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第22話 かき氷を食べると何で頭がキーンってなるん?
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その日の夕方、冒険者くんたちが明日には帰ると言い出した。
「もうちょっとゆっくりしていっていいのに」
「いえ、さすがにこれ以上甘えては申し訳ない。それに……早く自分を鍛え直したい」
「俺も」
「私もよ」
三人の目には決意の光が灯っている。
まぁ子供相手に手も足も出なかったもんね……。
レオルくんに稽古を付けるはずだったカイザくんは、いきなり剣を破壊されるという剣士として最大の恥辱を味わった上に、木剣に持ち替えてからも連戦連敗。
自信を粉々に砕かれて、しばらく魂が抜けたようになってしまった。可哀想に。
その後、カイザくんに代わって、ニックくんやミルアさんも各々が得意としているものを教えてくれようとしたんだけれど……うん、彼らの名誉のためにもこれ以上はやめておこう。
翌朝、リューに三人を乗せて森の外まで送ってもらうことにした。
その方が早いし、また森で迷われても困るもんね。
「マジで何から何まで助かるっす」
「必ずまたお礼をしに来ますから!」
「うん、気長に待ってるね」
焦らなくていいよ。
「では師匠、お元気で!」
「ばいばーい」
レオルくん、なぜかカイザくんに師匠って呼ばれてるんだけど。
「クルルルルー」
リューが力強く翼を羽ばたかせ、宙へと浮かび上がる。
そして手を振る冒険者くんたちを乗せて木々の向こうへと消えていった。
◇ ◇ ◇
広大な森が途切れ、その先に広がっている草原地帯で、三人を乗せたドラゴンが着陸した。
「クルルル~」
「助かったよ。ありがとう」
「それにしても本当に人間に懐いてるわね、このドラゴン……」
三人が降り易いようにしゃがみ込んでくれる当たり、人間への気遣いまでできるようだ。
飛び去っていく巨体を見送って、突然、堰を切ったように興奮を爆発させた。
「俺、初めてドラゴンの背中に乗ったよ! この森を一瞬で抜けちまったし、マジですげぇ!」
「ああ、森を彷徨って死にかけてたときは、まさかこんな体験ができると思ってもみなかった!」
「みんなに自慢できるわ! 信じてくれないだろうけど!」
乗っている間は緊張していたのか大人しかったのだが、どうやら内心では未知の経験にかなり高ぶっていたらしい。
「ていうかあのレオルって子、強過ぎだろ! カイザが逆に子供扱いだったしな!」
「ニックだって人のことを言えないだろう。獣人の彼女……ヒューネと言ったか? あっさりと後ろを取られていた」
「いやいや、あれは仕方ねぇって! だってあの子、マジで完璧に気配消してたし! 俺なんて足元にも及ばねぇよ!」
「私も才能の差を痛感させられたわ……レオナちゃん、あれで誰かの指導を受けたこともないんだって」
「マジか」
「しかも回復魔法まで使えるらしいわ」
「何それ怖い」
「そういえば、結局、どうしてあんなところで暮らしてるのか、訊けなかったわね」
「それは次の機会に訊けばいいだろう。……だから必ず強くなって、また会いに行こう」
「そうだな」
そうして決意を新たに街へと戻った彼らは――依頼に失敗したことで違約金を支払う羽目になったのだった。
◇ ◇ ◇
夏が近づいてきた。
そのせいか最近、トットの成長が著しい。
縦ににょきにきょ、横にわさわさ。まるで筍のような成長速度だ。
もうすっかりヒューネちゃんが登っても問題ないほど幹も太くなっている。
