウガン》!!」
すぐにハドウガンで相殺する。しかし、ぶつかり合った瞬間に爆発を起こし、煙幕がルーフを包んだ。
(しまった!)
周りが見えない。とにかく視界にブランを捉えようと見渡す。
その刹那、背中に強烈な殺気を受けた。
(!!)
完全に勘だった。すぐに前にローリングする。
ヒュォン!!
ルーフの頭があった場所に戦槌の横薙が走った。
「あっぶねぇ!!」
ローリングの勢いのまま距離を取る。
「ちょこまかと…」
ブランは悔しそうに舌打ちをする。
「強いな…」
ルーフがそう呟くと、ブランが反応する。
「当たり前だ!俺はここにいるどんなやつよりもこの試験への執念を持っている。負けるはずはない!!」
ブランはそう叫んだ。その目には何処か悲しさがあった。
「執念…?」
「そうだ。これに勝たなきゃ…俺の…いや、“俺達の”明日はないんだよ!!」
ブランの瞳の奥深くに、ルーフは黒く燃える怒り感じた。
何を言ってるかわからない。しかし、何故か自分を呼んでいるということがわかる。
「よし、なにして遊ぶか?」
「かくれんぼが良い!§●゜∈が鬼ね!1分数えてー!」
「よっしゃ任せろ!」
そうして1分数える。辺りは夕刻ということもあり、古い電灯のパチパチという音が聞こえるほど静かだった。
「もういーかーい?」
「もーいーよ!」
その声を合図に公園内を探す。すべり台の裏、生け垣の後ろ、ベンチの陰…あらゆる場所を探す。
そして、大きな木の裏にゆらゆらとゆれるポニーテールを見つけた。
「♀≦〇∥!見つけ…」
名前を呼ぼうした時に、訳のわからない言葉が出る。
(なんだこれ…)
いくら呼ぼうとしてもハッキリとした言葉にならない。
そうしていると、揺れていたポニーテールが止まり、こちらをゆっくりと見る。
その顔は靄で隠れてしまっていた。
「私の名前忘れちゃったの?…◎∨∩▼のばか!もう知らない!!」
急にそんなことを良い何処かへ歩いて行ってしまう。
「待て!∩≪◯∬!…↓∀√е!!」
その叫びは虚空に消えてしまった。
◇◆◇◆
「…ーフ…ル…ルーフ…」
「ルーフ!!!」
「はっ!?」
目を覚ますと白い天井が見える。隣にはルナがいた。
「…ここは?」
「ギルドの医務室よ。あの戦いの後倒れこんだの覚えてないの?」
「…全然…」
どうやら前回のブルシオスとの戦いの後、意識を失ってしまっていたらしい。後に聞いたことだが、様々な攻撃を受けてしまったことや、違法魔術具の影響が原因だったようだ。
「さっきまで凄くうなされてたのよ?どうしたの?」
「凄く…嫌な夢を見ていた気がする…」
「嫌な夢って…」
ルナがそう言うと、病室の扉が開いた。
「ルーフ!目ぇ覚ましたんか!」
「うん…」
歓喜の声を上げる海斗…その後ろに人影が見えた。
「失礼する。」
そこにはギルド教官であるシアンが立っていた。
「シアンさん!」
「体調はどうだ?クリスタルを取り除いたから少しは良くなったと思うが…」
「はい…多少は良いと思います。」
あの時バトル場で感じた不快感はスッキリ消えていた。
「しっかし…ギルド施設で違法魔術具が使われるなんて…」
海斗が苦虫を噛み潰したような顔をする。
「結局、あの親子どうなったんですか?」
ルーフがそう疑問を投げかける。
「子供はともかく、親はあの後速攻牢屋送りにした。今回使われた違法魔術具の入手ルートは調査中だ。」
「そうですか…」
「それと今全てのブロックの試合を延期している。三日後に持ち物検査等を厳しくして再び開催する予定だ。あと…」
すると、シアンが少し後ろに下がり、ルーフに深々と頭を下げた。
「今回の事件は、我々の確認不足でこのようなことが起きてしまった。謝罪する。」
「シッシアンさん!?」
突然の事態に困惑する。
「いいんですよ!俺以外に怪我した人も居ないし…」
「私もあの場にいながら気付くことが出来なかった…本当にすまなかった。」
「シアンさん…」
シアンの態度を見て、ルーフは今回の事態の影響を思い知った。
◇◆◇◆
その後、ギルド医務班の獣人に許可を取りルーフ達3人は外に出た。
「…なんか疲れちゃったよ…」
「あんなことあったらそりゃそうなるわな。」
「だったら甘いもの食べにいきましょ!私良いお店知ってるわよ!」
ルナがそう提案する。
「ええなそれ!ルーフはどうや?」
「俺も行きたい!行こう!」
そうして3人はルナの行きつけだという甘味処へ向かった。
「…それでさこんとき師匠が…」
「なにそれおっかしい!!」
雑談をしながら向かっていると、
「ひったくりよ!捕まえてぇ!!」
そんな金切り声が会話を遮った。
声のした方を見ると、倒れている猫のマダムと高級そうなバックを持って逃げるマングースが見えた。
「マジか!?」
「追うで!」
「ええ!」
3人はすぐにマングースを追う。
マングースは物凄い速度で逃げている。すると、その前にドーベルマンの少年が現れた!
