ドラゴンとスライムに生まれ変わった二人は世界支配を目指したい

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3‐8 考察

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 それは知らないエルフの少女だった。
 ティナとは違い、どこか儚さを持った銀髪のエルフの少女は俺の腕を掴むや否や、路地裏へと引き連れていく。
 危険だと判断したが、どこか違う。
 やはりルフの草の影響だろうか。
 この子の表情もまた赤く染まっていた。
「ちょっと待って」
「大丈夫。私は逃げ道を知っているから」
 路地裏を何度も何度も横に曲がり続ける。
 右に。左に。
 時には戻ってみたりして。
 迷路のような路地裏を自身の庭のようにそのエルフの少女は歩きまわる。それに成すがまま、俺とリリは連れられる。
 その迷路のような路地裏によって、尾行をしていたエルフたちはすぐに俺を見失っただろう。俺たちも見失ったのだから、お相手も見失ったに違いない。
 一段落着いた時、俺はその子に聞いた。
「君は誰なの?」
「待ってました」
 でもそのエルフの子は答えてくれない。
 目を輝かせ、潤わせ、何とも言えない気持ちを抑え込み。
「さあ、こちらです。私の王子様」
「王子様!?」
 その言葉で良く分かる。
 この子は相当危ない、と。
「ちょっと待ちなさい。この子についていく必要はないわ。テバイ。早く宿に戻ろう。ティナちゃんなら多分かくまってくれる」
「分かった」
「待ってください! 私も連れて行って…………」
 必死に止めようと強く俺の手を握るその子はついに力負けして、俺から手を離した。
 そして愛おしそうにこちらを見つめながら、それ以降追いかけて来ることはなかった。
 路地裏をやみくもに歩きながら、俺はリリに問いただす。
「あそこまでする必要はなかったんじゃ。助けてくれたわけだし」
「でもテバイが取られそうだった。あの表情見たでしょ? そうとうやばい所まで行ってた」
「まあそうだけども」
「それとも、ああいう綺麗で儚い子の方が良いの?」
「そうじゃないけども」
 少しだけ可哀想とは思った。
「それよりも。宿に無事戻れるかのほうが大事でしょ」
「そうだね」
 俺は周囲に聞き耳を立てる。
 周囲には誰もいないみたいだ。
 少なくともドラゴンの強靭的な聴覚ではそう出た。
「どうするの? このままじゃ大通りに出る」
「今、必死になって考えてるから。ああ、もう。昨日のことをもっと深く考えておくべきだった」
「尾行される可能性のこと?」
「うん。でもまさかとは思ってた。ただの異種にここまで過剰な反応を示すとは思わなかった」
 確かにそうだ。
 どうして相手は追いかけるのだろうか。
 俺たちはただの異種であり、二人しかいない。その二人を捕まえるために尾行なんかさせるだろうか。そのまま宿を訪ねさせれば良い。
 つまり相手は何か知ろうとしている。
「俺たちの正体が分からないから強気に出れない?」
「そうなのかもしれない」
 リリが小さく頷いた。
 これは始まりに過ぎない。
 このエルフの国での悲劇への。
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