「ここすごく落ちつくわ」
だからってヒューネちゃん、そんなところで寝ようとしないで。
心配は要りまへんで! 万一のときはあっしが受け止めるさかい! とばかりに、ヒューネちゃんの真下に枝葉を集めるトット。
ベッドみたいになって、ちょっと気持ち良さそう。
まぁヒューネちゃんなら落ちても大丈夫だと思うけどね。猫みたいに空中で身体を捻って普通に着地しそう。
やっぱり子供は木登りが好きなのだろう。ヒューネちゃん以外もよくトットに登って遊ぶようになった。
木のくせに寂しがり屋なトットはそれが嬉しいらしく、幹を揺らして喜んでいる。
「トットの上に隠れ家つくったら楽しそう!」
ただ、ある日レオルくんがそんなことを言い出すと、さすがにそれは勘弁や! と思ったのか、レオルくんが近づこうとすると枝葉を使って妨害するようになった。
そんなに嫌だったのだろうか。普通に登るのはいいのに。
でも人間だって肩の上に鳥が乗っかてくるのはいいけど、巣を作られたら困るか。
うん、そう考えたら確かにすごく嫌だわ。
レオルくん、ちゃんと謝りなさい。
「ごめんね」
分かればええんやで、という感じでトットは身を揺らす。
するとぽとぽとと何かが落ちてきた。
木の実だ。
グミの実のような赤色で、試しに食べてみると甘くて美味しい。
どうやらトレントはこうした実をつけ、寄ってきた鳥などを捕食するらしい。
「捕食って、どこで食べるの?」
ここやで、とばかりに幹の中ほどでぱっくりと口が開いた。
食虫植物みたいな棘が並んでいて……うん、結構グロい。
大きさ的には鳥どころか人間でも入りそうだ。食べないでね?
トットはたまに木材を提供してくれる。
木の枝を自分で切り落とすことがあり、それをくれるのだ。人間に例えるとちょっと怖いけど、アン○ンマンと思えば大丈夫(?)。
本人的には髪の毛を切って、見栄えを整えているらしい。セルフ植木職人か。
どれも細い枝だけど、かなり丈夫でよくしなるので、レオルくんが鞭として使っている。これで高いところにいる獲物や木の実を落とすのだとか。あと釣竿にもなった。
本格的な夏がくると、かなり暑くなった。
この辺りって意外と四季がはっきりしてるのね。
家に暖房はあっても冷房はない。それに元々冬に向けて急ピッチで作ったこともあって、少し熱が籠り易い構造になっていた。
周りに家がなくて通気性が良い分、幾らか緩和されてはいるけど。
だから日中はみんなトットの木陰に入っていることが多い。
「ここが一ばん涼しいね」
「うん」
仲良く半裸で寝っころがっていて、何だか微笑ましい。リューやシャルまで横になってるし。リューは大きいので木陰に入り切ってないけど。
「お姉ちゃんはあつくないの?」
「私がいたところはもっと地獄のような暑さだったから、これくらいは平気かな」
「どれくらいあつかったの?」
「人が死ぬくらい」
「こわい」
「がくぶる」
その地獄、日本って言うんですけどね。
「そうだ。みんなかき氷って食べたことある?」
「「「なにそれ?」」」
「夏の暑いときに食べるとめっちゃ美味しいよ」
「「「たべたーい!」」」
とは言ってはみたものの、どうやって作ったらよいのやら。だって氷がない。
山の上にでもいかないとなさそうだよね。
「氷ならつくれるよ?」
レオナちゃんのお陰であっさり解決した。
氷が手に入るなら、後は削るだけだ。
シャシャシャシャシャシャシャッ!
レオルくんがリューの爪で作ったナイフで削ってる。まさかの人力!
できあがりを見てみると、極薄にスライスされ、ふわっふわだった。かき氷機でもこんなに綺麗にできないよ!
