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第44話 パンツまで盗まれちまってたぞ
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酒場に寄ろうとしたルイスの前に、複数の人影が立ち塞がる。
「おい、てめぇ、この間は世話になったなァ?」
そのうちの一人は見たことのある人物だった。
「ええと、確か、ボーチャン?」
「ボーマンだっ!? てめぇ、ぶっ殺されてぇのか!?」
先日、酒場で女店主のビビアンに言い寄り、フラれて暴れた巨漢の冒険者だ。
その仲間たちだろうか、今日は四人の男を引き連れている。
「てめぇのせいであの日の朝、目を覚ましたオレは身ぐるみ引っぺがされて、全裸で路地裏に転がっていた……っ! 通行人どもの冷ややかな視線の中、家まで帰るのがどれほど屈辱だったことかっ!」
そのときのことを思い出しているのか、顔を真っ赤に紅潮させながらボーマンが怒鳴る。
「いや、どう考えても自業自得だろ」
「黙れっ! てめぇがオレに、変なもんを食べさせやがったのは知ってんだっ! それのせいで服を脱がされても起きなかったんだよっ!」
睡眠レタスのことを、後からその場にいた目撃者に聞いたのだろう。
「……そもそもこいつの服なんて、誰が欲しがったんだ」
「うるせぇ! パンツまで盗まれちまってたぞ!」
「そうか……」
そのパンツの行方も気になるところだが、それよりもこの状況だ。
ボーマンはすでに武器の斧を構えているし、その仲間たちも明らかに臨戦態勢である。
ルイスを逃がすまいと、ゆっくり包囲してきている。
「このオレに喧嘩を売ったこと、たっぷり後悔させてやる……へ?」
ボーマンの口から頓狂な声が出たのは、足が思うように動かなかったからだ。
見ると、石畳の地面から生えてきた石の手が、その足首をがっちりと掴んでいた。
「な、何だ、こいつは!?」
「「「俺たちのところも!?」」」
ボーマンの仲間たちもまた、謎の石の手で足を拘束されていた。
もちろんルイスの仕業である。
石の地面を操作し、その場から移動できないようにしたのだ。
「じゃあ、俺は用事があるから」
「ちょっ、待ちやがれ!? くそっ、まったく外れねぇ! このっ! 逃げるんじゃねぇよっ!」
立ち去ろうとしたルイス目がけ、ボーマンが斧を投擲。
その怪力から放たれた斧は、ぐるぐると高速回転しながらルイスに迫った。
「やべぇ、あいつ死ぬぞ!?」
「あ、兄貴!? さすがに殺しはっ!? しかも酔ってねぇのに!」
「ダメだっ、もう躱せねぇ!」
仲間たちが思わず悲鳴を上げる。
しかし次の瞬間、鍬を取り出したルイスは、迫りくる斧をそれで打ち落とした。
ザクッ!
いや、正確には掘り落とした。
「「「ええええええええええええっ!?」」」
腕だけで投げたとはいえ、ボーマンの渾身の投擲を軽く防いだルイスに、仲間たちが思わず絶叫する。
しかも彼らの足元まで転がってきた斧は、刃の一部が耕されてぐちゃぐちゃになっていた。
「お、オレのっ……特注の斧がああああああああああああっ!?」
もはや使い物にならなくなった武器に、絶望するボーマン。
「て、てめぇっ……よくもっ……よくもやりやがったむごっ!?」
「うるさいから、また眠ってろ」
「またあのレタスか!? はっ、だが同じ手がこのオレに通じもぐもぐとでももぐもぐ思ったかもぐもぐ……って、美味すぎて食べちまったああああああっ!? ……すぴー」
「「「ボーマン!?」」」
足を拘束されたまま地面に倒れ込んで爆睡するボーマンと、大慌ての仲間たち。
ルイスは彼らを無視して、さっさと酒場に入ってしまうのだった。
店内は相変わらず賑わっていた。
だがビビアンがすぐにルイスに気づいて、声をかけてくる。
「ルイスじゃないかい! ここが空いているよ!」
なぜか「予約席」という札が置かれたカウンター席を示すビビアン。
ちょうど前回、ルイスが座っていた席だ。
予約されているのにいいのだろうかと思いつつ、ルイスはその席に腰かける。
「また来てくれたんだね! 嬉しいよ!」
