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三章
第11話 力関係の崩壊
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「意味が分からない」
「そうか?」
樹の言葉に護が首を傾げる。
「確かにそうだな。俺が今まで誰かと組もうとしたことはないからな。確かに怪しいな。ではどんな理由にしようか」
どんな理由にしようか。
そう言っている時点で何も考えていない、理由がないことを言っているように樹には感じられた。
ただ、それでは、何も考えていないならば、何故、仲間になろうとするだろうか。
本当の理由を隠そうとしているのだろうか。
そんな考えが樹の中に芽生える。
「樹、やめておいた方が良いよ」
茜が隣で樹に耳打ちをする。
怪しいが、もしも護が仲間になれば、勝機は確実となる。
その価値がある護を怪しいからと切り捨てるのは何とも勿体ない。
「よし、決めた! こんな理由はどうだ。俺の大事なペットを殺された恨みが優にあるからだ。だから、今すぐにでも優を倒したい。そのために仲間が欲しい。完璧だ」
「護はペットに愛情を持っていないだろうに」
「あれ、ばれた?」
ペットはただのデータとして見ている。そんなプレイヤーは結構いる。優など一部トッププレイヤーもそうである。しかしそれは、ペットを大切にしないと同義ではない。
アイテムのように、湯水のようにペットを使うのは護ぐらいである。
ペットはアイテムだから、護はペットを失うことに何一つ躊躇がなく、アイテムだから失えば補充をする。そんな考えで生きている。
それがある意味での護の強味である。
「ダメだったか。人の説得は難しいな」
「護。何も考えていない? それとも別に。理由がある?」
「…………うん?」
陽の質問に護は、笑顔を見せて。
「さあ、どうだろう。俺自身、俺の考えを理解していないからさ。どっちともいえるし、そうでないともいえるが正しいのかな」
「不思議な子」
「いやぁ、陽さんよりかは幾分マシだと思うけどな」
「酷い」
陽のそんな言葉に護は焦ったように。
「ごめん。確かに言い過ぎた。悪かった。俺の方が可笑しいよな。陽さんは普通だ」
「弁解は聞かない」
「いや、本当に。好きな人からは嫌われたくないだろう?」
「…………好きな人?」
「待って。護は陽さんのことが好きなのか?」
「うん」
護は頷く。
ムードなんか関係なく。
それに驚く三人に対して。
「まあ、冗談だけど」
当たり前のように否定した。
「そういえば、こんな奴だった」
護には虚言癖がある。そんなこと知っていたつもりだったが、樹たちは何一つ護を理解していなかったのかもしれない。
護は笑いながら。
「まあ、良いや。説得出来ないなら、それで良いや。俺は俺一人で優さんを倒すよ」
「いや、待って」
どこかに行こうとする、護に樹は言う。
「分かった。良いよ。仲間になろう」
「樹!?」
樹の言葉に茜が声を荒げる。信じられない提案をしたために。驚いているのは陽も同様である。陽が聞いてくる。
「どうして?」
「僕たちと優さんが衝突している時に護が介入してこない保証はないから。だから少しでも危険を減らすために仲間になるべきでしょ」
「それは…………それは」
それは表向きの理由。
本当はそんなことは考えていない。仲間になったとしても裏切らないとは限らないからだ。
「良いの。いやあ、ありがとう」
何も疑った様子なく、心の底から嬉しそうに護は樹の手を取った。
トッププレイヤー四人が仲間になった時点で、力関係が大きく変わることとなる。
そして、それを黙って見過ごす優ではない。
トッププレイヤー四人。
うち一人は優に最も近い実力を持つ護。
この時点で優と隼の二人では勝機はない。
しかし、その数が三人になれば。
二対一を作ることができれば、十分優にも勝機はある。
「そう考えなかった?」
「考えるわけがないだろう」
優は知っていた。
護が樹たちが仲間を集めていたことを。程なくして、仲間になろうと近づくと。
そして優は樹と龍、そして陽と護の四人が関係を組んだ時点で、誰を殺すかすでに決定づけらられていた。
優先順位は陽、次に龍、護、樹。
護と樹は殺せない、あるいは殺すのに時間がかかる。
陽は今樹と護といる。
では龍しかいないわけである。
「何でばれているんだ」
「ささやかな裏技よ」
優は龍を今すぐにでも殺すために、龍の前に現れた。
