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第七章 キャッチ&リリース

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 魔物をあっという間に全滅させた三人組は、ダンジョンの奥、〝核〟が埋め込まれた場所へとやって来た。

 はい。
 完璧な詰みです。
 もう俺にはどうしようもありません。
 ダンジョンとして生まれ変わって、たぶんまだ一か月も経っていない。
 短いダンジョン生だった……。

「予想通り、まだ生まれて間もないダンジョンのようだな。入り口から二十メートルちょっとでゴールだ」
「そうね。魔物も雑魚ばっかりだったし」
「……迷宮核の魔石も、まだ小さい」
「んじゃ、戻るか」
「ええ。雨、そろそろ止んでるかしら」

 三人組はそんなやり取りして、あっさりと踵を返した。
 え?
 あれれ……?

「……やんでいる」
「サーベルベアの牙も集まったし、街に戻りましょう」
「戻ったら飲みに行こうぜ」

 入り口まで戻った彼らは、外を確認して言葉を交わす。
 それからダンジョンの奥の方を振り返って、

「ここにはもっとデカくなった頃にまた来ようぜ」
「せめて、迷宮主くらい出てくれるようになってほしいわね」

 そして三人組は去っていく。

 ……。
 …………。
 ………………。

 あー、つまり、だ。
 今のままだと攻略する価値もないから、放置したってことね。
 助かったのだが、ちょっと複雑な気分だ。
 どうやらダンジョンは成長するものという認識が、この世界の人間たちにはあるようだ。
 核のことを魔石って言ってたな。
 成長するにつれ、これが大きくなって行くのか。

 それにしてもこの世界の人間、めちゃくちゃヤバいな。
 何だよ、あの動き?
 向こうの世界のプロのアスリートですら、あんな出鱈目な速さで動けない。
 正直、甘く見てた。
 ゴブリンじゃどう考えても相手にもならねーよ。

 今回は助かったが、奴らはいずれまた来るだろう。
 彼らだけではなく、今後も冒険者のような連中が訪れる可能性は高い。

 あんな奴らを相手にしても、核を護り切れるくらいにならなければいけない。
 俺の中に、初めてと言っていいほど強い危機感が湧き起こる。
 もちろん、成長しなければまた見逃してもらえる可能性もあるだろう。
 だがこうしてダンジョンとして生まれ直した以上、そんなのはつまらない。

 どうせならこの世界で最高難度のダンジョンを目指そう。

 俺はそう決意を固めたのだった。
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