銀蒼界聞録~Deep Lovers~

深楽朱夜

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「秦・・・お前洸紀の事・・・」
「俺は洸紀を殺さない」
 家に戻り洸紀はラフィエルに付き添われ2階で休み、1階ではセラフィスと秦が残った。
「それじゃあ!戻らないのかよ!天界へ」
「ああ」
「っ・・・」
 セラフィスが顔を背け拳を震わす、秦が下した決断はセラフィスにとって酷なものだった。
「洸紀はお前を天界に戻すつもりだ」
「自分を犠牲にしてな」
「・・・俺だって洸紀に酷い事しようとしているのは分っている。けど、このまま此処にいても、もう洸紀は人間と時の流れが違うんだ。やはり地界に戻った方が良いんだよ、洸紀の為にも」
 セラフィスが悲鳴の様な慟哭を吐き出す、天に住まう天使として目の前の友が選ぼうとしている路が許されないと告げる。
「セラフィス・・・俺は洸紀が好きだ。笑顔も泣き顔も怒りを露わにした顔も、『白銀の魔物』では無く水村洸紀が好きだ」
 秦の蒼い双眸が真っ直ぐセラフィスに気持ちを伝える、セラフィスは肩を震わせ俯いてしまう。
 かつて同胞を狩り続け、自分の望みを口にした事など無かった親友の始めて口にした願いは、叶う事が難しい望みだった。
 自分の相棒の本当の長いをその傍らで聞いていたラピスもまた、1つの決断を下す為に純白の翼を広げた。

「さあ、少し休むといいよ」
 ラフィエルに促されベッドに腰を降ろした洸紀が、唇を噛み締め俯きがちに両手をを見つめていた。
「・・・もう、時間が無いんです」
「そうだね、答えが出ないままタイムリミットを迎えようとしている」
「ごめんなさい」
「光紀君が謝る必要は無いよ。僕達も何も出来ずに指を咥えていただけだから」
 洸紀の手の上に柔らかなラフィエルの手が重なる、このまま血の交換が出来ずに洸紀の力が増し、魔物に近付いていけば天界にとっての新たな脅威が生まれ、天界は更に秦という強い切り札を失う事になる。
「すぐにでも、どうにかしないと」
 自分の内に巡る魔物の血が強く濃く体内を巡り、天使の血と鬩ぎあって洸紀の意思を蝕んでいくの感じ、益々焦りを覚える。
「秦はもう君を殺せない」
「っ・・・」
 洸紀が眼を見開き、唇を戦慄かせ何かを喋ろうとし止めてしまう。
「変わってしまったんだよ。光紀君も秦も」
「僕は秦を天界に還したい!だって、秦は求められているんでしょう、待っている人達が・・・必要としている人達がいるんでしょう?」
 洸紀が真っ直ぐにラフィエルの顔を見つめる、青灰色の瞳と淡い茶色の瞳、『白銀の魔物』と洸紀の瞳の色が点滅しているかのように交互に変わる。
「そうだね、秦は僕達にとって大切な友人だよ。でも、その友人が天に還るよりももっと大切な事を見つけてしまったんだよ」
「だって、天使と魔物なんて・・・」
 洸紀の肩に手を乗せ、そっと優しくラフィエルが囁く。
「秦の内にあった魔物の血が少し君に還った事で少し興奮しているね、少し休んで落ち着くと良い、それから秦と話しても遅くはないよ?」
「はい・・・」
 ラフィエルの手が離れ、静かに部屋を出て扉を閉める。
 扉のに背を預け顔を上げたラフィエルの秀麗な顔が、複雑な表情を浮かべていた。
「難しいね、これを恋と呼ぶのは。叶わぬ恋かもしれないけれど、せめてどちらかが消えてしまうような結末にはならない事を願うよ・・・」

「申し訳ありません」
「問題は無い・・・お前は傷を癒せ」
 光差さない世界の支配者は、傷ついたケルベロスを労う。
「それは・・・もう後少しで・・・」
「問題は無い、彼は戻る此処に。冥界の王に干渉されたが、彼は自らの意思で此処に還る」
 黒い血を滲ませ満身創痍のケルベロスはその言葉に眼を見開く、王は金色の瞳で遥か彼方を見ている、冥界の王に干渉されても尚、万能の眼は洸紀の帰還を確信していた。
「あの天使と水村洸紀の間には・・・」
「だからこそ彼は此処に戻る、愛故に愛しい天使を天へ還す為に」
「・・・私には理解出来ません」
「ふふ・・・私と彼の誓いは揺るがない・・・姿形を変え記憶が無くても」
 『白銀の魔物』と地界の王の絆、どれ程の月日が流れようとも変わらず、約束が成就される日を待つ王にケルベロスは胸焦がれる。
 どんなに願い努力しても手に入らない王の隣、『白銀の魔物』がこの地界から去って幾星霜、色褪せる事無くケルベロスの脳裏には『白銀の魔物』が王の傍らに在った姿を思い浮べる事が出来る。
 嫉妬以上の羨望と憧れを抱き、そして今『白銀の魔物』がいた場所に自分がいる、けれど何1つ満たされはしなかった。
 やはり王の傍らには『白銀の魔物』が相応しい、所詮自分など代わりにしか過ぎない。
 何一つ共通の部分等無いが、どこか『白銀の魔物』に通ずる部分のある洸紀のあどけない顔を思い出し、何故脆弱な人間の少年に転生してしまったのかケルベロスのかと疑問に思わずにはいられない。
「ご苦労だったケルベロス。後は時が満ちるのを待つ、それだけだ」
「はい」
 王の望みか、『白銀の魔物』基洸紀の想いか・・・らしくも無い事を考える自分に自嘲めいた笑みが浮かんでしまう。
 結局洸紀の在るべき場所はこの地界しか無い、もう洸紀もそれを十分理解している、だから早く還るべきだこれ以上辛い思いをしなくても良い様に・・・。