そこへ果実で作ったシロップをかけるとできあがりだ。
「おいしい!?」
「つめたい!」
お気に召してくれたらしい。みんな目を輝かせながらどんどん食べていく。
「あっ、もっとゆっくり食べないと、頭が痛く――」
「「「きーんってするぅ……」」」
言わんこっちゃない。アイスクリーム頭痛や。
「キィ……」
シャルも頭を抑えている。
「クルルル?」
さすがにリューは大丈夫のようだ。
トットも……うん、美味しそうにバクバク食べてる。それにしても、かき氷を食べる木って……まぁほとんど水だしね。
以降、かき氷は大ブームになった。レイナちゃんによって色んなシロップが開発され、種類はあっという間に二十種類を超えた。
夏だし、美味しいし、みんながハマるのも仕方ないよね。
でもさすがに晩御飯にも出てくるのはどうかと思う。
「もうちょっとゆっくりしていっていいのに」
「いえ、さすがにこれ以上甘えては申し訳ない。それに……早く自分を鍛え直したい」
「俺も」
「私もよ」
三人の目には決意の光が灯っている。
まぁ子供相手に手も足も出なかったもんね……。
レオルくんに稽古を付けるはずだったカイザくんは、いきなり剣を破壊されるという剣士として最大の恥辱を味わった上に、木剣に持ち替えてからも連戦連敗。
自信を粉々に砕かれて、しばらく魂が抜けたようになってしまった。可哀想に。
その後、カイザくんに代わって、ニックくんやミルアさんも各々が得意としているものを教えてくれようとしたんだけれど……うん、彼らの名誉のためにもこれ以上はやめておこう。
翌朝、リューに三人を乗せて森の外まで送ってもらうことにした。
その方が早いし、また森で迷われても困るもんね。
「マジで何から何まで助かるっす」
「必ずまたお礼をしに来ますから!」
「うん、気長に待ってるね」
焦らなくていいよ。
「では師匠、お元気で!」
「ばいばーい」
レオルくん、なぜかカイザくんに師匠って呼ばれてるんだけど。
「クルルルルー」
リューが力強く翼を羽ばたかせ、宙へと浮かび上がる。
そして手を振る冒険者くんたちを乗せて木々の向こうへと消えていった。
◇ ◇ ◇
広大な森が途切れ、その先に広がっている草原地帯で、三人を乗せたドラゴンが着陸した。
「クルルル~」
「助かったよ。ありがとう」
「それにしても本当に人間に懐いてるわね、このドラゴン……」
三人が降り易いようにしゃがみ込んでくれる当たり、人間への気遣いまでできるようだ。
飛び去っていく巨体を見送って、突然、堰を切ったように興奮を爆発させた。
「俺、初めてドラゴンの背中に乗ったよ! この森を一瞬で抜けちまったし、マジですげぇ!」
「ああ、森を彷徨って死にかけてたときは、まさかこんな体験ができると思ってもみなかった!」
「みんなに自慢できるわ! 信じてくれないだろうけど!」
乗っている間は緊張していたのか大人しかったのだが、どうやら内心では未知の経験にかなり高ぶっていたらしい。
「ていうかあのレオルって子、強過ぎだろ! カイザが逆に子供扱いだったしな!」
「ニックだって人のことを言えないだろう。獣人の彼女……ヒューネと言ったか? あっさりと後ろを取られていた」
「いやいや、あれは仕方ねぇって! だってあの子、マジで完璧に気配消してたし! 俺なんて足元にも及ばねぇよ!」
「私も才能の差を痛感させられたわ……レオナちゃん、あれで誰かの指導を受けたこともないんだって」
「マジか」
「しかも回復魔法まで使えるらしいわ」
「何それ怖い」
「そういえば、結局、どうしてあんなところで暮らしてるのか、訊けなかったわね」
「それは次の機会に訊けばいいだろう。……だから必ず強くなって、また会いに行こう」
「そうだな」
そうして決意を新たに街へと戻った彼らは――依頼に失敗したことで違約金を支払う羽目になったのだった。
◇ ◇ ◇
夏が近づいてきた。
そのせいか最近、トットの成長が著しい。
縦ににょきにきょ、横にわさわさ。まるで筍のような成長速度だ。
もうすっかりヒューネちゃんが登っても問題ないほど幹も太くなっている。
「ここすごく落ちつくわ」
だからってヒューネちゃん、そんなところで寝ようとしないで。
心配は要りまへんで! 万一のときはあっしが受け止めるさかい! とばかりに、ヒューネちゃんの真下に枝葉を集めるトット。
