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第二十四話 冒険者たち
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「ひっ……」
無情にも一人残されたレオという名の冒険者が、自分を取り囲むゴブリンたちを前に、絶望と恐怖で顔を引き攣らせる。
だがゴブリンたちは動きを止めると、三々五々、散っていった。
もちろん俺の指示だ。
まぁ最初っから死者を出してしまうと、評判を落としかねないしな。
窮地に一生を得た冒険者は、しばしゴブリンたちが自分を襲ってこないことに驚いて放心していたが、すぐに手持ちの回復薬で傷を治すと、慌ててダンジョンを出て行った。
それにしても、俺が思っていた以上にゴブリンが強くなっていたらしい。
自由に食糧を食べさせてたからなぁ。
俺は新たにレベルの低いゴブリンを生成。
さらに、同じ一階層でも奥に行くほどレベルの高いゴブリンを配置することにより、この問題に対処した。当座しのぎだけど。
どうやら俺が思っていた以上に冒険者たちはレベルが低かったらしい。
てか、先ほどの彼らはまだマシな方だった。
後からやってきた冒険者たちの中には、低レベルのゴブリンにさえ後れを取るような者もいたほど。
レベル10あればそこそこ強い方で、大抵は5とか6とか。
レベル3くらいの冒険者もいた。
冒険者には誰でもなることができるらしいし、そのため質の低い連中も多いのだろう。
命を担保にすることでそれなりの収益を上げることが可能なので、貧困に喘ぐ農村から出稼ぎのために冒険者になろうとする若者が後を絶たないとか。
もちろん、中には手練れもいた。
レベル17の、ソロの冒険者だった。
一階層では最強クラスであるアークゴブリンレベル14をあっさり仕留めるるなど順調に攻略を進め、迷路構造には苦労しつつも、ついには一階層の最奥へと辿り着いた。
階層ボスである二体のオーガ。
ともにレベル17である彼らを相手に、その冒険者は奮闘した。
だがさすがに二体を同時に相手にするのは苦しかったようで、軽い負傷を負った時点ですぐさま退却。
ソロ冒険者だけあって、その引き際は見事だった。
あれでもしパーティだったら、恐らく一階層を突破されていただろう。
一週間もすれば大勢の冒険者たちが挑んでくるようになった。
すでに街中にこのダンジョンの噂が広がっているらしい。
そこで一つ、気が付いたことがあった。
ダンジョン内で外来の生物が死ねば、そのエネルギーを吸収して経験値を得ることができる。
そうやってダンジョンはレベルアップしていく。
俺はそう思っていたのだが、どうやらそれは少し違ったらしい。
確かにダンジョン内で外来生物が死んだとき、そのエネルギーを吸収して経験値を得ることができるのだが、実はそれだけではなく、ダンジョン内で生物が負傷した場合も、微量ながら経験値を得ることができるようなのだ。
その証拠に、死者は未だゼロであるにもかかわらず、俺は久しぶりにレベルアップすることができた。
『コボルドの巣穴』を吸収して以来のことだ。
ステータス
名前:ヤマモトタケル
種族:ダンジョンの一部(迷宮主)
レベル:21
腕力:110 体力:113 器用:119 敏捷:125 魔力:231 運:64
スキル:〈迷宮拡張+12〉〈魔物生成+11〉〈武器生成+9〉〈食糧生成+8〉〈罠作成+7〉〈宝箱作成+7〉〈鑑定+5〉〈念話+6〉〈NM生成+4〉〈戦場形成+2〉〈迷宮主生成+4〉〈防具生成+3〉〈治療薬生成+2〉〈アイテム生成+2〉
今回のレベルアップとは関係ないが、新しいスキルも幾らか獲得している。
それにしても、冒険者たちがダンジョンを攻略しようと集まれば集まるほど、そのダンジョン自体のレベルが上がり、攻略が難しくなっていくわけか。
つまり可能な限り早く攻略しないと、二度とクリアできなくなってしまいかねないということだ。
まぁ冒険者たちの実力を見る限り、正直言って現状でも俺を攻略できるとはとても思えないが。
と、そんな風に余裕ぶっていたときだった。
ダンジョンに訪れた冒険者たちから、俺はとある噂話を耳にしたのだ。
どうやらミッドランド王国――この国の領内にダンジョンがあるらしい――が、ダンジョン攻略のため、騎士団の精鋭を集め、五十人規模の攻略隊を組織したというのである。