「洸紀」
「ラピス・・・」
 ベッドの上で空からのプレゼントのペンダントを眺めていると、窓の外から自分を呼ぶ声に振り向き、純白の鳩の姿をしたラピスを部屋に入れた。
「少しいいかしら?」
「うん、珍しいね。ラピスが話したいなんて」
「そうね、もう時間が無いもの」
「・・・」
 そのラピスの言葉に洸紀の表情が益々暗くなる、その洸紀を一瞥してラピスがベッドの縁に止まった。
「もう、貴方が今、人か魔物か分らなくなってしまったわ」
「そう・・・だね。今僕はとても不安定な位置にいるんだよ」
「秦の内の血の一部が貴方に還ったお陰ね」
「うん。なんだか変な感じ、慣れないね」
 クスリと洸紀が笑う、かつて自分の血が秦の体内を巡り、そしてまた自分に還り少し体が軽く感じる、それがまた自分を人から遠ざけてしまう。
「洸紀・・・私貴方が嫌い」
「そう、だろうね。君のパートナーがこの世界にいる原因を作ったのは僕だから」
「違うわ、秦が此処にいるのは戦争のせいよ。戦は様々な物を奪っていく、貴方もそのせいで此処にいる。私が貴方を嫌いなのは、秦が貴方を好きだから」
 ラピスの言葉に洸紀の眼が見開かれる、認めてしまえば楽になれる、けれどこの恋が成就などしないのに、誰からも祝福されないのにいいのだろうかこのまま好きでいて・・・。
「感情を制御するのはとても難しい事よ」
「うん・・・僕も秦が好き」
 素直に言葉が口から出る、口に出すともっと秦が好きだと言う気持ちが溢れてくる。
「ねえ、洸紀。貴方の事嫌いだけど、貴方には借りがあるわ」
「え?借り?」
「秦を助ける為に冥界に行った事」
「あれは元々僕のせいだし、僕を庇ってくれたから」
 秦が毒に侵された時に独りで冥界に向かったあの時、洸紀はシャラとハデス2人の友人を得た、孤独な旅だったけど掛け替えの無い物を手に入れた、その事に感謝すらしている。
「秦の為に貴方は冥界に行ってくれた。感謝しているわ、だから」
 その後に続くラピスの言葉に洸紀は衝撃を受けた、けれどその言葉で洸紀の決意が固まる。
「一度だけ、一度だけ私は貴方に借りを返す為に、パートナーでもあり主でもある秦に背くわ」
 ラピスの綺麗な瑠璃色の瞳に硬い決意を感じ、洸紀もまた深く頷いた。
「なら、頼みたい事があるんだ。多分きっと秦は僕を赦さないと思う、けれどきっともうこれしかないから」
「ええ、洸紀。罰は私も受ける、だから言いなさい、私が受け止める」
「うん、ラピスありがとう。秦を必ず元の天使に戻すよ」
 そして洸紀は、酷な決断を下した・・・。

「そうですか・・・洸紀貴方は決めたんですね」
 『時の扉』の領域でシャラは洸紀の下した決断に心を痛めた、洸紀の決断はきっと秦を傷つける、愛する者を傷つけてまで守ろうとする気持ちはシャラにも分らないものでも無かった。
「洸紀は地界の王との約束を果たす為に、還らなければいけないからね。もう洸紀は思い出している」
「約束・・・」
 シャラの影から冥界の支配者、ハデスが笑みを浮べながら現われる。
「想いは同じ、けれど互いを想い合うが故に2人は擦れ違う・・・」
「お互いへの気持ちだけは止まらないんだ」
 ハデスがシャラのアメジストの瞳を覗き込むように見つめる、ハデスの灰色の瞳にもまたシャラの瞳が映る。
「洸紀、君が願い望めばきっと変えられる。諦めないで、君は幸せになれるよ」
 シャラから視線を外し、目の前にある『時の扉』に語り掛ける、声は届かなくても洸紀を想う友が此処にも2人いるから・・・。