ベッドみたいになって、ちょっと気持ち良さそう。
まぁヒューネちゃんなら落ちても大丈夫だと思うけどね。猫みたいに空中で身体を捻って普通に着地しそう。
やっぱり子供は木登りが好きなのだろう。ヒューネちゃん以外もよくトットに登って遊ぶようになった。
木のくせに寂しがり屋なトットはそれが嬉しいらしく、幹を揺らして喜んでいる。
「トットの上に隠れ家つくったら楽しそう!」
ただ、ある日レオルくんがそんなことを言い出すと、さすがにそれは勘弁や! と思ったのか、レオルくんが近づこうとすると枝葉を使って妨害するようになった。
そんなに嫌だったのだろうか。普通に登るのはいいのに。
でも人間だって肩の上に鳥が乗っかてくるのはいいけど、巣を作られたら困るか。
うん、そう考えたら確かにすごく嫌だわ。
レオルくん、ちゃんと謝りなさい。
「ごめんね」
分かればええんやで、という感じでトットは身を揺らす。
するとぽとぽとと何かが落ちてきた。
木の実だ。
グミの実のような赤色で、試しに食べてみると甘くて美味しい。
どうやらトレントはこうした実をつけ、寄ってきた鳥などを捕食するらしい。
「捕食って、どこで食べるの?」
ここやで、とばかりに幹の中ほどでぱっくりと口が開いた。
食虫植物みたいな棘が並んでいて……うん、結構グロい。
大きさ的には鳥どころか人間でも入りそうだ。食べないでね?
トットはたまに木材を提供してくれる。
木の枝を自分で切り落とすことがあり、それをくれるのだ。人間に例えるとちょっと怖いけど、アン○ンマンと思えば大丈夫(?)。
本人的には髪の毛を切って、見栄えを整えているらしい。セルフ植木職人か。
どれも細い枝だけど、かなり丈夫でよくしなるので、レオルくんが鞭として使っている。これで高いところにいる獲物や木の実を落とすのだとか。あと釣竿にもなった。
本格的な夏がくると、かなり暑くなった。
この辺りって意外と四季がはっきりしてるのね。
家に暖房はあっても冷房はない。それに元々冬に向けて急ピッチで作ったこともあって、少し熱が籠り易い構造になっていた。
周りに家がなくて通気性が良い分、幾らか緩和されてはいるけど。
だから日中はみんなトットの木陰に入っていることが多い。
「ここが一ばん涼しいね」
「うん」
仲良く半裸で寝っころがっていて、何だか微笑ましい。リューやシャルまで横になってるし。リューは大きいので木陰に入り切ってないけど。
「お姉ちゃんはあつくないの?」
「私がいたところはもっと地獄のような暑さだったから、これくらいは平気かな」
「どれくらいあつかったの?」
「人が死ぬくらい」
「こわい」
「がくぶる」
その地獄、日本って言うんですけどね。
「そうだ。みんなかき氷って食べたことある?」
「「「なにそれ?」」」
「夏の暑いときに食べるとめっちゃ美味しいよ」
「「「たべたーい!」」」
とは言ってはみたものの、どうやって作ったらよいのやら。だって氷がない。
山の上にでもいかないとなさそうだよね。
「氷ならつくれるよ?」
レオナちゃんのお陰であっさり解決した。
氷が手に入るなら、後は削るだけだ。
シャシャシャシャシャシャシャッ!
レオルくんがリューの爪で作ったナイフで削ってる。まさかの人力!
できあがりを見てみると、極薄にスライスされ、ふわっふわだった。かき氷機でもこんなに綺麗にできないよ!
そこへ果実で作ったシロップをかけるとできあがりだ。
「おいしい!?」
「つめたい!」
お気に召してくれたらしい。みんな目を輝かせながらどんどん食べていく。
「あっ、もっとゆっくり食べないと、頭が痛く――」
「「「きーんってするぅ……」」」
言わんこっちゃない。アイスクリーム頭痛や。
「キィ……」
シャルも頭を抑えている。
「クルルル?」
さすがにリューは大丈夫のようだ。
トットも……うん、美味しそうにバクバク食べてる。それにしても、かき氷を食べる木って……まぁほとんど水だしね。
以降、かき氷は大ブームになった。レイナちゃんによって色んなシロップが開発され、種類はあっという間に二十種類を超えた。
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