「約束の食材を持ってきたぞ」
「えっ、もう!? まだ畑もないって言ってなかったかい?」
「ああ。だから一から耕して育てて収穫したんだ」
「さすがに早すぎないかい!?」
「おい、てめぇ、この間は世話になったなァ?」
そのうちの一人は見たことのある人物だった。
「ええと、確か、ボーチャン?」
「ボーマンだっ!? てめぇ、ぶっ殺されてぇのか!?」
先日、酒場で女店主のビビアンに言い寄り、フラれて暴れた巨漢の冒険者だ。
その仲間たちだろうか、今日は四人の男を引き連れている。
「てめぇのせいであの日の朝、目を覚ましたオレは身ぐるみ引っぺがされて、全裸で路地裏に転がっていた……っ! 通行人どもの冷ややかな視線の中、家まで帰るのがどれほど屈辱だったことかっ!」
そのときのことを思い出しているのか、顔を真っ赤に紅潮させながらボーマンが怒鳴る。
「いや、どう考えても自業自得だろ」
「黙れっ! てめぇがオレに、変なもんを食べさせやがったのは知ってんだっ! それのせいで服を脱がされても起きなかったんだよっ!」
睡眠レタスのことを、後からその場にいた目撃者に聞いたのだろう。
「……そもそもこいつの服なんて、誰が欲しがったんだ」
「うるせぇ! パンツまで盗まれちまってたぞ!」
「そうか……」
そのパンツの行方も気になるところだが、それよりもこの状況だ。
ボーマンはすでに武器の斧を構えているし、その仲間たちも明らかに臨戦態勢である。
ルイスを逃がすまいと、ゆっくり包囲してきている。
「このオレに喧嘩を売ったこと、たっぷり後悔させてやる……へ?」
ボーマンの口から頓狂な声が出たのは、足が思うように動かなかったからだ。
見ると、石畳の地面から生えてきた石の手が、その足首をがっちりと掴んでいた。
「な、何だ、こいつは!?」
「「「俺たちのところも!?」」」
ボーマンの仲間たちもまた、謎の石の手で足を拘束されていた。
もちろんルイスの仕業である。
石の地面を操作し、その場から移動できないようにしたのだ。
「じゃあ、俺は用事があるから」
「ちょっ、待ちやがれ!? くそっ、まったく外れねぇ! このっ! 逃げるんじゃねぇよっ!」
立ち去ろうとしたルイス目がけ、ボーマンが斧を投擲。
その怪力から放たれた斧は、ぐるぐると高速回転しながらルイスに迫った。
「やべぇ、あいつ死ぬぞ!?」
「あ、兄貴!? さすがに殺しはっ!? しかも酔ってねぇのに!」
「ダメだっ、もう躱せねぇ!」
仲間たちが思わず悲鳴を上げる。
しかし次の瞬間、鍬を取り出したルイスは、迫りくる斧をそれで打ち落とした。
ザクッ!
いや、正確には掘り落とした。
「「「ええええええええええええっ!?」」」
腕だけで投げたとはいえ、ボーマンの渾身の投擲を軽く防いだルイスに、仲間たちが思わず絶叫する。
しかも彼らの足元まで転がってきた斧は、刃の一部が耕されてぐちゃぐちゃになっていた。
「お、オレのっ……特注の斧がああああああああああああっ!?」
もはや使い物にならなくなった武器に、絶望するボーマン。
「て、てめぇっ……よくもっ……よくもやりやがったむごっ!?」
「うるさいから、また眠ってろ」
「またあのレタスか!? はっ、だが同じ手がこのオレに通じもぐもぐとでももぐもぐ思ったかもぐもぐ……って、美味すぎて食べちまったああああああっ!? ……すぴー」
「「「ボーマン!?」」」
足を拘束されたまま地面に倒れ込んで爆睡するボーマンと、大慌ての仲間たち。
ルイスは彼らを無視して、さっさと酒場に入ってしまうのだった。
店内は相変わらず賑わっていた。
だがビビアンがすぐにルイスに気づいて、声をかけてくる。
「ルイスじゃないかい! ここが空いているよ!」
なぜか「予約席」という札が置かれたカウンター席を示すビビアン。
ちょうど前回、ルイスが座っていた席だ。
予約されているのにいいのだろうかと思いつつ、ルイスはその席に腰かける。
「また来てくれたんだね! 嬉しいよ!」
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