「秦、洸紀が呼んでいるわ。外にいるから」
 暫くして秦の元に戻ったラピスに言われ、密かに眉を顰める。
「分った」
 傍らにいたラフィエルに視線を向け、3人で外に向かう。
「セラフィスは?」
「今、私と入れ違いで洸紀と外で話しているみたいね。この部屋に戻る途中でセラフィスに会ったから」
「光紀君、大丈夫かな」
 ラピスに案内され屋敷から少し離れた丘に足を向け、ラフィエルが洸紀を案じる。
「どうだろうな」
「あの子は大丈夫よ。そんなに弱くは無いわ」
「珍しい、君が洸紀君の肩を持つなんて」
 クスとラフィエルが柔らかな笑みを浮べる、正に天使と呼ぶに相応しい微笑、ラピスは何処か遠くを眺めながら小さく頷いた。
「ラピス・・・どうかしたのか?」
「いいえ、何も」
 いつもならはっきりと伝わるラピスの感情が今は読めない、嫌な予感が秦の脳裏を過ぎる。
「秦・・・結論は急いだほうがいい」
「分っている、洸紀もそれを伝える為に呼んだ筈だ」
「秦・・・」
「ラフィエル、俺は・・・」
 秦が応えようと口を開いた瞬間、秦の鼻先に洸紀の血の匂いを感じ走り出した。

 時は少し遡り洸紀の部屋からラピスが去り、新たな来訪者・・・セラフィスが洸紀の部屋のドアをノックする。
「開いているよ」
「よ、洸紀。気分変える為に少し外行かないか?」
「うん、いいね。今外に出ようと思ってラピスに伝言を頼んだ所だから」
「それなら丁度良いな。俺もラピスに階段で会ったから」 
 屈託の無いセラフィスの笑顔にほっと肩の力を抜いて、笑みを浮べて部屋を後にする。
「そこの丘まで行こうと思って」
「いいぜ」
 外の平穏な空気が洸紀の体を満たしてくれる、心地良い太陽の光が魔物の血を多く体内に巡る洸紀の眼には眩し過ぎた。
「なあ、洸紀」
「何?セフィ」
「秦は天界を・・・俺達を捨てようとしている」
「セフィ・・・そんな事は無いよ。秦は天使だもの」
 セラフィスの今にでも泣き出しそうな顔に洸紀は狼狽してしまう、秦をセラフィス達から奪うつもりは無い。
「俺は、前みたいに皆でいたいだけなんだ・・・どうして『白銀の魔物』が洸紀なんだろうな・・・。冷血な魔物がこんな風に泣いたり笑ったりしなければ・・・シンだってお前を愛したりはしなかった」
 大粒の涙が宝石の様にセラフィスの深緑の瞳から零れ落ちて行く、綺麗な涙だと洸紀は見つめていた、もう流せるかどうかも分らない涙、少しだけセラフィスが羨ましい。
「セフィ、僕ね。ずっと、こうなる前の生活に戻りたかった。平和で退屈で生きているかも死んでいるかも分らないそれでも、友達がいて親がいて・・・何度も思ったどうして僕が『白銀の魔物』なんだって。でも今なら分る、彼が僕で僕が彼なんだ・・・。皆に会えて良かった・・・」
「洸紀・・・こ・・・。ダメだ俺から離れろ!」
「セフィッ!?」
 溢れる涙を止める事無くセラフィスに異変が起きる、急に苦しみ始めたセラフィスに駆け寄る。
『チツジョヲミダスモノハハイジョスル』
「逃げろ!洸・・・」
 両腕をセラフィスに力強く捕まれ、知らない声とセラフィスの声が重なり、腹の辺りに衝撃が奔った。
「あ・・・」
「うあああ!!」
 銀色に輝く短剣が洸紀の腹部に突き刺さり、刺したセラフィスの絶叫が響き渡る。
「大・・・丈夫だよ・・・セフィ・・・僕から離れて・・・」
 途切れ途切れに言葉を吐き出し、セラフィスから距離を取り、抜け落ちた短剣と腹部から溢れ出した白い砂と黒い血が地面に落ちる。
「洸紀・・・ごめん、洸紀」
 錯乱するセラフィスがうわ言の様に何度も洸紀に許しを請う、洸紀が静かに首を振りニコリと笑みを浮べた。
「良いんだよセフィこれで・・・ありがとう」
 その場にセラフィスが崩れ落ちる、洸紀の血の匂いで向かって来た秦達がこの光景を目にし衝撃を受けてしまう。
「そんな・・・」
「洸紀!セラフィス!」
「天の意思ね・・・」
 洸紀の血が止まる事無く流れ落ち、白い砂・・・秦の血が秦の元へと還って行く。
「ラフィエルさん、セフィをお願いします・・・さあ、秦準備は全て整ったんだ。始めよう・・・」
 洸紀が剣を呼び出し秦に向ける、涙が止まらないセラフィスをラフィエルが立たせ2人から遠ざかる。
「秦・・・」
「本気か?洸紀」
「うん、もう時間が無い」
 ラピスが鳥から剣の姿に形を変え秦が構える、迷いは消えないまま洸紀に剣を向ける。
『主・・・最後まで共に』
 洸紀の剣が洸紀の為に誓いを立てる、不義理な主人であった事を心の中で詫び、覚悟を決めた。
『秦・・・洸紀の気持ちを受け止めて上げて。これがあの子の貴方への想いの証』
「洸紀・・・」
 2人の想いが重なり今、1つになろうとしていた・・・。
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