「そうか?」
樹の言葉に護が首を傾げる。
「確かにそうだな。俺が今まで誰かと組もうとしたことはないからな。確かに怪しいな。ではどんな理由にしようか」
どんな理由にしようか。
そう言っている時点で何も考えていない、理由がないことを言っているように樹には感じられた。
ただ、それでは、何も考えていないならば、何故、仲間になろうとするだろうか。
本当の理由を隠そうとしているのだろうか。
そんな考えが樹の中に芽生える。
「樹、やめておいた方が良いよ」
茜が隣で樹に耳打ちをする。
怪しいが、もしも護が仲間になれば、勝機は確実となる。
その価値がある護を怪しいからと切り捨てるのは何とも勿体ない。
「よし、決めた! こんな理由はどうだ。俺の大事なペットを殺された恨みが優にあるからだ。だから、今すぐにでも優を倒したい。そのために仲間が欲しい。完璧だ」
「護はペットに愛情を持っていないだろうに」
「あれ、ばれた?」
ペットはただのデータとして見ている。そんなプレイヤーは結構いる。優など一部トッププレイヤーもそうである。しかしそれは、ペットを大切にしないと同義ではない。
アイテムのように、湯水のようにペットを使うのは護ぐらいである。
ペットはアイテムだから、護はペットを失うことに何一つ躊躇がなく、アイテムだから失えば補充をする。そんな考えで生きている。
それがある意味での護の強味である。
「ダメだったか。人の説得は難しいな」
「護。何も考えていない? それとも別に。理由がある?」
「…………うん?」
陽の質問に護は、笑顔を見せて。
「さあ、どうだろう。俺自身、俺の考えを理解していないからさ。どっちともいえるし、そうでないともいえるが正しいのかな」
「不思議な子」
「いやぁ、陽さんよりかは幾分マシだと思うけどな」
「酷い」
陽のそんな言葉に護は焦ったように。
「ごめん。確かに言い過ぎた。悪かった。俺の方が可笑しいよな。陽さんは普通だ」
「弁解は聞かない」
「いや、本当に。好きな人からは嫌われたくないだろう?」
「…………好きな人?」
「待って。護は陽さんのことが好きなのか?」
「うん」
護は頷く。
ムードなんか関係なく。
それに驚く三人に対して。
「まあ、冗談だけど」
当たり前のように否定した。
「そういえば、こんな奴だった」
護には虚言癖がある。そんなこと知っていたつもりだったが、樹たちは何一つ護を理解していなかったのかもしれない。
護は笑いながら。
「まあ、良いや。説得出来ないなら、それで良いや。俺は俺一人で優さんを倒すよ」
「いや、待って」
どこかに行こうとする、護に樹は言う。
「分かった。良いよ。仲間になろう」
「樹!?」
樹の言葉に茜が声を荒げる。信じられない提案をしたために。驚いているのは陽も同様である。陽が聞いてくる。
「どうして?」
「僕たちと優さんが衝突している時に護が介入してこない保証はないから。だから少しでも危険を減らすために仲間になるべきでしょ」
「それは…………それは」
それは表向きの理由。
本当はそんなことは考えていない。仲間になったとしても裏切らないとは限らないからだ。
「良いの。いやあ、ありがとう」
何も疑った様子なく、心の底から嬉しそうに護は樹の手を取った。
トッププレイヤー四人が仲間になった時点で、力関係が大きく変わることとなる。
そして、それを黙って見過ごす優ではない。
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うち一人は優に最も近い実力を持つ護。
この時点で優と隼の二人では勝機はない。
しかし、その数が三人になれば。
二対一を作ることができれば、十分優にも勝機はある。
「そう考えなかった?」
「考えるわけがないだろう」
優は知っていた。
護が樹たちが仲間を集めていたことを。程なくして、仲間になろうと近づくと。
そして優は樹と龍、そして陽と護の四人が関係を組んだ時点で、誰を殺すかすでに決定づけらられていた。
優先順位は陽、次に龍、護、樹。
護と樹は殺せない、あるいは殺すのに時間がかかる。
陽は今樹と護といる。
では龍しかいないわけである。
「何でばれているんだ」
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優は龍を今すぐにでも殺すために、龍の前に現れた。
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