マジかよ。
無情にも一人残されたレオという名の冒険者が、自分を取り囲むゴブリンたちを前に、絶望と恐怖で顔を引き攣らせる。
だがゴブリンたちは動きを止めると、三々五々、散っていった。
もちろん俺の指示だ。
まぁ最初っから死者を出してしまうと、評判を落としかねないしな。
窮地に一生を得た冒険者は、しばしゴブリンたちが自分を襲ってこないことに驚いて放心していたが、すぐに手持ちの回復薬で傷を治すと、慌ててダンジョンを出て行った。
それにしても、俺が思っていた以上にゴブリンが強くなっていたらしい。
自由に食糧を食べさせてたからなぁ。
俺は新たにレベルの低いゴブリンを生成。
さらに、同じ一階層でも奥に行くほどレベルの高いゴブリンを配置することにより、この問題に対処した。当座しのぎだけど。
どうやら俺が思っていた以上に冒険者たちはレベルが低かったらしい。
てか、先ほどの彼らはまだマシな方だった。
後からやってきた冒険者たちの中には、低レベルのゴブリンにさえ後れを取るような者もいたほど。
レベル10あればそこそこ強い方で、大抵は5とか6とか。
レベル3くらいの冒険者もいた。
冒険者には誰でもなることができるらしいし、そのため質の低い連中も多いのだろう。
命を担保にすることでそれなりの収益を上げることが可能なので、貧困に喘ぐ農村から出稼ぎのために冒険者になろうとする若者が後を絶たないとか。
もちろん、中には手練れもいた。
レベル17の、ソロの冒険者だった。
一階層では最強クラスであるアークゴブリンレベル14をあっさり仕留めるるなど順調に攻略を進め、迷路構造には苦労しつつも、ついには一階層の最奥へと辿り着いた。
階層ボスである二体のオーガ。
ともにレベル17である彼らを相手に、その冒険者は奮闘した。
だがさすがに二体を同時に相手にするのは苦しかったようで、軽い負傷を負った時点ですぐさま退却。
ソロ冒険者だけあって、その引き際は見事だった。
あれでもしパーティだったら、恐らく一階層を突破されていただろう。
一週間もすれば大勢の冒険者たちが挑んでくるようになった。
すでに街中にこのダンジョンの噂が広がっているらしい。
そこで一つ、気が付いたことがあった。
ダンジョン内で外来の生物が死ねば、そのエネルギーを吸収して経験値を得ることができる。
そうやってダンジョンはレベルアップしていく。
俺はそう思っていたのだが、どうやらそれは少し違ったらしい。
確かにダンジョン内で外来生物が死んだとき、そのエネルギーを吸収して経験値を得ることができるのだが、実はそれだけではなく、ダンジョン内で生物が負傷した場合も、微量ながら経験値を得ることができるようなのだ。
その証拠に、死者は未だゼロであるにもかかわらず、俺は久しぶりにレベルアップすることができた。
『コボルドの巣穴』を吸収して以来のことだ。
ステータス
名前:ヤマモトタケル
種族:ダンジョンの一部(迷宮主)
レベル:21
腕力:110 体力:113 器用:119 敏捷:125 魔力:231 運:64
スキル:〈迷宮拡張+12〉〈魔物生成+11〉〈武器生成+9〉〈食糧生成+8〉〈罠作成+7〉〈宝箱作成+7〉〈鑑定+5〉〈念話+6〉〈NM生成+4〉〈戦場形成+2〉〈迷宮主生成+4〉〈防具生成+3〉〈治療薬生成+2〉〈アイテム生成+2〉
今回のレベルアップとは関係ないが、新しいスキルも幾らか獲得している。
それにしても、冒険者たちがダンジョンを攻略しようと集まれば集まるほど、そのダンジョン自体のレベルが上がり、攻略が難しくなっていくわけか。
つまり可能な限り早く攻略しないと、二度とクリアできなくなってしまいかねないということだ。
まぁ冒険者たちの実力を見る限り、正直言って現状でも俺を攻略できるとはとても思えないが。
と、そんな風に余裕ぶっていたときだった。
ダンジョンに訪れた冒険者たちから、俺はとある噂話を耳にしたのだ。
どうやらミッドランド王国――この国の領内にダンジョンがあるらしい――が、ダンジョン攻略のため、騎士団の精鋭を集め、五十人規模の攻略隊を組織したというのである。
マジかよ。
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