「くそ!どけぇ!!」
マングースがナイフを突きだす。
「危ない!!」
ルーフが叫ぶ。
「んあ?」
ドーベルマンが気付いた時にはもうナイフは目の前にあった。
ガン!!
しかし、ナイフが刺さる音の代わりに硬いものでそれを防ぐ音が響いた。
「…ったく、危ねぇぞ…」
「は?」
マングースは何が起きたか分かっていない。ドーベルマンの手には長い戦槌が握られていた。
「そいつ引ったくりだ!」
「なに?」
ルーフがドーベルマンに伝える。
「くそ!」
マングースが進路を変え逃げる。しかし、
「待てよ!」
ドーベルマンが走り出し、すぐに追い付いてしまう。
「はやっ…」
そこからは反応する間もなかった。
「眠ってろ…」
片手で振られた戦槌がマングースの腹を捉える。
「ぐぎゃっ!!」
マングースは文字通り吹っ飛び、壁に激突し気絶した。
「すごい…」
最終的に海斗が逮捕し、ムラサキテンソウで本部に送った。
「何とか捕まえられたな…あのヒトにお礼参り言わんと。」
それを聞きルーフが辺りを見回す。たが、
「あれ?あのヒトは?」
その時既にドーベルマンの姿はなくなっていた。
「…いない…何処に行ったんだ?」
「わからん…しかし凄いパワーやったな…」
「そうね。あんな長い戦槌を片手で振るなんてね…」
犯人を捕まえた功労者は、跡も残さず去ってしまった。
◇◆◇◆
それから3日後…延期されていたギルドトーナメントが再開した。
「3回戦か…」
「これと次勝てばトーナメント優勝や!頑張れよ!」
「あぁ!」
「これより第1ブロック3回戦を始める!ルーフ選手とブラン選手はバトル場に集合しろ!」
ついに呼び掛けがかかる。
「よし!行ってこい!!」
「うん!」
ルーフはバトル場に向かい相手を待つ。
すると、現れたのは予想外の人物だった。
「あっ!昨日のドーベルマン!!」
思わず声が出る。
「お前は…あん時のか…」
ドーベルマンも気付く。
「君も参加者だったんだ…」
「そう言うお前もな…まさか戦うと思わなかったぞ。」
そうして2人は握手をする。
「負けないよ!」
「そっくり返すぜその言葉…」
お互い啖呵を切り、規定の距離離れる。
「準備は良いな?」
「はい!」
「あぁ…」
「それでは第1ブロック3回戦…始め!!」
1、2回戦と同様距離を詰めようとスタートを切った
はずだった。
ガァァァン!!
「なっ!」
ルーフよりも早く、ブランは動き出していた。
腕にはオレンジ色のオーラを纏っていた。とてつもない力で、戦槌を押し込んでくる。
(こいつ…俺と同じタイプか!!)
「ぐおぉぉ!!」
「ぬぅっ!?」
ルーフもハドウを纏い何とか押し返す。
「ほう。俺の初撃を防ぐか…」
ブランは不敵な笑みを浮かべる。
「…凄い力だな…」
「俺の強化魔術は研究に研究を重ねた物だ…まだ行くぞ!!」
ブランは魔力を練り上げる。なんとそれは戦槌に纏わりついた。
(武器にまで纏えるのか!!)
「ふうっ!!」
閃光のような早さで戦槌が襲いかかってくる。
「くっ!」
咄嗟に横に飛ぶ。
ドォォォン!!
「ぐおっ!」
直撃は避けたが、衝撃波がルーフを襲う。
「いくぞ!《フォルス・ブロウ!!》」
すぐに魔力を纏った戦槌が振り下ろされる。
(受け…いや、ダメだ!!)
一瞬受けの体勢をとるが、本能的にそれが出来ないことを悟り、再び避ける。
地面を打ち抜いた戦槌は地面にクレーターを作っていた。
「マジかよ!!」
(近距離はまずい!)
バックステップで距離を取りながら、手にハドウを溜める。
「今度はこっちの番だ!《ハドウガン》!!」
ハドウの砲丸を、ブロウの身体目掛けて全力投球する。
しかし、
「甘いわぁ!!」
ボォォォン!!
「嘘だろ!?」
なんと戦槌でそれを打ち上げたのだ。明後日の方向に飛んだ球体は、フィールド外で爆発を起こす。
「《スライス・ブロウ》!!」
お返しと言わんばかりにオレンジ色のオーラが刃となり飛んでくる。
「くっ…《ハドウガン》!!」
すぐにハドウガンで相殺する。しかし、ぶつかり合った瞬間に爆発を起こし、煙幕がルーフを包んだ。
(しまった!)
周りが見えない。とにかく視界にブランを捉えようと見渡す。
その刹那、背中に強烈な殺気を受けた。
(!!)
完全に勘だった。すぐに前にローリングする。
ヒュォン!!
ルーフの頭があった場所に戦槌の横薙が走った。
「あっぶねぇ!!」
ローリングの勢いのまま距離を取る。
「ちょこまかと…」
ブランは悔しそうに舌打ちをする。
「強いな…」
ルーフがそう呟くと、ブランが反応する。
「当たり前だ!俺はここにいるどんなやつよりもこの試験への執念を持っている。負けるはずはない!!」
ブランはそう叫んだ。その目には何処か悲しさがあった。
「執念…?」
「そうだ。これに勝たなきゃ…俺の…いや、“俺達の”明日はないんだよ!!」
ブランの瞳の奥深くに、ルーフは黒く燃える怒り感じた。
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