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3-9 確保
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「なんとか無事帰ってこれた」
路地裏を抜け、追ってのエルフから隠れながら、たどり着いたティナの宿。辺りに追ってがいないことを確認して、俺とリリは宿の扉を開けた。
中に、誰かがいる気配はしない。
ティナがトコトコと歩いて近寄って来た。
「どうかしたのですか?」
「ティナちゃん、かくまってくれない?」
「どういうことですか?」
俺の言葉にティナが不思議そうな表情をする。
朝出て行ったと思ったら帰ってきて、その上かくまってほしいなんてお願いされたら誰もがそう思うだろう。
なんて説明するべきか考えてみる。
「詳しい話は抜きにしましょう。とにかく部屋に籠って、もしもここに追ってがきたら」
そう言ったリリがふと辺りに視線を送る。
そして何かに気づいた。
リリが宿のカウンターに置いてある羽ペンと紙を拾い上げて。
文字を書く。それをティナにだけ見せるように。
あなたは味方? はいなら右手。いいえなら左手を挙げてほしい。
その文字にティナはほんの少しだけ右手を挙げた。
「これからのことを考えないと」
「そうですね」
リリとティナがそう会話しながら、リリが新しい文字を書く。
ここに誰かいる?
その文字にティナは右手を挙げた。
そういうことか。
その何かとは違和感。この宿の玄関に朝と違う気配、違和感を覚えたからか。リリは追ってが既に宿の中に侵入していることに気づいた。
だからティナは右手を挙げたのだから。
リリが新しく文字を書く。
部屋にいる?
その文字にティナは左手を挙げた。
「じゃあ、行きましょうか」
リリは踵を返し、宿の外に出ようとする。
追ってが潜伏している宿は危険だ。
「確保!」
そう思って扉を開けようとしたとき。
その叫び声とともに玄関の扉から大勢のエルフが押し寄せてきた。
瞬く間に捕まる俺とリリ。
腕を縄で拘束される。
宿にいたのは追っての一部であって、残りは普通に俺を追いかけていたみたいだ。
辺りを見渡すとエルフの数は十人ほど。内すべてが男性である。女性の姿はなかった。
「可笑しいな。強行手段に出るなら、もっと早くしたはずなのに」
そう呟くと、リーダーらしきエルフがその疑問に答えてくれた。
「尾行は気づかれては意味がない。尾行から目的を知れたらと思っていたが、気づかれた以上捕まえる他なかった」
それもそっか。
「どうする、リリ」
「大人しく捕まるしかない気がする」
リリが観念したように言った。
「ティナちゃん。お騒がせしてごめんね」
俺は次にティナの方を見た。
「いえ。こちらこそ。すみません。国には逆らえませんので」
「まあ、仕方ないことだからね」
「連れて行け」
その言葉で俺とリリは二人、街の中心部へ連れて行かれた。
路地裏を抜け、追ってのエルフから隠れながら、たどり着いたティナの宿。辺りに追ってがいないことを確認して、俺とリリは宿の扉を開けた。
中に、誰かがいる気配はしない。
ティナがトコトコと歩いて近寄って来た。
「どうかしたのですか?」
「ティナちゃん、かくまってくれない?」
「どういうことですか?」
俺の言葉にティナが不思議そうな表情をする。
朝出て行ったと思ったら帰ってきて、その上かくまってほしいなんてお願いされたら誰もがそう思うだろう。
なんて説明するべきか考えてみる。
「詳しい話は抜きにしましょう。とにかく部屋に籠って、もしもここに追ってがきたら」
そう言ったリリがふと辺りに視線を送る。
そして何かに気づいた。
リリが宿のカウンターに置いてある羽ペンと紙を拾い上げて。
文字を書く。それをティナにだけ見せるように。
あなたは味方? はいなら右手。いいえなら左手を挙げてほしい。
その文字にティナはほんの少しだけ右手を挙げた。
「これからのことを考えないと」
「そうですね」
リリとティナがそう会話しながら、リリが新しい文字を書く。
ここに誰かいる?
その文字にティナは右手を挙げた。
そういうことか。
その何かとは違和感。この宿の玄関に朝と違う気配、違和感を覚えたからか。リリは追ってが既に宿の中に侵入していることに気づいた。
だからティナは右手を挙げたのだから。
リリが新しく文字を書く。
部屋にいる?
その文字にティナは左手を挙げた。
「じゃあ、行きましょうか」
リリは踵を返し、宿の外に出ようとする。
追ってが潜伏している宿は危険だ。
「確保!」
そう思って扉を開けようとしたとき。
その叫び声とともに玄関の扉から大勢のエルフが押し寄せてきた。
瞬く間に捕まる俺とリリ。
腕を縄で拘束される。
宿にいたのは追っての一部であって、残りは普通に俺を追いかけていたみたいだ。
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「可笑しいな。強行手段に出るなら、もっと早くしたはずなのに」
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それもそっか。
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「大人しく捕まるしかない気がする」
リリが観念したように言った。
「ティナちゃん。お騒がせしてごめんね」
俺は次にティナの方を見た。
「いえ。こちらこそ。すみません。国には逆らえませんので」
「まあ、仕方ないことだからね」
「連れて行け」
その言葉で俺とリリは二人、街の中心部へ連れて行かれた。
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